強姦(不同意性交罪)と強制わいせつ(不同意わいせつ)の違いは?

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

強姦(不同意性交罪)とは、被害者に対して、性交等を行う犯罪をいいます。

これに対し、強制わいせつ(不同意わいせつ)は、陰部を触る、胸を触るなど性交等以外のわいせつな行為を行う犯罪です。

ここでは、強姦(不同意性交罪)と強制わいせつ(不同意わいせつ)の違いについて、具体例を上げて解説しています。

ぜひ参考になさってください。

強姦(不同意性交罪)とは

強姦(不同意性交罪)とは、被害者に対して、性交等を行う犯罪をいいます。

なお、強姦罪は、法改正によって、現在は正式な名称ではありません。

2017年の改正で「強制性交等罪」となり、さらに2023年の改正で「不同意性交罪」に変わりました

そこで、ここでは強姦のことを不同意性交罪と表記します。

 

性交等とは

不同意性交罪が成立する「性交等」とは、以下の行為を言います(刑法177条1項)。

  1. ①性交:陰茎の膣への挿入のこと
  2. ②肛門性交:陰茎の肛門への挿入のこと
  3. ③口腔性交:陰茎の口への挿入のこと
  4. ④膣ちつ若しくは肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為

参考:e-GOV法令検索|刑法

なお、2023年の改正前は、「性交等」とは、上の①性交、②肛門性交、③口腔性交のみを意味していました。

2023年の改正により、④膣ちつ若しくは肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為も「性交等」に含むこととされました

 

不同意性交罪の刑罰

法定刑は5年以上の有期拘禁刑となります。

有期拘禁刑とは20年以下の刑をいいます。

 

 

強制わいせつ(不同意わいせつ罪)とは

強制わいせつ(不同意わいせつ罪)は、被害者に対して、「わいせつな行為をした」場合に成立する犯罪です。

なお、強制わいせつ罪は、法改正によって、現在は正式な名称ではありません。

2023年の改正で「不同意わいせつ罪」に変わりました(刑法176条)。

参考:e-GOV法令検索|刑法

そこで、ここでは強制わいせつ罪のことを不同意わいせつ罪と表記します。

 

わいせつとは

わいせつな行為とは、上の「性交等」以外で、被害者の性的羞恥心を害する行為と言われています。

具体的には、陰部を触る、胸を触るなどの行為です。

また、キスについては、状況しだいでわいせつな行為に該当する場合があります。

 

不同意わいせつ罪の刑罰

法定刑は6か月以上10年以下の拘禁刑となります。

 

 

不同意性交罪と不同意わいせつ罪の違い

上述したとおり、不同意性交罪と不同意わいせつ罪は、行為や法定刑が異なります。

そして改正前の古い判例ですが、「本条(刑法第176条)のわいせつ行為には、姦淫の目的を持ってするわいせつ行為を含まない。」と判示されたことがあります(大判大3.7.21)。

すなわち、強姦も強制わいせつもいずれも、他者の性的自由を害する犯罪ですが、「姦淫の目的を持ってする」行為か否かで、強姦か強制わいせつかが決定されます(強姦罪の構成要件が変わった今、厳密に言えば「性交等の目的を持ってする」行為か否かが基準となるでしょう)。

以下、2つを比較すると下表のとおりとなります。

罪名 不同意性交罪 不同意わいせつ罪
行為 性交等を行う わいせつな行為を行う
法定刑 5年以上20年以下 6か月以上10年以下
目的 性交等の目的が必要 性交等の目的は不要

 

 

不同意性交罪の未遂を疑われる危険性があります

不同意の状態で「性交等」をした場合は、不同意性交罪です。

この場合は、不同意わいせつと明確に区別することが可能です。

しかしながら、性交等をしていない場合、「不同意性交罪の未遂なのか、不同意わいせつ罪なのか」、判断が分かれることになります。

例えば、加害者としては、被害者の下着を脱がせることまでが目的であったとしても、不同意性交罪の疑いで捜査を受ける可能性があります。

一般人からみても、「下着を脱がせて、性交等をしようとしたのではないか」と疑われかねませんし、警察もその可能性を視野に捜査をするのです。

不同意性交罪の未遂と、不同意わいせつ罪とでは、法定刑が大きく異なりますから、真実性交等の目的を有していなかったのであれば、その部分についてははっきりと主張をしていく必要があります

 

 

早期に弁護人を選任することをお勧めします

証拠や記録弁護人を選任しないまま、捜査を進行させると、性交等の目的を有していたことを示す方向の証拠を豊富に収集され、取調べによる追及も厳しいものとなりかねません。

精神的に追い詰められ、虚偽の自白をしてしまう方も多数存在しています。

罪を犯した方であっても、自らが犯した過ちを超える罰則を課されることは不当です

被疑者、被告人にも権利があります。

不同意性交罪の疑いをかけられてお困りの方は、まずはお気軽に、当事務所にご連絡ください。

刑事事件に注力する弁護士が対応いたします。

 

 


15分無料電話相談(性犯罪限定)
なぜ弁護士選びが重要なのか

強制わいせつについてよくある相談Q&A