過払い金が戻ってこないケースとは、
- ① 債権者が倒産しているケース
- ② 過払い金の時効が成立しているケース
- ③ 債権者が返還を拒否しているケース
- ④ 十分な証拠がないケース
- ⑤ 過払い金が少額であるケース
- ⑥ そもそも過払い金が発生しないケース
の6つです。
過去に消費者金融等とお取り引きがある方は、過払い金が戻ってくるかどうかについて、大きなご関心をお持ちかと思います。
ここでは、過払い金が戻ってこないケースのほか、過払い金が戻ってくる条件、過払い金がなかった場合に借金を減額する方法について、債務整理に注力する弁護士が解説していきます。
過払い金の請求をご検討されている方は、ぜひ参考になさってください。
過払い金が戻ってこない6つのケース
過払い金の返還請求は、法的に決まった手続きを進めることで可能になります。
しかし、返還請求をしたとしても、すべてのケースで成功するわけではありません。
以下では、過払い金が戻ってこない代表的な6つのケースについて、詳しく解説します。
①債権者が倒産しているケース
債権者である消費者金融会社やクレジットカード会社が倒産している場合、過払い金の返還は非常に困難になります。
すでに倒産してしまっている会社の場合には、その会社は消滅してしまっているため、過払金を請求する相手がいないことになります。
代表例は武富士です。
また、倒産が完全に終わっておらず、これから倒産を進めようとする会社に対して請求を行っても、その企業に資金が不足しているため、全額の返金を受けることは困難です。
このような場合、その会社の倒産手続きが進む中で、過払い金があると主張し、債権者の一部として認定を受けることで、配当金の支払いを受けることはできるかもしれません。
しかし、その金額もごく一部に限られることが多いです。
具体的には、過払い金の請求は「破産管財人」の任命を受けた弁護士が処理します。
破産管財人は破産した会社が受けている請求を整理して、可能な範囲で配当を行います。
過払い金の返還請求者についても、他の債権者と同様に取り扱われるため、全額が返還されることはまず期待できません。
②過払い金の時効が成立しているケース
後ほども説明しますが、過払い金の請求には時効があります。
通常、最後の取引から10年が経過すると過払い金請求権は消滅します。
そのため、過去の取引について過払い金を請求しようとしても、時効が成立している場合は返還されません。
この時効制度は、法律的な安定性を保つために設けられており、適用される場合には請求が認められないことになります。
具体的には、10年前に完済した借金について過払い金が発生していた場合、その取引が最終取引であり、その後請求が行われなかった場合、過払い金の請求権は消滅しています。
したがって、返還を求めても法律的に認められないのです。
③債権者が返還を拒否しているケース
一部の債権者は過払い金の返還を拒否することがあります。
この場合、法的手段に訴えることが必要ですが、時間と費用がかかるため、すべての人が簡単に進めることはできません。
返還を拒否される理由としては、企業が過払い金の存在を認めたくない場合や、返還に必要な資金が不足している場合などが考えられます。
消費者金融側が返還を拒否した場合、弁護士を通じて裁判所に訴訟を提起することが一つの方法です。
この場合、証拠を十分に揃えて訴訟を進める必要がありますが、裁判費用や弁護士費用が発生するため、事前にコストを見積もっておくことが重要です。
④十分な証拠がないケース
過払い金を請求するには、取引の履歴や契約書などの証拠が必要です。
これらの証拠が不十分な場合、過払い金の返還請求は認められないことがあります。
証拠が揃わない場合、過払い金が発生していることを証明することが困難になるため、消費者金融からの返還を受けることができません。
証拠が不十分な場合、まずは可能な限り取引履歴を集めることが重要です。
例えば、金融機関に取引履歴の開示を求めることで、必要な証拠を揃えることができる場合があります。
また、弁護士に相談することで、どのような証拠が必要か具体的なアドバイスを受けることも有効です。
⑤過払い金が少額であるケース
過払い金が非常に少額である場合、手続きにかかるコストや手間を考慮すると、返還請求を行うメリットがないと判断せざるをえないケースもあります。
過払い金の返還請求には、一定の手続き費用や時間がかかるため、少額の過払い金の場合には、費用対効果を考慮することが重要です。
例えば、過払い金が数千円程度である場合、その返還を求める手続きを行うコスト(弁護士費用や手続き費用)が返金見込み額を上回ることがあります。
このような場合、過払い金の返還請求を断念し、他の方法で借金の減額を検討することも一つの選択肢です。
過払い金があるにもかかわらず返還請求をあきらめるというのは、泣き寝入りになってしまい、悔しい気持ちにもなるかもしれません。
しかし、あくまでお金の話ですので、経済的な合理性、費用対効果の感覚を忘れないことも重要です。
⑥そもそも過払い金が発生しないケース
そもそも、過払い金が発生しない取引の場合にも、過払い金の返還を受けることはできません。
具体的には、以下のような取引では過払い金が発生しません。一つずつ見ていきましょう。
クレジットカードのショッピング利用
クレジットカードをお店で提示して、ショッピングを行う場合には、過払い金が発生しません。
一括払いの場合だけではなく、リボ払いや分割払いの場合にも過払い金が発生しませんので注意しましょう。
クレジットカードのショッピング利用は、法律的には、貸金業法が適用される狭い意味での「借金」ではなく、割賦販売法に基づく別のサービス利用だからです。
最近の取引
2010年6月18日以降に行った借金については、過払い金が発生しません。
2010年6月18日に改正された貸金業法により、いわゆるグレーゾーン金利(利息制限法の上限金利を超える金利)での貸付けが禁止されたため、その後の借金では過払い金が発生しない金利しか請求をされていないためです。
住宅ローンや自動車ローン
ほとんどの場合、住宅ローンや自動車ローンで過払い金が発生することはありません。
これらの金利は、以前から、利息制限法の上限金利である15から20%と比較して、低く設定されていることが通常だからです。
銀行のカードローン
銀行のカードローンについても、過払い金の発生は期待できません。
なぜなら、銀行では、以前からグレーゾーン金利よりも低い金利でしか貸付を行っていないことが一般的だからです。
同様に、信用金庫や労働金庫のローンでも過払い金の発生はあまり期待できません。
以上の6つのケースについてよく理解いただいて、過払い金の返還請求を行う際には、弁護士などの専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
過払い金が戻ってくる条件
続いて、過払い金が戻ってくる条件が何か、を見ていきましょう。
過払い金が発生している場合、その返還を受けるためには一定の条件を満たす必要があります。
これらの条件を満たさなければ、過払い金は戻ってきません。
ここでは、過払い金が戻ってくるための具体的な条件についてその確認方法とともに詳しく解説します。
①過払い金の存在
過払い金の返還を受けるためには、「過払い金が存在していること」が必要です。
そのため、まずは過払い金が発生していることを確認する必要があります。
具体的には、取引履歴の入手、利息計算、過払い金の特定、といった手順が必要になります。
取引履歴の入手
まずは、過去に取引を行った貸金業者やクレジットカード会社から取引履歴を入手しましょう。
これには一定の手続きが必要ですが、多くの場合、書面や電話で請求できます。
利息の計算
入手した取引履歴をもとに、実際に支払った利息と法定利息を比較します。
この計算は、利息制限法に基づく再計算(引き直し計算とよばれます)をする必要があり、専門的な知識が必要になりますので弁護士などの専門家に依頼することをお勧めします。
過払い金の特定
利息の計算が完了すれば、具体的に法定利息を超えて支払った利息が確認でき、それが過払い金となります。
②過払い金の正確な計算
上で既に説明していますが、過払い金の計算は返還を求める対象そのものですので、正確に計算することが非常に重要となります。
万が一、誤った金額で請求を行えば、返還される金額が少なくなったり、手続きがスムーズに進まないおそれがあります。
計算方法には、「引き直し計算」と呼ばれる手法が用いられます。
これは、実際に支払った利息を法定利息に基づいて再計算し、超過分を過払い金として算出する方法です。
この計算には高度なスキルが必要ですので、基本的に弁護士などの専門家の助けを借りることが重要です。
その他にも、過払い金の計算を専門家に依頼するメリットはありますので、簡単に以下の通りまとめています。
正確な金額の算出
何より、正確な金額の算出のために専門家へ依頼することが重要です。
弁護士は、法定利息や取引履歴に基づいて正確な過払い金を計算するスキルを持っています。
これにより、適切な返還請求が可能となります。
法的知識の活用
過払い金の計算に当たっては、個別の事例に応じて法律や判例を適用して対応する必要が生じることがあります。
そのため、過払い金の計算には、弁護士などの専門家が持つ法的知識を活用する必要があります。
時間の節約
自分で計算を行う場合、正確に金額を算出できない可能性が高いだけでなく、かなりの時間がかかると思われます。
弁護士などの専門家に依頼することで、手続きを迅速かつ確実に進めることができます。
③時効期間内での請求
過払い金の請求には時効(消滅時効、民法166条)があります。
通常、最後の取引から10年が経過していると、過払い金の返還請求権は時効により消滅します。
そのため、過去の取引について過払い金を請求しようとしても、時効が成立している場合は返還されません。
したがって、過払い金が発生していることを確認したら、早急に請求手続きを開始することが重要です。
なお、時効成立が迫っている場合には、早急に手続きを開始することはもちろんですが、それが難しい場合には時効の更新(中断)措置を取ることも重要です。
また、裁判手続きを開始することなどによって、時効の「完成猶予」という効果を受けることもできます。
時効成立が迫っている場合には、これらの対策をできるだけ速やかに、かつ、適切に進める必要があります。
不安がある場合にはこれについても弁護士などの専門家に相談されるのがいいでしょう。
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
引用元:民法|e-Gov法令検索
④適切な手続きを踏む
過払い金の請求では、法的な手続きを踏むことが必要になります。
これは、場合によっては裁判所を通じた対応になることもありますので、できるだけ弁護士等の専門家に依頼し、適切な手続を踏むことでスムーズな返還を受けるのがよいでしょう。
具体的な手続きの流れは以下の通りです。
弁護士等への相談
まずは、弁護士等の専門家に相談し、自分の状況を詳しく説明します。
専門家からは過払い金の有無や請求の可能性についてアドバイスを受けられます。
もちろん、弁護士等へ相談する相談料や依頼料が発生する可能性がありますが、弁護士事務所では初回の相談料が無料になることも多いので、まずは話を聞いてみることをお勧めします。
そこで、大まかな過払い金の有無、過払い金の返還見込み額、それに必要な手続きや時間など、全体的な見込みを教えてもらえる可能性が高いです。
書類の準備
つづいて、必要な書類(取引履歴、契約書など)を揃えて、過払い金の計算を行います。
専門家に依頼すれば、これらの手続きをサポートしてくれると思います。
特に過払い金の計算については、法律や判例に沿った正確な金額を算出する必要がありますので、ご自身で対応するにはかなり労力がかかると思われます。
なお、万一、必要な書類(取引履歴や契約書など)が一部紛失している、といった場合でも、まずは専門家に相談して他に代わりになる資料がないかなどを検討することをお勧めします。
請求書の作成
過払い金の金額が確定したら、貸金業者やクレジットカード会社に対して請求書を作成し、送付します。
この請求書は、弁護士等の専門家名義で書面を送付することが多いです。
弁護士などの専門家名義で送付することで、債権者は丁寧に対応する意識を持ちやすく、交渉のテーブルについてもらいやすいと思います。
交渉と返還
貸金業者が過払い金の返還に応じるかどうかを確認し、必要に応じて交渉を行います。
場合によっては、裁判所を通じて強制的に返還を求めることもあります。
手続きがスムーズに進むように、必要な書類を正確に揃え、専門家の指示に従って手続きを進めることが重要です。
⑤貸金業社側の対応
消費者金融側が過払い金の返還に応じるかどうかというのも、過払い金の返還を受けるための重要な要素です。
素直に返還に応じてもらえない場合には、交渉が必要となる場合もありますので、弁護士などの専門家のサポートを受けることが有効です。
なお、貸金業社との交渉に当たっては、誠実かつ冷静な対応が有効です。万一弁護士を通さずに本人で交渉をされる場合でも、感情的にならず、事実に基づいて交渉を進めるようにしましょう。
そして、交渉においては法的な知識が必要になることが少なくありません。法的な専門家からできるだけ適切にアドバイスを受けてから交渉に臨むことも重要です。
さらに、交渉が電話や面談で行われる場合には、その内容を正確に記録して、証拠として活用できるようにすることも大切です。
以上のように、過払い金が戻ってくるためには複数の条件を満たす必要があります。
これらの条件を理解し、適切な手続きを踏むことで、過払い金の返還を確実に進めることができます。
弁護士などの専門家のサポートを受けることで、手続きをスムーズに進めることができ、過払い金の返還をしっかり受けることが期待できます。
「過払い金返還請求」の内容や手続きの詳細についてお調べになりたい方は、以下のページも合せてご覧ください。
過払い金がなかった場合に借金を減額する方法
過払い金の返還を期待していたのに、実際には過払い金が発生していなかった、ということもあり得ます。
この場合、依然として借金の返済が難しく感じられると思います。そのような状況で借金を減額するための方法としては、債務整理が有効となります。
債務整理とは、法律上で認められた借金の整理方法です。
債務整理をすることで、借金額を圧縮したり、支払の免除を受けることが期待できます。
そして、債務整理には、大きく任意整理、自己破産、個人再生の三つの種類があります。
任意整理とは
債務整理の中で、もっとも代表的な方法が任意整理です。
任意整理は、弁護士を通じて貸金業社側に申し入れをすることにより、借金の一部を免除してもらったり、支払時期を遅らせてもらうように交渉する対処法です。
弁護士から貸金業社側へ具体的な返済計画や、一部免除について申し入れを行って交渉がスタートし、依頼者にとってベストな条件を引き出すように交渉していきます。
もちろん、交渉の進み具合は借金の内容や債務者の状況によって異なりますが、任意整理によって債務の免除や長期分割など、現実的な返済計画を立てられた人はたくさんいます。
任意整理は一番柔軟な解決を期待できる借金減額の方法です。
「任意整理」についてさらに詳しくお知りになりたい方は以下も合わせてご覧ください。
自己破産とは
自己破産とは、裁判所へ申立てを行うことにより、裁判所にすべての借金を免除してもらう債務整理の方法です。
自己破産が認められればその全額が免除され、返済自体が不要になりますから、借金問題を根本的に解決できるといえます。
ただし、自己破産をするためには法律上の要件もありますので、自己破産を検討するにあたっても、できるだけ弁護士に相談することをお勧めします。
(公告等)
第十条 この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
2 公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
3 この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。
4 この法律の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。
5 前二項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。
引用元:破産法|e-Gov法令検索
「自己破産」についてより詳しくお調べになりたい方は、以下のページもご覧ください。
個人再生とは
個人再生とは、裁判所へ申立てを行うことで「再生計画」の認可を受け、減額された借金を長期分割によって返済していく方法です(民事再生法221条以下)。
一般的に、3年間で減額した借金を返済することで、残りの返済が免除されることになります。
自己破産の場合と同様、個人再生を認められるためにも裁判所による審査がありますので、再生計画の作成などについてはできるだけ弁護士へ相談しておくことが望ましいです。
第二百二十一条
個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。
2 小規模個人再生を行うことを求める旨の申述は、再生手続開始の申立ての際(債権者が再生手続開始の申立てをした場合にあっては、再生手続開始の決定があるまで)にしなければならない。
3 前項の申述をするには、次に掲げる事項を記載した書面(以下「債権者一覧表」という。)を提出しなければならない。
一 再生債権者の氏名又は名称並びに各再生債権の額及び原因
二 別除権者については、その別除権の目的である財産及び別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる再生債権の額(以下「担保不足見込額」という。)
三 住宅資金貸付債権については、その旨
四 住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思があるときは、その旨
五 その他最高裁判所規則で定める事項
引用元:民事再生法|e-Gov法令検索
「個人再生」についてより詳しくお調べになりたい方は、以下のページをご覧ください。
過払金が戻ってこない場合のQ&A
次に、過払い金が戻ってこない場合についてのよくあるQ&Aについて解説していきます。
過払い金は本当に戻ってくるのか?
しかし、すべてのケースで確実に戻ってくるわけではありません。
前述のように、消費者金融が倒産している場合や時効が成立している場合など、特定の条件のもとでは返還を受けることが難しいことになります。
もちろん、過払い金返還の成功事例は多数あります。
重要なのは、弁護士などの専門家のサポートを受けて、手続きをスムーズに進めることによって、返還の可能性を高めることです。
専門家は消費者金融との交渉や裁判手続きにも精通しており、依頼者に代わって適切な対応を行ってくれるはずです。
過払い金は通常どれくらいで戻ってくる?
これは、消費者金融との交渉や法的手続きの進行に必要な時間等を含むためです。
ただし、実際に生じる具体的な期間はケースバイケースで異なり、消費者金融側の対応や手続きの進行状況によっても変動しますのでその点は注意してください。
手続きに不備がなく、消費者金融側が返還に応じやすい場合には交渉がスムーズに進みやすいため、比較的短期間で返還されることがあります。
一方で、手続きに不備があったり、返還に消極的な消費者金融側の場合には、裁判を通じた法的手続きを経る必要が出てくるため、返還までの期間が長引くことになります。
返還手続きを早めるポイント
返還手続きを早めるためには、以下のポイントをおさえることが重要です。
取引履歴や契約書など、過払い金請求に必要な書類を迅速に揃えるようにしましょう。
弁護士などの専門家に相談する前に、あらかじめ必要書類と思われるような書類や、関連する書類を集めていただくとスムーズになります。
手続きを専門家に依頼することで、スムーズに手続きを進めましょう。
お仕事の合間にご自身で手続きを進める場合、どうしても時間がかかってしまいますし、思うように行かないことも出てくることも予想されます。
消費者金融との交渉においては、専門家のサポートを受けながら積極的にアクションを取るようにしましょう。
前述の通り、過払い金の請求権には時効(消滅時効)が存在します。
通常、最後の取引から10年が経過すると過払い金請求権は消滅します。
時効が成立し、これを消費者金融側がこれを主張すると、法的に過払い金の返還請求が認められなくなります。
このような場合、債務整理の他の方法を検討することが必要になります。
例えば、任意整理や個人再生、自己破産といった手続きを利用することで、借金の減額や返済条件の見直しを図ることができます。
なお、時効の成立を防ぐためには、時効の「更新」(中断)や「完成猶予」(停止)のための手を打つことが有効です。
例えば、以下の方法があります。
時効を更新(中断)するために、内容証明郵便を消費者金融に送ることが有効です。
これにより、時効のカウントが一時停止します。
裁判を提起することで、時効の進行を止める(完成猶予)ことができます。
裁判所に訴訟を起こすことで、過払い金の返還を強制的に求めることが可能です。
まとめ
過払い金の返還請求は、適切な手続きを踏むことで可能ですが、すべてのケースで成功するわけではありません。
間違った対応をしてしまうと、過払い金が戻ってこない、ということになりかねません。
具体的には、消費者金融側の倒産や時効の成立、返還の拒否、不十分な証拠、少額の過払い金など、さまざまな要因が返還を妨げる可能性があります。
このようなリスクを理解して、事前に対策を講じることが、過払い金の返還をスムーズに受けることにつながります。
また、仮に過払い金が発生していない場合であっても、債務整理の方法を利用することで、借金の減額や返済条件の見直しをすることも可能です。
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産のそれぞれの方法にそれぞれの特徴がありますので、自分の状況に応じて最適な方法を選ぶようにしましょう。
過払い金の返還請求や、債務整理は法的な専門知識を要する手続きですので、弁護士のサポートを受けながら適切な手続きを進めることで、借金の負担を軽減し、生活の再建を図ることができます。
デイライト法律事務所では、過払い金の返還請求や債務整理についてのご相談についてお受けしています。