強制わいせつに強い弁護士をお探しの方へ
強制わいせつは、刑法が規定する犯罪の中でも重大であり、重い処罰が想定されています。
そのため、強制わいせつの事案においては、弁護士選びがとても重要となります。
ここでは、強制わいせつ事案において、弁護士をつけるメリットや刑事事件に強い弁護士の選び方などを解説しています。
強制わいせつを犯してしまった方、その関係者の方はぜひ参考になさってください。
なお、強制わいせつ罪は、2023年の法改正により、不同意わいせつ罪に名称や構成要件が変更されました。
そのため、以下では「強制わいせつ罪」を「不同意わいせつ罪」と表記しています。
目次
不同意わいせつ罪とは?
不同意わいせつ罪は、被害者に対して、同意なく「わいせつな行為をした」場合に成立する犯罪です(刑法176条)。
第176条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
(略)
引用元:e-GOV法令検索|刑法
一般的には、他人の下着の中に手を入れる行為や無理やりキスをする行為は不同意わいせつ罪、他人の臀部を着衣の上から触る行為や他人に密着してあえて身体を接触させる行為は痴漢(迷惑防止条例)といった形で区別されていますが、事案の内容ごとに個別具体的に判断されるため、明確に区別することはできません。
不同意わいせつ罪を犯してしまった場合のリスク
不同意わいせつ罪は性犯罪の中でも悪質性の高い犯罪であり、法定刑も6月以上10年以下の懲役刑とかなり重く設定されています。
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
(略)
引用元:刑法|e-GOV法令検索
痴漢や盗撮のような各都道府県の迷惑行為防止条例違反と異なり、不同意わいせつ罪には罰金刑が規定されていないため、起訴される場合は基本的に公開の法廷で裁判を受けることになってしまいます。
執行猶予が付く可能性は残っているとはいえ、初犯であっても懲役刑しか選択されないという点では、痴漢や盗撮よりも更にリスクが大きい犯罪であるといえるでしょう。
また、犯罪が重大であるために、痴漢や盗撮よりも逮捕・勾留をされる可能性は高いと考えられています。
逮捕された場合、捜査機関が報道機関に情報を流すため、報道によって罪を犯したことが世間に広く知れ渡ってしまうことに繋がります。
冤罪である場合は、最終的に不起訴(嫌疑不十分)となることで解雇を避けることが出来るかもしれませんが、不同意わいせつ罪を犯してしまっている場合には当然会社にも事実が伝わり、職を失うリスクも生じてきます。
不同意わいせつ事件を弁護士に相談するメリット
取り調べを受けた段階の場合
犯行を認める場合には、早い段階で被害者と示談をすることで不起訴(起訴猶予)を目指していくことになります。
そのため、取り調べを受けた段階でも弁護士に相談し、被害者との示談交渉に取り組んでもらうことが必要です。
また、犯行を認めない場合には、取り調べにおいてどのような話をし、どのような供述調書を作成するかがその後の捜査に大きな影響を与えることになります。
そのため、弁護士に相談した上で、法的に問題となる点がどこかを把握し、捜査機関の誘導に惑わされないようしっかりと方針を決めておく必要があります。
起訴されてしまった場合
起訴されてしまった場合、身体拘束を受けているのであれば保釈請求を行う必要がありますし、在宅事件であったとしても被害者との示談がまだなのであれば、執行猶予付き判決を獲得するために示談交渉を行う必要があります。
既に述べたとおり、不同意わいせつ事件の示談交渉を被告人やその身内が直接行うことは不可能といってよいでしょうから、刑事事件に注力している弁護士に依頼し、示談交渉を行ってもらうべきです。
不同意わいせつに強い弁護士とは
1 示談交渉の経験が豊富であること
不同意わいせつ事件では、被害者との示談が処分結果に大きな影響を与えます。
不同意わいせつ事件のように、性犯罪の被害に遭った被害者の方は、窃盗事件や傷害事件のような事件類型と比べて、加害者により強い処罰意思・敵対感情を持たれている場合が多くあります。
そのため、示談交渉も窃盗事件や傷害事件と比べると、より一層被害者の方に寄り添い、不安を解きほぐしていかなければ成功しないという点で難易度が高いともいえます。
不同意わいせつ事件において被害者と早期に示談をし、不起訴を目指すためには「早く動ける」、「示談交渉の豊富な経験を有する」刑事弁護士を選ぶことが重要です。
刑事事件に注力している弁護士であれば、そうではない弁護士と比較した場合に不同意わいせつ事件の示談交渉経験が豊富であることが多いでしょう。
また、刑事事件特有の迅速な対応を行うことにも慣れているはずです。
2 同種事案を多く取り扱っていること
不同意わいせつ事件は、法定刑に罰金刑が定められておらず、性犯罪の中でも比較的重い刑罰が科される傾向にあります。
そのため、個別案件の事情によっては、実刑判決も視野に入れた弁護活動が必要となってきます。
どの程度同種事案を取り扱っているかによって、実刑判決があり得るのか否か、否認事件であれば無罪や不起訴獲得のためにどのような活動を行わなければならないかといった見通しの部分でも差が出る可能性があります。
見通しが正確でなければ、今後の生活設計や弁護活動に支障が出る可能性がありますから、不同意わいせつ事件の弁護は同種事案を多く取り扱ったことのある弁護士に任せるべきでしょう。
不同意わいせつに強い弁護士の探し方
不同意わいせつに強い弁護士である最低条件として、常日頃から刑事事件に注力して取り組んでいることが挙げられるでしょう。
取扱業務の一つに刑事事件が掲げられているだけで、実際のところ刑事事件は年に数件やるくらい、という弁護士も大勢います。
そのため、まずは刑事事件に注力している弁護士を探すべきです。
また、実際に相談された際にどのようなサポートをしてくれるのか、よく聞いてみることをお勧めいたします。
不同意わいせつの事件を起こしたことが間違いない場合、被害者との示談交渉が大きなウエイトを占めることは間違いありません。
しかし、性犯罪の再犯率の高さや不同意わいせつ事件の重大性を鑑みると、被害者と示談が出来ればよいと考えるのではなく、その後の更生支援など、依頼者の将来を真剣に考えている弁護士に頼むべきです。
不同意わいせつの弁護活動の内容
不同意わいせつを認める場合
不同意わいせつ罪は、重い犯罪であるため処罰の必要性が大きいとされていますが、その反面、被害者のプライバシーの問題等もありますから、被害者の意向を無視して検察官が起訴をすることはありません。
被害者の処罰感情の大きさが、起訴・不起訴や逮捕・不逮捕に影響を与えるのです。
そこで、不同意わいせつを認める場合に重要になってくるのが、早期から被害者に謝罪・交渉を重ね、示談を成立させ、被害者の許しを得ることです。
早期の示談であるほど、逮捕される可能性、起訴される可能性を低く抑えることができます。
早期の示談が重要とはいっても、被疑者は身体を捜査機関に拘束されていることが多いですし、仮に逮捕されていなくても、被疑者本人が検察官から被害者の住所等を教えてもらうことはできないため、直接示談交渉に臨むことはできません。
もともと知り合いのケースであっても、多くのケースで、不同意わいせつ事件をきっかけに連絡を取り合うことができなくなります。
示談交渉に臨むのは、選任された弁護士です。
早期から弁護士を選任することが重要ですし、迅速・的確に弁護活動を展開してくれる刑事専門弁護士を選任することが重要となります。
不同意わいせつを争う場合
不同意わいせつを争う場合、逮捕、勾留されるケースが多くなります。
長期の身体拘束となると、私生活への影響が出てしまいますから、可能な限り早く釈放されるために、弁護士が迅速に活動を開始する必要があります。
可能な限りの早期釈放を現実のものとするために重要なのは、被疑者が不同意わいせつ行為をしていないことを示す証拠を、検察官や裁判所に多く提出することです。
なお、事案によっては、「暴行がない」、「故意がない」等と無罪を主張しつつ、セクハラの事実自体は認め、示談交渉を進めることもあります。
示談が成立すれば、不同意わいせつの成立を争っていても、示談成立を理由として釈放や不起訴が近づきます。
証拠収集方法としては、友人・親族への聞き込み等を行い、被害者が当時は同意をしていたことを示したり、目撃者を探し当時の状況を聞き出して、他の真犯人がいることを示したり、することが一例として考えられます。
そして、証拠を探し出し、検察官や裁判官に提出するためには、被疑者は身体を捜査機関に拘束されているわけですから、弁護士が迅速に証拠の収集に臨む必要があります。
弁護士の技量と熱意によって、証拠の収集も大きく影響を受けますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。
不同意わいせつ事件の弁護活動の流れの一例
事件の発生
事件の発生現場として多いのは、飲食店やカラオケ店、路上、車内などです。
そういった場所で例えば酔った勢いなどで不同意わいせつ行為が行われ、被害者が、その日もしくは数日後に警察に相談・通報し、事件が発覚します。
警察は、被害者からの聞き取り捜査を行ったうえ、当日の防犯カメラ映像などを捜査し、不同意わいせつの疑いが強まれば、被疑者を逮捕して取調べを行います。(在宅事件とされ、警察から任意出頭の要請が入ることもあります)
弁護士への相談
不同意わいせつ事件を行ってしまった被疑者は、①家族や会社に知られたくない、②会社をクビになりたくない、③前科をつけたくない、④逮捕されたくない、⑤報道を避けたい、様々な理由を持って、弁護士に相談に行きます。
不同意わいせつ行為を認めておられる場合、弁護士がお伝えするのは、「早期の示談交渉開始の重要性」です。
ご依頼になられた場合、即日で弁護士から警察に連絡をし、被害者の連絡先が分かり次第、示談交渉を開始します。
また、不同意わいせつを行っていないという主張の依頼者の場合は、無罪を主張する理由・根拠を聞き取り、示談交渉を並行的に行うべき事案であるか否かを判断した上で弁護活動を展開します。
示談交渉
基本的には、まずは弁護士から、被害者に、電話で連絡をします。
電話を通じて、本人の反省や、刑事事件の今後の流れ、民事上の解決(示談)の重要性等を、被害者に伝えます。
数日後、再度被害者に電話をし、被害者のお考え、ご意見等を聞き、丁寧に説明をします。
その後も、相手のペースに合わせて示談交渉を継続し、被害者の希望する日時・場所で直接の交渉をも行います。
その際には、示談書(案)を直接示し、示談をすることの効果を、わかりすく説明します。
示談の成立
早ければ1週間、長ければ4ヶ月程度かけて、示談を成立させます(身柄事件の場合は、起訴されてしまう前の示談が重要ですので、勾留期間中(最大20日)に示談ができるように、土日祝日関係なく、最善を尽くします)。
示談成立次第、検察官に、示談成立の報告及び示談書の提出を行い、不起訴処分を求めます。
検察官は、宥恕文言(被害者が、被疑者の刑事処罰を求めない旨の意思表示)が含まれた示談がなされていれば、多くの場合、不起訴処分とします。
以上は一例です。不同意わいせつ事件でお困りの方は、まずは当事務所にお気軽にご相談ください。
刑事専門弁護士が、解決までの流れを、わかりやすく説明いたします。
当事務所の弁護士による不同意わいせつ事件の解決事例
事件の概要 | 通りすがりの人への不同意わいせつを複数回繰り返し、逮捕→起訴 |
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結果 | 執行猶予付き判決獲得 |
不同意わいせつを複数回繰り返したとして、その全てにつき起訴されていた事件です。
身体拘束解放の活動
執行猶予が付くかどうかも不安なところでしたが、長期間の身体拘束により、勤務先から解雇されることも懸念されましたので、直ちに保釈請求を行いました。
示談成立前ではありましたが、被害者らへの働きかけが現実的に不可能であることなどを述べた結果、無事に起訴後間も無くの保釈が認められました。
その結果、解雇されることなく、働き続けることが叶いました。
執行猶予に向けた活動
不同意わいせつ事件とはいえ、初犯かつ1件のみであれば、弁護活動をしっかり行えば執行猶予が十分に期待出来ます。
しかしながら、この事件は複数の不同意わいせつ事件ということでしたので、初犯であることを考慮しても、被害者との示談が成立しなければ執行猶予が確実とまではいえない状況でした。
そのため、何としても被害者の方との間で示談を成立させる必要があると考え、当初は示談に消極的であった被害者の方にも粘り強く交渉を行いました。
交渉の結果、何とか示談を成立させることができ、被害者が寛大な処罰を求めていることを考慮してもらえたため、懲役3年執行猶予5年という判決を得ることが出来ました。
懲役刑の場合、執行猶予をつけることが出来るのは、懲役3年以下の判決に限られており、執行猶予期間も1年から5年の間で決められます。
そのため、この事例はまさにギリギリのところで執行猶予を獲得した事例といえます。
弁護士費用
不同意わいせつ事件は、性犯罪の中でも重大であり、逮捕勾留を受ける可能性も高い事件類型です。
デイライト法律事務所の場合
当事務所の不同意わいせつ事件の刑事弁護を依頼された場合の基本的な費用については下表のとおりとなります。
事件の区分 | 着手金 | 報酬金 |
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起訴前及び起訴後の事案簡明な事件 (事実関係に争いがない情状事件等) |
22万円から44万円 |
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上記以外の事件 | 33万円以上 |
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不同意わいせつの弁護士費用の具体例
よりイメージしやすくしていただくために、当事務所にご依頼された場合に発生する弁護士費用の具体例をご紹介いたします。
※あくまで参考であって、状況に応じて金額が異なる可能性があります。そのため、詳細はご相談時にお渡しするお見積もりをご覧になってください。
不同意わいせつ事件の場合、事件の重大性から、事案簡便であると判断することが少ないため、事件の区分を「上記以外の事件」として算定しています。
※起訴された場合は起訴前の弁護活動の成功報酬は基本的には発生しません。