大麻所持の現行犯で逮捕。起訴猶予、執行猶予の可能性はありますか?
大麻所持の現行犯で逮捕されてしまいました。
起訴猶予の可能性はありませんか?
仮に起訴されてしまったとして、執行猶予はつきますか?
起訴猶予や執行猶予の可能性はゼロではありません。
大麻所持の罪
大麻を所持していた場合、大麻取締法違反となります。
同法では、大麻の所持・譲り受け・譲渡しについては、5年以下の懲役に処することとされており(大麻取締法24条の2第1項)、営利目的での所持等については、7年以下の懲役又は情状によって200万円以下の罰金が併科されます(大麻取締法24条の2第2項)
第24条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦もしくは外国に輸入し、又は本邦もしくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役および三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第24条の2 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
大麻取締法違反について、詳しくはこちらのページで解説しています。
起訴猶予の確率は?
令和元年版犯罪白書によりますと、令和4年に大麻取締法違反で、起訴(公判請求)された人数は 3195人、起訴猶予となった人数は 1973人、起訴猶予率は 38.2%でした。
意外と不起訴の割合が高いように思いますが、おそらくこれは、検察は有罪見込みがあると判断しているものの、実際には裁判で有罪無罪が争われることが予想され、無罪判決が出される危険を回避する意味で不起訴とされたケースが多く含まれているからでしょう。
現行犯逮捕となると、より高い起訴率になるのではないかと予想されます。
とはいえ、起訴猶予の可能性は残されているでしょう。
所持量、所持目的、大麻への依存性の程度、同種前科前歴の有無、反省の程度、身元保証人の存在等さまざまな事情から、起訴するほどではないと判断されるケースはあると考えられます。
起訴猶予・不起訴処分を獲得するために、早期から充実した弁護活動を行う必要があります。
早期からの弁護活動は、仮に起訴されたからといって無駄となるわけではありません。
不起訴処分獲得のために集めた証拠は、執行猶予付き判決獲得のための証拠とほぼ重なるのです。
起訴するほどではないという判断と、刑務所に入れるほどではないという判断は、その考慮要素が共通するからです。
執行猶予の確率は?
令和元年版犯罪白書によりますと、大麻取締法違反の全部執行猶予率(懲役に限る。)は平成期を通じて81~86%台と一定しており、平成30年は86.5%となっています。
令和元年の犯罪白書(第4編/第2章/第3節/1)はこちらからどうぞ。
したがって、執行猶予が確実につくというわけではありません。
執行猶予中である場合や、同種前科が多い場合、大麻所持を繰り返し複数件同時に起訴された場合などには、執行猶予を付されない可能性が高まります。
執行猶予中の場合、全部執行猶予がつくことはありません。
刑の一部の執行猶予獲得を目指すことになります。
判決が出されてから後悔しても手遅れになりますから、可能な限り早期に弁護士を選任し、弁護活動・防御活動を充実させることが重要です。
大麻所持の弁護活動
大麻所持の場合、起訴猶予となる確率は上述したようにそれほど高くないと考えられます。
しかし、まずは起訴猶予の獲得を目指し、なるべく早期に弁護活動を開始した方がよいでしょう。
起訴されると、執行猶予がつく可能性がありますが、前科として残りしますし、起訴されると、ご家族が心配されると思われます。
また、会社などにお勤めの社会人の方については、解雇されるなどの問題も懸念されます。
大麻所持を認める場合は、しっかりと反省し、再度同じ過ちを犯さないように大麻関係者との関係を絶つこと、身元を保証してくれる人間を見つけることが必要です。
当事務所では、刑事弁護士が、被告人質問で被告人の反省を引き出したり、身元保証人になってくれる方を見つけるなどのサポートを提供しています。
大麻所持の弁護方針について、詳しくはこちらのページで解説しています。
まとめ
以上、大麻所持で現行犯逮捕された場合の起訴猶予・執行猶予について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
大麻所持の場合、起訴猶予や執行猶予の可能性はゼロではありません。
まずは起訴猶予を目指して活動し、起訴された場合は執行猶予の獲得を目指すことになりますが、そのためには、なるべく早い段階で、刑事事件に精通した弁護士にご相談されることをお勧めしています。
大麻取締法違反で逮捕されてしまった方、逮捕された本人のご家族の方、刑事事件に注力する弁護士が在籍する当事務所に、まずはお気軽にご連絡ください。
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なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか