痴漢で不起訴となるには?【弁護士が実際の事例で解説】
罪名 | 痴漢(強制わいせつ) |
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解決までの期間 | 10日間 |
弁護活動の結果 | 不起訴 示談に成功 |
Kさん(40代男性 / 福岡市)
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
目次
痴漢で逮捕されたKさん。心配したご家族が弁護士へ相談に。
Kさんは、福岡市内の路上において、30代の女性に対して体を触る等の行為を行った罪で逮捕されました。
警察からKさんのご家族(妻)に連絡が入り、心配したご家族は弁護士に相談しました。
弁護士の対応により被害者との示談に成功し、不起訴を獲得
弁護士は、ご依頼を受け、すぐにKさんが逮捕されている警察署へ接見に行きました。
そして、Kさんが被疑事実を認めたので、担当検事に連絡を取り、被害者である女性の連絡先を教えてもらいました。
そして、女性に連絡を取って、示談交渉を行いました。
被害者の女性は、感情的になっておられ、すぐには示談に応じてくれませんでした。
しかし、弁護士は誠心誠意対応し、被害者との信頼関係の構築に務めました。
その結果、被害者が徐々に心をひらいてくれるようになり、10万円の解決金で示談に応じてくれました。
弁護士は示談書を作成し、被害者に署名してもらい、被害届を取り下げてもらいました。
その結果、Kさんは不起訴となりました。
今回のポイント
接見の重要性
Kさんの突然の逮捕に、ご家族はとても不安を感じていました。
このような状況では、ご家族が警察に連絡しても何も教えてくれません。
Kさんが本当に犯罪を犯したのか、これからどのような手続きがあるのか、新聞やテレビなどのメディアで事件が報道されたらどうなるのか、仕事や学校へいけなくなるのではないかなど、わからないことだらけです。
このような場合、刑事専門の弁護士に接見を依頼すると不安を減少させることができるでしょう。
接見とは、逮捕・勾留されている容疑者の方が、弁護士等と面談することを言います。
弁護士は、容疑者と面会した後、ご家族に対してご本人の状況や今後の対応方法について助言するでしょう。
また、身柄を拘束されている容疑者の方にとって、弁護士等と被疑事実について相談することは、必要な防御をする上で、極めて重要です。
迅速な示談交渉のスタート
刑事事件では、起訴されると99.9パーセントが有罪となります。
このような状況から、刑事事件の最大のポイントは、不起訴を獲得することです。
そして、痴漢のような被害者がいる犯罪の場合、示談を成功させることが不起訴獲得のための最重要課題となります。
示談を成功させるためには、できるだけ早く、示談交渉をスタートさせるべきです。
示談書と被害届の取下書を作成する
示談がまとまったら、口頭で済ませるのではなく、示談内容を書面にすることが大切です。
示談書を作成し、それを検察官に提出することで、示談の証明が可能となります。
また、書面にすることで、後で言った言わないのトラブルを避けることが可能となります。
そして、被害者が被害届を出している場合、これを取り下げてもらうとよいでしょう。
このようにすることで、不起訴の可能性が高くなると考えられます。
なお、当事務所では示談書や被害届の取下書のサンプルをホームページ上に掲載しており、無料で閲覧やダウンロードが可能です。
迷惑防止条例の罰金の相場はどれくらいですか?
痴漢により罰金刑を科されることになった場合、罰金の金額については、初犯であるか、それとも再犯であるかにより左右されます。
初犯の場合
初犯であれば、事案の軽重にもよりますが、概ね20万円〜30万円程度となるケースが多いようです。
再犯の場合
再犯の場合は、初版の場合に比べ、罰金額は高額になります。
2回目であれば概ね50万円程度となる可能性があります。
それ以上に回数を重ねてしまうと、罰金刑にとどまらず、正式裁判において懲役などの刑に処される可能性が生じるといえるでしょう。
示談が成立しない場合はどうなる?
今回ご紹介した事例のように、痴漢の事案においては、示談が成立すれば、起訴猶予となる可能性は十分にあります。
ですが、示談を成立させることができなかった場合、初犯であれば略式命令による罰金刑が科される可能性が高いでしょう。
また、再犯の場合は場合によっては公判請求され、執行猶予付判決などがなされる可能性があります。
執行猶予中の再犯ということになれば、実刑判決を受け、刑務所に服役しなければならなくなります。
痴漢の不起訴の確率はどれくらいですか?
痴漢をしてしまった場合でも、初犯であり、示談が成立していれば、不起訴となる可能性は高いでしょう。他方で、示談ができていても、既に前科がある場合などは、不起訴ではなく、罰金刑や執行猶予付判決となる可能性が高まってしまいます。痴漢を行なってしまった場合の処罰規定である各都道府県の迷惑行為防止条例違反とは若干異なりますが、近い類型の犯罪である強制わいせつ罪の不起訴率は以下のとおりになります。
令和元年 | 件数・不起訴率 |
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起訴件数 | 1,278件 |
不起訴件数 | 2,539件 |
起訴・不起訴合計からみた不起訴の割合 | 約66.5% |
不起訴率が66.5%と比較的高くなっていますが、これは強制わいせつや痴漢が軽微な犯罪だからというわけではありません。
早期に弁護士をつけて示談を成立させるなど、やるべきことをしっかりとやって初めて、不起訴の可能性が生じるといえます。
まとめ
痴漢行為をしてしまった場合、まずは自身の行為を深く反省し、被害者に対して心から謝罪をして、再犯防止策を考えていかなければなりません。
このように、罪を犯してしまった者としてやるべきことを一つ一つ行い、最終的な処分を決める検察官にその事実をしっかりと伝えることで、不起訴の可能性を高めることは可能です。
自分のしてしまった行為にしっかりと向き合った上で、やり直しに向けて動き出したいとお考えの方は、刑事事件に注力する弁護士への相談を強くお勧めいたします。