個室内の行為や限定配信でも公然わいせつ?【弁護士が解説】
カラオケ店内でのわいせつ行為
カラオケ店内で彼女とわいせつな行為をしてしまいました。
個室の中だから問題ありませんよね?
公然わいせつ罪が成立する可能性が高いです。
公然わいせつ罪は、不特定または多数の人が認識しうる状態で、わいせつな行為を行なった場合に成立する犯罪です(刑法174条)。
法定刑は六月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料とされています。
カラオケ店内の個室で、異性と性的な行為をする人が一定数いますが、この行為もカラオケ店の構造によっては公然わいせつ罪にあたりうる行為になってしまいます。
それはなぜかというと、カラオケ店内の部屋は、個室といってもドアの部分の一部または全部がガラス張りになっており、外から中を見ることが可能な状態にあることが多いと思われます。
そうすると、カラオケ店に来店した不特定または多数の人が認識しうる状態にあるということですので、そのような構造の個室内でわいせつな行為を行なった場合、公然わいせつ罪の構成要件に該当することになるからです。
なお、誰にも見られていないとしても、「実際に誰かに見られたこと」は公然わいせつ罪の構成要件となっていませんので、罪の成否に関係ありません。
誰にも見られていない場合には、通報される危険性は低いかもしれませんが、犯罪に該当する可能性が高い行為ですので、絶対にやめてください。
トイレ個室内でのわいせつ行為
トイレ個室内で自慰行為をしてしまいました。
個室の中だから問題ありませんよね?
基本的には公然わいせつ罪は成立しません。
トイレの個室は、カラオケ店の個室とは異なり、ドアの上下にやや隙間はあるものの、外から個室の中を見ることが出来るような構造になっていることは通常あり得ません。
そのため、不特定または多数の人が認識しうる状態ではないということになり、ドアを開け放していたような場合はともかく、ドアが閉まっている状態であれば公然わいせつ罪が成立することは通常ないと思われます。
もっとも、犯罪ではないにせよ、このような行為は迷惑な行為に変わりありません。
何らかの理由で行為が発覚した場合、予期せぬトラブルに発展することもありますので、やめましょう。
インターネット上でのわいせつ行為
インターネット上でわいせつな行為を配信しました。
見ている人はいなかったから問題ありませんよね?
公然わいせつ罪が成立する可能性が高いです。
インターネット配信において、配信を観ることが出来る人数を極少数に限ってわいせつな行為を配信した場合、ごく少数の人しか観る事が出来ないのであれば、問題がないように思うかもしれません。
しかしながら、不特定または多数の人が、その「ごく少数」の閲覧者に入る可能性があることには変わりありません。
そのため、仮に数人しか配信を観る事が出来ないような場合であっても、配信視聴の募集を無限定に行っているような場合には、その配信には公然性が認められるということになります。
また、配信を観にきていた人が0人であったような場合にも、「実際にわいせつな行為を目撃した人がいること」は公然わいせつ罪の構成要件には含まれていませんので、わいせつな行為を配信していたのであれば、公然わいせつ罪が成立します。
配信を観ていた人がいなければ、通報されることもあまり考えにくいとは思いますが、安易にネット配信を行なってしまうと取り返しのつかないことになる可能性があります。
軽率な行動で将来を棒に振る事がないようにしましょう。
チャットでのわいせつ行為
付き合っている人と映像付きのチャットをした際にわいせつな行為を見せ合いました。
これも公然わいせつになるのでしょうか。
基本的に公然わいせつ罪は成立しません。
LINEのテレビ通話やSkype等、様々なアプリにおいて映像付きのチャットが行えますが、これらのチャットは、個人間でのやり取りになり、不特定または多数がそのチャットを観ることはできません。
「特定」かつ「少数」の人だけが認識可能な状態での行為ということになりますから、公然わいせつ罪の構成要件を満たさず、犯罪は成立しません。
もっとも、複数人でのグループチャットにおいて同様の行為を行った場合には、「不特定」または「多数」が認識しうる状態であると判断される可能性がありますので、注意が必要になるでしょう。