器物破損で警察の呼び出しを無視できる?対処法を解説
器物破損で警察から呼び出しを受けた場合、無視することも不可能ではありませんが、おすすめできません。
警察の呼び出しを無視することにはリスクやデメリットがあり、事態をより悪化させる可能性が高いためです。
器物破損で警察から呼び出しがあった場合は、これに対して適切に対応することが重要となります。
この記事では、器物破損で警察の呼び出しに関して、呼び出しを無視できるのか、無視した場合のリスクやデメリット、呼び出しがあった場合の対応やポイント等について、弁護士が解説します。
目次
器物破損で警察の呼び出しを無視できる?
器物破損で警察から呼び出しを受けた場合、それが任意のものであれば無視することも可能ではあります。
ただし、後に解説するとおり、警察の呼び出しを無視することにはリスクやデメリットも伴うため、あまりおすすめはできません。
以下では、器物破損で警察の呼び出しに応じる義務があるのか、無視した場合のリスクやデメリットについて詳しく解説していきます。
器物破損で成立する犯罪や賠償義務
器物破損とは、他人の物を破壊や汚損等することによって使えない状態にすることをいいます。
器物破損は、故意であれば「器物損壊罪」という犯罪が成立します(刑法261条)。
参考:刑法|電子政府の総合窓口
※器物破損は、刑法では「器物損壊」と規定されていますので、以下では器物損壊と表記します。
器物損壊には、「三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料」という罰則が定められており、れっきとした犯罪です。
また、器物損壊は、刑事だけでなく民事でも問題となります。
他人の物を破損した場合、民法上の不法行為となり、これによって被害者に与えた損害を弁償するという損害賠償責任が加害者に生じます(民法709条)。
参考:民法|電子政府の総合窓口
器物損壊は民事と刑事の両面で責任が生じる違法な行為といえます。
器物損壊についてのさらに詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
警察から呼び出しがある理由とは?
器物損壊で警察から呼び出しがある理由は、上記のように器物損壊が犯罪に当たり、その捜査のために取り調べを行う必要があるためです。
取り調べは容疑者を逮捕して行うことがありますが、逮捕は法律上の要件を満たす場合に限り可能となるものです。
必ずしも全ての事件で容疑者を逮捕できるわけではなく、事件によっては、取り調べの都度容疑者を呼び出すという形で捜査を行うことがあるのです。
警察の呼び出しに応じる義務はあるの?
警察が犯罪の容疑者を取り調べる場合、逮捕状によって容疑者を逮捕してその身柄を拘束するという強制的な方法と、警察に出向くように促す任意的な方法とがあります。
警察からの呼び出しというときは、通常は後者の任意的な呼び出しのことを指します。
あくまで任意の呼び出しですので、これに応じる法的な義務はありません。
その意味では、警察からの呼び出しは無視することも可能とはいえます。
ただし、任意とはいえ、警察の呼び出しを無視することには、後述するとおりリスクやデメリットがあります。
任意だから応じないでよいと安易に考えてしまうと、思わぬ不利益を被ることにもなりかねません。
器物破損で警察から呼び出しがあったときにこれに応じるか否かは、拒否した際にどのようなリスクがあるかを踏まえて、慎重に検討する必要があるといえるでしょう。
警察の呼び出しに応じない場合のリスクやデメリット
警察からの呼び出しは、基本的には任意です。
このため、呼び出しに応じないこと自体を理由として罰則のような不利益が科されることはありません。
もっとも、呼び出しに応じないことから派生してリスクやデメリットが生じる可能性はあります。
呼び出しへの対応を考える際は、これらのリスクやデメリットの存在をしっかり認識する必要があります。
逮捕の可能性
警察の呼び出しに応じないデメリットのひとつは、逮捕されるリスクが高まる点です。
容疑者を逮捕できるのはその必要性がある場合に限られますが、警察からの呼び出しをかたくなに拒んでいると、逮捕の可能性が高まることがあり得ます。
これは、容疑者が出頭の求めに応じないということは、逃亡するおそれがあるのではないか、という発想に基づくものです。
もちろん、「呼び出しには応じないが逃亡するつもりもない」というケースもあり得るため、呼び出しに応じるか否かと逃亡するかどうかは必ずイコールになるわけではありません。
このため、警察の呼び出しに応じないでいると必ず逮捕されるとまではいえません。
ただし、一般的にいいますと、警察の呼び出しに応じないことは、逃亡をうかがわせる事情として、逮捕のリスクを高めるものということができます。
捜査の長期化
警察の呼び出しに応じないでいると、捜査が長期化するというリスクもあります。
上記のとおり、器物損壊で警察から呼び出しがあるのは、取り調べという事件捜査の一環としてです。
容疑者がこれに応じずなかなか話が聞けないとなると、捜査が完結せずに長期化することも考えられます。
捜査が長期化することは、いつまでも処分が決まらず、事件の見通しが不透明な状況が続くことを意味します。
たとえ逮捕されていないとしても、そのような状況が長引くことは日々生活していく上で大きなマイナス要因となります。
事件をできるだけ早期に終結させるためにも、呼び出しがあった場合は可能な限り応じるのが適切といえます。
警察から呼び出しがあったときのNGな行動
呼び出しを無視する
警察からの呼び出しは任意の協力を求めるものであるため、これに応じる義務はありません。
しかし、これを無視することには、逮捕の可能性が高まるというリスクが伴います。
万が一逮捕されることになれば強制的に身柄を拘束されますので、その負担は在宅で呼び
出しに応じるのとは比較になりません。
義務でもないのに呼び出しに応じるのは気が進まない、といったこともあるかもしれませんが、逆に考えてみますと、今のところは逮捕するまでの必要はない事件の扱いに留まっているという見方もできます。
呼び出しを無視することは逮捕のリスクを高めることから、NGな行動といえます。
無断欠席や日程変更を繰り返す
呼び出しを無視するだけでなく、いったん出頭を了承しておきながら、当日無断で欠席したり、直前での日程変更を繰り返したりすることもNG行動です。
無断での欠席は呼び出しを無視しているのと変わりませんし、たとえ連絡を入れたとしても、キャンセルや日程変更を繰り返していると、呼び出しに応じる意思がないものと捉えられかねません。
もちろん、体調不良などの突発的な事情が生じることもあり得るため、予定変更がすべて不適切というわけではありません。
しかし、あまりにもそのようなことが相次ぐと、捜査を軽視し、ひいては逃亡のおそれがあるのではないかと疑われてしまいます。
もし逮捕や勾留ということになれば、その間はずっと拘束されるわけですので、予定どころではありません。
警察からの呼び出しは、最優先で対応すべき事項のひとつと心得えるべきでしょう。
逃亡や証拠隠滅などを試みる
捜査を恐れるあまり、逃亡や証拠隠滅などを試みることも、NG行動です。
これらもまた、逮捕のリスクを高める行動であるためです。
なんとか処罰を逃れたいという気持ちがあるかもしれませんが、このような行動はかえって事態を悪化させるだけであり、より厳しい処分を招くことになりかねません。
一般的にいえば、器物損壊は比較的軽い部類の罪ですので、罪を逃れようとするのではなく、適切に償うことで影響を最小限にとどめることを目指すのがよいといえます。
専門家の助言を受けずにひとりで対応しようとする
警察からの呼び出しに対して自己判断のみで対応してしまうのも、NG行動といえます。
警察からの呼び出しを受けた際、多くの人は不安や焦りから、すぐに警察署へ行って説明しようとする傾向にあります。
しかし、このような独自の判断での対応は、かえって自身の立場を危うくする可能性があります。
特に取り調べの場面では、緊張や不安から必要以上の発言をしてしまったり、誤解を招くような説明をしてしまったりするリスクがあります。
そのため、呼び出しを受けた際は、一人で対応するのではなく、弁護士などの専門家に相談の上で臨むことが適切な対応といえます。
器物損壊を犯したときの3つのポイント
警察の呼び出しには誠実に対応する
器物損壊によって警察から呼び出しがあった場合、誠実に対応することが大切です。
ただし、これは、聞かれたことにすべて答えたり、全面的に罪を認めたりしなければならないという意味ではありません。
取り調べでは黙秘権という権利があるため、答えたくない質問には回答を拒否することもできます。
また、取り調べに応じるからといって、罪を認めなければならないということもありません。
容疑を否認したいときや事実関係に誤りがある場合など、何か言い分があるときは、取り調べの場でそれを主張することもできます。
自分の主張を相手の都合に合わせて曲げるのではなく、事件に対して真摯に向き合う姿勢を忘れないことが大切なのです。
被害者との示談交渉を成功させる
器物損壊事件では、被害者との示談が重要な意味を持ちます。
器物損壊罪は、犯人を処罰するためには被害者による告訴が必要な「親告罪」であり、示談の成立によって告訴が取り下げられれば処罰の可能性がなくなるためです。
器物損壊では、示談が成立していれば刑事事件としては扱われないのが原則であり、警察から呼び出しを受けることもなくなると思われます。
逮捕ほどではないとはいえ、いつ警察の呼び出しがあるかわからない生活というのもかなりの負担となります。
被害者との示談交渉を成功させることは、そのような負担を解消することのできる有力な手段といえるでしょう。
示談交渉における弁護士選びの重要性については、以下のページをご覧ください。
刑事事件に強い弁護士に相談する
警察から器物損壊で呼び出しを受けた場合、刑事事件を専門に扱う弁護士に相談することをお勧めします。
刑事事件の案件を多く手がけてきた弁護士なら、状況に合わせて最も良い対応方法を提案してくれるでしょう。
このような弁護士は、警察の取り調べにどのように対応すべきかについて、分かりやすく実践的なアドバイスをしてくれます。
また、被害者との示談交渉においても、解決に向けて必要な支援をしてくれます。
刑事事件に強い弁護士の専門的なサポートを受けることで、より安心して事態の解決を目指すことができるのです。
刑事事件における弁護士選びの重要性については、以下のページをご覧ください。
器物損壊についてのQ&A
器物損壊の捜査期間は?

これは、犯行から3年で器物損壊罪の時効が成立するためです。
ただし、示談成立により告訴が取り下げられた等の事情があれば、これより早期に捜査が終了することもあります。
器物損壊罪の時効については、以下のページをご覧ください。
まとめ
この記事では、器物破損で警察の呼び出しに関して、呼び出しを無視できるのか、無視した場合のリスクやデメリット、呼び出しがあった場合の対応やポイント等について解説しました。
記事の要点は、次のとおりです。
- 警察からの任意の呼び出しには法的な強制力はないが、無視することにはリスクやデメリットがある。
- 警察の呼び出しに応じないリスクとしては、逮捕の可能性が高まることが挙げられる。
- 警察の呼び出しを無視することはリスクが高く、呼び出しに応じて誠実に対応することが適切である。
- 器物破損で警察から呼び出しを受けた場合、刑事事件に強い弁護士に相談することが有益である。
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