略式裁判とは?流れ・メリット・デメリットなどを弁護士が解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

疑問に思う男性
略式裁判ってなんですか?

メリットやデメリットはありますか?

 

略式裁判とは

略式裁判(刑事訴訟法461条以下)とは、検察官の請求によって、正式裁判を行わずに、検察官の提出した書面のみによって審理を行う裁判手続のことです。

非公開の裁判手続であるという点で、裁判を受ける権利(憲法37条1項)を制限することになるため、被疑者の同意がなければ略式裁判とされることはありません。

また、略式裁判は簡易裁判所の管轄であり、100万円以下の罰金または科料に相当する事件のみが対象となります。

正式裁判ではないとはいえ、略式命令には確定判決と同一の効力が与えられているため(刑事訴訟法470条)、略式命令が確定すれば当然前科がつくことになります。

 

 

略式裁判の流れ

検察官による説明と被疑者の同意
検察官は、略式命令の請求をするために被疑者に対して予め略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、被疑者の同意書を得る必要があります(刑事訴訟法461条の2第1項、第2項)。
そのため、罰金刑相当の事案で犯行を認めている場合、検察官から取り調べを受けた際に、略式裁判の説明をされ、同意書に署名捺印を求められることがあります。

検察官による略式命令請求〜略式命令の発令
検察官は、簡易裁判所に対して公訴を提起すると同時に、被疑者の同意書を添付して略式命令請求を行います(刑事訴訟法462条1項、2項)。
裁判所が検察官の請求を受けて、略式裁判とすることが相当であると判断した場合には、検察官の提出した証拠を検討し、罰金または科料の略式命令を発令します(刑事訴訟法461条)。
この略式命令は、被告人に郵送で送達されることになります。

罰金または科料の納付
略式命令が被告人のもとに届いたら、記載されている額の罰金または科料を納付することで刑事手続が終了します。
しかし、検察官による取り調べの段階では略式裁判となることに納得していたものの、後になってやはり犯罪事実を争いたいと考える場合もあり得るでしょう。
そのような場合には、略式命令を発令した簡易裁判所に対して、正式裁判の請求をすることができますが、期限は略式命令を受け取った日から14日間です(刑事訴訟法465条1項、2項)。
この期限を過ぎてしまうと、略式命令が確定し、争うためには再審請求をする必要がありますが、再審請求は被告人が無罪であるといえる新たな証拠が発見されたこと等、非常に限定的な場合にしか認められません。
再審請求が認められる可能性が限りなく低いことから、期限を過ぎると犯罪事実を争うことは不可能と考えておいた方がよいでしょう。
略式命令に納得がいかないという場合は、早期に弁護士に依頼して正式裁判請求の手続きをとる必要があります。



 

 

略式裁判のメリット・デメリット

略式裁判のメリット

木槌略式裁判を行うことによって、公開の法廷で裁判を受けることがなくなります。

そのため、見知らぬ人々に見られながら裁判を受けることもなくなりますし、職場に発覚するリスクもほぼ0となります。

犯行を認めており、罰金刑相当であることが明らかな事案であれば、略式裁判とすることにメリットがあるといえるでしょう。

 

略式裁判のデメリット

裁判員裁判のイメージイラストデメリットとしては、裁判官の前で言い分を言う機会が全くないことが挙げられます。

ただ、犯罪事実に争いがなくかつ軽微な事案の場合、直接言い分を聞くかどうかで量刑判断に大きな影響はないと思われるため、大きなデメリットではないといえます。

なお、犯行を否認している場合にはそもそも検察官が略式裁判の提案をしないと考えられますが、犯行を否認するのであれば略式裁判ではなく、必ず正式裁判を受ける必要があります。

 

 

 

罰金または科料を納めなかった場合

電卓とお金いずれの手続きも取らず、略式命令を放置していた場合、1日以上2年以下の期間、労役場に留置されることになります(刑法18条1項)。

労役場での労働は、1日あたりおよそ5000円に換算され、罰金の残額を完済するまでの期間が留置日数となるので、思いの外長期間身体拘束をされてしまうことになるかもしれません。

 

刑事裁判の流れにつきましてはこちらをご覧ください。

 

 

 

その他のよくある相談Q&A

 

 

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