刑事裁判とは?【裁判の流れとポイントを弁護士が解説】
刑事裁判とは
刑事裁判とは、刑事事件について、有罪・無罪、有罪の場合はその量刑を判断する手続きです。
刑事裁判は、99.9%が有罪になると言われています。
無実の罪で起訴される場合、無罪を勝ち取るためには、刑事裁判を熟知して、戦略を立てる必要があります。
また、犯罪の成否に争いがない場合でも、量刑が不当に重くならないように効果的な主張立証を行う必要があります。
すなわち、検察官が真実のみを主張すれば問題はありませんが、事実を捻じ曲げ、容疑者をより悪質にしている場合があります。
痴漢の場合を例にあげていうと、痴漢の犯行自体は認めていたとします。
実際は、衝動的に痴漢行為を行ったにすぎないのに、検察側からは「計画的な犯行であった」と主張されることがあります。
計画的な犯行と認定されると、情状が悪くなり、罪が重くなる可能性があります。
本来であれば、執行猶予がつく事案でも、服役するなどです。
このような不当な結果を回避するために、刑事裁判について、流れを解説いたします。
起訴される前の流れについては、こちらをご覧下さい。
検察官が起訴状を提出し、公訴の提起をした場合、公判審理がなされることになりますが、公判期日決定の前に、公判前整理手続が行われることがあります。
公判前整理手続は、被告人が無罪を主張している場合、重要な事実の存否に争いがある場合、裁判員裁判対象事件である場合などに行なわれ、充実した公判審理を継続的、計画的かつ迅速に行うことができるようにすることが目的とされています。
要するに、公判前整理手続は、検察官・弁護人の描くストーリーはどのようなものか、公判において何に重点を置いて審議するのか、有罪・無罪を分ける重要な争点は何なのか、証拠関係はどのようになっているのかについて、裁判官・検察官・弁護人が意見共有する場であるといえます。
公判前整理手続は、3回程度で終わることもあれば、10回以上行われることもあります。
次に、公判の流れについて説明します。
① 冒頭手続
人定質問
公判の初めに、裁判長が、被告人に対し、人違いではないことを確認するために、被告人の氏名、生年月日、住所、本籍地、職業を質問することになっています。
起訴状朗読
人定質問の次に、検察官が、起訴状を朗読します。
起訴状には、被告人が、いつ、どこで、どのような犯罪行為を行ったのか、その犯罪行為がどのような罪名に当たるのかが記載されています。
起訴状の内容が認められるのかが、公判で審理されていくことになります。
黙秘権の告知
裁判長は、起訴状朗読の後、被告人に対し、終始沈黙し、または個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨、答えたい質問にだけ答えることもできるが、公判における被告人の発言は全て証拠として取り扱われるため、発言が有利にも不利にも使われる可能性があるから注意して発言すべき旨を伝えます。
罪状認否手続
その上で、起訴状で読み上げられた事実に対する陳述の機会を与えられます。
被告人は、「読み上げられた事実に間違いありません」、「全く身に覚えがありません」、「ナイフで刺したことに間違いありませんが、殺す気はありませんでした」などのように、犯罪の成立を認めるのか争うのかを陳述することになります。
また、被告人の陳述の後には、弁護人も陳述します。
被告人の陳述に不足・不明瞭な点がある場合に補足をすることになります。
ここまでの手続を、冒頭手続と呼んでいます。
冒頭手続終了の段階で、被告人が有罪である旨の陳述をし、その他の要件も充足する場合には、裁判所により、簡易公判手続の決定や即決裁判手続の決定がなされることがあります。
② 証拠調べ手続
ここから、証拠調べ手続に移行します。
刑訴法317条が、証拠裁判主義を謳い、「事実の認定は、証拠による。」と規定していることから分かるとおり、証拠調べ手続が、公判において最も力点の置かれる手続です。
証拠調べ手続で顕出された証拠から、裁判所は、有罪か無罪か、執行猶予を付すか否か、懲役何年とするか等を判断するのです。
冒頭陳述
証拠調べのはじめに、検察官が、証拠により証明すべき事実を明らかにすることになっています。
検察官が描くストーリーと、それを支える証拠関係がここで明らかになります。
次に、弁護人・被告人にも、同様の機会が与えられます。
ここで、弁護人が描くストーリーと、それを支える証拠関係を明らかにします。
公判前整理手続結果顕出
公判前整理手続に付されている事件については、この後、公判前整理手続の結果顕出がなされます。
公判前整理手続で整理された内容を裁判員に共有する手続です。
ここで改めて、重要な争点の確認がなされます。
証拠調べ請求
次に、検察官側が証拠調べ請求を行い、続けて弁護人・被告人側が証拠調べ請求を行います。
裁判所は、請求された相手方の意見を聞いたうえで、証拠を採用するか否かについて決定を下します。
証拠調べには、証拠物の取調べである「展示」、証拠書類の取調べである「朗読」(場合によっては「要旨の告知」)、証人・鑑定人の供述の取調べである「尋問」、被告人の供述の取調べである「質問」があります。
証拠物や証拠書類は、証拠調べの後、裁判所に提出します。
③ 弁論手続
証拠調べ手続きが終了すると、検察官、弁護人、被告人の順で、事実及び法律の適用について意見を陳述します(検察官の陳述を「論告」、弁護人の陳述を「最終弁論」、被告人の陳述を「最終陳述」と呼んでいます)。
両者ともに、証拠調べの結果を前提に、本件の証拠関係からどのような事実が導かれるのか、どのような判決が下されるべきなのかを論じていくことになります。
検察官側は、求刑についてもここで述べることになります。
弁護人は、検察官の論告を念頭に、無罪主張・減刑主張・執行猶予相当の主張等をしていくことになります。
弁護人の弁論の後には、被告人にも陳述の機会が与えられています。
以上で、結審となります。
刑事裁判のまとめ
以上、刑事裁判について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
刑事裁判は、起訴されると、99パーセント以上の確率で有罪となります。
しかし、決して諦めてはいけません。
冤罪の場合は無罪を信じて戦い抜くことが重要です。
また、犯行自体に争いがない事案では、適切な量刑となるよう弁護活動を行うことが大切です。
犯罪事実に身に覚えがなく不起訴処分になると信じていたのに起訴されてしまい絶望している方、国選弁護人が無罪、執行猶予付き判決獲得に向けて全力を尽くしてくれずに不安・不満を抱いている方、
まずは、早い段階での弁護士へのご相談をおすすめいたします。
当事務所は、刑事事件の相談に対しては、刑事事件に注力する弁護士のみで構成される刑事事件チームがサポートしております。
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