窃盗の示談を成功させるには?【弁護士が事例で解説】
罪名 | 窃盗 |
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解決までの期間 | 1週間 |
弁護活動の結果 | 示談成立 |
60代男性 / 福岡市早良区
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
目次
拾った財布から金銭を抜き取ってしまったGさん
Gさんは、ショッピングを終え帰宅しようとした際、駐車場で前を歩いている人が財布を落すところを目撃しました。
被害者本人に届けようとしたGさんですが、財布を開けてみると10数万円という大金が入っていました。
Gさんは窃盗の故意を生じさせてしまい、10数万円を抜き取ってから財布を管理室に届けました。
管理室に財布を届ける映像、車に乗り込んで駐車場を出る映像から、Gさんが被疑者として特定され、警察から任意の取調べに応じるよう求められるに至りました。
弁護人の丁寧な説明と本人作成の謝罪文により示談成立
被害者は、窃盗を働いたGさんにかなり激怒していました。
しかしながら、弁護士が、私選弁護人として間に入って被害者とやり取りを重ね、Gさんが反省していることを丁寧に説明すると同時に、Gさんが作成した謝罪文を直接手渡したことで、被害者の怒りは和らぎ、示談成立に至りました。
被害者は、示談書とともに被害届取下げ書にも署名押印をし、刑事事件として処罰することを望まない旨を意思表示してくれました。
弁護士は、その日に被害届取下げ書を警察に提出し、示談が成立したことを伝えました。
その結果、Gさんは逮捕されることも起訴されることもなく、問題を解決することができました。
今回のポイント
Gさんははじめ、自ら示談交渉をしようと試み、被害者の連絡先を警察から聞き出そうとしていました。
しかしながら、被害者は、Gさんと接触したくないとして、連絡先の開示を拒否し続けていました。
弁護士が選任されてからは、被害者は「弁護士とであれば交渉には応じる」として連絡先の開示を承諾しました。
弁護士を選任したことによって示談交渉を開始することができたのです。
示談が成立していなければ、罰金刑を受けるか、最悪の場合には懲役刑を課される可能性も認められたケースであり、私選で弁護人を選任することによって、前科を付けないことに成功したケースであるといえます。
窃盗の示談金の相場とは
窃盗を行なってしまった場合の示談金は、基本的には盗んでしまった金額が前提となります。
盗んだ金額と同額のお金を返したり、あるいは盗んだ物を再度購入等するために必要な金額を返したりすることで、被害を回復し、被害者からの許しを得ることが重要になります。
もっとも、被害者は自分の物を盗まれたことで、精神的な被害をも受けたことになります。
その慰謝料、あるいは迷惑料として、幾らかの金額を上乗せすることも、場合によっては考えられるでしょう。
窃盗の示談書の書き方
窃盗の示談書は、以下のような内容になります。
最も重要なのは、第3条の「刑事処罰を求めない。」という部分です。
犯した罪を認めて謝罪し、解決金を支払うことで、被害者が加害者のことを許す、という内容の記載がなければ、有効な示談書とはなりません。
その他、犯罪事実について誰にも口外しないという条項や、今後はお互い一切関わらないという条項、解決金を支払うことで民事上も刑事上もこの件は解決とし、今後はお互い何も請求などしないという内容の条項などを設けることが多いです。
こちらのサンプルはあくまで基本的なものであり、双方の希望を取り入れて、条項を追加することもあります。
ですが、法的に有効な条項とするために、どのように記載をするのか、また他の条件を組み込むことで何か別の問題が生じないか、などといった観点からのチェックは重要であり、これを怠ると後々になって問題が発生する可能性もあります。
そのため、実際に示談書を作成するということになるのであれば、作成を弁護士に依頼するなどしておく方が無難といえるでしょう。
窃盗の示談の流れ
窃盗をしてしまった場合に示談をするためには、弁護士を通じて被害者に連絡を取る必要があります。
加害者が被害者に対し、直接に連絡を取ることは原則としてできません。
被害者は、自分のものを盗んだ相手に対し、強い怒りを覚えたり、あるいは恐怖を感じたりして、直接のやり取りを拒むケースがほとんどです。
「人のものを盗んでおいて許してほしいなど虫が良すぎる」と考える方も当然いらっしゃるでしょう。
あるいは、今度は加害者から脅されて示談を迫られ、意に反して被害届を取り下げなければならなくなる可能性も頭をよぎるかもしれません。
こうした可能性があることから、警察も加害者に対し、被害者の連絡先を教えることは基本的にありません。
しかしながら、弁護士限りという条件であれば、被害者は連絡先を教えてくださることが多いです。
弁護士は、連絡先を確認した上で、被害者に連絡を取り、加害者に代わって謝罪をします。
そして、被害額をしっかりと返すか、全額の返金が難しければ、一部だけでも返金することを申し出た上で、刑事処罰を望まない旨の示談書にサインをしてもらえないかどうか、交渉していくことになります。
示談が成立すれば、弁護士が示談の内容を書面にまとめ、被害者の方からサインをいただきます。
その後、示談金をお支払いした後で、示談書を捜査機関に提出します。
これにより、被害者との間で示談が成立した事実を捜査機関に伝えることができ、処分を決定する上で考慮してもらえることになります。
まとめ
不起訴処分となるために示談することを希望するのであれば、検察官が最終処分を決めるよりも前に弁護士に依頼した上、早急に示談交渉を開始しなければなりません。
基本的には、全額の返金ができない限り、被害者の方が許してくださる可能性は高くありません。
ですが、刑事事件に精通した弁護士に依頼することで、被害者の心情にも配慮しつつ粘り強く交渉を行い、分割での返済なども提案しつつ、示談の成立に向け尽力します。
ご不安の際は、ぜひ刑事事件に注力する弁護士が在籍する当事務所に、まずはお気軽にご相談ください。