情状証人とは?【ポイント・注意点を弁護士が徹底解説】
情状証人とは、情状事実を立証するための証人のことをいいます。
情状とは、広く量刑の基礎となる事実をいい、日頃の生活状況、家庭環境、家族等の監督誓約や生活環境の整備・改善等があげられます。
目次
情状証人はつけるべき?
犯行(公訴事実といいます。)を争っていない場合、又は、争いがあっても有罪判決を免れないときは、情状に関する弁護活動が必要です。
反対に、全面無罪を主張している場合、基本的には情状弁護はすべきではありません。
すなわち、情状証人についてはつけるべきではありません。
予備的にでも情状の主張をすることは、無罪主張を弱めることになるからです。
情状証人には誰がふさわしい?
情状証人となり得る人としては、被告人の家族、勤務先の上司・同僚、友人・知人などが考えられます。
情状証人には、被告人のこれまでの生活状況や今後被告人を指導監督する旨を証言してもらうため、上記の中から最もふさわしい人を選ぶべきです。
基本的には、家族を選ぶことが多いです。
ご家族を情状証人とする理由
情状証人は、犯罪を犯してしまった被告人にも、良い側面があることを立証するためのものです。
被告人に良い側面があることを証言してもらうためには、被告人のことをよく知る人物にお願いするのが最適です。
被告人をよく知る人物としては、被告人に一番身近なご家族があげられます。
また、被告人が社会復帰した後、監督指導していくことができる人物がいれば、そのことも有利な情状の一つとなります。
そこで、家族の中でも、監督指導できる能力がある方が望ましく、通常であれば、配偶者の方やご両親のどちらかがふわさしいと考えられます。
ただし、以下のような場合、情状証人として出廷してもらうかが問題となります。
情状証人として出廷したい気持ちはあるが、病気などで難しい場合
情状証人は、法廷で証言する必要があります。
そのため、情状証人自身が病気等なんらかの事情で法廷に立つことができない場合は情状証人として申請はできません。
このような場合、弁護士が上申書を提出する方法があります。
上申書の中身は、被告人との関係、被告人の生活の様子、家族にとって被告人が必要であること、被告人が社会復帰することを望んでいること、被告人を監督指導していくことなどです。
また、上申書と合わせて、家族が出廷できない証拠を提出すると良いでしょう。
例えば、病気であれば診断書、入院証明書などです。
情状証人の人数
情状証人について、法律上の人数制限はありません。
しかし、実務上、1人か2人の場合が多いようです。
情状証人の役割から考えて、あまり多くても意味がありませんし、裁判が不必要に長くなってしまうと関係者全員に迷惑がかかってしまいます。
彼女・彼氏を情状証人とする場合
情状証人は、基本的には家族が望ましいです。
血縁関係にある家族は、一時的な関係ではなく、今後の指導監督が期待できるからです。
これに対して、彼氏・彼女は別れる可能性もあり、一時的な関係となった場合、将来の指導監督ができません。
そのため、基本的には情状証人としてふさわしくないと考えられます。
もっとも、結婚していない場合、両親が他界している場合など、家族がいない場合もあります。
また、勤務先の上司等の協力も得られない場合もあります。
このような場合で、かつ、彼氏・彼女との交際が親密な場合は情状証人となってもらってもよいでしょう。
将来、結婚予定などであれば、将来の指導監督も期待できるので効果が見込めます。
情状証人となるのが2回目の場合
被告人に前科がある場合、その前科の裁判でも、情状証人として出廷していることがあります。
その情状証人の方は前回の裁判において、「今後二度と犯罪を犯さないように監督指導していく」と約束されているはずです。
にもかかわらず、また被告人が罪を犯したということは、その情状証人の監督指導能力がないことを意味するように思えます。
そこで、このような場合に、再度情状証人に立ってもらうかが問題となります。
他に、情状証人に立ってくれそうな家族等がいれば、別の方を立てるという方法があります。
しかし、そんな方はそれほど多くないと思います。
状況にもよりますが、基本的には再度の情状証人は立ってもらってよいと考えます。
2回目とはいえ、被告人を必要としている家族がいることは、やはり有利な情状のひとつになると考えられるからです。
ただ、検察官からは、厳しい尋問の可能性があります。
例えば、
「あなたは前回の裁判のときも監督指導すると言いましたよね?」
「今回の犯行を防げなかったあなたに監督指導は無理ではないですか?」
などの尋問です。
刑事弁護士としては、このような厳しい尋問があることを想定して、証人テストを実施しておくべきでしょう。
証人テストについて詳しくはこちらをご覧ください。
裁判の流れ
公訴事実(犯罪の事実のこと)に争いがない場合、第1回の公判で結審することが多いです。
つまり、1回の裁判だけで検察側と弁護側の主張や立証(証拠調べ)を終えます。
情状証人は、弁護側の証拠調べ請求によって行われます。
したがって、情状証人は第1回公判において必要となる場合がほとんどとなります。
刑事裁判の流れについては、こちらのページで詳しく解説しています。
情状証人の手紙は有効?
情状証人の持ち時間はそれほど長くないため、情状証人の証言だけでは、被告人に有利な情状について、裁判官に対して効果的に伝えることができない可能性があります。
そのため、情状証人となる予定の方から裁判所に対して、「上申書」という形で文書を書いてもらい、それを提出することもあります。
または、情状証人が勾留されている被疑者・被告人と手紙のやり取りをしていた場合、その手紙を証拠として提出することがあります。
手紙の内容から、情状証人と被告人との強固な関係性や、情状証人が被告人のことを心配している様子がうかがえるよう場合、有利な情状となり得るからです。
情状証人の服装
情状証人は、被告人を今後、指導監督していく役割が期待されています。
そのため、裁判官に、指導監督していくことができる能力が備わっていると感じてもらうことがポイントとなります。
そうすると、証言の中身だけではなく、やはり外見も重要です。
したがって、あまり派手な服装は避け、落ち着いた色のスーツなど、誠実さが伝わりやすい服装にした方がよいでしょう。
その他、情状証人として気を付けることについてこちらもご覧ください。
まとめ
有罪を前提として、量刑を軽くし、又は、執行猶予を目指すために、情状証人は重要な証拠となります。
そのため、具体的な状況において、誰が情状証人として適切かを判断し、その情状証人と本番前には入念な打ち合わせが必要となります。
情状弁護を含めた刑事弁護については、刑事事件に注力する弁護士が在籍している当事務所に、まずはお気軽にご連絡ください。
当事務所の刑事事件チームは、具体的な状況をヒアリングして、今後の対応方法について助言いたします。
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