状況
- 破産者 : 40代 Aさん
- 債務の内訳 : 5社 総額500万円程度
- 資産と収入 : 資産なし、収入月18万円程度(配偶者収入:月40万円程度)
相談の経過
Aさんには多額の借金があったものの、配偶者の収入を加味すると家計の収入はそれなりにありました。
しかし、一見すると、返済も可能ではないかと考えることもできましたが、配偶者とは事実上の家庭内別居状態で、債務の返済を協力してもらえない状況でした。
また、借金のことを配偶者に話すと、離婚になる可能性が高いということもあり、負債状況を誰にも相談できずにいました。
そこで、毎月の返済などに困ったAさんは、今後のことについて、弁護士に相談し、破産申立てを依頼をしました。
弁護士の関わり
Aさんから相談を受けた弁護士は、配偶者と離婚するか否か、また、破産手続の際に配偶者に協力をしてもらえるかは重要な事項だったので、その点について、配偶者と話し合うように促しました。
当初は、負債状況を正直に打ち明けると配偶者に離婚を切り出されると考えていたAさんですが、実際に、配偶者と話し合いを行うと、家事や育児に協力してほしいこと、借金についても相談してほしいことを伝えられ、離婚には至りませんでした。
また、配偶者が破産申立てについて、配偶者への影響などを心配していたので、弁護士からAさんの配偶者に破産手続について詳細に説明を行い、配偶者の心配事を払拭するように努めました。
そして、配偶者の協力も得られ、無事破産申立てを行うことができましたが、裁判所からは、配偶者の収入がそれなりにあったことから、支払不能の有無や財産混同の有無について、申立代理人の意見を求められました。
そこで、弁護士は、支払不能に陥っていること、財産混合のおそれがないことなどを記載した上申書を裁判所に提出しました。
結果としては、支払不能状態が認められること、また、財産混同の可能性が低いことが認定され、同時廃止で終結することができました。
補足
破産にあたっては、同時廃止か管財事件かは、破産手続の期間や予納金などの点で、重要ですが、福岡地方裁判所の運用だと、夫婦の一方の破産申立ての場合、管財事件になることが少なくありません。
もっとも、夫婦一方の破産申立てであっても、申立書類の工夫や上申書の提出次第では、同時廃止となることもありますので、申立段階で対応策を考えることが重要です。
この点、破産に精通している弁護士であれば、申立書類をどのように工夫するのか、管財事件になる可能性がどれくらいあるのかをある程度予測することができ、適切な見通しの判断ができます。
また、申立準備段階において、破産申立てをご不安に感じるご家族も多いと思います。
弊所ではそのようなご家族に対し、弁護士が破産手続によるご家族への影響の有無などについて直接説明をするというサービスを行っております。
Aさんは、弁護士が配偶者に直接説明をすることによって、配偶者に破産手続の協力を得られてのみならず、夫婦仲の改善に寄与することができました。
借金についてお一人で悩まずに、破産等に詳しい弁護士に相談することが大切です。