借金返済のコツは、ただ闇雲に返済をするだけではありません。
きちんとした返済計画を立てて、無駄な支出を抑えることが返済への近道です。
それでも返済が難しければ債務整理を検討すべきでしょう。
毎月借金の返済に追われていて、経済的に余裕がない毎日を送っていると、「自分には借金の完済なんて無理だ」とネガティブに考えてしまいがちです。
借入先が増えれば増えるほど返済管理が大変になっていき、最終的にはどこからどれくらいお金を借りているのか、いつまでに口座にお金を入れておけばいいのか、わからなくなってしまいがちです。
借金を完済するにはコツがあり、ポイントを理解して、コツコツと計画的に返済することができれば、どれだけ借金があったとしても完済することができます。
この記事では、借金をできるだけ早く完済するコツや、借金を早く返済するメリットやデメリットについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。
完済できるにもかかわらず、「自分には完済は無理だ・・・」と投げやりになってしまうのは非常にもったいないです。
ぜひ、この記事を参考に、借金完済を目指してみてください。
借金を早く返す12のコツ
借金を早く完済するためには、ただ闇雲に返済をするだけではなく、早く返済する”コツ”をしっかり理解しておく必要があります。
借金を早く返すコツは、次の通りです。
- どこからどれくらいお金を借りているのかを整理する
- 毎月の返済可能額から具体的な返済計画を立てる
- 毎月遅れずに返済する
- 毎月の返済額を増やす
- 余裕があるときに繰り上げ返済や一括返済を利用する
- 金利の高い借金から優先的に返す
- リボ払いはしない
- 家計を見直して固定費を削減する
- 家計簿をつけて出費を抑える
- 転職や副業などで収入を増やす
- 完済後にしたいことを想像してモチベーションを保つ
- おまとめローンで借金を一本化する
ここからは、それぞれの項目についてくわしく解説していきます。
どこからどれくらいお金を借りているのかを整理する
まずは、自分がどこからどれくらいお金を借りているのか整理するところから始めてください。
どこからどれくらいお金を借りているかが分からなくなってしまうと、具体的な返済計画を立てることができず、効率よく返済できません。
また、完済までの道が明確に見えてこないと、毎月の返済のモチベーションも上がらず、余計にお金を借りてしまったり、とりあえず最低限の返済だけするなど、完済に対して否定的な考えになってしまいがちです。
面倒かもしれませんが、まずはすべての借金を整理することをおすすめします。
なお、借金を整理する場合、次に挙げる事項をすべて書き出すことをおすすめします。
【借金を整理する際に確認すべき事項】
- どこから借りたのか
- いくら借りたのか
- 金利はどれくらいか
- 毎月の返済金額はいくら
- 借金はいくら残っているか
- あと何年で完済できるのか
- 返済日はいつか
- ショッピング、キャッシング、一括、分割、リボの区別 など
詳細を確認する際は、契約書や借入先から届く明細書、アプリなどのマイページから確認するようにしてください。
毎月の返済可能額から具体的な返済計画を立てる
どこからどれくらいお金を借りているかを整理できたら、毎月の返済可能額から具体的な返済計画を立てるようにして下さい。
返済計画を立てる際は、できるだけ具体的に計画を立てるようにしましょう。
もちろん、毎月の利息まで加味して返済計画を立てるのは難しいですが、さまざまな会社が提供している返済シミュレーションを利用すれば、簡単に返済計画を立てることができます。
返済計画を立てる際のポイントは、生活に無理のない範囲で毎月の返済金額を設定することです。
早く返済したいがために高額な返済金額を設定してしまうと、返済途中で生活が苦しくなってしまい、結局返済がストップしてしまうおそれがあります。また、生活のために結局追加でお金を借りてしまうということも起こり得ます。
返済のモチベーションが高いことは良いことですが、できるだけ無理のない範囲で、現実的な返済計画を立てることが重要です。
毎月遅れずに返済する
返済計画を立てたら、あとは返済計画に沿って毎月コツコツと返済していくことになります。
返済をしていく上でもっとも重要なのは、返済日に遅れないようにすることです。
もちろん、人間なので口座にお金を入れるのをうっかり忘れてしまうこともあるかもしれませんが、返済日の支払いが遅れてしまうと、遅れた日数分の遅延損害金が加算されてしまいます。
本来支払う必要がない遅延損害金を支払うのは非常にもったいないので、必ず忘れずに返済するようにして下さい。
また、一度返済に遅れてしまうと、返済のモチベーションが下がってしまったり、「1回くらい返済が遅れても良いや」などと考えてしまいがちです。
支払いを口座振替にしている場合には、残高不足になっていないかを定期的に確認するようにして、完済するまで1度も返済には遅れないくらいの気持ちで、返済を続けていくと良いでしょう。
毎月の返済額を増やす
借金を早く返すためには、毎月の返済金額を増やすのが効果的です。
業者にもよりますが、通常お金を借りた場合には、毎月の返済金額を自分で設定することができます。
この返済金額は、返済途中で自分で変更することができるため、経済的に少し余裕ができたのであれば、返済金額を上げることで、完済までにかかる時間を減らすことができます。
逆に、毎月の返済が厳しいからといって、支払額を最低返済額に設定したままでいると、返済した金額のほとんどが利息に回されてしまい、いつまでたっても完済することができません。
お金がないのに無理して返済金額を上げる必要はありませんが、たとえばボーナス払いなどを利用して年2 回は多めに支払ったり、臨時収入が入った時には1万円でも多く支払うようにすると、完済までにかかる時間を短縮することができるでしょう。
余裕があるときに繰り上げ返済や一括返済を利用する
経済的に余裕があるときには、毎月の返済日以外のタイミングで返済する繰上げ返済を利用することで、完済時期を早めることができます。
繰上げ返済は比較的少額からおこなうことができるため、たとえば、1,000円以上のお釣りが出たら全て繰上げ返済に回す、など自分で返済に回す際のルールを決めておくことで、効率良く借金を減らすことができるようになります。
返済はコンビニのATMやネットバンキングで手軽におこなうことができるため、思いついたらすぐに行動に起こすようにしましょう。
また、まとまったお金ができたら、一括返済で一気に借金を減らすことも視野に入れると良いでしょう。
金利の高い借金から優先的に返す
借金を返済する際は、金利の高いものから優先して支払うようにしてください。
金利が高い借入れは、金利が低い借入れと比べて加算される利息の額が大きくなりがちで、返済期間が伸びれば伸びるほど、自分では支払いきれないような額の利息になってしまうおそれがあるからです。
もちろん、全ての借入れに対して平等に返済していくのが基本ではありますが、どうしても毎月の返済が苦しい場合には、低金利の借入れの返済額を調整して、高金利の借入れを多めに支払う方が、結果的に支払う利息の額を少なくすることができます。
リボ払いはしない
クレジットカードには、ショッピングやキャッシング利用分の返済方法として、翌月1回払い、分割払い、リボ払いなどの支払い方法があります。
このうち、無計画でリボ払いばかりしていると、支払額のほとんどが利息の支払いに充てられてしまい、元金がいつまで経っても減っていかないおそれがあります。
もし、すでにリボ払いをしてしまっている人は、繰上げ返済を利用して、他の借入れよりもいち早く返済することを心がけてください。リボ払いの支払額を上げることも効果的です。
ちなみに、分割払いでも利息が発生するため、リボ払いと同様にできれば避けた方が無難です。
しかし、高額な買い物をしてどうしても分割で支払いたい場合には、リボ払いよりも分割払いの方をおすすめします。
分割払いであれば、あらかじめ自分で決めた分割回数内で、必ず支払いが終わることになるからです。
なお、クレジットカード契約の最初に自動リボ払い設定にしてしまうと、たとえ支払いの際に一括払いを選択しても、自動でリボ払いになってしまいます。
もし自動リボ払いの設定をしている場合には、カード会社に連絡して、設定を解除することをおすすめします。
家計を見直して固定費を削減する
借金を早く完済するためには返済額を上げることが重要ですが、そのためには返済資金を確保しなければなりません。
今ある仕事の収入が増える見込みがあるならいいですが、そうでない場合には、1度家計を見直して、固定費を削減できないか検討してみると良いでしょう。
固定費とは、家計における支出のうち、毎月ほぼ定額を支払うことになるものを指します。
具体的には、次のようなものを指します。
【家計における固定費とは?】
- 家賃
- 水道光熱費
- 各種保険料
- 通信料(インターネット、スマホなど)
- 子どもの教育費や習い事
- 車やバイクの維持費
- 動画サイトや音楽配信などの各種サブスクリプションサービスの料金 など
固定費を合計で1万円でも削ることができれば、その分返済に回すことでいち早く完済を目指すことができます。
たとえば、光熱費を抑えるために日頃から節電を心がけたり、通信料を抑えるために、スマホの料金プランを変更すべきか検討するのが良いでしょう。
また、子どもの習い事については、動画サイトなどを利用して無料で学べるものもあるため、高額なお金を払ってまで習い続ける価値があるのかを、しっかり検討してみることをおすすめします。
家計簿をつけて出費を抑える
また、返済資金を確保する方法としては、家計簿をつけて無駄な支出をなくす方法があります。
「家計簿をつけるだけで支出が減るとは思えない」と考える人もいるかもしれませんが、毎月の収入や支出をただ書き出すだけでも、自分が何にお金を使っているかを把握できるため、浪費を見つけやすくなります。
いきなり細かい家計簿をつけるのが難しい場合には、まずは大まかに支出を書き出し、自分のお金の流れを把握してください。
どの項目に計上すればいいのかわからない場合には雑費としてまとめたり、1円以下は切り捨てて計算するようにすると、初心者でも負担なく家計簿をつけられるでしょう。
家計簿は、手書きでもメモ帳アプリでもなんでも構いませんが、家計簿アプリを利用すれば、レシートや領収書を撮影するだけで、簡単に情報をアプリ内に記録できるものもあります。
また、アプリで家計簿をつけることで、スマホ1つでどこにいても家計管理をすることができるため、家計簿の確認を習慣化することができます。
転職や副業などで収入を増やす
返済に回す資金を確保するためには、そもそもの収入を上げることも検討してみると良いでしょう。
もし、もともと転職を検討していたのであれば、これを機により給与が高い仕事への転職を考えてみてください。
また、収入を増やす方法としては、本業以外に副業をおこなうこともおすすめです。
仕事が休みの日に数時間だけでも働くことができれば、毎月の返済に回す分のお金を確保することができるでしょう。
副業にはさまざまな種類のものがあり、人材派遣会社に登録をして派遣のアルバイトをしたり、クラウドソーシングサービスを利用して在宅ワークで稼ぐ方法もあります。
とくに、クラウドソーシングサービスを利用すれば、自分で自由に働く時間を設定できる上、在宅で仕事ができるため、副業をしながらライフワークバランスを整えることも可能です。
ただし、会社によっては副業を禁止している会社もあります。あとあとトラブルになるのを防ぐためにも、あらかじめ会社の就業規則を確認しておくようにしてください。
完済後にしたいことを想像してモチベーションを保つ
娯楽費を削減したり、長期間に渡り借金の返済をしなくてはいけないのは、精神的にも負担が大きいかもしれません。
そんな時は、借金を完済したあとの生活のことを想像して、返済のモチベーションを保つことを心がけてください。
いち早く完済することを目指して借金を返済していると、浪費やギャンブルなどの無駄な出費は避けなくてはいけません。
返済のモチベーションが下がってしまうと、「1回だけならいいか」とギャンブルをしてしまったり、「高いけど分割で買うならいいか」などと浪費行為をしてしまうおそれがあります。
借金さえ完済してしまえば、毎月返済に充てていたお金を自由に使うことができるため、返済中は常に返済後の自分を想像しておくと良いでしょう。
おまとめローンで借金を一本化する
複数の金融機関からお金を借りて返済が困難になる多重債務者の場合には、おもに銀行が提供している低金利のおまとめローンを利用することで、完済までの道が見えやすくなる可能性があります。
おまとめローンとは、複数社からの借入れを一社にまとめることで、返済管理を楽にするローン商品のことです。
おまとめローンを利用すれば、今までさまざまな業者にお金を返済していたのが、1社にだけ返済すればよくなるため、完済までの道のりが明確になります。
また、多くの場合、おまとめ後の上限金利が下がるため、計画的に利用することで、返済する利息総額が下がる可能性があります。
ただし、おまとめローンを利用したからといって必ずしも金利が下がるとは限りませんし、むしろ毎月の返済負担額が下がる分、返済総額は上がってしまう可能性も考えられます。
また、おまとめローンには通常のローン契約と同じように審査があるため、これまでの借入れ状況や債務総額などによっては、審査に通らない可能性も考えられます。
おまとめローンの利用を検討しているのであれば、あらかじめいくら返済総額が減るのかを、しっかりシミュレーションしておく必要があるでしょう。
借金を早く返済するメリットとデメリット
借金を早く返済するメリットやデメリットは次の通りです。
【借金を早く返済するメリットやデメリット】
メリット | デメリット |
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借金を早く返済することの1番のメリットは、完済までの期間が短くなり、最終的に支払う利息の総額が少なくなることにあります。
返済の利息は毎月支払う必要があるため、支払い期間が長くなればなるほど、余計なお金を支払うことになってしまうのです。
また、返済が早く終われば、これまで返済に回していた分のお金を自由に使えるようになるので、経済的に自由な生活を手に入れることができます。
一方、借金を早く返済するデメリットとしては、返済する分のお金を預金に回すことができないので、銀行に一定期間お金を預けることで得られるはずの利息をもらえなくなってしまうことが挙げられます。
また、繰上げ返済をする場合、その分普段より多めにお金が必要になるため、計画的に利用しないと、本来の返済日にお金を返すことができなくなってしまい、遅延損害金がついてしまったり、借金返済のために借金をすることになってしまう可能性があります。
基本的に借金は早く返すことに越したことはないので、計画的に繰上げ返済をおこなって、経済的に自由な生活を手に入れることをおすすめします。
借金返済が難しいときは債務整理検討
自分で返済管理が難しくなってしまい、どうしても毎月の返済が厳しいのであれば、債務整理で毎月の返済負担額を調整することをおすすめします。
債務整理とは、借金を整理する手続き全般のことで、おもに「任意整理」・「自己破産」・「個人再生」の3つの手続きのことを指します。
債務整理と聞くと、ブラックリストに情報が載ってしまったり、全財産を失ってしまうかもしれない、などマイナスなイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、借金の返済に苦しんでいて、すでに返済を滞納した経験がある場合には、債務整理をする以前に、信用情報に傷がついている可能性が高いです。
また、任意整理であれば、財産を取られることもなく、家族や友人など、周囲の人に借金のことがバレる心配もありません。
さらに、自己破産をすると官報と呼ばれる国の新聞に情報が記載されますが、官報の存在自体を知らない人もたくさんいるため、官報から自己破産した情報がバレることは考えにくいです。
3つの債務整理のうちどの方法を選択すべきかは、借金の返済状況や本人の収支状況を見て総合的に判断する必要があります。
なかには、債務整理で弁護士に相談したはいいものの、家計を見直して余計な支出を削るだけで借金を完済できた、というケースも存在します。
借金問題の解決実績が豊富な弁護士であれば、その人に合った解決方法を提示してくれるため、返済に困ったらまずは1度気軽に相談してみてください。
なお、債務整理のデメリットについては、こちらの記事もご覧ください。
まとめ
借金の完済を目指すためには、借金返済のコツをしっかり理解しておくことが重要です。
とくに、自分が借りている借金情報の整理は、1番最初におこなうようにしてください。
借金情報を整理できれば、具体的な返済計画を立てることで完済までの道のりが明確に見えてくるでしょう。
もし、いろいろ自分で対策した上で、それでも返済が厳しいのであれば、借金問題の経験豊富な弁護士に相談して、債務整理を検討することをおすすめします。
デイライト法律事務所では、債務整理の専門チームとして破産再生部を設けており、破産再生部に所属する弁護士が借金の返済に苦しむ方々を強力にサポートしています。
借金問題でお困りの際は、ぜひ1度当事務所までお気軽にご相談ください。