接見禁止を解除できませんか?【弁護士が解説】
接見禁止を付されてしまいました。家族と会いたいのですが、何とかなりませんか?
接見交通権とは
逮捕中である最初の72時間は、弁護人との接見のみ認められており、ご家族と会うことはできませんが、逮捕に引き続く身体拘束である勾留段階(最大20日間)では、原則として接見交通権が認められており、ご家族と会うことができます。
接見交通権とは、勾留されている被疑者が、外部の者と直接面会したり、書類や物の授受を行ったりするなどして、外部との連絡を取る権利のことを指します。
刑事訴訟法第80条は、「勾留されている被告人は、第三十九条第一項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。」と規定しています(接見交通権)。
引用元:刑事訴訟法|電子政府の総合窓口
被告人というのは、起訴後の表現ですが、起訴前の「被疑者」にも同様の接見交通権が認められています。
原則として、勾留されている被疑者は、こうした接見交通権に基づき、法令の範囲内で接見交通を行うことができます。
ただし、勾留を行う目的は、逃亡や証拠隠滅を防ぐことにありますので、この目的を害するおそれがあると判断されれば、こうした接見交通を行う権利(接見交通権)は一定程度の制約を受けることもあります。
差し入れについては、物品にもよりますが、認められる場合があるので、逮捕されている留置所に連絡をしてみるとよいでしょう。
警察によって対応がまちまちですので、弁護士に接見・差し入れを依頼するとより確実になるでしょう。
接見が禁止される場合
接見交通権にも例外があり、認められない場合もあります。
その例外はもはや例外と呼べないほど広く適用されています。
すなわち刑事訴訟法第81条には、「裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押さえることができる。」とあります。
接見等禁止と呼ばれる処分です。
この接見等禁止処分が多くの事件で付されているのです(検察官の接見禁止請求により裁判官が接見禁止を付すという流れになっています)。
この禁止が付されると、勾留段階においても接見をすることができません。
接見禁止を解除する方法
弁護士を選任し、弁護士から裁判所に対して、接見等禁止決定に対する準抗告を申し立てることで、状況が変わることがあります。
接見禁止が全面的に取り消され、接見が自由になったり、接見禁止が一部取り消され、配偶者や両親のみ接見が可能になったりします。
弁護士としては、接見の全部取消を求めつつ、予備的に、少なくとも親族との接見については認めるよう裁判所に申し出ることになります。
勾留は、起訴・不起訴を決定するための身体拘束であるのに、あたかも懲罰かのように運用されている節があります。
弁護士としてはその運用を是認することはできません。
国選弁護士はここまで接見禁止について争ってくれないことがほとんどでしょうが、当事務所は、接見交通権が被疑者(ひいてはその親族)にとっての重要な権利であることを重視し、依頼者が少しでも家族の時間を持ち、精神的に安らげるよう、全力を尽くします。
接見禁止の解除が認められる理由とは
弁護士の申請により、接見禁止が解除されることがあるのはなぜでしょうか。
接見禁止が付されるのは、主に外部の人間と接触を図ることで証拠の隠滅を指示するなど、捜査の妨害を行う可能性が疑われているからです。
しかし、必要な証拠等を全て捜査機関に提出している場合において、たとえば事件に一切関係のないご家族との面会を許したとしても、証拠隠滅などできるはずがありません。
このような場合に接見禁止を付す必要はないはずです。
こうした事情を弁護士から裁判所に伝え、接見禁止を解除しても捜査への支障がないことを理解してもらうことができれば、接見禁止が解除される可能性があるのです。
接見禁止を解除するための申立書の書式
接見禁止を解除するためには、弁護士から接見等禁止決定を出した裁判所に対し、接見等禁止の解除を申請する必要があります。
接見等禁止決定自体が間違っていることを主張する「準抗告申立書」や、共犯事件において接見等禁止がなされることはやむを得ないとしても、事件に関係のない家族には会えるよう、接見等禁止の一部を解除する「一部解除申立書」など、様々な方法があります。
今回は、一部解除申立書のサンプルをご紹介いたします。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
ご家族が突然身体拘束を受け、詳しい事情も何も分からないままで不安を抱えてしまう場合でも、弁護士にご依頼をいただければ、ご家族との面会ができるようになるなど、状況が変わる可能性はあります。
ご不安な際は、刑事事件に注力する弁護士に急ぎご相談されることをお勧めいたします。