女性が離婚を決めたらする事とは?|後悔しないためのポイント
女性が離婚を決めたらする事とは、離婚条件についての見通しを立てて、冷静に行動することです。
離婚を考えるほど追い詰められると、冷静な判断ができなくなることが多いです。
感情だけですぐに離婚の手続をしてしまっては、後悔する可能性が高くなります。
ここでは、女性が離婚を考えたときに考えるべきことや、準備すべきことについて、離婚に強い弁護士が詳しく解説いたします。
ぜひ参考になさってください。
女性が離婚を決めたらまず考えるべきこと
離婚を決めた女性が考えるべき事は、具体的な状況によって多少異なります。
しかし、この記事を参考にしていただければ、失敗はしないと考えます。
離婚が認められるのか
仮に相手が離婚を拒否した場合、裁判所が離婚を認めてくれるのかを検討すべきです。
最終的に「離婚が認められるのか」を知っておくことで、今後の相手との交渉に大きく影響するからです。
例えば、裁判所が離婚を認めてくれる事案であれば、相手と強気の交渉ができます。
つまり、最大限の要求が可能です。
女性は、相手が要求に応じてくれなければ裁判を起こすことも可能です。
逆に、離婚が認められない可能性が高い状況であれば、相手に対して大きな要求は難しいでしょう。
裁判所が離婚を認める場合とは?
裁判所は、下記の5つのいずれかに該当する場合に離婚を認めてくれます(民法770条1項)。
- 1号 配偶者に不貞な行為があったとき
- 2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 3号 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- 5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
引用元:民法|eーGOV法令
くわしくは以下をご覧ください。
離婚成立までの期間はどのくらい必要か
相手に離婚を切り出しても、すぐに離婚は成立しません。
特に、離婚調停や離婚裁判となれば、長期間を要する傾向です。
どの程度の期間が必要となるかはケースによって異なりますが、協議離婚、調停離婚、裁判離婚にかかる期間の目安をご紹介します。
協議離婚の期間については統計資料がないため、筆者の経験に基づく主観的な感覚です。
根拠資料
調停離婚の期間の根拠となる統計データ
裁判離婚の期間の根拠となる統計データ
早く離婚するためには早い段階で専門家に助言をもらう
このように、離婚はすぐには成立しません。
できるだけスムーズに離婚を成立させるためには、早い段階で専門家に相談することをお勧めします。
離婚に強い弁護士であれば、具体的な状況を踏まえて早期解決の方法を提案してくれるでしょう。
DVやモラハラは早急に行動を!
特に、DV・モラハラでお悩みの方は、早急に別居を検討しましょう。
DV・モラハラやモラハラは放っておくと、被害者の身体に深刻な悪影響をもたらすおそれがあります。
したがって、一刻も早く別居し、相手との物理的な距離を作ることが重要となります。
離婚後の収入
女性の場合、離婚によって家計状況が一変します。
離婚をした後に収入がどれくらいになるのか、毎月の出費がどうなるか、シュミレーションしてみましょう。
考えられる収入は、給料や離婚後の養育費、慰謝料、公的扶助などがあげられます。
公的扶助には、児童手当、児童扶養手当(昔の母子手当)、就学援助費、生活保護等があります。
支出には家賃や光熱費、通信費の他、食費や教育費などが考えられます。
支出と収入に無理がないか、きちんと現実と向き合ってみましょう。
これらのことを考えずに離婚をすると、生活が成り立たなくなってしまいます。
離婚専門の弁護士の中には、ファイナンシャル・プランナーの資格を持ち、今後の生活設計について、きめ細やかなアドバイスを行ってくれるところもあります。
収支のシミュレーションはもちろん、将来の教育資金、老後の必要資金等に至るまで、アドバイスをしてくれると思います。
住む場所をどうするか
女性の方で、離婚後に引っ越しを考えている方は、住む場所を確保しなくてはなりません。
もし、近くに頼れる両親がいれば、一緒に住むことで経済的にも負担がかかりませんし、子どもがいる場合は見てくれる人が側にいることは何よりも励みになります。
一方、新しい住まいを借りるとなると、敷金や礼金、毎月の家賃、家具類の購入などで、それなりに費用もかかってきます。
民間のマンションやアパートでは経済的に厳しいのであれば、家賃が安い県営住宅や市営住宅を探すと良いでしょう。
子どもの精神的なケア
子どもがいる場合、父親と離れて暮らすことの影響を検討しましょう。
もっとも、初めてのご経験で、子どもにどのように接すればいいのかわからないという方が多いかと思います。
そのような方は、離婚に強い弁護士に子どものことも相談なさってはいかがでしょうか。
豊富な経験をもとに、助言してくれるはずです。
精神的に乗り越えるために頼れる人はいるか
離婚に直面した方は日々つらい生活を送られているかと思います。
親戚、友人、職場の同僚など、身近に理解してくれる方がいれば相談なさってみてはいかがでしょうか。
もっとも、離婚事案では、「周囲が理解してくれない」という状況も多いです。
例えば、「我慢すれば?」「あなたに落ち度はないの?」などの配慮にかける回答だと、逆効果となってしまいます。
このような場合は専門家にも胸の内を率直に相談してみてください。
離婚を専門としている弁護士であれば、あなたのつらい状況を理解してくれます。
女性が離婚を決めたら具体的に行動すべきこと
以下では、離婚を決めた女性の具体的な行動についてご紹介します。
離婚に強い弁護士に相談する
離婚に直面した方がとるべき最適な行動は状況によって異なります。
そのため、行動する前に、早い段階で専門家に相談することを強くお勧めいたします。
離婚に強い弁護士であれば、具体的な状況を踏まえて、あなたの目標(GOAL)やそのための戦略を提示してくれるでしょう。
以下の行動例は、状況によって異なりますので、参考程度と考えてください。
仕事を探す
離婚を機に新しく仕事を見つける場合は、離婚前から求人情報を集めるなどして動かれると良いでしょう。
最近は人手不足の状況ですので、賃金や職種に強いこだわりがなければ、仕事を見つけることは比較的簡単になってきています。
離婚後の住む場所を探す
引っ越しを予定されている場合は、住む場所を探しましょう。
不動産の仲介業者に相談しながら見つけることが一般的です。
夫の不貞行為の証拠集め
相手が不貞行為を否認した場合、立証責任を負うのはあなたです。
すなわち、不貞行為の存在を立証できる証拠を提出できなければ、裁判所はあなたの主張を認めてくれません。
そのため、不貞行為を主張する可能性がある場合、離婚協議前に証拠を確保することをお勧めいたします。
具体的な証拠の確保については、離婚専門の弁護士までご相談ください。
夫のDV等の証拠集め
DV・モラハラ被害者の方は、離婚を切り出す前に、夫のDV・モラハラの証拠資料を集めることがポイントとなります。
離婚の話を切り出した後では、相手が警戒し、証拠を集めることが難しくなることが想定されるからです。
必要な証拠については、離婚専門の弁護士までご相談ください。
夫の財産の調査と評価資料集め
離婚協議の段階で、相手が自分の財産をすべて開示してくれるとは限りません。
相手が財産を開示しない場合、財産分与の請求は認められなくなってしまいます。
そのため、離婚協議の前に、財産分与の対象となる財産を洗い出し、それを評価できる資料を確保しておかれることをお勧めいたします。
夫と離婚条件を話し合う
夫との協議離婚は、弁護士に交渉してもらう方法もあります。
以下、ご自身で話し合う場合に押さえておきたい項目をご紹介します。
親権
未成年の子どもがいる場合、親権者をどちらにするかを決めなければなりません。
なお、日本では、母親が親権者となるケースがとても多いです。
養育費
子どもがいる場合、養育費の取り決めを行いますが、その金額や支払いの終期(いつまで支払うか)がポイントとなります。
養育費の適正額等については、当事務所のシミュレーターで算定可能です。
ぜひご活用ください。
面会交流
子どもがいる場合、面会交流の頻度(月1回など)や方法(子どもの受け渡し方法)を決めることとなります。
財産分与
財産分与とは、夫婦で築いてきた財産(預貯金、不動産、生命保険、株式、自動車など)を離婚時に精算するという制度です。
財産分与の割合は平等、つまり2分の1となることが原則です。
財産分与は、その対象となる財産をもれなく調査し、かつ、適切に評価しなければなりません。
例えば、自宅などの不動産がある場合、固定資産評価額ではなく、時価を査定することが重要となります。
財産分与は専門家でなければ判断が難しいため、離婚問題に強い弁護士への相談をお勧めします。
専業主婦の事案では、夫側から「財産形成に貢献していない」などとして、財産分与に応じないケースが散見されます。
しかし、専業主婦であっても、基本的には2分の1の請求権があります。
慰謝料
例えば、相手が不倫をしている場合、慰謝料を請求することが可能です。
年金分割
女性の場合、夫に対して、年金分割を請求できる可能性が高いと思われます。
すなわち、妻の収入が夫の収入よりも低い場合、年金保険料の納付額が夫よりも少ないため、離婚時に夫婦平等(50%)にする手続きが必要となります。
年金分割には合意分割と3号分割がありますが、平成20年4月以前に結婚した夫婦の場合、合意分割を検討すべきです。
そして、合意分割のために、年金分割の合意書を準備することとなります。
婚姻費用
女性の場合、正式に離婚するまでの別居期間中、夫に婚姻費用(生活費のこと)を請求できる可能性が高いと考えられます。
この婚姻費用は、夫婦の年収によって異なります。
また、子どもがいる場合、養育費を決めることになりますが、これも夫婦の収入資料によって算定されます。
したがって、相手の収入資料(給与所得者は源泉徴収票等、自営業者等は確定申告書)を集めることが重要となります。
なお、婚姻費用の適正額については、当事務所のシミュレーターで算定可能です。
離婚条件が合意したら離婚協議書を作成しよう
離婚条件がまとまったら、合意書(離婚協議書)を作成することをおすすめします。
離婚協議書は、サインをすると後々変更することが難しいです。
そのため、内容が適正かどうかを専門家にチェックしてもらうことを強くお勧めします。
子どもがいる場合、養育費の取り決めを行いますが、その場合は公正証書を作成されることをお勧めいたします。
公正証書を作成しておくと、父親が養育費を支払わない場合、給与等を差し押さえることができ、安定した収入を確保できる可能性が高くなるからです。
離婚の合意後にすべき事
ここでは、離婚協議書の作成後にすべき事をご紹介しています。
離婚届の提出
離婚協議が成立したら、離婚届を役場に提出します。
協議離婚については、離婚届を提出したときに法律上、離婚が成立します。
職場への連絡
離婚が成立したら、会社の方については、職場への届け出を行う必要があります。
妻が扶養に入っていると健康保険の切り替え手続きが必要となるからです。
また、扶養に入っていない場合でも、緊急連絡先や身元保証人の変更、会社独自の家族手当などへの影響が予想されるため、職場には届け出た方がよいでしょう。
子の氏の変更
多くの夫婦は、子どもを夫が筆頭者である戸籍に入れています。
離婚して妻が夫の戸籍から外れると、通常は自分の戸籍を作り、そこに子どもも移すことを希望されます。
この場合、家庭裁判所に対し「子の氏の変更許可の申立て」を行わなければなりません。
仮に、名字を変更しなくても、この申立てが必要となるので注意してください。
なお、当事務所では、子の氏の変更許可の申立書の書式をホームページ上に公開しており、無料で閲覧やダウンロードが可能です。
学校への連絡
子どもが学生の場合、離婚が成立したら、学校に連絡したほうがよいでしょう。
なお、妻が離婚して旧姓に戻った場合に、子どもも妻の旧姓に合わせる場合が多いです。
小学生などの多感な時期にある場合、「名字が変わることを恥ずかしい」と感じる子どももいます。
このとき、学校には、「旧姓ではなく、これまでと同じ名字で呼称してほしい」とお願いされてみてください。
学校側も通称名として、これまでどおりの名字で接してくれると思います。
公的扶助の申請
児童手当受給者の変更、児童扶養手当認定請求、就学援助を受けるために、役場での手続きが必要となります。
まとめ
以上、女性が離婚を決めたときの実施事項について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
後悔しないようにするために、離婚の諸条件についての見通しを立て、冷静に行動しなければなりません。
しかし、具体的な実施事項については、子どもの有無、生活状況等によって異なってきます。
また、証拠の収集や合意書の作成には、離婚問題の専門知識と豊富な経験が必要となります。
そのため、詳しくは離婚専門の弁護士へ相談されることをお勧めします。
この記事が離婚問題でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。
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