情状証人として気をつけることはありますか?
事前の打ち合わせが重要です。服装なども気をつけましょう。
情状証人とは
情状証人とは、容疑者(被告人)の方の情状面について、証言をする人物のことを言います。
日本の刑事裁判は、99.9パーセントが有罪となります。
根拠:令和5年版犯罪白書
したがって、犯行自体の争いよりも、有罪を前提として、少しでも刑を軽くすることが主要な関心事となる傾向です。
このような状況のため、情状証人は極めて重要であり、ほとんどの刑事裁判で出廷してもらうことが想定されます。
尋問事項をどうする?
情状とは、一般的には量刑を判断する場合の諸事情のことであり、犯罪の悪質性(犯行動機、原因、手段、被害の程度)、容疑者の性格・年齢・境遇・前科前歴、社会的影響等と言われています。
しかし、情状証人に裁判に出ていただくのは、容疑者のことをよく知る人物などから、容疑者の良い面を述べてもらうなどして、刑を軽くすることがねらいです。
そのため、弁護士側としては、情状証人に対しては、上記を全般的に尋問するのではなく、容疑者の性格、反省の程度、更生の可能性等を中心に尋問した方がよいでしょう。
具体的にはケース・バイ・ケースとなりますが、一例として尋問事項をご紹介します。
容疑者の性格 |
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容疑者の反省 |
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更生の可能性 |
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誰が適格か?
上述したような情状証人の役割からすると、情状証人になっていただくようお願いする人物としては、家族や会社関係者が望ましいといえます。
具体的にはケース・バイ・ケースですが、下表を参考にされてください。
家族 |
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会社関係 |
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情状証人の人数
法律上の決まりはありません。
筆者の感覚としては、通常の場合は1名、多くて2名です。
頼みにくい場合
家族であれば、頼みやすいと思いますが、会社関係となると、わざわざ裁判所まで足を運んでもらうことに抵抗がある方も多くいらっしゃいます。
このような場合、情状証人としてではなく、会社上司からは嘆願書、再就職する場合は就職予定先からの上申書を提出してもらうという方法で情状弁護を行う場合があります。
この方法を取ると、書面作成のみで、裁判所まで来ていただく必要がないため、負担は減るでしょう。
なお、当事務所では、嘆願書や上申書の書き方をホームページで公開しており、無料で閲覧、ダウンロードが可能です。
証人テスト
弁護士と十分に打ち合わせをし、練習をして臨みましょう。ぶっつけ本番は止めるべきです。
尋問の時間は限られています。事前の打ち合わせ無しに尋問をすると、裁判官に伝えたかったことを十分に伝えることができないおそれがあります。
また、証人になる方にとって、法廷は大変緊張する場所です。普段と違う場所で、過度の緊張状態にあるため、間違ったことを話したり、ニュアンスが伝わらないおそれも十分あります。
したがって、刑事弁護人となる弁護士と事前に十分な打ち合わせを行うべきです。
国選弁護人などの中には、事前の打ち合わせすらしない方もいるようです。
このような場合は証人となる方から積極的に打ち合わせの要否を確認されると良いでしょう。
なお、当事務所は、博多の広大なオフィス内に模擬法廷を設置しています。
これは刑事弁護において、事前に本番の雰囲気で尋問の練習を行い、クライアントに有利な結果をもたらすためです。
メモの暗記は止める
弁護人によっては、事前に尋問事項と問答のメモを渡す方もいるかと思います。
これについては、いろんな考え方があるかもしれませんが、極力止めたほうが良いと考えます。
メモを暗記しようとすると、実際の証人尋問の際、不自然な尋問に見えることが多いです。
また、緊張したときに記憶が飛んでしまい、証言が詰まることも有ります。
問答を暗記せずとも、尋問に慣れた弁護士は、証人の気持ちをうまく引出してくれると思います。
服装等について
「人は見かけによらない」という言葉が有ります。これは裏を返せば「第一印象は見かけで決まる」ということです。
情状証人に今後、被告人を監督指導していく能力があるか、情状証人が言っていることは真実か
情状証人の方の見かけは、これらに大きく影響します。
そのため、誠実さが伝わる服装を心がけましょう。
具体的には、男性であればスーツがおすすめです。
最近は真夏であればクールビズが定着しているので、真夏のネクタイまでは不要と思いますが、できればスーツの上着はあったほうがいいと思います。
また、女性の場合は普段着でよいと思いますが、派手目の色は避け、質素な服装が良いでしょう。
また、過度なアクセサリー等は身につけないほうが良いでしょう。
その他
その他、尋問の当日は、印鑑(認め可)を持参したほうが良いでしょう。出頭カードに署名し、押印するためです(印鑑がなくても指印できます。)。
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