執行猶予をつけるにはどうすればいい?【弁護士が解説】
被害者がいる場合は示談の成功が鍵となります。
被害者がいない事案では、効果的な情状弁護が重要となります。
執行猶予とは
執行猶予とは、罪を犯して判決で刑を言い渡された者が、定められた一定の期間(執行猶予期間)中に刑事事件を起こさずに済めば、その刑の言い渡しが将来にわたり効力を失うという制度です。
ただし、刑の言い渡しの事実は消えません。
執行猶予のメリット
刑務所に入らなくていい
執行猶予は、あくまで刑の執行を猶予するというものであり、有罪であることは間違いありません。
しかし、執行猶予を獲得できると、刑務所に入らなくてよくなります。
自宅に帰って通常の生活を送ることができるのは大きなメリットです。
日本の刑事裁判は、有罪率が99.9%であり、起訴されるとほとんどは有罪です。
中には無罪を争うケースもありますが、現実的には、この執行猶予の獲得に向けて活動していくことがほとんどです。
なお、執行猶予は、猶予期間中、何も悪いことをしなければその判決の効果は消滅しますが、反対に悪いことをすれば、判決で言い渡された刑の期間、服役しなければならなくなります。
解雇を回避できる可能性がある
起訴された段階では、推定無罪の原則から、犯人と確定していません。
そのため、会社によっては判決が言い渡されるまで解雇をしないというケースも考えられます。
しかし、有罪判決が言い渡され、実刑となるとほとんどの会社では解雇せざるを得なくなると思われます。
したがって、執行猶予を獲得することは職を維持することにつながる可能性があります。
取締役などの欠格事由に該当しない
会社役員などが、有罪判決を受けたとしても、執行猶予を獲得できれば、欠格事由に該当しません。
したがって、引き続き業務を行うことが可能です。
なお、職業・資格によっては、執行猶予を獲得した場合でも制限されることがあります。
執行猶予を獲得するためのポイント
被害者がいる事案の場合
示談交渉を行うことが最重要
痴漢や盗撮など、被害者がいる事案の場合、執行猶予を獲得するためには、弁護士を通じて示談を成立させることが1番大切です。
示談が成立しているということは、被害者の処罰感情が無くなったということを意味します。
厳罰に処する必要がないため、裁判官が執行猶予を出す可能性が高くなるのです。
なお、多くの事案では、被害者は被害感情から示談に応じてくれないこともあります。
しかし、示談の成立は、容疑者の社会復帰を促すだけでなく、被害者の方の救済にもつながります。
起こってしまった被害自体は変えることができません。
しかし、示談金を受け取っていただき、前向きな気持になっていただくことができれば被害者の方の将来にプラスになるはずです。
そこで、当事務所の刑事弁護士は、示談交渉に尽力しています。
謝罪や被害弁償を行う
仮に、示談が成立しない場合は、弁護士がご本人に代わって被害者の方に謝罪を申し入れたり、被害弁償を申し入れたりすべきです。
これらの活動は、容疑者が反省をしていることや、被害が回復されたことを意味します。
そのため、容疑者の情状が良くなり、執行猶予がつく可能性が高まります。
被害者がいない事案の場合
被害者がいない場合でも執行猶予の可能性はあります。
情状について被告人に有利になる証拠を集めたりして、裁判官に対して執行猶予の妥当性を主張していきます。
例えば、以下のような主張が考えられます。
- 被告人の犯行の態様が悪質でないこと
- 被害の状況が軽微であること
- 動機が悪質でないこと
- 計画性がないことなど
- 被告人に監督者がいること
- その他社会の中で更生できるという事情として
上記について、裁判官に強く主張し、かつ、具体的な証拠を提出することで、執行猶予を獲得します。
例えば、監督者の存在については、監督者(配偶者や両親)の誓約書や証人尋問があげられます。
また、就職先については、就職予定先の会社の上申書などがあげられます。
これらの証拠を刑事弁護士が準備し、裁判所に提出することが重要となります。
まとめ
執行猶予を獲得したい方へ執行猶予をつけて欲しいという場合、早期に弁護士に相談することが重要です。
できるだけ早期に事件に着手することで、裁判(公判)までに準備ができます。
執行猶予については、当事務所にお気軽にご相談ください。