クレジットカードの支払い遅れは、カードが使えなくなったり、遅延損害金が発生したり、ブラックリストに載ってしまったりするリスクがあるため、アウトとなります。そのため、できるだけ遅れないようにしておく必要があります。
ただし、すぐに返済ができない状況の場合は、影響を最小限にするために、弁護士に相談することも検討しましょう。
クレジットカードの支払いを口座振替で行っている方も多いと思いますが、支払期日にお金を入れておくのをうっかり忘れてしまうこともあるでしょう。
もし、クレジットカードの支払いが1回でも遅れてしまった場合、すぐにブラックリストに載ってしまうのではと不安になっている方もいるかもしれません。しかし、これまでに遅れがなく、1回遅れただけであればすぐにブラックリストに載ることはありません。
うっかりミスで滞納した場合の影響を最小限にするためにも、支払いに遅れた場合の流れと、支払いが遅れるときの対処法をしっかり頭に入れておくことが重要です。
この記事では、クレジットカードの支払いに遅れたらどうなるのかについて解説したうえで、どうしても支払いが遅れてしまうときの対処法をくわしく解説していきます。
クレジットカードの支払いが遅れたらどうなる?
クレジットカードの支払いが遅れた場合、次のようなデメリットがあります。
以下、それぞれ解説していきます。
①信用情報に支払い遅れの情報が残るリスク
クレジットカードの支払いが遅れると、信用情報機関に支払い遅れの情報が残ってしまうリスクがあります。
信用情報に「利用者の事情で入金がなかった」ことが登録されると、新たにカードを作る際の審査や各種ローン審査の際に悪影響を及ぼす可能性があります。
とはいえ、うっかり引き落とし口座にお金を入れ忘れてしまい、返済に遅れてしまうことは誰にでもあることです。
そのため、1度の支払い遅れであれば、信用情報に影響のないケースがほとんどです。
一方で、滞納期間が2〜3ヵ月の長期に及んだり、短期間の滞納を何度も繰り返していると、ブラックリストに載ってしまうため、返済能力を疑われてしまい、ローン審査に通らなくなる可能性があります。
うっかり口座にお金を入れるのを忘れただけならそこまで気にする必要はありませんが、何度も返済遅れを繰り返すような状態であれば、早急に対策を施す必要があるといえるでしょう。
②遅延損害金が発生する
クレジットカードの支払いに遅れた場合、返済日の翌日から遅延損害金が発生します。
遅延損害金は、約束された期日に返済がなかったことによるペナルティです。
そのため、支払いに1日でも遅れた場合には、遅延損害金を支払う義務が発生します。
ここで、遅延損害金の計算方法を確認してみましょう。
クレジットカードの遅延損害金利率は、カード契約ごとに異なりますが、ショッピングなら14.6%、キャッシングなら20%に設定されていることが多いです。
クレジットカードのキャッシングで10万円お金を借りて、翌月に一括返済を行う予定だった場合を想定します。
返済日に返済が間に合わず、10日滞納してしまい、遅延損害金の利率が20%だった場合、発生する遅延損害金は以下の通りです。
10万円 × 20% ÷ 365日 × 10日 = 547円
金額を見ていただければわかる通り、滞納期間が数日であれば、遅延損害金の額もそこまで大きくなりません。
しかし、滞納期間が伸びたり、滞納金額が増えれば増えるほど、遅延損害金の額も大きくなっていきます。
気づいたら返済できないほど借金が膨れ上がっていることもあるので、支払いが遅れてしまったら、速やかに返済することを心がけましょう。
③返済するまでクレジットカードを利用できなくなる
クレジットカードの支払いが1日でも遅れてしまうと、滞納金額を返し終わるまでクレジットカードを利用できなくなります。
カードの利用が停止されるタイミングはカード会社ごとに異なりますが、早いところだと本来の支払日の翌日から利用できなくなるケースもあります。
カードが使えるようになるのは、滞納分を返済して2〜3日経過してからとなりますが、長い場合だと数ヵ月に渡りカードの機能が利用できなくなるケースもあります。
公共料金や携帯料金の支払いなど、クレジットカード払いにしている場合には、カードの利用停止に伴い、支払いができなくなるおそれがあります。
日常生活でクレジットカードを利用している場合には、支払い遅れでカードの利用ができなくなることを、しっかり頭に入れておいてください。
所有しているほかのカードも利用できなくなる
クレジットカードの支払い遅れが続き、信用情報機関に事故情報が登録されると、滞納しているクレジットカード以外のカードも使えなくなるおそれがあります。
クレジットカード会社は、利用者の支払い能力を確認するために、定期的に審査を行っています。
審査は、主に信用情報機関に登録されている情報を参考に行いますが、その際に事故情報が登録されていると、「近い将来返済が滞るのではないか」と疑われてしまい、カードの利用を停止されてしまう可能性があります。
1つでもカードの支払いに遅れてしまった場合には、ほかのカードが使えなくなってしまわないように、速やかに返済をしてください。
④滞納期間が続くと強制解約や一括返済を要求される
支払いの滞納が2〜3ヵ月続くと、クレジットカードが強制解約になり、残っている債務全額を一括で返済するよう要求されます。
強制解約になるタイミングはカード会社によって異なりますが、これまでにも滞納を繰り返していたり、カード会社からの督促連絡を無視している場合には、強制解約になるタイミングも早くなる可能性があります。
強制解約になった情報は、支払い遅れと同様に信用情報機関に登録されます。
1〜2回の支払い遅れならまだしも、強制解約になった場合には、新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることは難しくなると考えておくべきでしょう。
また、一括返済の要求は、クレジットカードの利用額全額に対して行われます。
キャッシングの滞納で強制解約になった場合でも、ショッピングの利用分やリボ払い・分割払いの残額についても一括での返済を要求されるので、注意が必要です。
クレジットカードのポイントも失効する
強制解約になると、クレジットカードのポイントも失効します。
ポイントが貯まっているからといって、その分を借金の返済に充てることはできません。
家族カードやETCカードも強制解約になる
クレジットカードが強制解約になると、そのカードと紐づいている家族カードやETCカードも強制解約となります。
家族カードやETCカードは、契約者本人の信用に基づいて発行されるカードです。
支払い遅れでクレジットカードを強制解約となった場合には、本人の経済的信用がなくなるので、そのカードに紐づくカードは全て利用できなくなります。
家族カードが使えなくなることで、そのカードを使用していた家族の信用情報に傷がつくわけではありません。
しかし、日常生活で家族カードを使っていた場合には、家族の生活に悪影響を及ぼす可能性があることを、頭に入れておく必要があります。
同じ会社と系列会社の審査に通らなくなる
クレジットカードが強制解約になった場合、たとえ滞納分を返済したとしても、社内ブラックとして今後同じ会社ではカードを作ったりローンを組めなくなる可能性が高いです。
強制解約になり経済的な信用を失った場合、借金を回収できなくなるリスクのある利用者と判断されてしまうため、今後取引をしてくれなくなるのです。
また、強制解約になった情報は系列会社で共有されるため、解約になった会社と同じ系列の銀行や消費者金融からの借入もできなくなる可能性が高いです。
この場合、たとえ信用情報が回復しても、社内ブラックの履歴は残り続けるため、半永久的に取り引きできなくなる可能性があります。
⑤裁判を起こされ財産を差し押さえられる
支払いもせず、督促の連絡にも応じない場合には、最終的に裁判を起こされ、財産を差し押さえられます。
裁判を起こされるタイミングはカード会社ごとに異なりますが、滞納期間が3ヵ月程度になると、裁判を起こされるリスクが高まります。
「最終通告書」と呼ばれる裁判を予告するような手紙が届いたり、債権回収会社から督促の連絡が届いた場合には、近い将来裁判を起こされる可能性が極めて高いです。
裁判で、借金の存在と支払い義務が認められた場合、カード会社はそのまま強制執行の手続きに移ることができるようになります。
銀行口座であれば、その口座に入っているお金全額が差し押さえられ、借金の返済に充てられます。
また、給与の場合、4分の1にあたる金額が差し引かれた形で振り込まれることになるため、生活が今よりも苦しくなる可能性が高いでしょう。
クレジットカードの支払いを滞納して差し押さえを受けた場合、生活が苦しくても基本的に差し押さえを止めることはできません。
強制執行の段階までいってしまうと、カード会社はほとんど交渉には応じてくれなくなります。
自己破産するしか選択肢がなくなってしまうので、取り返しがつかなくなる前に、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
クレジットカードの支払いが遅れるときの対処法
どうしてもクレジットカードの支払いが遅れてしまいそうな場合には、次の対処法を試してみてください。
- カード会社に支払いが遅れることを伝え、できる限り速やかに返済する
- 分割払いやスキップ払いなど、支払い方法の変更ができないか確認する
- カード会社にいつまでにいくら返せるかの意思を伝える
- 一時的に返済が苦しいなら公的融資制度を活用してお金を借りる
- 継続的に支払いが難しいと感じたら弁護士へ相談する
以下、それぞれくわしく解説していきます。
カード会社に支払いが遅れることを伝え、できる限り速やかに返済する
思っていたよりもカードの支払い額が多く、うっかり引き落とし金額が口座に入っていなかった場合には、各カード会社の支払い方法に従って、速やかに支払いを行ってください。
再引き落とし日が決まっている場合もあれば、指定口座に振り込みをしなければいけないケースもあります。
数日以内に支払いできるのであれば、ブラックリストに載ることもありませんし、遅延損害金が膨らんでしまうこともありません。
1度支払いが遅れたくらいで経済的な信用を失うケースは少ないので、支払いできなかったことに気づいたら、速やかにカード会社の指示に従って返済するようにしましょう。
分割払いやスキップ払いなど、支払い方法の変更ができないか確認する
支払い方法の種類はカード会社によって異なりますが、請求金額が確定する前であれば、一括払いから分割払いやスキップ払いなどに変更できるケースが多いです。
分割払いに変更できれば、その分、返済負担額は減りますし、スキップ払いであれば、翌月以降に返済を先延ばしすることができます。
カードを使い過ぎてしまったり、急な出費でどうしても経済的に苦しい場合には、あとから支払い方法を変更して、毎月の負担額を調整することを検討してください。
なお、あとから支払い方法を変更する場合、リボ払いしかできないケースもありますが、できればリボ払いは避けた方が無難です。
リボ払いの仕組みを理解せず、最低金額で支払いを続けていると、いつのまにか手数料が膨れ上がってしまう可能性があるからです。
支払い方法の変更を検討するのであれば、リボ払いではなく、分割払いやスキップ払いを選択するようにしましょう。
なお、リボ払いについてくわしく知りたいた方は、以下の記事をご覧ください。
カード会社にいつまでにいくら返せるかの意思を伝える
支払いに遅れてしまいそうであれば、あらかじめ支払いに遅れてしまいそうであることを、クレジットカード会社に連絡しておくのが良いでしょう。
連絡をする際は、「支払いに遅れる原因」や「いつまでに支払いできるのか」を、具体的に伝えるようにしてください。
支払いまでに少し時間がかかる場合、カード会社によっては、家計簿や給与明細の提示を求められるケースがあります。
誠実さをアピールするためにも、カード会社の指示には真摯に応じるようにしてください。
もちろん、カード会社に連絡したからといって遅延損害金が発生しなくなるわけではありませんし、利用停止処分を止めてくれる保証を得られるわけでもありません。
しかし、支払いする意思や誠実さをアピールしておくことで、カード会社が支払いを待ってくれる可能性もあります。
督促を無視していると、「支払いの意思がない」とみなされてしまい、早い段階で裁判を起こされてしまう可能性が高まります。
支払いにどうしても遅れてしまいそうであれば、カード会社に連絡して、今後の支払い計画を立てることをおすすめします。
一時的に返済が苦しいなら公的な融資制度でお金を借りる
病気などで働けなくなってしまい、収入が減少したために支払いが難しい場合には、公的な融資制度でお金を借りることも検討してください。
基本的に、借金の返済のためにお金を借りることは推奨できません。
複数社からお金を借りて自転車操業になってしまうと、手数料が膨らんでしまい、借金を返せなくなってしまう可能性が高いからです。
ただし、一時的に生活が苦しいだけであり、かつ低金利もしくは無金利でお金を借りれる公的な融資制度であれば、お金を借りても返済できなくなるリスクを下げることができるでしょう。
また、契約者貸付制度を利用できる生命保険に加入している場合であれば、解約返戻金の範囲内でお金を借りるのも良いでしょう。
病気や失業で一時的に返済ができない場合には、各自治体の窓口や社会福祉協議会に連絡し、公的な融資制度を利用できないか検討してみましょう。
継続的に支払いが難しいと感じたら弁護士へ相談する
今後、継続的に返済を行っていくのが難しいと感じたら、なるべく早めに弁護士に相談することをおすすめします。
借金問題で弁護士に相談する主なメリットは、以下の通りです。
- 借金の状況や家計の状況から、今後どうすればいいか適切なアドバイスをもらえる
- 自分に合った債務整理を選択してくれる
- 債務整理をすればカード会社からの督促を止められる
- 過払い金が発生しているか調べてくれる
- 借金問題を解決し生活を1から立て直せる
借金問題に精通している弁護士であれば、その人の生活状況や借金状況を正確に把握し、最適な解決策についてアドバイスをもらえます。
返済を1度でも滞納すると、自己破産しかないと考えがちです。
しかし、借入先の数や借入金額、毎月の返済可能額によっては、滞納が続いている状況でも自己破産せずに済むケースも少なくありません。
弁護士に相談したからといって必ずしも依頼しなければいけないわけではないので、返済管理ができなくなっている場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
なお、債務整理について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧下さい。
クレジットカードの支払いについてのQ&A
クレジットカードの支払いが毎月遅れるとどうなる?
たとえ、支払いに遅れてしまったあとすぐに返済できたとしても、それが何度も続いた場合には、ブラックリストに載ってしまう可能性があります。
短期間の滞納だったとしても、それが何度も続けば支払い能力を疑われてしまう場合が多いからです。
何回目の滞納でブラックリストに載るかはカード会社によって異なりますが、3〜4回連続で滞納してしまった場合には、たとえすぐに返済していたとしても何らかのペナルティを受ける可能性が高いといえるでしょう。
1回支払いに遅れてしまっただけで信用情報に傷がつくことはありませんが、滞納回数が増えれば増えるほど、ブラックリストに載るリスクが高まることを覚えておきましょう
クレジットカードは何日遅れたらやばい?
クレジットカード会社にもよりますが、滞納期間が2ヵ月以上になると、強制解約になりブラックリストに載る可能性が高まります。
うっかりミスで支払いが遅れてしまった場合でも、1〜2週間程度の滞納であれば、とくに今後に影響がないケースがほとんどです。
一方で、督促の連絡を無視したり、2ヵ月以上滞納している金額を支払わなかった場合には、強制解約になり、残りの債務額を一括で返済するよう要求される可能性が高いです。
滞納期間が3ヵ月以上になった場合には、裁判を起こされて、銀行口座や給与そのものを差し押さえられてしまう可能性もあります。
カード会社によっては、もっと早いタイミングで強制解約等のペナルティを受ける場合もあるので、支払いに遅れた場合には早急に対策を施す必要があるでしょう。
まとめ
クレジットカードの支払いに遅れたとしても、1回遅れたくらいでブラックリストに載ることはありません。
すぐに支払いをすれば問題ないケースがほとんどですし、あらかじめカード会社に返済が遅れることを連絡しておけば、ある程度柔軟に対応してもらえる場合もあります。
一方で、カード会社からの督促を無視したり、滞納期間が2〜3ヵ月になってしまった場合、カードは強制解約となり、残りの債務額について一括返済を要求されてしまうでしょう。
この段階までいくと、ブラックリストに載ってしまい、日常生活にさまざな悪影響を及ぼしてしまいます。
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この記事が、債務整理の相談先を探している方のお役に立てれば幸いです。