飲酒を理由に責任能力を争えませんか?【弁護士が解説】
飲酒の程度によりますが、争う場合は決して簡単ではないでしょう。
責任能力を争うことについて
テレビやニュースで精神鑑定という言葉が良く飛び交っています。
精神鑑定を行い、責任能力を争えば容易に無罪になるのではないかとの誤解が生じやすくなっていますが、現実問題としては、精神鑑定等により責任能力を争ってその主張を認めてもらうことは容易ではありません。
また、犯行の記憶がない場合、責任能力を争う方法のほかに、そもそも自らが犯人なのか(犯人性)について争うという方法も考えられます。
いずれにしても、本当に記憶を取り戻すことができないのか、時間をかけて弁護人と入念に接見・打ち合わせをする必要があります(記憶がないと決め付けて思い出そうと試みること自体をやめてしまうと、望ましくない結果に終わってしまいます)。
酩酊の種類
飲酒による酩酊については、正常で完全な責任能力が認められる「単純酩酊」と責任能力に影響が出る「異常酩酊」に分類されます。
犯行の記憶がないほどお酒に酔っていた場合であっても、単純酩酊(完全責任能力)と判断されるケースがほとんどとなっています。
単純酩酊と判断されるケースが多い理由は様々考えられますが、犯行態様の悪質性(計画性に基づき合理的に行動していることや足元がしっかりしていること、強い力が加わっていること、犯行後に逃亡していること等)や被害結果の重大性、動機の理解可能性、犯罪事実以外のことについては記憶が残っていること等が主な理由になります。
異常酩酊の中には、「複雑酩酊」と「病的酩酊」があります。
複雑酩酊は、異常な言動が見られるに留まるものですが、病的酩酊は、てんかん、慢性アルコール中毒等の病的要素により急激な意識障害や朦朧状態、幻覚妄想が生じるものです。
複雑酩酊は限定責任能力とされ、病的酩酊は責任無能力とされる傾向にあります。
限定責任能力であれば、その刑が減軽されます(刑法39条2項)。
責任無能力であれば、無罪となります(刑法第39条1項)。
私選弁護人選任の勧め
これらの酩酊は、実際にはその区別が曖昧な部分です。
もし責任能力を争うのであれば、証拠を豊富に収集し、裁判所に提出する必要があります。
証拠の収集は、弁護人の熱意と技能により大きな差が出るため、刑事事件に注力する弁護士を選任することをお勧めします。
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