振り込め詐欺について
振り込め詐欺とは何か
詐欺とは、重要な事実を偽って人をだまし、財産を交付させることをいいますが、その中でも、振り込め詐欺と呼ばれているものがあります。
振り込め詐欺とは、直接顔を会わせることなく、電話やはがきなどで人をだまし、指定した預金口座への振込を要求するなどして、お金を騙し取ることをいいます。
詐欺罪一般については、こちらのページをご覧下さい。
振り込め詐欺の中には、①成り済まし詐欺、②架空請求詐欺、③融資保証金詐欺、④還付金詐欺の4類型があります。
成り済まし詐欺は、オレオレ詐欺とも呼ばれるもので、電話を利用して、息子などに成り済まし、会社で大きなミスをした、会社の金を横領した、交通事故を起こしてしまった等の理由を使い、至急お金が必要である、お金がないから援助してほしいと申し向け、お金を騙し取ることをいいます。
架空請求詐欺は、有料サイトの利用、支払延滞等の架空の事実を口実として金銭の支払いを請求する文書を送付するなどして、お金を騙し取ることをいいます。
融資保証金詐欺は、電話、メール、FAX等を利用して融資を誘い、融資申し込みをしてきた者に対して、保証金名目のお金を要求し、騙し取ることをいいます。
還付金詐欺とは、自治体や税務署、年金事務所等の職員を名乗り、税金等の還付金があるかのごとく装ってATMに誘導し、ATMの操作を指示して、お金を騙し取ることをいいます。
こうした特殊詐欺を行うグループにおいては、お金を引き出す「出し子」、お金を受け取る「受け子」といった末端の役割を担う者から、詐欺の電話を掛ける「掛け子」、受け子から現金を受け取る運搬役、受け子らを担う人間を勧誘してくる者、さらには指示役など、幅広く役割を分担することが多いといえます。
役割に応じてそれぞれの貢献度合いが異なり、どのような行為を行い、詐欺行為にどの程度貢献したかという点について、量刑面で考慮されることはありますが、特殊詐欺は計画的に行われるものであって、被害者が多数存在し、総被害額が多額に上ることも多いため、悪質であると評価されやすく、末端の者でも起訴猶予に留まる可能性は低いといえるでしょう。
さらに、特殊詐欺グループの統括者とされる者については、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(組織的詐欺罪、同法3条1項13号)に問われる可能性もあります。
この場合、法定刑は1年以上の有期懲役となりますので、懲役刑の下限が1月である通常の詐欺罪(刑法246条1項)よりも重く処罰されることになります。
仮にそうならなかったとしても、詐欺罪の主犯格とされた場合、実刑判決の可能性が高まることになります。
弁護方針
振り込め詐欺を認める場合
振り込め詐欺の被害が社会問題化しており、警視庁も警戒を強めています。
振り込め詐欺行為が警察に発覚した場合、基本的に逮捕され、続けて勾留されます。
早期釈放を目指して、勾留決定に対して準抗告をする方法がありますが、認められることは少数です。
捜査が難航することもしばしばであり、勾留延長がなされる可能性も高く、23日間の間身体拘束を受ける可能性が高い事案であるといえます。
加えて、余罪が複数ある場合、再逮捕を繰り返すことで、更に身体拘束の期間が延びる可能性もあります。
早期釈放のために重要なのは、被害弁償を早期に行い、さらに示談を成立させることです。
被害者の許しを得れば、早期釈放される可能性が高まります。
ですが、振り込め詐欺は組織犯罪であることが多く、事案解明・再発防止の観点から、早期釈放は望ましくないとされています。早期の釈放は困難なのが現状です。
ですが、同一の現場で犯行がなされたのであれば、個々の被害者が異なったとしても、犯行態様などについては当初逮捕された事案と同一であることが多く、勾留や勾留延長を繰り返す必要性は乏しいと考えられます。
そのため、弁護活動の一つとして、そうした不必要な身体拘束を回避するよう、準抗告などで働きかけを行っていくことになります。
勾留が認められたとしても、起訴後に、保釈決定が出されることは多々あるので、保釈に向けて活動することになります。
また、執行猶予付きの判決が出れば、刑務所に入る必要がなくなりますので、執行猶予の獲得をも目標に弁護活動を行うことになります。
執行猶予を獲得するためには、しっかりと反省すること、再度同じ過ちを犯さないように振り込め詐欺グループ関係者との関係を絶つこと、示談交渉を成立させることが必要です。
被疑者は逮捕・勾留され、身体を拘束されていますから、示談交渉は弁護士が迅速に行う必要があります。
弁護士の技量と熱意によって、大きく示談交渉は影響を受けますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。
詐欺を認めない場合
振り込め詐欺を認めないケースとしては、詐欺について身に覚えが無く、知人や先輩等の指示に従いお金を受け取りに行ったに過ぎないケースなどが考えられます。
振り込め詐欺が検察官や警察官に発覚した場合、彼らはほぼ確実に、逮捕・勾留に踏み切ります。
その中で、早期釈放を現実のものとするために重要なのは、被疑者は単にお金を受け取ったに過ぎず、振り込め詐欺の故意がないこというとを示す証拠を、検察官や裁判所に多く提出することです。
被疑者が、振り込め詐欺グループの組織員から、遣わされていたこと、被疑者が分け前をほとんど貰っていないこと、振り込め詐欺の具体的な内容を知らないこと等を示すことが一例として考えられます。
そして、証拠を探し出し、検察官や裁判官に提出するためには、被疑者は身体を捜査機関に拘束されているわけですから、弁護士が迅速に証拠の収集に臨む必要があります。
弁護士の技量と熱意によって、証拠の収集も大きく影響を受けますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。
加えて、無罪主張を行う上で不利な証拠を作成させないための取調べ対応についても重要です。
警察や検察からの取調べに対しどのように対応すべきか、といった観点から、事案ごとに適切な対応を提案いたしますので、不利な証拠を残させないためにも、早期に刑事事件に特化した弁護士を選任し、取調べ対応のスタンスについて入念に打ち合わせを行うことで、不起訴、ひいては無罪判決を得る可能性を高めることができます。
まずは当事務所にお気軽にご相談ください。
なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか