自首のメリット・デメリットとは?【弁護士が解説】

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自首の法律上の効果

自首は、刑法上、刑の減軽や免除の事由となり、刑事訴訟法上は捜査の端緒となります。

通常の犯罪において、自首は、減軽することが「できる」と規定されているため(刑法42条1項)、どのようなケースでも100パーセント減軽できるわけではありません。

したがって、任意的減免とよばれています。

ただし、一部の犯罪については、自首が成立すれば必ず刑が軽減又は免除されるものや、刑が免除されるものもあります。

例えば、内乱などの特殊な犯罪です(刑法80条、93条但書)。これらの犯罪は、関係者による自首以外の方法による捜査が困難であったり、あるいは発生それ自体が重大な法益侵害を招くことから自首を促すため、減免が絶対的なものとなっています。

刑法上の減軽の程度については、条文に規定があります(68条)。

例えば、有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減じます。

また、無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮となります。

その範囲のなかで、裁判官が具体的な刑を決めることになります。

 

 

自首のメリット

上記のとおり、通常の犯罪の場合、自首の減軽は絶対ではありません。

しかし、自首には以下のような大きなメリットがあります。

量刑において考慮される可能性がある

自首は、犯人が改悛していることを端的に示す事情です。

したがって、自首が認められると、情状が良くなります。前記の法律上の刑の減軽とは異なりますが、量刑が軽くなり、結果としては服役する期間が短くなったりする可能性があります。

 

逮捕や勾留を回避できる可能性がある

警察が自宅や会社に来て逮捕されると、その時点で家族や会社に犯行が発覚してしまいます。

また、家族や同僚の目の前ではなくても、長期間の身柄拘束によって犯行が発覚する可能性が高くなります。したがって、逮捕や勾留はできれば避けたいところです。

自首は、この逮捕や勾留を回避できる可能性があります。すなわち、逮捕は逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがある場合に認められます。

自首は、犯人が反省していることを端的に示す事情です。

また、当事務所の刑事弁護士は、自首に同行して、本人が自発的に犯罪を申告しているのだから逃亡や罪証隠滅のおそれはまったくないと主張します。

そのため、逮捕や勾留を回避できる可能性が高くなります。

 

家族や職場への突発的な接触を防ぐ

犯行が発覚すると、通常、捜査機関は、事前の連絡なく、自宅や会社にやってきます。

事前に連絡すると、犯人が逃亡したり、証拠隠滅を企てる可能性があるからです。

自首は、みずから捜査機関に赴くので、家族や職場に警察官が来ることを回避できる可能性が高くなります。

 

供述の信用性が増す

自首は、犯人の改悛を示す事情ですので、その供述には信用があります。

それは、後々量刑において有利になったり、不起訴や執行猶予を獲得できる可能性があります。

例えば、傷害罪の犯人が自首した場合、確かに、相手を怪我させたことは認めつつ、実は相手からも暴力を受けたと供述することがあります。

この「相手から暴力を受けた」という供述が認められれば、悪質性が低くなり、量刑において有利となります。また、ケースによっては正当防衛が成立したり、喧嘩両成敗ということで不起訴になる可能性もあります。

 

安心できる

いつ逮捕されるか、いつ取り調べを受けるか不明な状態は精神衛生上決してよくありません。

自分の罪を認めるのは、勇気がいることかもしれませんが、「この先どうなるのかわからない」という漠然とした不安から解放されるでしょう。

このように、自首には、法律上の効果以外にも大きなメリットがあります。

しかし、そもそも自首が成立するか否かは微妙なケースが多くあります。

また、自首が認められたとしても、自首の方法についても、専門家の助言があった方が望ましいといえます。

そのため、まずは、刑事事件に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

 

自首にデメリットはある?

捜査機関や被害者が全く事件を認識していない状況であれば、放置していれば発覚せずに済んだ事件について処罰を受ける可能性が出てくるということが、自首のデメリットとして挙げられます。

しかしながら、捜査機関がどのような情報を持っているか、そもそも被害者が事件を認識しているかという点は、加害者の立場で分からない場合も多くあり、このデメリットは大きくないケースが多々あります。

 

 

証拠がなくても自首すべき?

客観的に証拠が無い場合、自首をしなければ有罪を認定するに足りる証拠が集まらないこともあります。

そうすると、証拠が無い場合には自首をしない方がいいのではないか、という疑問が出てくることでしょう。

もちろん、有罪となるか否かという観点だけを考えると、自首をする必要はありません。

しかしながら、上記のとおり、証拠があるかどうかは加害者側にとって不透明です。

そうすると、時効が経過するまで、いつ捜査機関が来るか分からないという不安を持たれる方も少なからずいらっしゃいます。

また、弊所の方針としては、罪を犯してしまったのであれば、しっかりと償うことで真に再犯防止に取り組むことが出来ると考えています。

最終的に決めるのは相談者自身ですが、証拠がなくとも自首をすることに意味があるという考え方もあるのではないでしょうか。

 

 

自首すべきか迷ったら

自首をすべきか迷ったら、刑事事件に詳しい弁護士に一度相談することをお勧めします。

そもそも自首が成立するか否かが微妙なケースもありますので、法的に事件を整理してもらうことで、自首をするかどうかの判断は行いやすくなるでしょう。

また、自首が認められたとしても、自首の方法についても、専門家の助言を受けた方が望ましいといえます。

 

 

自首の流れ

弁護士を伴って自首をする場合、以下のような流れを辿ります。

弁護士から警察署に連絡し、自首する日程を調整
弁護士から警察署に連絡し、自首する日程調整を行います。
自首報告書を作成
必要に応じて、弁護士の方で自首報告書を作成します。この報告書は、当日警察官に渡すものです。
相談者と一緒に警察署へ。警察署での手続きをサポート
当日、相談者と一緒に警察署に行き、自首として扱われるよう、警察署での手続きをサポートします。
この日は自首をしたことを記録する最低限の調書のみが作成されることが多いように思います。
示談交渉等を行い、不起訴に向けた活動を行う
自首を行なった後も、適宜取り調べや現場検証等が行われます。この間に示談交渉等を行い、不起訴に向けた活動を行うことになります。

 

 

まとめ

自首にはメリットとデメリットのどちらも存在します。
後悔のない判断をするためにも、自首をすべきか否か、そもそも自首が成立する状況なのか否かについて、専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。

自首の方法について、詳しくはこちらのページもご覧ください。

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