盗撮は現行犯以外では逮捕は難しい?【弁護士が解説】
盗撮の場合、現行犯以外逮捕が難しいといわれますが、現行犯以外でも逮捕される可能性はあります。
逮捕されるケースは、防犯カメラ、目撃情報、別件捜査の影響など様々です。
盗撮とは
盗撮とは一般に、承諾を得ることなく他人の容姿を無断で撮影することをいいます。
盗撮行為を規制しているのは、性的姿態撮影等処罰法(撮影罪)及び各都道府県が定めている条例(迷惑防止条例)となります。
撮影罪について詳しい解説は以下をご覧ください。
盗撮(迷惑防止条例違反)について詳しい解説は以下をご覧ください。
逮捕できる場合とは
逮捕は、人の行動の自由を著しく制限するものです。
したがって、本来、限られた場合にしかできません。
法律には、人を逮捕するには、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」と「逮捕の必要性」がなければならないと規定されています(刑訴法199条2項)。
逮捕には、通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕の3種類があります。
通常逮捕は、逮捕前に、裁判官が発した逮捕状が必要となります。
緊急逮捕は、事前の逮捕状は不要ですが、一定の重大な犯罪に限定されており、盗撮の場合は当てはまりません。
現行犯逮捕については、犯人であることが明白であるため逮捕状は不要となります。
要件 | |
---|---|
通常逮捕 | 逮捕状が必要 |
緊急逮捕 | 重大犯罪のみ |
現行犯逮捕 | 現行犯であること |
現行犯以外では逮捕が難しいと考えられている理由
盗撮の事案においては、「現行犯ではないから逮捕の心配はない」と考えている方がいらっしゃいます。
確かに、現行犯の場合と比べれば、逮捕の可能性は低くなるでしょう、
しかし、上記のとおり、現行犯以外でも、裁判官が発する逮捕状があれば逮捕は可能です。
したがって、「現行犯ではないから逮捕の心配はない」と考えるのは早計と言えます。
現行犯以外で逮捕される事例
盗撮の場合に、後日、逮捕されるのは以下のようなケースが考えられます。
- 防犯カメラによる犯人の特定
- 目撃情報がある場合
- 別件で捜査されている場合
防犯カメラによる犯人の特定
盗撮の場合、ショッピングモール、駅の構内、公共施設や大勢の人が出入りするビルのトイレなどで行われるのが典型です。
現在、このような場所には、大抵防犯カメラが設置されています。
したがって、盗撮をしてしまった場合、ほとんどの事件で盗撮の瞬間を捉えた防犯カメラ映像があるものと考えておいた方がよいでしょう。
近年、防犯カメラの解像度が向上しており、録画された映像から犯人が誰かを特定できる場合もあります。
その映像を追っていくことで犯人の身元を割り出すことも考えられます。
目撃情報がある場合
防犯カメラが設置されていない場合でも、犯行現場に第三者がいた場合、その第三者が犯行状況を目撃している可能性があります。
また、被害者自身が盗撮に気づいた場合、顔などを見られていると考えられます。
そして、警察に犯人の特徴等の情報を提供し、捜査が行われることで、犯人の身元が特定されるケースもあります。
別件で捜査されている場合
その他にも、別の犯罪で捜査されたことで、盗撮が発覚する可能性もあります。
例えば、容疑者のスマートフォンやパソコンなどが押収された場合に、その端末内に保存されている盗撮画像が見つかってしまったような場合です。
逮捕されるとどうなる?
逮捕されると、捜査機関からの取り調べを受け、起訴される可能性があります。
初犯であれば執行猶予の可能性もありますが、長期間身柄が拘束され、前科がつくことで生活に多大な影響が出ることが予想されます。
また、民事の問題もあります。すなわち、盗撮の被害者から慰謝料を請求される可能性もあります。
盗撮事案のポイント
「いつ逮捕されるかわからない」という状況はとても不安だと思います。
そのため、今後について、刑事専門の弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
刑事専門の弁護士であれば、自首の要否を検討し、必要があれば自首に同行するなどのサポートを行ってくれるでしょう。
また、被害者がいる犯罪ですので、示談交渉の成功が今後の明暗を分けます。
起訴される前に、弁護士を通じて示談交渉を行い、被害届が取り下げられれば起訴される可能性が格段に減ると考えられます。
まとめ
以上、盗撮の現行犯以外の逮捕の可能性について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
盗撮の場合、現行犯以外でも逮捕される可能性は存在します。
逮捕されるケースは、防犯カメラ、目撃情報、別件捜査の影響など様々です。
逮捕されないために重要なことは、被害者との示談交渉を成功させることです。
また、現在、捜査対象となっていない場合、自首をすることも検討しましょう。
この記事が刑事事件でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。
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