勾留延長とは?【弁護士が解説】
勾留延長をされてしまいました。
早く釈放されたいのですが、何とかなりませんか?
勾留延長が不当な場合は基本的には争うべきです。
勾留延長とは?
逮捕は最大72時間の身体拘束ですが、勾留は10日間です。
10日間で捜査が完了しなかった場合、検察官は勾留延長請求をします。
裁判所がこれを認めると、さらに10日間の身体拘束を受け続けます。
これを勾留延長と呼んでいます。
刑事訴訟法第208条第1項は、「・・・被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」と規定しています。
そして第2項に、「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を越えることができない。」という規定があります。
これが勾留延長を定めた規定です。
勾留延長を認めない場合〜準抗告〜
勾留延長が認められてしまった場合、弁護士としては、勾留延長決定に対する準抗告をすることになります。
すでに72時間の逮捕、10日間の勾留で十分に証拠が出揃っており、起訴・不起訴の決定が可能であり不当に身体拘束を長引かせるべきでないことを主張したり、仮に捜査が未了であるとすればそれは捜査機関の怠慢であり、在宅事件に変更した上で捜査を継続すべきであることを主張したりします。
また、予備的に、10日間の勾留延長は不当に長いことを主張し、たとえば5日間の限度で勾留延長を認めるべきであると論じることも考えられます。
一日でも早く、平穏な生活を取り戻してもらえるように、当事務所では、勾留延長に対して争うことにも力を入れています。
勾留延長の「やむを得ない事由」とは?
この「やむを得ない事由」について、最高裁は、以下のとおりとしています。
事件の困難性(※1)、あるいは証拠収集の遅延若しくは困難(※2)等により勾留期間を延長して更に取り調べをするのでなければ起訴若しくは不起訴の決定をすることが艱難な場合をいうものと解するのが相当である。
【最判昭37.7.3】
※1 被疑者若しくは被疑事実多数のほか、計算複雑、被疑者関係人らの供述又はその他の証拠の食い違いが少なからず、あるいは取り調べを必要と見込まれる関係人、証拠物等多数の場合等
※2 重要と思料される参考人の病気、旅行、所在不明若しくは鑑定等に多くの日時を要すること
余罪捜査の必要が「やむを得ない事由」に含まれるか?
余罪が勾留の基礎となっている被疑事実と無関係である場合は、「やむを得ない事由」には該当しません。
勾留について、くわしくはこちらのページもご覧ください。
勾留延長を争わないほうがよい場合
しかしながら、勾留延長全てについて争うというのは、正しくありません。
場合によっては、勾留延長がご相談者様にプラスに働くこともあるのです。
それは検察官が、起訴か不起訴か悩んでいるがゆえに勾留延長したようなケースです。
すなわち、当初の勾留10日間の間に弁護人と被害者の間の話し合いが進み、もう少しで示談が成立するというようなケースでは、勾留延長をあえて争わずに、その期間で示談を成立させて不起訴処分を獲得することを目指すべきなのです。
不起訴処分となれば、前科がつかないことになるため、仕事をやめなければならないリスクが大幅に下がりますし、実刑判決を受けて刑務所に入るリスクを回避することができるからです。
まとめ
以上、勾留延長について、解説しましたが、いかがだったでしょうか?
勾留延長は、容疑者にとって大きな負担となります。
そのため弁護士は、検察官の勾留延長がどのような理由に基づくのかを検察官面会等を通じて把握し、準抗告することが適切か否かを的確に判断した上で、迅速に弁護方針を実行する必要があります。
国選弁護士であれば、ここまで熱意を持って弁護活動を行うことはあまりないかもしれません。
真に弁護士によるサポートを必要としている方には、私選弁護士の選任をお勧めしています。
当事務所には刑事事件に注力する弁護士が在籍していますから、まずはお気軽に当事務所にご連絡ください。
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