盗撮で被害届を出された場合の対応【弁護士が事例で解説】
罪名 | 盗撮の罪 |
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解決までの期間 | 3ヶ月 |
弁護活動の結果 | 示談成立により不起訴処分 |
Mさん(30代)
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
盗撮がやめられなかった公務員のMさん
Mさんは、公務員として、とある都道府県の役所に勤めていました。
しかしながら、盗撮を行ってしまい、被害者から通報され、警察の事情聴取をうけていました。
Mさんは、妻や子、役所に知られたくないという思いで、当事務所を訪れました。
当事務所としては、知られずに解決することはかなり困難であると説明しましたが、やれることはやりたいというMさんの希望を聞き、弁護人をして弁護活動を開始しました。
弁護士の示談で職や家族を失うことなく不起訴処分
まずは担当の警察官・検察官に受任の通知をし、逮捕・勾留の必要はない事件であることを説明し、被害者の連絡先を聞きだしました。
まもなく、被害者からの連絡があり、私たちは、示談交渉を開始しました。
被害者は、公務員という肩書きのあるMさんから盗撮を受けたことにショックを受け、示談交渉は難航しかけました。
しかしながら、弁護人として、どのような解決が双方にとって望ましいのかを粘り強く説明し、逮捕・捜索・報道の前であれば、示談金を若干上乗せすることができることを説明しました。
女性は、納得いく金額の提示を受けたとして、示談に応じてくれました。
私たちはすぐに、警察・検察に示談及び被害届取下げ書を提出し、メディアへの漏洩を避けるよう要請をしました。
結果、Mさんは不起訴処分となり、職や家族を失うことなく、解決を導くことができました。
今回のポイント
Mさんは、職を失わずに問題を解決しましたが、公務員たるもの、盗撮をするということは断じて許されることではありません。
私たちは、Mさんに対し、今後、同様の行為に及んだ場合には、確実に職を失うことになること、盗撮をやめるためには、自分の力だけでは無理であり、他者からの様々なサポートを受ける必要があることを説明しました。
結果、Mさんは、精神科クリニックで治療する決意をし、妻にも事実を打ち明けました。
妻は、現在もMさんをサポートしてくれています。
盗撮事件で警察から捜査を受けている方、夫が盗撮をしてしまいお困りの方は、刑事事件に注力する弁護士が在籍する当事務所に、まずはお気軽にお越しください。
職場に盗撮が知られた場合
本事案では、盗撮が職場に知られることなく、平穏に解決できました。
職場に盗撮行為が知られた場合、次のようなことが懸念されます。
会社員の場合
民間企業に勤務している場合、会社から懲戒解雇等の懲戒処分を受ける可能性があります。
また、懲戒処分を受けなかったとしても、今後の昇進や昇給等に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、上司はもちろん、同僚や部下との信頼関係に傷がつくことが懸念されます。
公務員の場合
本事案のように、公務員の方の場合、仮に禁錮以上の刑に処せられた場合、当然失職となります。
第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
(略)
引用元:国家公務員法|電子政府の総合窓口
上記は、国家公務員の条項ですが、地方公務員であっても同様の扱いです。
また、刑が確定しなくても、起訴されただけで、休職となる可能性があります。
第七十九条 職員が、左の各号の一に該当する場合又は人事院規則で定めるその他の場合においては、その意に反して、これを休職することができる。
一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合
二 刑事事件に関し起訴された場合
(略)
引用元:国家公務員法|電子政府の総合窓口
さらに、起訴されなかったとしても、公務員の場合、懲戒処分の対象となることが考えられます。
国家公務員の場合、盗撮については、懲戒処分の基準が停職または減給と定められています。
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。
引用元:人事院 懲戒処分の指針について
職場に知られないために
犯罪事実が職場に知られないようにするためには、本事例のように、犯行を素直に認め、反省の態度を示すとともに、示談交渉を成功させることがポイントとなります。
示談が成立すれば、起訴されず、犯罪が職場に知られない可能性も出てきます。
もちろん、前科の有無や犯行の悪質性なども影響しますが、示談が成立すれば、仮に起訴されたとしても執行猶予となる可能性もあります。
そのため、一刻も早い示談交渉の開始をお勧めいたします。
なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか