警察からの呼び出しを受けたら弁護士へ!
警察からの呼び出しの目的は?
警察から呼び出しを受けた場合、考えられる類型としては、以下の3つがあります。
- 身元引受人として被疑者・被告人を連れて帰ってもらうために呼び出す場合
- 参考人として事件捜査に協力してもらうために呼び出す場合
- 被疑者として取り調べをするために呼び出す場合
このうち、3.の場合に弁護士に相談するべきであることは言うまでもありませんが、その他の場合であっても、弁護士に相談すべき場面があります。
以下では、それぞれの場合にどのような対応をすればいいかに加え、弁護士が必要な場面についてお伝えします。
1.身元引受人として呼び出された場合
身元引受人とは、被疑者の身体拘束をしない代わりに、被疑者が逃亡や罪証隠滅をしないように監督する者のことです。
身元引受人の場合、多くは自分の家族が被疑者として警察にいることでしょうから、家族の身体拘束を解くためにも、一刻も早く警察に向かいましょう。
身元引受人が監督することを条件に身体拘束をせず、在宅事件として捜査が進められることもありますが、在宅事件の場合には起訴されるまで国選弁護人が付きません。
そのため、捜査段階で身元引受人として呼び出しを受けた場合には、その後のご家族の事件対応のために、弁護士に相談されるとよいでしょう。
2.参考人として呼び出された場合
参考人として警察の取り調べに応じる場合には、事件について知っていることや見たことを話すことで、捜査に協力することになります。
この場合の警察からの呼び出しは、あくまでも任意の出頭要請ですから(刑事訴訟法223条)、気が進まないのであれば断ることも可能です。
ただし、警察から呼び出しを受けた段階では参考人と伝えられていたのに、実際に警察に行ってみると被疑者として取り調べを始められるということもあり得ます。
そのため、参考人として呼び出しを受けた場合、何か警察に疑われる心当たりがある方は、一度弁護士に相談してから取り調べに向かうことをお勧めします。
3.被疑者として呼び出された場合
容疑を認める場合
呼び出しの理由が、被疑者としての取り調べである場合には、取り調べ対応に注意する必要があります。
取り調べにおいて作成される供述録取書というものが、後に起訴不起訴を決める資料になったり、裁判での証拠になったりと、重要な役割を果たすからです。
そして、この供述録取書は警察官が作成するものですが、被疑者が署名押印をすることで、被疑者が喋った内容として考えられることになります。
仮に容疑を認める場合であっても、警察官が作成した文章とあなたのニュアンスが違うことは往々にしてありますから、供述録取書に署名押印をする場合には注意が必要です。
同じ内容と思っていても、微妙な書き方の違いで、知らないうちに罪責が重くなることもあります。
仮に供述録取書の内容が、自分の思っていることとずれていると感じた場合には、供述録取書の内容を訂正するよう求めることができます。
警察官がせっかく作ってくれた書面なのに作り直してもらうのは悪い、などと考える必要はありません。
供述録取書は被疑者が話した内容となるのですから、違うと思ったところは訂正してもらう権利があります。
しかし、何のアドバイスもなく取り調べに応じると、どのような記載内容であれば署名押印していいのかが分からず、不利な供述録取書が作成されるリスクは無くなりません。
弁護士に予め相談することで、何が重要な点で、記載内容に拘らなければならないかを知ることが出来ます。
また、被害者がいる事件であれば、被害者と示談交渉を行うことで不起訴となったり罪責が軽くなったりすることがありますが、被疑者が被害者と直接連絡を取ることは出来ません。
そのため、示談を行うのであれば弁護士は必須です。
以上のことから、取り調べを受ける前の段階で1度弁護士に相談することが望ましいでしょう。
なお、取り調べを受けるまでに自分が参考人として呼ばれたのか、被疑者として呼ばれたのかが分からない場合には、実際に取り調べを受ける際に警察官から黙秘権告知をされたかどうかによって判別することが可能です。
被疑者に対する取り調べを行う場合には、刑事訴訟法198条2項において、黙秘権告知が義務付けられているからです。
容疑を否認する場合
容疑を否認する場合、捜査段階では、事実と異なる不利な供述録取書の作成をさせないことが最も重要となります。
そのため、取り調べにおいては、黙秘権を行使することや任意の取り調べには一切応じないことが考えられます。
この場合のデメリットとしては、逮捕・勾留のリスクが高まるということや警察の取り調べが過酷になることが予想されることです。
しかし、警察の取り調べに応じたところで、被疑者に有利な供述録取書が作成されるとは限らないことは、先に述べたとおりです。
また、客観的な証拠が少ない事件であれば、供述録取書が作成できないことで立証が難しいと判断され、不起訴になる可能性もあります。
取り調べに応じて否認する場合、警察によって長時間にわたる執拗な取り調べが行われる可能性があります。
警察は、あの手この手で自白を引き出そうとしたり、あなたの言い分を警察の都合がいいように解釈した供述録取書に署名押印を求めてきたりします。
警察は取り調べに慣れていますから、一般人が1人で取り調べを乗り切ることは困難でしょう。
たとえ無実であっても犯行を認める供述を行なってしまうことにもなりかねません。
弁護士に相談することで、取り調べにどのように対応していくかの方針を決めること、違法な取り調べが行われないかをチェックするといった活動を行うことが出来ます。
このように容疑を否認する場合では、弁護士という武器が必須といっていいでしょう。
まずは弁護士に相談して、事案ごとの適切な対応策のアドバイスを受けることをお勧めします。
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