出頭とは|自首とはどう違う?弁護士がわかりやすく解説!
出頭と自首は、日常用語では、いずれも犯人が罪を白状するために自らの意思で警察署に出向くといったような意味で使われますが、法律上は異なる意味の言葉です。
このページでは、出頭と自首の意味の違いについて、弁護士がわかりやすく解説します。
出頭とは
出頭とは、警察署や裁判所などに自ら出向くことをいいます。
あくまで出向くことそれ自体を指す言葉ですので、犯罪事実を認めるかどうかとは関係がありません。
犯行を認めるために出頭するケースが多いため自首と混同されがちではありますが、出頭して取り調べには応じるものの犯行は否認する、ということも有り得るのです。
なお、出頭した場合に逮捕される可能性については、下記のページ以下でくわしく解説しています。
出頭と自首の違いは?
出頭が警察等に出向くという事実上の行為を指すのに対し、自首は法律上に規定をもつ法的概念です。
刑法は自首の要件と効果について、次のように定めています。
2 (略)
引用元:刑法|電子政府の総合窓口
刑法上の「自首」とは、犯人が「捜査機関に発覚する前に」自首することをいい、これによって、「刑を減刑することができる」という効果が発生するとされているのです。
出頭と自白の違いを整理すると、次のとおりです。
タイミング | 自白の有無 | 効果 | |
---|---|---|---|
出頭 | 発覚の前後を問わない | 自白するとは限らない | 法律上の減刑なし(情状として考慮される余地はある) |
自首 | 犯行発覚前に限る | 必ず自白を伴う | 法律上減刑される |
上記のとおり、犯行発覚前のタイミングで出頭し、かつ犯罪事実を進んで申告した場合に、自首が成立することになります。
注意が必要なのは、自首が成立したとしても、刑を減刑「する」ではなく「することができる」と規定されているにとどまるため、必ず減刑されるとは限らないところです。
また逆に、出頭が犯行発覚後であるため自首が成立しない場合、法律上の減刑は適用されないのですが、自ら出頭し犯行を認めているということは反省の表れと考えられますので、判決の際には有利な情状として考慮されるのが通常です。
このように考えますと、出頭と自首は厳密には異なる概念ではありますが、自首の成否にこだわらずとも、犯行を認めて捜査に進んで協力することで、処分を決定する際に有利にはたらくことが期待できる、とシンプルに理解していただいてもよいように思います。
出頭を拒否するとどうなる?
犯罪を犯したと疑われている場合、捜査機関から取り調べのために出頭を要請されることがあります。
出頭要請を受けたとしても、法的には応じる義務はありません。
容疑者を強制的に連行するためには、現行犯などの場合を除いて裁判官の発する逮捕状や勾留状が必要であり、そのような手続きを経ない「要請」は、任意の捜査協力依頼にすぎないからです。
もっとも、容疑者として出頭が要請されているにもかかわらず出頭拒否が重なると、逃亡のおそれがあるとみなされて逮捕される可能性があります。
出頭するかどうかと犯行を認めるかは別の問題ですので、たとえ犯行を否認していたとしても、逮捕を避けるために出頭には応じるという判断はあり得ます。
出頭要請に応じるべきかについての詳細は、こちらをご覧ください。
出頭する際に気をつけるべきポイント
対応方針をあらかじめ決めておく
警察に出頭すると、取調べを受けることになります。
対応が行き当たりばったりにならないよう、犯行を認めるのか否認するのか、認めるとしてどの範囲で認めるのかといった方針を、あらかじめ決めておくべきでしょう。
出頭する意思はあるが、不適切な供述をして不利な立場に置かれないかといったことがご心配な方は、事前に弁護士に相談して対応を打ち合わせてから出頭されるとよいでしょう。
弁護士に同行を依頼する
刑事事件を取り扱っている弁護士であれば、自首に付き添うといった形の依頼も受けています。
弁護士であっても取り調べに同席できるわけではありませんが、弁護士とともに出頭することで、少しでも気になることがあれば警察署への道中でもすぐに質問でき、心細さが解消されるといったメリットがあります。
ひとりで出頭するのは勇気のいることでもありますので、信頼できる弁護士にあらかじめ相談した上で、自首の同行依頼を検討されることをおすすめします。
まとめ
このページでは、出頭と自首の違いを解説しました。
改めて要点を整理しますと、次のとおりです。
- 出頭は警察署等に自ら出向くこと自体を指すのに対し、自首は出頭した上で、そのタイミングが犯行発覚前であり、かつ自白を伴うという法律上の概念である。
- 自首が成立する場合には法律上の減刑が可能であるが、たとえ自首に当たらない場合であっても、犯行を自白し捜査に協力することは、反省の表れとして有利な情状として考慮されると期待できる。
- 出頭の前には対応方針を明確にしておくべきであり、同行依頼も含めて、弁護士に相談しておくことが有用である。
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