取り調べ・事情聴取の注意点【弁護士が解説】
取り調べとは
取り調べとは、警察・検察官等の捜査機関が容疑者(被疑者や参考人)に出頭を求め、または逮捕・勾留して事情を聴取することです。
警察官や検察官などの捜査機関は国家機関であり、取り調べのプロです。
容疑者の方が自分一人で対応するのは非常に困難です。
以下、取り調べの注意点をご紹介しますので、ご参考にされてください。
取り調べについて詳しくはこちらをご覧ください。
取り調べは強制できないのが原則
法律上、強制による捜査は原則として禁止されています。
強制捜査は、法に特別の定めがなければできないのです。
このように、法律では、強制捜査を例外的な手段とすることで、人権保障を図ろうとしています。
しかし、捜査の実情を見ると、強制捜査が主役であるというのが現実です。
そのため、容疑者やその弁護士としては、常に捜査機関の捜査方法に批判的な目を向けて、違法捜査が行われないよう牽制しなければなりません。
容疑者の権利
任意捜査の段階における被疑者には、黙秘権、弁護人選任権、取調べ拒否権・退去権、調書の訂正申立権、署名押印拒否権などの権利が保障されています。
この点、逮捕等によって身体拘束を受けた被疑者の場合は、犯罪事実の要旨及び弁護人選任権の告知を受ける権利、弁護士等を指定しての弁護人選任の申出権などの権利も保障されていますが、任意捜査段階ではこれらの権利は保障されていないので、注意が必要です。
すなわち、任意捜査の段階では、警察等から、「弁護人を選任できるよ。」などと親切に教えてくれません。
自分から、「弁護士を選任したい。」と言わなければなりません。
任意出頭の要求がされている場合
警察等から任意出頭を求められている場合、犯罪の容疑者、若しくはその関係者と考えられている可能性が高いはずです。
このような場合、可能であれば、事前に弁護士に相談した方がよいでしょう。
刑事専門の弁護士であれば、取り調べのときの注意点や対応方法を助言してくれるはずです。
また、弁護士は、必要があれば捜査官に電話して、呼び出しの用件の内容、呼び出しは被疑者としてなのか参考人としてなのかなどにつき、できるだけ詳細な情報を入手します。
また、指定の日時に出頭が困難な場合、弁護士から捜査機関に電話して、その理由を説明し、それと同時に逮捕状の発布を誘発しないよう、出頭可能な日時を連絡することも可能です。
供述調書のサインは慎重に
取調べの内容は、最終的には供述調書という書面にまとめられます。
この供述調書が後の裁判等において、重要な証拠になりますので、注意が必要です。
裁判になって本当のことを言えば、裁判官がわかってくれるなどと考えては決していけません。
一度、自分の発言内容を供述調書という形でまとめられ、それに署名や指印を押してしまうと、それを覆すことは非常に困難です。
したがって、取調べを受ける際の注意点は、供述調書の内容が、本当に自分が話した内容を反映しているかどうかを十分に検討することです。
すなわち、供述調書は捜査機関が文書にまとめ、まとめた書面を被疑者に読み聞かせた上で、被疑者が署名と指印をすることで作成されます。
そこで、読み聞かせの段階で、書かれた内容を細かくチェックする必要があります。
単にニュアンスが違うだけだから大丈夫などと安易に考えてはいけません。
被疑者には、調書の内容に誤りや自分が話していないことが記載されている場合、その部分を正しく訂正してもらうことを求めることができます。
また、最終的に捜査機関が変更に応じない場合には、その供述調書への署名、指印を拒否することができます。
これまで記載してきたとおり、取調べのポイントは、間違いのある調書には、サインをせず、訂正を求めるということです。
これはよく理解していないと、行動に移すのは、非常に難しいことです。
なぜなら、身柄拘束が長くなり、取調べが連日のように続けば、やはり多少のことはいいやという気持ちになりがちであるからです。
このようなことを防ぐには、弁護人による適切な助言、接見が必要不可欠です。
取り調べの注意点のまとめ
以上、取り調べの注意点について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
取り調べにおいては、容疑者の人権を無視した、苛酷で、違法な捜査が行われることがあります。
このような取り調べによって、事実を捻じ曲げた、不利な供述調書が作成されると、後になって争うことが難しくなります。
このような事態を未然に回避するために、早い段階での弁護士へのご相談をおすすめいたします。
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