盗撮で不起訴となるには?【弁護士が実際の事例で解説】
罪名 | 盗撮(福岡県迷惑行為防止条例違反) |
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解決までの期間 | 1ヶ月半 |
弁護活動の結果 | 示談成立により不起訴 |
Yさん(20代)
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
目次
短期間に盗撮を繰り返してしまったYさん
Yさんは、盗撮をしていたところを目撃者から通報され、そのまま逮捕されてしまいました。
Yさんが逮捕されたことを知らされたYさんのご両親は、突然のことに驚き、今後どうなってしまうのかという不安な気持ちを抱えて当事務所を訪れました。
私たちとしては、まずはYさんから事情の聞き取りを行わなければ事件の見通しが立てられないと思い、初回接見のご依頼を受けました。
接見で直接Yさんから話を聞いた結果、Yさんは短期間にかなりの人数に対して盗撮をしてしまっており、逮捕された件について被害者と示談ができたとしても不起訴処分とならない可能性もあるのではないかと感じました。
ただ、同時にYさん自身が深く反省していることを感じたため、不起訴となる可能性を上げるべく、正式に弁護の依頼を受けて活動を開始しました。
逮捕はされたものの勾留請求は却下となり釈放
私たちがYさんやご家族の話を聞いている限りでは、逮捕はやむを得ないとしても、勾留請求は争うことが可能だと考えていましたが、検察官は勾留請求を行ってきました。
裁判所への意見書を提出する前に、検察官に勾留請求を行った理由を聞きましたが、検察官が挙げた理由には十分に反論が可能であると判断できたため、検察官が挙げた理由への反論に重点を置いた意見書を書き上げ、速やかに裁判所に提出しました。
その結果、勾留請求は却下され、Yさんは無事に家に帰ることができました。
弁護士の示談で不起訴処分に
被害者が未成年であったこともあり、示談交渉には細心の注意を払いました。
また、事件後に被害者がどのような状態なのかは、示談交渉の中でしか聞くことができませんから、丁寧に聞き取りを行い、被害者のケアをすると共に、Yさんの反省を深めるきっかけを作りました。
被害者の状況を聞いたYさんが、深く反省したことを謝罪文で示すことができたこともあり、最終的には被害者も快く示談に応じてくれました。
私たちは、すぐに検察官に示談書や謝罪文等の資料を提出し、Yさんがどれだけ反省しているかを説明し、不起訴処分を求めました。
後日、Yさんは不起訴処分となり、職場に発覚することもなく解決に導くことができました。
盗撮で不起訴になるためのポイント
盗撮の事案で考えなければならないポイントは、勾留を回避することと、不起訴処分を狙うことになります。
職場や家族への発覚を防ぐには、勾留の回避が重要
まず、勾留を回避することについて見ていきます。
勾留の要件は、3つあります。
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- 1.住居不定
- 2.罪証隠滅のおそれが相当程度あること
- 3.逃亡のおそれが相当程度認められること
勾留は逮捕よりも長期間(10日間)にわたる身体拘束となりますから、これらの要件を満たすかどうかの判断は厳格に行われる必要がありますが、実際には勾留請求がされた場合、ほとんどの事件で勾留の要件を満たすという判断がされてしまいます。
勾留請求の却下率は、一昔前と比べると上昇していますが、令和元年の却下率が5.2%であるであることから分かるように、依然として却下率が低いという現状です。
今回ご紹介した事案では、逮捕後から勾留請求までの限られた時間で、Yさんやご家族から勾留請求を争えるような事情を聞き取り、勾留の要件を満たさないことを説得的に指摘できたことによって、Yさんは長期の身体拘束を避けることができました。
不起訴処分のためには示談が重要
また、上記の事案では、弁護士を通じて示談を成立させたことで、結果として不起訴処分となりました。
このように、盗撮の事案において不起訴処分となるためには、被害者との間で示談を成立させることが極めて重要になります。
可能な限り早期に弁護人をつけ、被害者の心情に寄り添いつつ示談交渉をすることで、示談成立の可能性を高めることもできますので、素早い動き出しが重要になるといえます。
Yさんやご家族が望むように、事件が職場に発覚することなく、不起訴処分という形で幕を閉じることができたのは、適切な弁護活動により勾留請求が却下され、示談を成立させることができたからといえます。
盗撮をすることは断じて許されるものではありませんし、性犯罪は依存性が高く、再犯率が高い犯罪です。
そのため事件が解決したとしても再犯防止策をとることが重要と考えられます。
Yさんは治療機関への通院も検討する等、家族のサポートを受けながら、今後二度と同じことをしないと誓ってくれました。
盗撮事件で警察から捜査を受けている方、ご家族が盗撮をしてしまいお困りの方は、刑事事件に注力する弁護士が在籍する当事務所に、まずはお気軽にお越しください。
盗撮で在宅起訴されるのはどんな場合ですか?
盗撮の事案で在宅起訴されるパターンとしては、同種の前科がある場合や、撮影件数が多い場合、被害者からの許しを得られず、示談が成立しなかった場合などが考えられます。
在宅であっても、起訴されてしまった場合、現在の刑事裁判においてはほぼ確実に有罪判決がなされることになります。
そのため、起訴された時点で、前科がついてしまう可能性が極めて高いといえます。
盗撮の余罪はどうなりますか?
発覚しないことをいいことに、何度も盗撮を行なってしまう方も、中にはいらっしゃいます。多くの場合、過去に撮影した動画・画像については、被害者がどこの誰であるかの特定が困難になります。
そのため、実際には、発覚時に撮影の対象とされていた方を被害者として、その一件のみにつき処分を検討する、というケースが多いようです。
ですが、撮影数が多く、また長期間にわたって撮影していたなどの事情が明らかになった場合、常習性が認められるとして、処分が重くなる可能性があります。
前科がない場合であればまだしも、同種の前科が複数ある場合は、迷惑行為防止条例の中でも、常習的な盗撮として、処断刑が重くなる可能性があります。
常習的な盗撮の場合の法定刑は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっており、通常の盗撮の場合と比較すると、懲役刑の上限が2倍になっています。
盗撮で略式起訴されたら会社に知られてしまう?
盗撮で示談が成立せず、略式起訴された場合、会社などに知られてしまうのでしょうか。
結論から申し上げますと、ご自身から会社等に報告しない限り、発覚する可能性は低いといってよいでしょう。
まず前提として、裁判所や検察庁から会社に対して連絡されるようなことはありません。
しかし、起訴される前から長期間にわたって勾留されており、そもそも出勤できなくなっているような場合や、正式起訴され、裁判のために仕事を欠勤しなければならなくなるような場合は、会社への発覚のリスクは高まると考えられます。
これに対し、在宅での捜査の結果、略式起訴され、罰金刑となったような場合は、出勤ができなくなるような事情が特にありませんので、普段どおりの生活を送ることができます。
そのため、会社への発覚を回避することは十分に可能といえます。
まとめ
以上のとおり、盗撮の事案においては、初動の段階で早めに弁護士をつけ、適切な弁護活動を行いうるかどうかによって、結果が大きく変わるといえます。
盗撮をしてしまい、警察から取り調べを受けている方や、ご家族が盗撮をしてしまい、どうしていいかわからないという方は、刑事事件に強い弁護士へのご相談を強くお勧めいたします。
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