カード詐欺で逮捕。どうすればいい?【弁護士が事例で解説】
罪名 | 詐欺 |
---|---|
解決までの期間 | 1ヶ月 |
弁護活動の結果 | 不起訴 |
Tさん(30代)
目次
大手フリマアプリで詐欺の共同正犯として逮捕されてしまったTさん
会社員であるTさんは、大手のフリマアプリで商品を転売し、収益を上げることを副業としていました。
Tさんには、よく商品を購入してくれる得意客がおり、その客から「ギフト券」を商品として出してほしいと言われ、ギフト券を転売していました。
当初、Tさんは、その客に対し、「ギフト券1万円を同額1万円で転売しても何も利益が上がりません」と伝えて断っていましたが、「ギフト券1万円を1万2000円で売ってくれたら良い」との返答があったことから、ギフト券を売りに出していました。
Tさんは、その客に対し、ギフト券を合計して100万円ほど売り、20万円ほどの収益を上げました。
その客は、他人名義の不正クレジットカードを利用してギフト券を購入していたのでした。
すなわち、自らは何ら支払いをすることなく、100万円のギフト券を手にしていたのです。
不正クレジットカードの使用が発覚し、フリマアプリ会社およびクレジット会社から警察に通報があり、事件が発覚しました。
客の詐欺罪の成立は明確でしたが、Tさんも利益を上げていたことから、詐欺の共同正犯として逮捕されました。
Tさんは、逮捕される際から、「全く身に覚えがない」としていたことから、Tさんの両親が、私選で弁護人を選任しようと考え、当事務所を訪れました。
弁護士の意見書により不起訴処分を獲得
私たちは、まずは本人の認識・主張を確認する必要があると考え、「初回接見サービス」として依頼を受け、即日で警察署に接見に行きました。
本人の話及び証拠関係を総合した結果、Tさんには、不合理な契約を締結しようとする客に対して不信感を抱くべきであった過失は大いに認められるものの、詐欺罪の共同正犯が成立するような「共謀」は存在しないし、「詐欺をしている認識」(故意)も存在していないという印象を持ちました。
本人の主張をしっかりと最後まで貫き、不起訴処分を獲得するべく、私たちは弁護人として正式に依頼を受け、弁護活動を始めました。
起訴されるか否かの争点は、明確であり、「共謀の成否」「故意の有無」でした。
弁護側として最も重要なのは、何らかの新たな証拠を収集することよりも(客とのやり取り等は全て既に押収されていました)、「本人の認識を捻じ曲げられた供述調書を作成させないこと」でした。
ですから私たちは、連日接見に向かい、本件における争点、取調べにおける注意点を事細かく説明すると同時に、現在作成しようとしている供述調書の内容や取調官が着目している(繰り返し聞いてくる)ポイントを聞き取り、調書を作成する上で特に注意すべき点を、時間をかけてアドバイスを出し続けました。
また、弁護側として不利に働く事情として「1万円で購入できる商品をわざわざ1万2000円で購入するなんていう馬鹿げた話があるはずがない」という事実評価があります。
この点にどのように反論を加えていくかも重要でした。
本人の当時の認識からすると、その理不尽さについて深く考察するよりも、小遣い稼ぎとして淡々と利益を上げていくことに主眼があったのであり、「不正クレジットカード使用の認識」があったと評価するには足りないことを主張し続けました。
証拠関係を総合すると、Tさんには過失が認められるとはいえども、共謀・故意は認められないという意見書を、起訴前に提出した上、検察官と面談を行いました。
検察官は、嫌疑不十分として不起訴処分とし、Tさんは釈放されました。
カード詐欺の逮捕の可能性
カード詐欺を行なってしまった場合、発覚が遅れたりすると被害額が高額になる可能性があります。
その結果、Tさんのように逮捕されてしまう可能性は十分にあるといえます。
カード詐欺で逮捕を防ぐには?
カード詐欺の事案で逮捕を防ぐためには、逃亡したり、証拠を隠滅したりする可能性がないことを、捜査機関にアピールする必要があります。
カード詐欺で不起訴となる確率
今回ご紹介したTさんのように、そもそも詐欺行為を行うつもりがなかったというような場合は、Tさんと同様に嫌疑不十分として不起訴となることを狙うことになります。
他方で、カード詐欺に当たる行為を行なってしまった場合は、弁護士を同席させた上で早期に自首を行った上で、被害者と直ちに示談交渉を行い、示談を成立させることがほぼ必須といえます。
カード詐欺で家族に発覚することを防ぐためには?
カード詐欺を行なってしまった場合に、家族への発覚を防ぐには、やはり逮捕・勾留を防ぐことに尽きるでしょう。
逮捕・勾留されてしまうと、自宅に帰ることができず、結果として家族への発覚を避けられなくなってしまいます。
そのためには、早期に弁護士を選任し、自首をした上で、必要な証拠などを全て捜査機関に提出し、証拠隠滅などの手段を採り得ない状況を自ら作り出します。
その後、被害者と示談交渉を進めていくことになります。
これにより、不起訴処分となる可能性を高めることができます。
まとめ
以上、実際の事例をもとに、カード詐欺の事案について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
カード詐欺の事案は、逮捕・勾留のリスクが比較的高いといえます。
ですが、刑事事件に強い弁護士を早期に選任することによって、示談成立の可能性を高め、不起訴となる確率を上げることができます。
お困りの際は、刑事事件に強い弁護士へのご相談を強くお勧めします。