借金で生活が苦しく、債務整理をしようかとお考えの方もおられると思います。
債務整理には、主に、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。
このうちの任意整理には、
- 持ち家や車を残せる
- 家族にも知られにくい
- 手間や費用も少なくて済む
など、様々なメリットがあるため、任意整理をしたい、とお考えの方もおられるかもしれません。
たしかに、任意整理はメリットの多い債務整理の方法です。
しかし、任意整理にもデメリットがないわけではありません。
この記事でわかること
- 任意整理とは何か?
- 任意整理をしない方がいいケースと対処法は?
- 任意整理のデメリットは?
- 任意整理をした方が良い場合とは?
任意整理をしない方がいいケースとは?
任意整理をしない方がいいケースと、それぞれに対する対処法には、以下のようなものがあります。
任意整理をしない方がいいケース | 見対処法 |
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3年間の分割払いでも借金全額を返済できない場合 |
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安定した収入がない場合 |
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費用倒れになる場合(減額できる利息や遅延損害金が少ない、借入先が多い) |
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10年以内に借入れをする予定がある場合 |
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個人事業を営んでいる場合 |
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返済実績がない又は少ない |
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既に任意整理をしたことがある |
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強制執行の準備が進んでいる(既に判決が出ている、差押えが行われているなど) |
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3年間の分割払いでも借金全額を返済できない場合
任意整理では、貸金業者などの債権者と話し合い、利息・遅延損害金などをカットする、長期の分割払いにするなどの条件で合意をしていきます。
その際の分割払いの期間は、3年(36か月)程度となるのが一般的です。(場合によって3年を超える期間での返済に応じる業者もありますが、最大でも5年(60か月)までと考えた方がよいでしょう。)
そのため、任意整理で解決するためには、利息制限法に従った引き直し計算後の借金の合計額を36回で割った金額を、月々返済していける必要があります。
具体例 引き直し計算後の借金の合計額が100万円だった場合
この場合、36回で割った1か月当たりの返済額は、100万円 ÷ 36回 = 約2万7777円
となりますので、1か月に約2万7777円を返済に充てられるようであれば、任意整理が向いています。
しかし、返済に充てられる額が上記の金額を下回る場合には、任意整理での解決は難しいかもしれません。
そのような場合には、
- 収支を見直して、月々の返済額を増やせないか検討する
- 個人再生や自己破産を検討する
といった対処が必要となります。
ここで注意していただきたいのは、既に完済した借金についても精査する必要があることです。
既に完済した借金について過払い金が発生していると、その過払い金を今の借金の返済に充てることで、借金額を減らし、任意整理でも解決できるようになる可能性があるためです。
そうした点を含めて状況を詳しく検討するためにも、「借金額が多すぎるから任意整理できない・・・」と思っても、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
安定した収入がない
任意整理では、3~5年間の間一定の金額を債権者に返済していく、という内容で貸金業者と和解していきます。
そのため、3~5年間の間、安定した収入が得られると見込まれることが必要です。
そうでなければ、貸金業者も和解に応じてくれません。
仕事は、必ずしも正社員である必要はなく、アルバイト、パートなどでも、収入が安定していれば大丈夫です。
どうしても安定した収入が得られない場合は、自己破産を検討することになります。
または、過去に完済した借金の過払い金で現在の借金を清算できないかも検討していきます。
借金額、収入と関係する「任意整理ができる条件」については、以下ページもご参照ください。
費用倒れになる場合(減額できる利息や遅延損害金が少ない、借入先が多い)
任意整理は、個人再生や自己破産に比べると費用のかからない手続きです。
しかしそれでも、費用倒れになる場合もあります。
例えば、
- 借入れが少額である
- 住宅ローンや奨学金など、利息が低い借入れ、利息カットを受けにくい借入れが対象
- 相手の貸金業者が、利息のカットに応じにくい傾向のある業者である
といった場合に、費用倒れになるおそれがあります。
任意整理では利息や遅延損害金のカットについて交渉することとなり、これらをカットできると「借金の減額」になります。
しかし、上記のような例だと、利息や遅延損害金を減額できる余地が少なく、任意整理の費用以上の減額が受けられない可能性があるのです。
また、任意整理の費用は通常、交渉相手となる貸金業者の数に応じて決まる(一社当たり2~4万円程度の場合が多い)ので、借金をしている貸金業者が多すぎると費用がかさみ、費用倒れになるおそれが高まります。
このような場合には、対処法として、収支を見直して返済を続けることや、ご自身で直接貸金業者と交渉し、返済期限を延ばしてもらうことが考えられます。
借金があまりに多額な場合や、安定した収入がない場合には、個人再生や自己破産を検討する場合もあります。
また、既に完済した借金の過払い金があれば、これを返済に充てることで、その後の返済をスムーズにできるようにしていきます。
過払い金の有無については、一度専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
10年以内に借り入れをする予定がある場合
任意整理をすると、いわゆる「ブラックリストに載った」状態になります。
「ブラックリストに載った」といわれる状態は、信用情報機関という機関が管理している信用情報に「債務整理をした」「延滞した」などの事故情報が記録された状態のことをいいます。
金融業者がローンやクレジットカードの審査をするとき、この信用情報を参照しますので、ここに事故情報が記載されていると、審査に通らなくなります。
こうした事故情報は、任意整理後に借金を完済した後5年程度残ることになります。
任意整理が済んだ後に借金を完済するまでには3~5年かかりますので、任意整理を始めてから事故情報が消えるまでには、だいたい8~10年程度かかることになります。
その間は、住宅ローンや車のローンを組むことも、クレジットカードを作ることも難しくなります。
そのため、10年以内に住宅ローンや車のローンを組みたい、という場合には、任意整理については慎重に考える必要があります。
任意整理はしないこととした場合には、家計の収支を見直して、返済を続けられるように考えます。
ただ、住宅ローンについては、配偶者名義でローンを組む、ペアローンを利用するなどといった方法によってローンを組める可能性もあります。
車なども、手持ちのお金で買う分には全く問題ありません。
任意整理が成功すれば、生活に余裕が生まれ、貯金をして車などを買うことも可能になる場合があります。
任意整理後の生活がどうなるのかについて、「ローンを組みたいから」と任意整理を諦める必要があるのかを含め、一度弁護士に相談することをお勧めします。
また、既に完済した借金について過払い金が発生している場合は、ブラックリストに載ることなく過払い金を取り戻し、これを返済に充てて、借金を減らすことができます。
ブラックリストに載らずに過払い金を請求する方法については、以下ページをご参照ください。
個人事業を営んでいる
個人事業を営んでいる方は、自分の名義で事業資金の借入れをしている場合もあるかと思います。
そのような場合に任意整理をしてしまうと、上記のように「ブラックリスト」に載ってしまい、事業資金の借入れもできなくなってしまいます。
こうした事態を避けるには、収支を見直して返済を続ける、もしくは完済した借金について過払金を請求することを検討することになるでしょう。
完済した借金について過払い金があれば、ブラックリストに載ることなく借金額を減らせる可能性があることは、前の項でご説明したとおりです。
返済実績がない又は少ない
借入れをした後全く返済していない借金があると、それについては任意整理をすることが難しいです。
相手も、貸したばかりの相手にいきなり「全然返せない」と言われても納得できないのです。
任意整理に応じるかは、あくまで貸金業者の意思によりますので、貸金業者が納得しなければ、任意整理を行うことができません。
返済実績が少ない借金についても、やはり任意整理を行うことは難しいことが多いです。
「これまで長年返済を続けてきたが、ついに返済できなくなった」という方が、債権者側もすでに相応の利息の支払いを受けているため、まだしも納得しやすいのです。
返済実績がない又は少ないために任意整理が難しい場合には、返済実績のない又は少ない借金については任意整理の対象から外す、自己破産や個人再生を検討する、といった対策を考えます。
ただ、返済実績がない又は少ないからといって絶対に任意整理に応じてもらえないと決まっているわけでもありません。
借り入れている側の収支の状況、貸金業者ごとの傾向などにもよりますので、一度債務整理に詳しい弁護士に相談してみることをお勧めします。
また、今の借入れについて任意整理が難しくても、既に他の業者に完済した借金に関する過払い金があれば、それを使って借金を減らすことも可能です。
過払い金の有無、回収できる見込みについても、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
既に任意整理をしたことがある
一度任意整理をしていると、再度の任意整理を申し入れても、債権者が合意してくれない場合が多いです。
「一度任意整理に応じたのに、また返せなくなった」となると、貸金業者側としては、再度任意整理をしてもまた返せなくなるのではないか、そうであれば、早めに裁判、差押えするなどして借金を返してもらおう、などと考えるわけです。
一度任意整理をしている場合には、状況にもよりますが、個人再生や自己破産を検討した方が良い場合が多いです。
もっとも、絶対に応じてもらえないというわけではないので、再度の任意整理で交渉できないか、弁護士に一度目の任意整理の状況とその後返済状況を説明して相談してみてください。
強制執行の準備が進んでいる(既に判決が出ている、差押えが行われているなど)
既に貸金業者から裁判を起こされ、判決も出てしまっている場合や、仮差押え、差押えが行われている場合、貸金業者は既に強制執行の準備を進めている状態です。
このような状態になってしまっていると、任意整理では強制執行を止めることができないので、強制執行を止めることができる自己破産や個人再生の申立てをすることを検討することになります。
完済した借金に関する過払い金があれば、それを使って借金を返済し、強制執行を止められる場合もあります。
また、裁判を継続してもらいつつ、貸金業者と交渉を試みること自体はあり得ますので、早めに弁護士に相談すべきでしょう。
忘れないで!!完済した借金はありませんか?
ここまで読んで、「自分は任意整理はできないかも・・・」と思われた方もおられると思います。
そのような方は、既に完済した借金がなかったか、思い出してみてください。
平成19年6月以前は、貸金業者のほとんどは、利息制限法の上限を超える金利を設定していました。
平成19年6月以降であっても、平成22年6月の法改正によりグレーゾーン金利が正式になくなるまでの期間には、貸金業者によっては利息制限法を超える金利を取っていた場合もあります。
このころに借入れ・返済をしていた方は、借金の完済後でも、貸金業者に対して過払い金を請求する権利を有している可能性があります。
こうした過払い金を回収して返済の原資に充てることで、借金額を減らして任意整理ができるようになるかもしれません。
また、借金を完済した業者に対する過払い金請求であれば、ブラックリストに載ることなく行えるというメリットもあります。
取引の状況によっては時効が成立している場合もありますが、一度、完済した借金がなかったか考え直してみることは、有効な対処法です。
過払い金については、以下ページで詳しく解説しています。
任意整理とは
任意整理とは、弁護士などの専門家を代理人として、貸金業者と交渉して借金の減額、返済期間の延長などを実現し、無理のないスケジュールで借金を返済していけるようにする手続きです。
任意整理には、以下のようなメリットがあります。
- 弁護士に依頼すると、債権者からの取立てが止まる
- 任意整理をしている間、返済をストップできる
- 借金額を減らせる場合がある
- 過払金を取り戻せる場合がある
- 持ち家や車を残せる可能性が高い
- 親族や友人、職場への借金は対象から外せる
- 手間や費用が少ない
- 自己破産・個人再生をしないで済む(官報にも掲載されない)
- 自己破産のような資格制限がない
- 借金の原因がギャンブルや浪費であっても減額が受けられる
- 家族などにバレる心配が少ない
任意整理は通常弁護士などの専門家に依頼して行います。
弁護士から「受任通知」を送ると、貸金業者は、本人に対して直接請求をすることができなくなり、取立ても止まります。
債務整理の手続をしている間は、借金の返済を一時的にストップすることもできます。
任意整理が上手くいけば、利息・遅延損害金のカットなどにより、借金を減額することができますし、過払い金が見つかってお金を返してもらえることもあります。
任意整理であれば、ローンの残った持ち家や車も残せる可能性が高いですし、知人等への借金を対象から外すことなどもでき、家族や職場にバレるおそれも低くなります。
個人再生・自己破産に比べると労力や費用が少なくて済む、官報に掲載されることがない、自己破産と違って資格制限を受けない、借金の理由がギャンブルや浪費であっても関係ない、といったメリットもあります。
任意整理の手続の流れ、メリット・デメリットなどについては、以下ページでもご説明しています。
任意整理のデメリット
任意整理をすることによるデメリットには、以下のようなものがあります。
- ① 任意整理後8~10年程度の間、信用情報に「債務整理をした」「延滞した」などの事故情報が記載されてしまう(いわゆる「ブラックリストに載る」状態になる)
- ② クレジットカードが使えなくなる
- ③ 住宅ローンや車のローンを組めなくなる
- ④ 任意整理をした金融機関では、今後借り入れをすることが難しくなる(いわゆる「社内ブラック」になる)
- ⑤ 賃貸住宅を借りるとき、保証会社によっては、審査に通らないことがある
- ⑥ 大幅な借金減額は難しい
上に挙げた項目をご覧いただくと、任意整理により生じる不利益のほとんど(①、②、③、④、⑤)は、ブラックリストに載ることなどにより、新規の借入れ等ができなくなることによるものだとわかります。
特に「クレジットカードが使えないと困る」と感じる方は多いかもしれません。
しかし、ブラックリストに載っていても使える、クレジットカード以外の決済手段もあります。
クレジットカード以外の決済手段については、以下ページをご覧ください。
任意をすることのデメリットについては、以下ページもご参照ください。
任意整理では、大幅な借金減額は難しい
もう一つのデメリットとして、任意整理では、個人再生や自己破産に比べると、大幅な借金減額は難しい、ということが挙げられます。
任意整理で減額されるのは、利息や遅延損害金が主です。
これだけでもかなり借金の負担は減るのですが、元本も減額又は免除される個人再生や自己破産と比べると、減額幅は大きくはありません。
大幅に借金額を減額しなければ返済は厳しい、という場合には、自己破産又は個人再生を検討することになります。
自己破産と個人再生については、以下ページで解説しています。
任意整理をしなければよかった!具体例で紹介
任意整理をしたことで不都合が発生してしまうケースを、具体例でご紹介します。
Aさん夫婦は、「そろそろマイホームがほしいよね」と話をしていました。
しかし、実はAさん(夫)には、家族に内緒の借金があり、月々の返済にも困る状況になっていました。
今の状態では、とても住宅ローンまで組む余裕はありません。
そこでAさんは、家族に内緒で債務整理をしようと、専門家に相談に行きました。
しかし、Aさんは、「住宅ローンを組みたいから債務整理をしたい」というのは図々しい気がして、相談の中でいうことができませんでした。
専門家も、債務整理に詳しいわけではなかったため、そこまで聞いては来ませんでしたし、任意整理をすると信用情報に事故情報が記載され、8~10年程度の間に住宅ローンを組むことは難しくなる、ということを説明することもしませんでした。
無事に任意整理を終え、返済の目途もつき、ホッとしたAさんは、家族で家探しをし、物件も決め、いよいよ銀行に住宅ローンの申込みをすることになりました。
すると、銀行から、「審査の結果、Aさんからの住宅ローンの申込みは、お受けすることができませんでした。」と言われてしまいました。
任意整理をしたことが信用情報に記載されてしまっており、いわゆる「ブラックリストに載った」状態になっているので、審査を通らなかったのです。
どういうことかと妻に問い詰められ、結局借金のことも任意整理のこともバレてしまい、大騒ぎになってしまいました・・・。
Bさんは、総額250万円ある借金の返済に困り、任意整理を希望して専門家に相談しました。
Bさんが無理なく返済に回せる金額は、月5万円でした。
その場合、任意整理ができる目安となる借金額は、
5万円 × 36回(3年間) = 180万円
ですので、借金総額が250万円になるBさんは、任意整理をするのは難しい状態でした。
しかし、Bさんは、なんとか個人再生や自己破産をせずに済ませたかったので、任意整理とすることにこだわりました。
そこで、かなり無理をした節約計画を立て、相談した専門家には、月7万円は返済に回せる、と言いました。
相談を受けた専門家も、債務整理の経験が浅かったので、Bさんの言うことを鵜吞みにし、月7万円を返済に充てる計画で任意整理を行いました。
しかし、無理な節約生活は、そう長くは続かないものです。
結局、Bさんは返済を続けられなくなり、改めて、別の債務整理に強い弁護士に依頼して個人再生や自己破産を検討することになり、時間も、返済で支払ったお金も、専門家に払う費用も、余計に失うことになりました。
信頼できる専門家に相談しよう
任意整理をした後に、上で取り上げた2つの例のようなことになってしまうと、大変なことになります。
でも実は、上の例で見たような事態は、債務整理に強い弁護士に相談していれば、事前に避けることができた可能性が高いです。
債務整理に強い弁護士であれば、任意整理をすることでどのような不具合が生じるかについてよく知っており、相談者が困った事態に陥らないか、あらかじめよく注意して聞き取りを行い、説明も丁寧にします。
返済計画についても、相談者の立てた計画が無理のあるものになっていないか、豊富な経験と知識をもってチェックすることが可能です。
例えば、当事務所では、ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持った弁護士も複数在籍しており、ご相談に来られた方に適した返済計画の立案支援にも力を注いでおります。
任意整理をした方がよい人
これまで任意整理をしない方がいいケースについてご説明してきましたが、実際には、任意整理をした方がよい場合が数多くあります。
任意整理をした方がよい人は、以下のような方になります。
- 借金で生活が苦しい
- 取立てに追われる精神的負担がきつい
- 借金があるが、引き直し計算をすれば、3~5年で返済することができる
- 一定の安定収入がある
- 持ち家や車を手放したくない
- 保証人に請求されることを避けたい
- 過去の取引での過払い金が発生しているかもしれない
- 借金の原因がギャンブルや浪費で、自己破産では免責を受けられないかもしれない
- 資格が必要な仕事をしており、自己破産で資格制限を受けると仕事に影響する
- 家族などに知られたくない
借金で生活が苦しい
毎月返済に追われて生活が苦しい・・・という方は、まずは弁護士に相談してみることが大切です。
一人で悩んでいるより、専門家に相談した方が、問題を解決できる可能性が高まります。
自分には任意整理は無理かも・・・と思われたとしても、専門家の目から見れば可能な場合もありますし、任意整理以外の手段で債務整理をすることもできます。
ぜひ一度、債務整理に詳しい弁護士に相談してみてください。
取立てに追われる精神的負担がきつい
貸金業者からの督促を受け続けるのは、辛いものです。
弁護士に債務整理を依頼して「受任通知」を出してもらえば、貸金業者から直接取立てがくることはなくなり、精神的な負担がかなり軽減されます。
仕事中などに連絡がかかってくるのも防ぐことができますので、ご安心ください。
借金があるが、引き直し計算をすれば、3~5年で返済することができる
任意整理では、話し合って減額した借金を、3~5年かけて返済することになります。
自分が月々返済できそうな金額を割り出し、それを36倍した金額までに借金額が収まっていれば、任意整理での解決ができる可能性が十分あります。
一定の安定収入がある
任意整理後には、貸金業者と合意した内容に従って3~5年間返済をしなければなりません。
そのため、任意整理をするには、一定の安定した収入がある必要があります。
収入があるのであれば、正社員でなくとも、アルバイトやパートでも、年金収入でも問題ありません。
持ち家や車を手放したくない
住宅ローンの残った持ち家がある、ローンを払い終わっていない車がある、という場合、自己破産をしてしまうと、家も車も手放さざるを得なくなることがほとんどです。
個人再生をすれば、住宅ローンの残った家でも残せる可能性がありますが、車の方は、ローンが残っていると引き上げられてしまうことが大半です。
しかし、任意整理であれば、住宅ローンや車のローンには手を付けずに返済を続けることで、持ち家や車を残すことができます。
保証人に請求されることを避けたい
借金の中に保証人を立てているものがある場合、自己破産や個人再生をしてしまうと、保証人がある借金も対象にせざるを得ず、減額又は免除された部分について保証人に請求されてしまいます。
しかし、任意整理であれば、保証人がある借金を対象から外すこともできます。
ただ、任意整理であっても、保証人がある借金も対象にする場合には、一時的に保証人に請求があるかもしれません。
しかし、貸金業者との間で合意ができれば、保証人の債務も新たな合意に沿った内容に変更されますし、合意に沿った返済を本人がしていれば、その後保証人に請求がなされることもありません。
過去の取引での過払い金が発生しているかもしれない
平成22年以前に借入れ・返済を続けていた方の中には、過払い金が発生している方もいらっしゃいます。
過払い金が発生している場合、過払い金を取り戻すこともできますし、まだその業者に対する借金が残っている場合には過払い金と相殺することも可能です。
過払い金の請求権にも時効がありますので、お心当たりのある方は、早めに弁護士などの専門家にご相談ください。
借金の原因がギャンブルや浪費で、自己破産では免責を受けられないかもしれない
自己破産をして借金を免除してもらう(免責してもらう)には、免責不許可事由がないことが必要です(破産法252条1項)。
借金の原因がギャンブルや浪費だと、この免責不許可事由に当たってしまうので、免責を受けることが難しくなってしまいます。(ただ、裁判所の裁量により免責される場合もあります。)
しかし、任意整理であれば、借金の原因とは関係なく手続きができます。
借金の原因が浪費やギャンブルである場合は、借金額が増えて任意整理ができなくなる前に、早めに専門家に相談することをお勧めします。
資格が必要な仕事をしており、自己破産で資格制限を受けると仕事に影響する
自己破産をすると、一定期間、いくつかの職業について資格制限を受けてしまいます。
資格が必要な仕事をしている場合、その資格が自己破産での資格制限を受けるものだと、仕事に支障を生じてしまいます。
そのような仕事をしている方は、なるべく任意整理か個人再生ができるうちに、借金問題について弁護士に相談することをお勧めします。
自己破産をするとできなくなることについて、詳しくは、以下ページをご覧ください。
家族などに知られたくない
任意整理では、書類の提出などもほとんどなく、裁判所に行く必要もありませんので、家族など周囲の人にバレるおそれは低いです。
個人再生や自己破産をすると、弁護士との書類のやり取りも増えますし、ご家族の収入に関する資料が必要になる場合もあるなど、債務整理をしたことが知られてしまう危険が少し高くなってしまいます。
まとめ
今回は、任意整理をしない方がいいケースとした方がよいケース、任意整理のメリット・デメリットなどについて解説しました。
任意整理にはデメリットもありますし、状況によっては任意整理が向かない方も確かにおられます。
しかし、ご自身で、「任意整理には向きそうにない」と思われても、債務整理に詳しい専門家からみると、任意整理が可能な場合も多々あります。
また、任意整理には適さない、という場合であっても、他の対処法で借金問題を解決することもできます。
債務整理に強い弁護士であれば、任意整理のみでなく、色々な形での借金問題解決法に関する知識を有しています。
借金問題でお困りの方は、ぜひ一度、債務整理に力を入れている弁護士にご相談ください。
当事務所では、借金問題に注力する弁護士による破産再生チームを設けております。
ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持った弁護士も複数おり、収支改善の検討、相談者に合う返済計画の立案への支援も行っております。
遠方の方からのオンライン相談や電話相談も受け付けております。
お困りの方は当事務所までどうぞお気軽にご相談ください。