淫行とは?逮捕されるケース、刑罰や対処法を弁護士が解説
淫行とは、大人が未成年者とみだらな性行等を行うことをいいます。
淫行に該当すると、淫行条例やその他の法令により刑罰に処せられる可能性があります。
ここでは、淫行で逮捕されるケース、逮捕された後の流れ、対処法等について、刑事事件に注力する弁護士が解説しています。
淫行とは?
淫行の定義
淫行とは、わかりやすく言うと、大人が未成年者とみだらな性行等を行うことです。
未成年者とは、18歳未満の者です。
18歳未満の者同士が性交等を行ったとしても処罰の対象とはなりません。
性行等とは、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものと考えられます。
例えば、20歳の大人が16歳の未成年者と真剣に交際しており、性交を行った場合は淫行に該当するのでしょうか。
真剣に交際している場合は「みだらな」性交等には該当しないと考えられます。
もっとも、大人が未成年者と性交等を行った場合、警察からは犯罪の可能性が高いという先入観で捜査の対象となるでしょう。
また、年齢が5歳以上離れている場合は、後述する不同意性交罪や不同意わいせつ罪が成立することになるので注意が必要です。
なお、淫行についての最高裁判例は下記にくわしく紹介しています。
内容が難しいため専門家向けとなります。
- 淫行の意味
最高裁判所の判例では「淫行」について以下のように定義しています。
『淫行』とは、…青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。
引用元:最大判決昭和60年10月23日刑集39巻6号413頁|裁判所ホームページ
「青少年」とは18歳未満の児童を指すため、未成年者と同義です。
この判決によれば「淫行」とは、以下の2つのケースのいずれかに該当する場合を指します。
- ① 青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為
- ② 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
- 性交類似行為の意味
「性交類似行為」とは具体的にどのような行為を指すのでしょうか。
この点については、刑法177条の規定が参考になります。
刑法では、同意なく性交等の行為を行った場合に成立する犯罪として「不同意性交等罪」(刑法177条)を規定しています。
同条では、処罰の対象となる性交等の行為について、「性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」と規定しています。
「性交類似行為」とは解釈の余地がある定義ですが、基本的に「性交又は性交類似行為」とは刑法177条に規定する「性交等」と同義であると整理することができるでしょう。
淫行とわいせつ行為の違い
では「淫行」と、ニュースなどでよく耳にする「わいせつ行為」はどのように違うのでしょうか。
まずは「わいせつ行為」の意味について解説をします。
最高裁の判例によれば「わいせつ」とは「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」を指します。
引用元:最高裁昭和32年3月13日刑集第11巻3号997頁|裁判所ホームページ
この定義によれば、わいせつ行為の例としては、性交・性交類似行為だけでなく、キスをする、胸やお尻を触る、手淫といった行為が挙げられます。
では、「わいせつ行為」と「淫行」は同じ意味なのでしょうか。
先ほど説明したとおり「淫行」に該当する行為はあくまで「性交又は性交類似行為」です。
両者の定義を踏まえれば、基本的に「わいせつ行為」は「淫行」よりも広く性的行為全般を指し、「淫行」はその中でも性交・性交類似行為を指す、と整理することができます。
淫行で成立する犯罪と刑罰
淫行を行った場合、淫行条例だけではなく、様々な犯罪が成立する可能性があります。
ここでは、淫行で成立する各種犯罪と逮捕されるきっかけ、刑罰についてご紹介します。
淫行条例(青少年育成条例)違反と逮捕のきっかけ
大人が未成年者とみだらな性交等を行うと、淫行条例違反となる可能性が高いです。
淫行条例は、「条例」ですので各都道府県単位で制定されています。
正式な条例の名称は「青少年健全育成条例」としている都道府県が多く、その条例のうち淫行を規制している条文を捉えて「淫行条例」と呼ばれているのです。
例えば、東京都の場合は次の条文を制定しています。
では、淫行条例(青少年育成条例)違反で逮捕されるのは、どのような状況なのでしょうか。
未成年者自身が警察に通報した場合はもちろん、家族や学校の通報をきっかけとして警察が捜査を開始することが考えられます。
その他、未成年者と一緒にホテルから出てきた様子を警察官が現認し職務質問を実施して発覚したケースも考えられます。
また、近年ではSNSの発展・多様化により、両親の知らない間に未成年者と接触を図ることが可能になり、現実に会うことがこれまで以上に容易になってきました。
サイバーパトロールで未成年者とのSNSのやり取りが見つかった場合なども捜査のきっかけとなるかもしれません。
警察が通報を受け、未成年者の供述やスマートフォンの解析結果をもとに、容疑者の特定ができれば、実際に逮捕に踏み切る可能性は充分にあります。
淫行条例違反の刑罰
条例は地方公共団体が制定するので、淫行条例の刑罰も地方公共団体によって異なります。
東京都の青少年健全育成条例を例にとると、淫行規制違反の刑罰は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています(東京都青少年の健全な育成に関する条例第二十四条の三)。
児童買春法違反と逮捕のきっかけ
18歳未満の者に対して、金銭や物品など対価を与えたり、その約束をして「淫行」を行った場合には、淫行条例違反ではなく児童買春の罪に問われる場合があります(児童買春・・・に関する法律第2条2項)。
引用元:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律|e−GOV法令検索
では、児童買春で逮捕されるのは、どのような状況でしょうか。
この点については淫行条例違反と同様、児童や親、学校の通報が捜査のきっかけとなる場合が多いです。
特に児童買春の場合、容疑者が児童に金銭や物品を渡しているケースが想定されます。
被害児童が急に大金を持っていたり、高額な商品を購入・所持していることを不審に思った家族や学校の事情聴取から事件が発覚することも少なくないでしょう。
その他、複数の児童と買春していたケースや同一児童との間でも長期にわたって買春を繰り返していたケース、SNSで児童買春を裏付ける証拠が残っているケースでは逮捕される可能性が高いでしょう。
児童買春法違反の刑罰
児童買春の法定刑は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金となっています(児童買春・・・に関する法律第4条)。
不同意性交罪や不同意わいせつ罪で逮捕されるケース
淫行を行った場合、その態様や相手との年齢差次第では、より重い犯罪である、刑法上の不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
児童との年齢差が5歳以上ある場合に淫行を行えば、不同意性交等罪もしくは不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
例:20歳の方が15歳の児童と淫行を行うなど
淫行行為の態様が実質的に相手の同意を得ない態様であった場合、つまり刑法176条1項、177条1項に定める「同意しない意思を形成し、表明し、若しくは全うすることが困難な状態にさせること、あるいは相手がそのような状態にあることに乗じること」に該当する場合には、より重い不同意性交等罪・不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
引用元:刑法 | e-Gov法令検索
では、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪で逮捕されるのは、どのような状況なのでしょうか。
児童や家族、学校からの通報が捜査のきっかけとなることは淫行条例違反の場合と同様です。
特に不同意性交等罪や不同意わいせつ罪では、暴行や脅迫を手段とするケース、酒に酔った影響を利用して性的な行為を迫るケースが想定されます。
児童が病院等で診察を受けたことをきっかけに事件が発覚する場合もあるでしょう。
児童との通話記録やSNSでのやり取りから容疑者の特定がされ、逮捕に至るケースも考えられます。
不同意性交罪や不同意わいせつ罪の刑罰
不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑となっています。
不同意性交等罪の法定刑は5年以上の拘禁刑となっています。
児童ポルノ法違反で逮捕されるケース
淫行したことに加え、性行為中の様子などを撮影した場合には淫行条例違反だけでなく、児童ポルノ法の各規制に違反する可能性も出てきます。
例えば、性行為中の様子を撮影したり、児童自身に撮影させたような場合には児童ポルノの製造罪が成立します。
撮影したデータを特定少数もしくは不特定多数の者に送信したような場合には児童ポルノの提供罪に問われます。
では、児童ポルノ法違反で逮捕されるのは、どのような状況でしょうか。
先ほどご説明した通り、児童や家族、学校の通報が捜査の端緒となり、容疑者の特定がされれば逮捕される可能性が高いことは変わらないでしょう。
その他、児童ポルノをインターネット上に公開した場合、警察によるサイバーパトロールで発覚する場合も想定されます。
製造した児童ポルノを第三者に送信したような場合には、その第三者が警察に摘発されることで容疑者まで特定され、逮捕に至るケースも考えられます。
児童ポルノ法違反の刑罰
児童ポルノの刑罰は、所持の目的のほか、製造・提供行為の有無によって変わります。
例えば、軽い単純所持罪では1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます(児童ポルノ・・・に関する法律第7条1項)。
引用元:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律| e-Gov法令検索
児童福祉法違反で逮捕されるケース
淫行した場合、これまで説明した犯罪に加えて、児童福祉法に違反する可能性もあります。
児童福祉法とは、児童の健全な育成のために制定された法律です。
児童と淫行をした場合、児童福祉法34条1項6号に違反するでしょう。
引用元:児童福祉法| e-Gov法令検索
では、淫行を行った場合、青少年健全育成条例と児童福祉法などの法律の、どれに違反したとして検挙されるのでしょうか。
結論としては、実務ではこれらの法律が厳密に区別されている訳ではなく、淫行した場合に捜査機関がどの法律違反で摘発するかは、ケースバイケースによるところが大きいです。
児童福祉法違反の刑罰
児童福祉法違反の刑罰は10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となっています(児童福祉法60条1項)。
淫行で逮捕されるデメリット
淫行した場合、複数の法令に違反する可能性をご説明しました。
ここでは、淫行した場合に予想されるリスクについてご説明します。
実名報道される可能性がある
警察が容疑者を逮捕した場合、家族や会社が関係している場合でない限り、逮捕の事実を直接勤務先や家族に連絡することは基本的にありません。
しかし、各都道府県の警察本庁にはテレビや新聞などマスコミ向けの詰所が設置されている場合が多いです。
警察が各種事件で容疑者を逮捕した場合、マスコミ向けに事件の概要を公表します。
警察から公表を受け、マスコミが実際に報道するか否かは社会的情勢や注目度によって変化するものであり、マスコミ側の裁量によるところが大きいです。
昨今の性犯罪がもたらす社会的影響をふまえれば、淫行により逮捕された場合、マスコミにより報道される可能性は充分にあります。
報道機関次第では、実名による報道がされることもあるでしょう。
特に、容疑者が公務員や教員の場合には報道のリスクは必然的に高くなります。
ひとたび報道されれば、瞬く間に情報が拡散されてしまうだけでなく、半永久的に情報がインターネット上に残ってしまいます。
報道の結果、勤務先や家族に知られる可能性も高まるでしょう。
会社を解雇される可能性がある
淫行で逮捕された場合、勤めていた会社から解雇されるリスクもあります。
一般的な会社員の場合、淫行はプライベートでの不祥事であるため、直ちに懲戒解雇される事由にはあたらないとも思えます。
しかし、淫行で逮捕され、勾留までされた場合、最大23日間は警察の留置場で生活することを余儀なくされます。
当然ですが、この間は会社に出勤することはできません。
多くの会社の就業規則では、「2週間以上無断で欠勤した場合」を懲戒事由に規定しています。
欠勤を理由として、懲戒処分がなされるリスクは否定できません。
また、先ほど説明した通り、淫行の事実が報道されれば、会社の評判に与える影響は甚大です。
報道の結果、会社の名誉や信用を毀損したといえる場合には、これを理由として懲戒の対象となることがあります。
特に、職業が教員や塾講師など、児童と関わる職業にある者が淫行により逮捕された場合、報道や解雇は必至といえるでしょう。
こうした理由で会社を懲戒解雇されたとなると、再就職への影響も懸念されます。
家族の信頼を失う
淫行により逮捕された場合、家族との関係悪化にも繋がります。
淫行は未成年が被害者となるものです。
特に、既婚者や子供がいる親が淫行を行い、その相手が未成年者であったと知れば、家族に対して衝撃を与えることは避けられません。
逮捕・勾留を防ぐだけでなく、その後の裁判をも見据えれば、家族の協力は必要不可欠なものですが、家族が複雑な心境を抱いており、信頼を失ってしまうことは想像に難くありません。
淫行で逮捕された後の流れ
捜査機関に逮捕されると、48時間以内に検察官に送致され、そこから24時間以内に勾留(身体拘束)の必要性について判断がなされます。
勾留の必要があると判断された場合、検察官は裁判官に対して勾留請求を行います。
裁判官により勾留が認められれば、10日間身柄拘束がされます。
この期間に、捜査機関は容疑者を起訴するために必要な証拠の収集を行いますが、10日間という期間では足りない場合、勾留延長という制度があります。
検察官が裁判官に対して勾留延長請求を行い、裁判官がこれを認めれば、更に10日間の身柄拘束期間が継続します。
つまり、逮捕の時から起算して最大で23日間、身体拘束されるということです。
早期の解放を望む場合には、検察官や裁判官に、勾留の要件が備わっていないことや勾留の必要性がないとの心証を抱かせなければなりません。
その際には、淫行の相手方である児童や両親との間で示談を成立させるなどの弁護活動をする必要があります。
こうした弁護活動は専門的かつ高度な技術が求められます。
身体拘束からの解放を望む場合には、刑事事件に注力する弁護士を選任することが重要となります。
しかし、身柄拘束から解放されたとしても、それによって捜査機関側の捜査が終了する訳ではありません。
捜査の結果、有罪に持ち込めるだけの証拠が揃えば、検察官は容疑者を起訴します。
ここで、起訴には大きく分けて3つの種類があります。
普段、テレビドラマなどで出てくる裁判と基本的に同じです。
公開の法廷に裁判官・検察官・弁護人・被告人が会し、検察官が立証しようとする公訴事実が証拠によって証明できるか審議するものです。
被告人質問や、場合によっては証人尋問が行われます。
被告人の同意および検察官の請求により、簡易裁判所が公判手続を経ることなく被告人に対して100万円以下の罰金または科料を科す手続です。
非公開の手続ですので被告人は出廷する必要はありませんが、裁判官に対して伝えたいことを伝えることはできません。
そのため、比較的軽微な事案で被告人が事実関係を認めている場合に限られます。
事案が明白かつ軽微なものであり、被告人が事実関係を認めていて証拠調べが早期に終わることが見込まれる場合に、検察官の申し立てを条件になされる手続きです。
即決裁判手続きでは、懲役や禁錮の判決には必ず執行猶予がつきます。
そのため、判決直後に刑務所に入る必要はありません。
では、淫行により起訴される場合、一体どの手続がとられるのでしょうか。
淫行で起訴された場合、初犯であれば略式起訴がされ、正式な裁判に出廷する必要がないまま罰金刑で終了する可能性もありますが、被害者の人数や年齢、前科の有無次第では正式な裁判にかけられ、懲役刑が宣告される可能性も充分にあります。
また、起訴時の判断やその後の量刑判断の際には、示談や被害弁償の有無などが重要な要素となります。
淫行で逮捕を回避できる?対処法とは?
逮捕とは、被疑者の身体を拘束して一定の場所に引致し、一定期間拘束することをいいます。
逮捕には通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕といった種類がありますが、淫行行為では現行犯逮捕や緊急逮捕が行われることは想定し難いため、ここでは通常逮捕を前提として説明をします。
逮捕は人を強制的に拘束する処分ですので、法律で明確に定められた要件が必要です。
具体的には、人を逮捕するには「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」と「逮捕の必要性」がなければなりません(刑事訴訟法199条2項)。
「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」とは、捜査機関の主観的な嫌疑では足りず、客観的な証拠に基づく合理的な嫌疑が必要です。
「逮捕の必要性」の判断では、容疑者が逃亡するおそれや証拠を隠滅するおそれがあるか、定まった住居の有無や出頭の求めに応じないおそれがあるか、といった事情が考慮されます。
では、淫行をしてしまった場合に逮捕を回避する方法はあるのでしょうか。
自首をする
淫行してしまった場合に逮捕を回避する方法の一つとして、自首をすることが考えられます。
自首とは、捜査機関に発覚する前に、犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を述べ、訴追を求める意思表示をいいます。
自首をすることで、先に述べた逮捕の要件のうち、逮捕の必要性を低下させることが期待できます。
つまり、自首は容疑者が罪を認めて反省していることを示すものですので「逮捕の必要性」の中でも、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないと判断されやすくなります。
更に、自首をすれば、刑法上、刑の減刑が期待できます(刑法42条)。
ただし、自首をした結果、逮捕を免れたとしてもその後の任意取り調べには応じなければならないことには注意が必要です。
任意取り調べを拒否し出頭しないことは、捜査機関からみて逃亡のおそれがあると判断されやすくなり、逮捕の可能性を上げてしまうことにつながるからです。
また、自首を成立させるには、犯罪が「捜査機関に発覚する前に」行わなければなりません。
捜査機関に犯罪が発覚してから警察に申し出ても、それは自首ではなく「出頭」にあたるため、刑法上の刑の減刑は受けられなくなります。
淫行の場合、被害者である児童やその家族が直ちに警察に通報しているケースは少なくありません。
刑の減刑を受けるために自首を成立させるには、捜査機関側が犯罪を覚知していない状況でする必要があるため、自首には迅速な決断と行動が求められるでしょう。
しかし、自首ではなく出頭だったとしても、逮捕を回避するという観点でいえば、どちらも有用であると考えられます。
自首をするにあたっては、容疑者本人だけで警察へ出向くこともできますが、弁護士が警察署へ同行することも可能です。
専門家である弁護士が同行し、警察に対して逮捕しないよう強く要請することで逮捕の必要性をより低下させることが期待できます。
弊所では自首をご検討されている方向けに自首同行サービスを提供しております。
淫行した事実を認め、逮捕を回避し、家族や職場への影響を最小限に留めたいと考えている方は是非一度、自首同行サービスをお考えください。
示談を成立させる
被害者がいる犯罪では、被害者との間で示談を成立させることも逮捕の必要性を低下させるうえで重要となってきます。
淫行では、被害者である児童は未成年であるため、実際に示談交渉をするのは法定代理人である両親です。
淫行行為が子供の成長に与える影響は甚大です。
自分の子供が性被害に遭った両親の心境を考えれば、処罰感情を有していることは当然のことであり、その心情に配慮しながら丁寧に示談交渉をしなければなりません。
仮に示談が困難である場合でも、被害弁償の申し出なども検討すべきでしょう。
刑事事件に強い弁護士に相談する
これまでの説明からもわかるとおり、刑事事件は容疑者だけでなく、容疑者の家族や勤務先などにも大きな影響を与えます。
逮捕を回避し、不起訴処分を目指すだけでなく、裁判を見据えた活動をするには、正しい法律知識に基づいた助言を受けるだけでなく、被害者の方との示談を成立させるなど、種々の弁護活動を迅速に行うことが必要となってきます。
しかし、弁護士によって示談交渉の仕方や対応の早さはまちまちです。
実績や経験だけでなく、弁護士との間で信頼関係を構築できるか、といった事情も重要な要素と言えるでしょう。
淫行をしてしまった方で今後の対応に悩まれている方や、淫行の疑いをかけられている方は刑事事件に注力している弁護士へ一度相談されることをお勧めします。
淫行についてのQ&A
未成年淫行とは何ですか?
「淫行」は青少年(児童)を対象とする性交・性交類似行為であり、青少年は未成年を意味します。
そのため、「未成年淫行」=「淫行」と捉えて差し支えありませんが、性交・性交類似行為だけでなく未成年と行う性的な行為全般を指して「未成年淫行」と整理することもできます。
真剣交際していても逮捕されますか?
そうだとすれば、青少年(未成年)と真剣交際をしていた中で性行為に及んだにすぎない場合は「淫行」に該当しないこととなります。
しかし、捜査機関からは、容疑者と被害者児童が真剣交際であったか否かについては厳しい目が向けられるでしょう。
なぜなら、警察は被害者やその家族から通報があって初めて捜査を開始するケースが多い以上、真剣交際であるという点に初めから疑いを持っているといえるからです。
残念ながら、捜査機関に対して真剣交際であることを主張したとしても、逮捕される可能性はなおあるでしょう。
では、どのような事実があれば、真剣交際であったと捜査機関に認めてもらえるでしょうか。
真剣交際であったか否かを判断する要素としては、様々な事実が考えられます。
例としては、当事者間の年齢差や交際に至るまでの経緯、交際を前提とするメッセージのやり取りの有無、交際開始から性行為に至るまでの期間などが考慮されるでしょう。
17歳と20歳であれば、未成年と成人とはいえ年齢差は3歳差であり、自由恋愛の範囲内だと判断されやすくなります。
近年では、10歳〜20歳ほど年齢差があるカップルも多いですが、17歳と50代の真剣交際となると、性行為を目的とした交際ではないかなど、捜査機関の側からすれば厳しい目が向けられることは必至です。
また、近年ではSNSの普及により、面識がなくともすぐに異性と会える機会が増えてきました。
事前に面識がない状態でSNSのメッセージのやり取りだけで交際がスタートし、そこから日が浅い中で性行為に及んだような場合には、真剣交際とはいえない事情として働くでしょう。
このように、容疑者と青少年が真剣交際であったか否かは、種々の事情をもとに客観的かつ専門的な判断が求められます。
未成年者との真剣交際をしている方で、この点についてご不安を抱えておられる方は一度、刑事事件に注力している弁護士に相談されることをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか。
未成年と性行為を行うことは、青少年育成条例だけでなく複数の法律に違反する可能性がある行為です。
場合によっては正式な裁判も見据えた弁護活動を行う必要があります。
犯罪の成立自体を争う場合、刑事事件に注力する弁護士に依頼し、取り調べ対応や証拠の提出など、適切な助言を受けることが必要不可欠となってきます。
これに対し、犯罪の成立を認め、より有利な処分を求める場合は、被害者である児童やその両親と示談交渉を行う必要があります。
自分の子供が性被害に遭ったのですから、両親も被害者の一人といえます。
容疑者に対して強い処罰感情を持っていることは当然のことです。
そのため、示談交渉は難航することが予想されます。
両親の感情に配慮しながらも、真摯な姿勢で粘り強く交渉を行わなければなりません。
淫行事件を起こしてしまい今後の対応に不安を抱えている方や淫行の疑いをかけられている方は、刑事事件に注力している弁護士に相談されることをお勧めします。
弊所では、刑事事件に注力する弁護士で構成される刑事事件チームがあり、容疑者だけでなくその家族の方へのサポートも行っております。
遠方の方には、LINEなどのビデオ通話を活用した相談も行っております。
刑事事件でお困りの方は、是非一度、当事務所までお気軽にご相談ください。
なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか