公然わいせつで逮捕されたどうしたらいい?【刑事弁護士が解説】

公然わいせつとは何か

「公然」とは

公然とは、不特定または多数の人が認識することのできる状態のことを指します。

引用元:昭和32年5月22日|最高裁判所

例えば、公園や駅構内、路上などがこれに当たります。

 

「わいせつ」とは

わいせつとは、徒に性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。

引用元:昭和26年5月10日|最高裁判所

定義は難しいですが、要は、他者に見せるべきでない性的なものを他者から見られうる場所で露呈してはいけない、ということです。

【典型的な例】
路上で陰部を露出する行為が挙げられますが、その他にも、ストリップガールが多数の観客の前で陰部を露出する行為や、カップルが公共空間で行う性行為も含まれます。

 

 

刑罰

6月以下の懲役

若しくは

30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料

※科料とは、1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収すること

根拠条文

(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

引用元:刑法|電子政府の総合窓口

 

不同意わいせつ罪との違い

なお、類似する犯罪類型として、わいせつな行為を罰する不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ)があります。

わいせつ行為を受けた特定の被害者がいる点が、公然わいせつ罪との違いです。

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不同意わいせつについて

 

 

公然わいせつ罪の弁護活動のポイント

逮捕を回避すること

公然わいせつ行為を認める場合、逮捕されないための迅速な弁護活動が重要となります。

といいますのも、公然わいせつ行為が捜査機関に発覚した場合に逮捕に踏み切る割合は、4割程度といわれていて、弁護活動次第で、逮捕されてしまうことも、逮捕を免れることもあるからです。

逮捕されてしまえば、その後の勾留期間も含めると最大23日の身体拘束を受けることとなり、会社に公然わいせつ行為が知れ渡るリスクや、解雇を言い渡されるリスクが大幅に増加してしまうのです。

 

示談交渉を成功させる

逮捕されないために重要なのは、公然わいせつ行為を見た被害者に対して謝罪し、示談をすることです。

警察官・検察官は、逮捕するかどうか、さらには起訴するかどうかを判断する際に、示談が成立しているかに着目します。

示談が成立していれば、公然わいせつ行為を処罰する必要がなくなり、逮捕せずに終わることが多いのです。

なお、逮捕されないからといって、当然に起訴されないというわけではありません

示談成立を理由に逮捕しない判断に至ったケースについては、起訴されないことが多いですが、単純に逃亡のおそれがない等の理由で逮捕されないこともあります。

そのような場合、起訴されてしまうと前科がついてしまいますので、やはり起訴される前に弁護士を選任し、示談をすることが重要です。

示談をするためには、被害者と接触する機会を持つ必要があります。

ですが、検察官は、被疑者には被害者の名前や住所を教えることはありません。

検察官から被害者の名前や住所を教えてもらい示談交渉できるのは、被疑者が依頼した弁護士です。

そのため、弁護士が、迅速に被害者と連絡をとり、示談を成立させる必要があります。

弁護士の技量と熱意によって、示談の成立は大きく影響を受けますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。

また、逮捕後であっても、示談が成立すれば、早期に釈放される可能性が高まります。

そして起訴後であっても、示談が成立すれば、執行猶予がつく可能性が高まります。

ですので、逮捕後や起訴後も、示談交渉は重要です。

逮捕後や起訴後についても、選任した弁護士の技量と熱意がものをいうということです。

 

執行猶予を獲得する

示談が難しく、起訴される場合は、執行猶予の獲得を目指していくこととなります。

執行猶予を獲得するためには、まずは真摯に反省し、二度と犯罪を犯さないという心構えが何よりも大切です。

そして、その気持を裁判官にわかってもらう必要があります。

そのため、弁護活動としては、被告人の反省文を用意する、更生のための性犯罪のプログラムを紹介する、親族に今後の監督者になってもらうよう依頼し、情状証人として出廷してもらう、などが重要となります。

 

 

公然わいせつの参考判例

以下のように、公然わいせつで執行猶予を獲得した判例があります。

判例

【事案の概要】
被告人が、深夜、ネックウォーマーで人相を隠し、ランニングを装うなどして好みの女性を探し、人通りの少ない場所で声をかけ、陰部を見せつけたという公然わいせつ、及び、それによって動揺した女性の胸をつかむなどした。

【裁判所の判断】
本件においては、「被告人が本件各犯行を認め、遅まきながら反省や謝罪の言葉に加え、性的衝動を抑止するため医師への相談を検討している旨を述べていること、被告人に前科はないこと、被告人の母が当公判廷において今後の監督を誓約していることなど、被告人にとって有利又は酌むべき事情も存在する。そこで、これらの事情を総合的に考慮し、主文の刑に処した上で、今回に限り、その刑の執行を猶予し、社会内での更生の機会を与えることが相当であると判断した。」


【解説】
この事案では、公然わいせつに加えて、強制わいせつも成立していますが、被告人の反省の意思、医師への相談、監督者の存在などが良い情状となって、執行猶予を獲得しています。

 

無実の場合

公然わいせつ行為を認めず、無罪を主張する場合、公然わいせつ行為をしていないことを示す証拠を、豊富に収集することが重要となります。

具体例

「被疑者(被告人)がいきなりズボンを下げて下半身を見せてきました」等と述べる被害者供述がある場合


目撃者と被疑者の立ち位置や当時の照明の状況から、

①暗闇の中で、ズボンを下げるのが真に見えたのか、

仮に見えるとしても、

②ズボンを下げた犯人は真に被疑者なのか等を争うべく、各種の再現実験を行い、目撃者供述が信用できないことを示したり、被疑者に、公然わいせつの性向が全く無く、冤罪の可能性が極めて高いことを示したりすることが、一例として考えられます。

 

まとめ

以上、公然わいせつ罪の内容、判例、刑罰と今後の対応について解説しましたがいかがだったでしょうか。

公然わいせつの場合、犯罪を認める場合と認めない場合とで、弁護活動が異なります。

認める場合は被害への謝罪と示談交渉がメインとなり、認めない場合は無罪の獲得が重要となります。

いずれにせよ、これらの活動は、弁護士の技量と熱意が必要不可欠ですので、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。

当事務所の刑事事件チームには、公然わいせつ事案に精通した弁護士が所属しており、きめ細やかな弁護活動を行っています。

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