強制わいせつ(不同意わいせつ)の自首のメリットは?|弁護士が解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

弁護士の回答

強制わいせつ(不同意わいせつ)は自首をすることで、不安を解消できる場合があります

また、逮捕・勾留の回避、不起訴の獲得、家族や職場に知られることを防止するといったメリットも期待できます。

他方で、状況しだいでは刑務所に入ったり、前科がついたりする可能性があります。

ここでは、強制わいせつ(不同意わいせつ)の場合に、自首をするメリットについて、くわしく解説していますので、参考になさってください。

※強制わいせつ罪は、2023年の法改正により罪名が不同意わいせつ罪へ変わりました。

不同意わいせつで逮捕されるきっかけ

不同意わいせつの場合、被害者の方から被害届が提出されて犯行が発覚するというパターンが典型です。

しかし、被害届以外の場合も、思いもよらないことから犯行が発覚することも多いです。

①防犯カメラの画像識別によって発覚

防犯カメラ近年は、路上や駅などに、防犯カメラが設置されていることが多くなりました。

また、AIなどの画像認識技術は、容疑者の画像と通行人の画像を一瞬で照合することが可能となっています。

そのため、防犯カメラの画像を通して、後日、盗撮が発覚することがあります。

 

②DNA鑑定によって発覚

近年、DNA鑑定等の科学捜査が進展しています。

不同意わいせつの場合、捜査事件現場あった犯人の髪の毛、体液、血液等からDNA鑑定によって犯行が発覚することもあります。

 

③通報されて発覚

犯罪例えば、不同意わいせつの現場を見ている第三者から警察に通報されて逮捕されることがあります。

 

④物的証拠によって発覚

不同意わいせつをした本人が事件現場に何らかの証拠(カメラ、スマホ、カバン)などを残していた場合、当該物的証拠から盗撮犯人であることが発覚することがあります。

 

 

捜査期間から連絡が来たらどうする?

警察などの捜査機関から連絡があったということは、今後、任意の事情聴取か場合によっては逮捕される可能性が高いと思います。

逮捕はもちろん、事情聴取であっても、捜査に対しては慎重に対応すべきです。

警察は、あなたが不同意わいせつの犯人であり、かつ、悪質な性犯罪の常習者であるという先入観を持っていることが多いと思います。

不同意わいせつで立件するために、「悪質な性犯罪者」というストーリーの供述調書を作成される可能性があります。

このような供述調書が作成されると、後々裁判で不利な証拠となることがあります。

そのため、警察の取り調べにどう対応するか、まずは刑事弁護専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

 

示談交渉を成功させることが最重要

不同意わいせつは、被害者がいるため、被害者の方と示談交渉を成功させることが刑事裁判を回避する上で最重要となってきます。

なぜならば、被害者の方と示談が成功すれば、通常は被害届を取り下げてくれます。

弁護士が被害者との示談書や被害届の取下書を捜査機関に提出すると、捜査を中止したり、不起訴となる可能性が高くなります。

そのために、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、その弁護士を通じて示談交渉されることをお勧めしています。


不同意わいせつで自首するメリット

①不安を回避できる

不同意わいせつは比較的重い罪です。

もし、逮捕されたり、起訴されたりすると、将来への影響が心配です。

  • 「いつ逮捕されるのか?」
  • 「警察が職場に来たらどうしよう?」
  • 「家族に知られたらどうすればいい?」

このような不安を抱えて生活するよりも、自らの罪を認め、正々堂々と生活する方がよいのではないでしょうか。

そのような意味で、自首をすると、気持ちが楽になります。

 

②逮捕や勾留を回避できる可能性がある

逮捕や勾留は、留置場などの施設で身柄を拘束されるため、多大な負担が生じます。

自首をすると、このような身柄拘束を回避できる可能性が高まります。なぜならば、逮捕の要件である、「逮捕の必要性」(刑事訴訟法199条2項)が認められなくなるからです。

この逮捕の必要性の中身は、「被疑者が逃亡するおそれ」「被疑者が罪証を隠滅するおそれ」(刑事訴訟規則143条の3)をいいます。

不同意わいせつの犯人が自首すると、「自ら犯行を告白した人間が逃亡したり、証拠を隠滅したりする可能性は低い」と考えられます。

したがって、逮捕の必要性がないと判断される可能性が高くなります。

根拠条文
第百九十九条

② 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。
但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

 

③刑の減軽や不起訴の可能性が上がる

自首の場合、刑法上、刑が減軽される可能性があります(刑法42条)。

また、自首は当該犯人が反省していることを示す事情になります。

そのため、被害の程度にもよりますが、不起訴を獲得できる可能性もあります。

 

④突然、家族や職場に知られてしまうことを防ぐ

不同意わいせつのような性犯罪の場合、本人の性癖について捜査される傾向です。

そのため、自宅に捜索差押えがなされ、DVDやパソコンなどが差押えられることがあります。

慌てる男性また、会社の本人が使用しているパソコンなども差し押さえられることがあります。

その際に、本人の犯行が家族や会社に知られてしまう可能性があります。

他方で、自首をし、積極的に捜査に協力する場合、上記のような強制捜査は回避できる場合があります。

そのため、捜索差押えによって、家族や職場に不同意わいせつの事実を知られるリスクを低減できます。

 

 

自首については適切な判断が必要

自首については、そもそも自首の要件を満たすかについて、適切に判断しなければなりません。

また、捜査機関に対して自首報告書等の書面の作成・提出や被害者の方の示談交渉も必要です。

さらに、捜査機関に対しては、逮捕の必要性が乏しいことを説明し、自宅や職場へ捜索差押えをしないように申し入れるなどのサポートも大切です。

したがって、自首については、自首同行の経験が豊富な弁護士に相談されることをお勧めします。

当事務所では、自首同行サポートを行っています。

自首同行した場合は、担当の捜査官に対して、自首して犯行を認めているため、捜索差押え等の必要性がないことを伝えます。

 

 


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