個人再生で絶対にやってはいけない5つのこと
個人再生とは、裁判所の手続きにより支払いきれなくなった借金を一定の基準に基づいて減額し、原則3年(最長5年)の分割払いにする債務整理の方法です。
個人再生を進めていくにあたって「やってはいけないこと」をやってしまうと、借金の減額が達成されないのはもちろん、それまでにかかった費用や労力も無駄になってしまうことがあります。
そのため、個人再生中に気を付けるべきことを理解し、注意することが大切です。
ここでは、個人再生で絶対にやってはいけないことを、特に気を付けたい5つに絞ってご紹介します。
1. 裁判所や個人再生委員に虚偽の申告をする
個人再生の申立てをする際には、借入先・財産・収入額などを申立人(個人再生を申し立てる人)自身が裁判所に申告(書類作成)しなければなりません。
申立人からの申告内容に虚偽(または不備)があることが判明した場合、申立てが認められなくなることがあります。
また、場合によっては、財産を隠匿しようとしたと判断されて罪に問われる可能性もあります。
裁判所と同様、個人再生委員に対しても虚偽の申告をしてはいけません。
(個人再生委員とは、申立人の財産等を調査し再生計画案について勧告を行う人のことです。裁判所が必要と判断した場合に選任されます。)
また、弁護士等の専門家に依頼して申立てを行う場合、依頼する弁護士等に対しても虚偽の申告をしてはいけません。
弁護士等は依頼者の申告に基づいて裁判所に申立てをするため、申告内容に虚偽のある申立てとなってしまいます。
それに加え、依頼している弁護士等が適切に方針を判断することができなくなったり、辞任せざるを得なくなったりするため、結果的に依頼者の方に大きな不利益が生じることになります。
借入先・自分名義の財産・収入額などの申告は、どの場面においても正直に正確にするようにしましょう。
2. 再生計画案の提出期限を守らない
再生計画案とは、どのくらい借金を減額し、どのように返済していくかという計画を書いた書類のことです。
借金の減額を認めてもらうためには、再生計画案を裁判所に認可してもらう必要があります。
申立人は、再生計画案を作って期限どおりに提出しなければなりません。
期限を守らない場合、再生計画案を認可してもらえず(不認可)、借金の減額が認められないことがあります。
再生計画案の提出期限は必ず守り、やむを得ず期限を過ぎてしまいそうな場合は、裁判所に期限の延長を申し立てるようにしましょう。
3. 特定の債権者だけに優先して返済をする
個人再生手続では、全ての債権者を平等に扱わなければならないことになっています。
借金が支払えない状態になった時点よりも後(遅くとも、弁護士等の専門家に債務整理を依頼した時点よりも後)に特定の債権者にだけ優先して返済することは、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」という禁止行為に該当します。
偏頗弁済に該当すると判断された場合、偏頗弁済した金額はもう手元にないとしても「債務者の財産」としてカウントされることになります。
それにより、個人再生後に返済しなければならない金額が増えることがあります。
また、偏頗弁済をしたのにそれを無視した内容の再生計画案を提出した場合、その再生計画案は不認可になることもあります。
特に親族や友人から借り入れをしている場合、その人たちだけには返済したいと考えてしまうかもしれませんが、やってはいけない行為ですので注意しましょう。
4. 履行テストを怠る
履行テストとは、手続開始決定後、個人再生委員に対し一定期間(多くの場合は6か月間)決められた金額を支払うテストのことです。
東京地方裁判所など多くの裁判所で実施されているものであり、個人再生手続により減額された返済額を毎月支払い続けることができるかをテスト・リハーサルするための運用です。
履行テストにおける支払を怠ってしまうと、借金を減額したとしても支払い続けることができないと判断され、手続きが中止になってしまうこともあります。
期限に遅れずに支払い続けることが重要です。
5. 新たに借り入れをしてしまう
借金が支払えない状態になった時点よりも後(遅くとも、弁護士等の専門家に債務整理を依頼した時点よりも後)に新たな借り入れをしてはいけません。
借金が支払えない状態で行った借り入れは、最初から返済する意思がないにもかかわらず借りたものとして罪に問われることもあります。
手続上も、不当な目的または不誠実な申立てと判断され、申立てが認められなくなる可能性があります。
遅くとも、弁護士等に債務整理を依頼した後は、新たな借り入れをしないように注意しましょう。
まとめ
以上、個人再生で絶対にやってはいけないことを5つに絞って解説しましたが、いかがだったでしょうか。
個人再生の手続きは厳格・複雑であり、ご自身で不備なく円滑に進めていくことは非常に困難です。
失敗したときの不利益も無視できないため、できる限り弁護士等の専門家に依頼して進めることをお勧めします。
まずは一度、どのように債務整理を進めていくのかも含め、債務整理を専門的に扱っている弁護士等にご相談されるとよいでしょう。
この記事が借金問題でお悩みの方にとってお役に立てれば幸いです。