泥酔してレイプした記憶がない。強姦罪(不同意性交罪)は成立する?
容疑者にレイプした記憶がない場合、被害者の供述の方が信頼され、不同意性交の事実を認識していたかのような供述調書が作成される可能性があります。
その結果、不同意性交罪※で有罪となる可能性があります。
※法改正により、強姦罪は不同意性交罪へと名称が変更されています。
最後の記憶から手がかりを探し、可能な限り記憶を呼び起こす必要があります。
ここでは、泥酔して記憶がない場合の問題点や対処法について、弁護士が解説していきます。
性犯罪でお困りの方は参考になさってください。
泥酔して記憶がない場合のリスク
泥酔して記憶がないとすると、仮に逮捕されたとしても、①真実は合意に基づく性交である可能性、②真実は不同意わいせつをしたに留まり、性交をしていない可能性、③他に真犯人がおり、被害者と何らの接触もない可能性等があります。
これらの可能性が現実である場合、当然ながら、不同意性交罪は成立しません。
しかしながら、容疑者に記憶がないという状態であると、警察官に被害者の供述が広く信頼される傾向にあります。
その結果、被疑者が犯人であるという前提で厳しい取り調べが行われ、自白をするよう追い詰められることがあります。
また、細かなニュアンスの違いで不同意性交の事実を認識していたかのような供述調書が作成される可能性もあります。
警察から追及され、自白調書が作成されてしまうと、後から「本当はやっていない」と主張しても信用してもらえる可能性は低いと言わざるを得ません。
泥酔して記憶がないというのは、それ自体が不利な事情として考慮されるわけではありませんが、「記憶がない」というだけで言い逃れができるケースはそう多くありません。
それどころか、真実は不同意性交の事実がないような場合に、有利な事情を探すことすら出来ないということになりかねず、望ましくない状態といえます。
そのため、最後に記憶が残っている時点から何か記憶が喚起できるものはないか、手がかりを探しながら思い出す作業を行う必要があります。
記憶がない場合の対処法
示談交渉をするか否かの選択
泥酔し、記憶が何もないという状態であっても、可能な限り記憶を喚起した結果、もしかしたら不同意性交の事実があったのかもしれないと考えるようになった場合や、不同意性交ではないとしても不同意わいせつに該当する行為はしていたということが明らかになったような場合には、示談を進めていくべきという判断になることもあります。
不同意性交罪は非親告罪であるため、示談をしたとしても起訴される可能性は残っていますが、被害者がいる犯罪では、検察官が処分を決める上で、被害弁償がされているか、被害者の処罰感情が高いかどうかという点も影響します。
そのため、示談をすることによって、不起訴となる可能性を高めることができますし、起訴されたとしても、執行猶予付き判決等の可能性が出てきます。
このように示談交渉をするか否かの選択をするにあたっても、可能な限りの記憶喚起が肝になります。
刑事事件に強い弁護士のサポート
記憶がないという状態は、弁護方針の決定を困難とするものであり、望ましいものではありませんから、接見を通じて弁護人とやり取りを重ね、少しずつ記憶を喚起していく必要があります。
そして、記憶の喚起ができた後は、被害者と示談をするにせよ、不同意性交罪や不同意わいせつ罪を争うにせよ、不起訴や執行猶予付き判決を目指すための証拠収集や交渉では、弁護人の経験や熱意がものをいうことになりますから、刑事事件に注力する弁護人を選任することをお勧めします。
当事務所には、刑事事件チームが設置されています。
不同意性交事件でお困りの方、身に覚えのない事件で逮捕されてしまった方は、まずはお気軽に当事務所にご連絡ください。