自己破産でクレジットカードは使えない?対処法はある?


自己破産をすると、それまで使用していたクレジットカードは使えなくなってしまいます。そして、破産手続が終了して5年から7年程度は再びカードを作ることは難しくなります。

このページでは、自己破産とクレジットカードの利用について、カードが使えない場合の対処法について解説していきます。

 

自己破産でクレジットカードは使えなくなる?

自己破産の申立てをする場合、クレジットカードは残念ながら使えなくなってしまいます。

自己破産は住宅ローンも含めてすべての借金の支払いを止めて、その借金の免除をしてもらう制度です。

クレジットカードについていえば、キャッシングは借入れですので、借金になりますし、ショッピングも商品の代金をいったんカード会社が立て替えて、翌月以降にその支払いを行うということで、借金の性質があります。

このように、自己破産をする以上、クレジットカードは一切使用できなくなってしまいます。

万が一、クレジットカードがあることを隠して破産申立てをしてしまい、後になってそれが発覚してしまった場合には、最悪の場合、借金の免除が認められないという可能性もあります。

そのため、例えば、一つだけ支払いをきちんと続けているクレジットカードは残しておきたいといった理由であっても、自己破産をする以上はこのカードも使い続けることはできないことを覚えておきましょう。

 

いつから使えなくなる?

それでは、自己破産をする場合、クレジットカードはいつから使えなくなるのでしょうか?

使えなくなるタイミングとしては、以下の2つが考えられます。

①すでに返済ができておらず、使えなくなってしまっている場合

まず、弁護士に相談する時点で、カードの支払いができていない場合があります。

この場合、支払っていない金額や期間にもよりますが、カード会社の判断で、カードの利用が制限されていることがあります。

つまり、返済はできても、新たな借入れや買い物には使えないという状態です。

このようなケースでは、カードの返済が滞った時点でクレジットカードは使えなくなってしまっています。

 

②カード会社に受任通知を送付した時点

次に、弁護士に相談した時点では、なんとか支払いを続けていて、カードを使えることができている場合についてみていきましょう。

この場合には、自己破産を選択し、弁護士に依頼をした後、カード会社に受任通知を送付したタイミングでクレジットカードが使用できなくなります。

自己破産を行う場合、その時点ですべての借金の支払いを止めて、自己破産に必要な弁護士費用、裁判所の費用を準備し、そのお金が準備できた段階で自己破産の申立てを行います。

そのため、ご家族から自己破産の費用を一括で援助してもらうといったことがない限り、自己破産の申立てを行うタイミングは多くのケースで、借金の支払いを止めてから少し先になります。

借金の支払いを止めると、カード会社は当然督促をしてきます。

弁護士はこの督促を止めるために、依頼を受けたあと速やかに受任通知をカード会社に送付します。

受任通知がカード会社に届いた時点で、カード会社での処理が行われ、クレジットカードは使えなくなります。

このように、自己破産を行うことにして、弁護士に依頼をした場合には、受任通知という書類の送付をしたタイミングでクレジットカードは使えなくなります。

したがって、自己破産を弁護士に依頼する場合には、その時点でクレジットカードは使えなくなると理解しておかれるとよいでしょう。

なお、先ほども紹介したとおり、仮に返済を続けていて、使えるクレジットカードを残しておきたいとしてそのカード会社を外して処理を進めていても、他のカード会社が信用情報に事故情報を記載しますので、いずれは今使えているクレジットカードも使えなくなってしまいます。

ですので、自己破産をするときにクレジットカードを残しておくというのは、先ほどの自己破産が認められなくなるリスクになるため、デメリットにしかなりません。

 

いつまで使えなくなる?

それでは、一度使えなくなったクレジットカードが使えなくなるのはいつまででしょうか?

この点については、自己破産の申立てをしてから5年から7年程度は使えないと覚えておきましょう。

以下、解説していきます。

自己破産とブラックリスト

ブラックリストとよく表現されているリストは、信用情報といいます。

この信用情報というのは、クレジットカード会社や銀行、消費者金融などの会社がそれぞれ会員となって、信用情報を管理している団体に適宜情報提供を行っています。

クレジットカード会社や銀行、消費者金融などの会社は、お客さんから新たなカード申込みやローンの申込みがあった場合、信用情報を保有している団体にどのような情報が記録されているかを確認して、審査を行っています。

この審査に通れば、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることができます。

逆に信用情報の記載から審査に通らなければ、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることはできません。

 

信用情報管理

 

この信用情報を取り扱う団体は、主に3つあります。どの団体に加入しているかについては、それぞれの会社によって異なります。また、2つ以上の団体に加入している会社もあります。

JICC 消費者金融の多くが加入
CIC クレジットカード会社が主に加入
JBA 銀行が中心

自己破産を行うと、借入れをしていたクレジットカード会社や消費者金融、銀行がそれぞれ信用情報にその情報を登録します。

そのため、自己破産の申立てを行うと、自己破産の手続が終わってもすぐにクレジットカードを作ることはできなくなります。

そして、この自己破産についての情報は、それぞれの団体で以下の期間、記録されたままになります。

JICC 免除が確定してから5年以内
CIC 免除が確定してから5年以内
JBA 破産手続開始決定から7年を超えない期間

参考
日本信用情報機構(JICC)
割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)
全国銀行協会(JBA)

この表からもわかるとおり、5年間は自己破産をしたという記録が残ることになります。

銀行が多く加入しているJBAについては7年間となります。

したがって、5年間〜7年間は新たにクレジットカードを使うことはできないでしょう。

なお、自己破産についての信用情報がなくなった場合でも、審査に必ず通るわけではありませんので注意が必要です。

自己破産に関する情報が消えると、信用情報に何も記録されていないという状況になります。

しかしながら、クレジットカードなどが普及している現在、全くカード取引がないということはかえって疑われてしまう可能性があるのです。

年齢にもよりますが、40〜50代で信用情報に全く記録がないというのは、以前に自己破産をしているのではないかとしてクレジットカード会社によっては審査が厳しく行われる可能性もあります。

そのため、5年から7年たてば、どのカード会社でもクレジットカードを作れるというわけではありませんので、覚えておきましょう。

 

クレジットカードを使えないデメリット

それでは、クレジットカードを使えなくなった場合のデメリットについてみていきましょう。

現金で生活しなければならない


クレジットカードを使えないわけですので、カードを使わない生活をしなければなりません。

そのため、毎月の給料を使って、現金で買い物をして生活しなければなりません。

なお、現金や通帳にあるお金を使って電子マネーにチャージをすることは可能です。

 

スマホの分割ができない

スマートフォンは日常生活に不可欠なツールとなっています。

このスマートフォンについては、10万円以上の高額な機種も多く、携帯電話会社が分割でプランを用意しているケースも多くなっています。

しかしながら、この分割は商品をローンで買うのと同じです。

そのため、自己破産をしてクレジットカードが使えないので、しばらくスマホの分割は本人ではできないことになります。

 

保証人になれない

他にも通常は保証人になることができません。子どもの学費などのために奨学金を申し込む場合に、保証人として認められない可能性が高いため、機関保証という制度で申し込むようにしましょう。

実はメリットもある?

このようにみていくとクレジットカードを使えないというのはデメリットもありますが、必ずしもデメリットばかりではありません。

自己破産をするまでクレジットカードを使っていたわけですので当然不便を感じるでしょうが、クレジットカードを利用していた結果として、自己破産をしなければならないほどの借金を背負ってしまったことも事実です。

そのため、自己破産をして、すぐに同じようにクレジットカードを使えるようになってしまうとまた同じように借金が増えてしまうリスクも大いにあるわけです。

自己破産は何回も認められるものではなく、1度自己破産をすると同じような理由で再度自己破産をして借金を免除してもらうことは非常に難しくなります。

したがって、クレジットカードを使えずに、現金で生活をするということは、借金に追われる生活をする必要がなくなって、しっかりと自分の収入に応じた生活を送ることができることにもつながります。

このように、クレジットカードが使えないということで、その期間にしっかりと生活の立て直しをすることができるというメリットもあることを押さえておきましょう。

 

 

どうすればいい?対処法を解説

ここまで、自己破産をした場合に、クレジットカードが5年〜7年程度使えなくなるということを説明してきました。

それでは、自己破産から一定期間経過した後に、生活も安定してきて、改めてクレジットカードを作りたいと思った場合、どのようにすればよいか対処法を解説していきます。

まずは申込みをしてみる


クレジットカードを改めて作りたいと思った場合、まずはカードを作れるか、カード会社に申込みをしてみるということになります。

その際の注意点としては、

  • 5年たっていてもカード会社によっては、審査に通らないことがある
  • 自己破産のときに使用していたカードについては、審査に通りにくい

という点を押さえておくことが重要です。

まず、カードを利用できるかどうかは、クレジットカード会社ごとに個別に審査をしています。

クレジットカードを発行するかどうかについては、カード会社に最終的な決定権があります。

そのため、自己破産から5年たっていてもクレジットカードが作れないという会社があるのはやむを得ないといえます。

仮に、審査に通らなくても、他のカードが作れないか検討するようにしましょう。

次に、自己破産のときに使用していたカードについては、審査に通りにくい可能性があります。

すなわち、クレジットカード会社は信用情報を利用しているのはもちろん、自分の会社の中でも顧客情報を管理、運用しています。

そのため、信用情報からは消去されていても、会社内の顧客リストの中に自己破産の履歴が残っていることも考えられます。

したがって、自己破産後に新しくカードを作る場合には、自己破産のときに利用していなかったカード会社に申込みをした方がよいでしょう。

 

信用情報を照会する

クレジットカードの申込みをしてみて、何社か申し込んだが、どうしても審査に通らないという場合には、自分の信用情報が今どのような状況にあるかということを確認するために、自分の信用情報を開示してみるようにしましょう。

以下、それぞれの団体の信用情報開示の方法を解説します。

JICCでの開示手続きの方法

JICCの開示情報開示については、スマホのアプリによる方法と郵送による方法との2つがあります。

窓口による申請については新型コロナの流行以降停止されています。

必要書類としては、

①本人確認書類を以下の中から2点
  • 免許証
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 在留カード
  • 障害者手帳
  • 保険証
  • 住民票
  • 印鑑証明書
  • 年金手帳
  • 戸籍謄本
②手数料1000円

となります。

郵送の場合には、開示請求書も一緒に記入し、本人確認書類の写しと手数料を小為替で用意して郵送します。

郵送申請の場合には、開示される書類の郵送の切手代も必要になります。

参考:郵送による開示手続き|JICC

 

CICでの開示手続きの方法

CICの開示手続についてもインターネットによる方法と郵送による方法があります。

窓口での手続は終了しています。

CICではインターネットによる手数料が500円で郵送の場合の1500円よりも安く対応しています。

ただし、インターネットの利用の場合には、自己破産でクレジットカードが使えない場合、通帳の残高を利用するデビットカードか携帯電話会社の支払いで行う、キャリア決済を選択することが必要になります。

郵送の場合には、JICCと同じく、以下の本人確認書類のうち2つと手数料1500円の小為替、開示請求書を送付することが必要です。

本人確認書類
  • 免許証
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 在留カード
  • 障害者手帳
  • 保険証
  • 住民票
  • 印鑑証明書
  • 年金手帳
  • 戸籍謄本

参考:情報開示とは|CIC

 

JBAでの開示手続きの方法

JBAの信用情報開示の方法もインターネットと郵送での方法の2つが用意されています。

インターネットによる場合には、メールアドレスを登録して、顔写真付きの本人確認書類を写真を撮って送信し、1000円の手数料をデビットカードかキャリア決済により支払うことで開示報告書が登録したメールに送信されるという流れになります。

郵送の場合には、開示請求書と本人確認書類を2点を手数料と一緒に送付することで行います。

この手数料についてJBAは他の2つの団体と違って、小為替は対応しておらず、コンビニのマルチプリントから利用券を購入して行うことになっています。

参考:本人開示の手続き|JBA

それぞれの信用情報機関に開示請求を行うことで、どのような情報が記録されているか、自己破産の情報がまだ残った状態なのかどうかを確認することができます。

この情報をみて、クレジットカードの申込みが通らない理由が何であるかを確認し、対応していくことになります。

 

家族にクレジットカードを作ってもらう?


自己破産を行っても、その家族が一切同じようにクレジットカードを作れなくなる、使えなくなるというわけではありません。

そのため、自己破産をした場合に、そのかたの配偶者や両親に家族カードを発行してもらい、そのカードを利用するという方法があります。

ただし、この場合、注意しなければならない点が2つあります。

①自己破産が終了するまで、本人は一切カードの支払いはできない

例えば、両親に家族カードを作ってもらって、そのカードを利用させてもらうという場合、そのカード料金を両親から精算するようにいわれることがあるでしょう。

しかしながら、このときに両親にいわれたとおり、精算をするために支払いを行うと自己破産に悪影響となり、最悪借金の免除が認められない可能性があります。

なぜなら、自分の名義の借金を支払えないとして自己破産をする一方で、家族カードを使って、その支払いをするのは、借金をしているのと同じことと評価できるためです。

つまり、家族の名義を借りている名義貸しをしていると評価されるのです。

このように、自己破産が終了するまでの間は、いくら家族カードといっても自己破産をする本人は一切そのカードの支払いはできません。

あくまで家族がカードの支払いをする、つまり援助するということでなければなりません。

 

②その家族は自己破産をしない

また、家族カードで援助をしてもらった両親がその後自己破産をする場合、このカードの借金は、他人のカード利用の借金ということになります。

したがって、家族が自己破産をする場合に、その借金は免除できないとなってしまう可能性があります。

加えて、カード利用分の精算を本人に求められることもあります。

これでは、せっかく自己破産をしたのに、あとから家族が自己破産になってしまったため、再び借金を負うことになるのと同じで、むしろ一度破産して、再度の破産が難しい以上、状況は悪化してしまうといえます。

このように、家族のクレジットカードを利用する場合には、気をつけなければならない点がありますので、くれぐれも自分で勝手にするのではなく、弁護士に相談して確認してから対応するようにしましょう。

 

クレジットカードに頼らないよう努力する

クレジットカードは便利ではありますが、自己破産など借金問題を抱えた人の多くが口を揃えて、「クレジットカードがあることで、お金があると思い込んでしまい、身の丈に合わない生活をしていた」と話をします。

このようにクレジットカードは、借金を抱える原因になりかねません。

自己破産をする以上、それまでのカードの使い方に問題があったといわざるを得ませんので、クレジットカードが使えないからこそ、クレジットカードに頼らない生活を送れるように努力することも大切です。

なお、ATMにいく時間が仕事の都合でなく、現金よりもカードが便利という場合、通帳の残高に応じて利用することができるデビットカードを使用することは検討できるでしょう。

この場合でも、むやみに使いすぎて通帳の残高が気づけばなくなっているということが内容にしなければなりません。

 

 

自己破産とクレジットカードについてQ&A

ここからは、自己破産とクレジットカードについてよくある質問を回答していきます。

自己破産して半年後にクレジットカードを取得できる?

先ほど解説したとおり、自己破産をして半年後には信用情報は消えずに残ったままです。

そのため、半年ではクレジットカードを再び作ることはできないでしょう。

 

ETCだけでも作ることができない?

クレジットカードを作るとETCカードも一緒に作って使っているという方も多いと思います。

自己破産をするとクレジットカードが使用できなくなりますが、同じくクレジットカードに紐づいているETCカードも利用ができなくなります。

ETCカードは高速料金の割引があるだけでなく、ゲートを通るたびに止まる必要がないため、高速を利用するときには非常に便利なカードです。

自己破産をする場合にクレジットカードを使用することができなくなり、5年から7年ほど新たにカードを作ることができなくなります。

しかしながら、課金して使用するデポジット型のETCカードであれば、自己破産をした後でもETCカードを作ることはできます。

この場合には、残高不足によりゲートに入れない、出られないということにならないようにくれぐれも気をつけておかなければ、後続車に迷惑がかかりますので、注意しましょう。

 

結婚したらクレジットカードは作れるようになる?

結婚して名前が変わった場合に、クレジットカードが作れるようになるかというと、そうではありません。

信用情報は、名前だけでなく、住所や生年月日、電話番号なども登録されていますので、結婚したら信用情報が消えるということはありません。

そのため、自己破産をして、その後に結婚したからといってすぐにクレジットカードを作れるわけではありません。

なお、結婚した相手が特に信用情報に事故情報が記載されておらず、クレジットカードをすでに持っている、新たに作ることができる場合に、家族カードを作るということはできます。

 

クレジットカードの審査基準は会社によって異なる?

先ほど解説したとおり、クレジットカードを発行するかどうかはカード会社が最終的に判断することになります。

この審査基準は公表されておらず、法律で定められているものでもありません。

そのため、あくまでクレジットカードの審査基準は各カード会社が決めているのです。

したがって、審査基準は会社によって異なるため、同じ情報を記入して申込みをしても、クレジットカードが作れる会社と作れない会社とが出てくることもあります。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

自己破産をする場合のクレジットカードについて、どのくらいの期間でカードを使えてるようになるか、使えない場合の対処法について解説してきました。

自己破産をする以上、5年間から7年間という一定期間クレジットカードが使えなくなってしまいます。

これまでクレジットカードを利用していた分、使えないということが不便に思えますが、逆にいえば使えないことで生活を再建するきっかけにもできると思います。

デイライトでは、破産再生部を設けており、借金問題に精通した弁護士が皆様を強力にサポートしています。

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当事務所は福岡を拠点にしながら、東京にもオフィスがあり、ZOOMやスカイプを活用して、全国に対応を行っておりますので、まずは一度ぜひご相談ください。

 

また、クレジットカード以外に自己破産をするとできないことについてはこちらのページをあわせてご確認ください。

 

 


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