なぜ警察から電話が?電話の理由や対応方法について

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士

警察から電話がかかってくる理由は、取り調べのための呼び出し、被害者または参考人としての呼び出し、落とし物が警察署に届けられたなどが考えられます。

電話がかかってきた理由によってその後に取るべき対応も変わってきますが、基本的には電話には出た方がよいでしょう

警察からの電話で考えられる理由や対応について解説します。

警察からの電話!考えられる理由は?

警察から電話がかかってきたというだけで普通の方は驚いてしまうことでしょう。

警察から電話がかかってくる理由はいくつか考えられ、それぞれの理由によってその後に取るべき対応も変わってきます

電話がかかってくる理由としては以下のものが考えられます。

  • 取り調べのための呼び出し
  • 被害者または参考人としての呼び出し
  • 落とし物が警察署に届けられた
  • 詐欺電話の可能性も!

考えられる理由のそれぞれについて解説します。

 

取り調べのための呼び出し

警察からの電話で一番不安になるものは、被疑者として呼び出しをするために電話がかかってきたという場合でしょう。

この場合、あなたは何かしらの犯罪を行ったことを疑われており、警察はあなたを取り調べることで何とか自白をさせようと考えています。

呼び出しの時点では、今後逮捕されるのか、それともそのままの生活を送りながら捜査が進む在宅事件となるのかは分かりませんが、後ほど述べるとおり、呼び出しを拒否することはお勧めできません

警察からの電話が取り調べを行いたいというものであった場合、取り調べでどのような内容を話すか、どのように対応するかによって、逮捕されるかどうかや刑事罰を受けるかどうかといった点にも影響が出る可能性があります。

そのため、取り調べに行く前に弁護士に相談して今後の方針を決めた上で取り調べに臨みましょう

取り調べ・事情聴取の注意点について、詳しくはこちらもご覧ください。

 

被害者または参考人としての呼び出し

被害者として呼び出しを受ける場合、その前にあなたが警察署に被害届を提出していたり、相談をしていたりといった行動に出ていると思います。

その際に話した内容をもとに警察が捜査を進めた結果、被害者の言い分と被疑者の言い分で食い違っている部分が出てきたり、被害者の供述調書を補足する必要性が出てきたりといったことが起こり得ます。

そのような場合には被害者に電話があり、再度警察署に来てもらえないかというお願いをされることになります。

被疑者が犯罪を行ったことを証明するために必要なことになりますから、被疑者の処罰を求めているのであれば警察に協力しておきましょう

また、被疑者や被害者以外の者であっても、事件の目撃者や、現時点では被疑者とまでは考えられていないものの事件について何か重要なことを知っているのではないかと考えられている人物は、参考人といわれることがあります。

捜査の状況によっては、被害者の供述や物証だけでは証拠が不十分であり、参考人からも話を聞かなければならないことも十分にあり得ます。

このような場合に、参考人として警察から呼び出しがくることになります。

参考人という立場は被疑者とは違いますから、呼び出しに応じることで逮捕されるかもしれないといった心配は不要です

ただし、被疑者という扱いではないものの、重要参考人(容疑者の一人)と考えられて呼び出しを受けている場合もありますので、参考人として呼び出しを受けた場合であっても弁護士に相談をしてみてもいいかもしれません。

 

落とし物が警察署に届けられた

全く身に覚えがない警察からの電話で一番多いのが、落とし物が警察署に届けられたから取りに来ないかという連絡かもしれません。

落とし物が届けられた際に警察が中身を確認し、名刺や社員証など何かしらの連絡先が分かるものがあった場合に電話で落とし物のことを教えてくれることがあります

警察から突然連絡がくると驚くでしょうが、落とし物の連絡という可能性もありますから、用件が分かるまでは話を聞いておきましょう。

 

詐欺電話の可能性も!

警察からの電話だと思って対応をしていたら、実際には警察を騙って高齢者などを狙う悪質な詐欺の電話だったという可能性も0ではありません

電話を利用した詐欺の常套手段として、警察を名乗る者が「銀行口座が不正利用されている可能性がある。」などと電話し、高齢者を不安にさせた上で、別の警察官と名乗る者が家を訪問してキャッシュカードをだまし取るといったものが挙げられます。

このような電話の特徴は、一刻を争うなどと言って被害者が誰かに相談する時間を作らせないようにしてくるところにあります。

警察署などのホームページやポスターで注意喚起がされているにもかかわらず、詐欺に遭ってしまう人がいなくならない理由は誰にも相談できず、パニックに陥ってしまうことが原因だと思います。

警察からの電話でお金を振り込むようにといった内容や、キャッシュカードの不正利用といった内容が出た場合には、担当者の名前を確認した上で一旦電話を切り、自分で管轄の警察署の電話番号を調べて掛けなおすか、直接警察署に行ってみましょう

詐欺の電話でなければ、電話で話した担当者に繋いでもらえるはずです。

 

 

警察からの電話を無視するとどうなるの?

警察から連絡が来ている理由は何かしらあるはずですから、あなたが警察からの電話を無視していたとしても、おそらく何度か電話は掛かってくるでしょう。

それでも電話に出ずに無視し続けた場合、最終的にどうなるのかはどのような用件での電話かによって異なります。

まず、被疑者として呼び出しを受けている場合以外は、警察からの電話を無視していたとしても、落とし物が受け取れなかったり、被害届を出していた事件の捜査が打ち切られたりといった程度の弊害しかないでしょう

そのため、無視していたとしても重大な結果が生じるわけではありません。

しかしながら、被疑者として呼び出しを受けている場合だけは絶対に警察からの電話には出るようにしてください

被疑者が呼び出しを無視し続けたという場合、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれが高いと判断され、逮捕に繋がる可能性が出てくるからです。

何か身に覚えがあるような場合は特に警察からの連絡を無視せず、きちんと対応するようにしましょう。

 

警察からの電話への対応方法

用件を確認する

警察からの電話があった場合、ひとまずは何の用件で電話をかけてきたのかを確認してください。被疑者として取り調べを行いたいという用件であった場合には、既に述べたとおり、弁護士に相談した上で適切な対応を行う必要がありますし、それ以外の場合であれば特に警察を怖がる必要がない場合がほとんどですから、警察の言うとおりに対応をしておけば問題はないでしょう。

 

出られなかった場合には掛け直す

警察から電話があったときに都合が悪く出られなかったということもあると思います。

そのような場合は用件が分からない以上、掛け直してみることをお勧めします

被疑者として扱われている場合には電話が1度だけということはあまり考えにくいため、次の電話を待つという選択肢もありますが、何度も電話に出られないということが続くと既に述べたとおり、逮捕に繋がる可能性もでてきます

折り返しをせずに放置をしておくことにはリスクしかありませんので、早めに折り返しをしておく方が無難です。

 

担当警察官の情報を忘れない

警察からの電話に対応する際には、担当警察官の所属部署、氏名、電話番号をメモすることも忘れないようにしてください。

警察から電話が掛かってくる際に残る番号に掛け直しても、代表の窓口に繋がるだけですので、「生活安全捜査課の〇〇さんをお願いします。」というように担当者を伝えなければ、スムーズに担当警察官と話が出来ないからです。

また、これらの情報を確認しておくことで、今後こちらから電話連絡をする際にスムーズに担当者に繋いでもらえますし、詐欺の電話かどうかも判別しやすくなります。

 

 

よくある質問

警察へ呼ばれた場合、拒否できますか?

警察から呼び出しを受けた場合、捜査に協力したくない、警察が怖い等の理由で拒否したいと考える方もいらっしゃるでしょう。

警察からの呼び出しは任意の捜査協力を求めるものになりますから、どのような立場で呼び出されていたとしても、拒否することは可能です

ただし、何度も注意しているとおり、被疑者が任意での取り調べに応じないのであれば逮捕に踏み切るということになりかねませんので、被疑者の立場で呼び出しを拒否することには慎重になるべきでしょう

警察から呼び出しを受けている日程の都合がつかないという場合には、その日に行くことが出来ない理由を伝え、代替日を提案するなどの対応をすれば大丈夫なことがほとんどです。

単に呼び出しを拒否するというのではなく、誠実に対応しましょう。

任意出頭に応じる必要があるかどうかについて、詳しくはこちらもご覧ください。

 

警察からの電話を録音してもいいですか?

警察から電話で気になることがあったり、内容を覚えきれなかったりといった事情で録音をしたいと考えることもあるのではないでしょうか。

結論として、警察からの電話を録音することに何も問題はありません

録音は通話相手に無断で行なったとしても違法ではありませんから、録音をする前に警察の了承を得る必要もありません。

録音の必要性を感じた場合にはためらわずに録音をしてください。

特に被疑者の立場であれば、その電話で警察官による利益供与や脅しが行われていた場合、録音は違法捜査が行われていたことの証拠になります。

また、詐欺の電話であった場合、警察に相談に行く際に録音データを聞かせることで警察も動きやすくなる可能性がありますので、録音は非常に有用な手段といえます。

他方、警察の取り調べや事情聴取を受けている最中は、基本的に録音は出来ません

警察が警察署の施設管理権の一環として、取調室内での録音を禁止しているからです。

不当な取り調べが行われていたとしても、そのことを録音によって証明できないという点で、このような取り扱いには大きな問題があると思いますが、電話と取り調べとでは扱いが違うということは覚えておきましょう。

 

取り調べで警察に行ってそのまま逮捕されることはありますか?

被疑者として呼び出しを受けている場合、最悪のケースとして考えられるのが、取調べに行ったその場で逮捕をされるというケースです。

基本的には警察が逮捕を考えている場合には、呼び出しを行う前に自宅や職場近くで声をかけられ、逮捕令状を示されて通常逮捕という流れを辿ることになります。

取り調べで警察に行ってそのまま逮捕されるというケースは、被疑者の供述無しではまだ逮捕するだけの証拠が揃っていないようなケースが多いように感じますが、一概にはいえません。

事件の性質や罪証隠滅のおそれがどの程度ある事件かによって、警察がどのような流れで逮捕をするか、それとも在宅事件のまま捜査をするかは異なりますので、取り調べを受ける前に一度弁護士に相談して今後の見立てを聞いてみてもいいかもしれません。

任意出頭後に逮捕される可能性について、詳しくはこちらもご覧ください。

 

 

まとめ

警察から電話がかかってきた場合の理由やその対処方法について解説を行いました。

自分は身に覚えがない場合であっても、犯罪になることを知らずに行なっていた行為についての呼び出しである可能性もありますから、基本的には電話には出た方がよいということが分かって頂けたかと思います。

電話に出て用件を確認した上で、用件に応じて適切な対応を取ることが必要です。

また、警察を騙る不審な電話である可能性もありますから、お金に関する話が出てきた場合には一度冷静にならなければなりません。

警察からの電話を受けて不安であるという方は、刑事事件に注力している弁護士が在籍している当事務所にぜひご相談ください。

 

 


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