自己破産は親権に影響しますか?【弁護士が解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

自己破産にいたった事情しだいでは親権の判断に悪影響を及ぼす可能性があります

自己破産を申し立てたからと言って、それだけで親権者として不適格というわけではありません。

しかし、浪費や金銭管理が苦手という事情があれば、子育てを行う親権者としてマイナス要因と考えられます。

相談事例

現在、妻と親権について争っています。

以下の状況で、親権を取得できる見込みはあるでしょうか。

夫:35歳 会社員 年収500万円
妻:30歳 パート 年収100万円
子供:3歳(男の子)

私は仕事が忙しく、帰宅時間は深夜になることもあります。

でも、自宅にいるときはできるだけ子供と一緒に過ごすようにしています。

家事は、基本的に妻が行っています。

しかし、妻は金銭管理が苦手で浪費癖があり、サラ金からの借り入れを行っていました。

そして、自己破産をしました。

とても子供を育てていけるようには思えません。

どうかご助言のほど、お願いいたします。

 

 

親権者の決め方

親権者の決め方は、お子さんの父母が話合いにより親権者を決める「協議」による場合と、話合いがうまくいかない場合に、裁判所において親権者を判断してもらう場合の2つがあります。

基本的には、まずはご夫婦で「協議」をすることになるかと思います。

しかし、親権については、両者とも希望する場合、協議での解決は難しい傾向です。

そのため、仮に裁判になった場合、裁判所がどうやって判断するのかを押さえておく必要があります。

 

 

親権者判断の基準

裁判所が親権者の指定を判断する際の基準としては、以下の4つが挙げられます。

親権者判断の基準

監護の継続性

母性の優先

子の意思の尊重

離婚に関しての有責性

それぞれの基準について、検討する必要があります。

 

①監護の継続性

離婚によって子どもの成育環境を大きく変えるべきではないので、現在主に子どもの世話をしている親が親権者となるべきという考え方に基づいた基準です。

ご相談のケースでは、母親が家事を行っており、父親は普段仕事が忙しいという状況です。

そのため、監護の継続性という観点では、母親が有利と考えられます。

 

②母性の優先

まだ幼い子どもについては、一般的には幼児期は母性的役割を果たしている親の監護と愛情が重要と考えられています。

ご相談のケースでは、子供が3歳とまだ幼いため、父親が栄養バランスを考えた食事づくりや学校行事等の参加、送り迎えなどを積極的に行うのは難しいと思われます。

また、母親が母性的な役割(家事など)を果たしているようですので、この点についても母親の方が有利と考えられます。

 

③子の意思の尊重

子がどちらの親を親権者として希望しているか、その意思を尊重すべきという考え方に基づいています。

しかし、3歳では、自分の意思を明確に伝えられる年齢ではないと判断される可能性が高く、仮に父親に監護してもらいたいという意思を子供がもっていても、その子供の意思だけが重視されるとは考えにくいです。

 

④離婚に関しての有責性

離婚に関して有責性を負う親は、親権者として不適当であるという考え方に基づいています。

この点については、父母双方とも差はないように思います。

 

 

自己破産は親権に影響する?

ご相談の事例は、母親が自己破産を行ったという事情があります。

では、このような事情が親権に影響するのでしょうか。

自己破産を申し立てたからと言って、それだけで親権者として不適格というわけではありません。

自己破産と一口に言っても、その背景には様々な諸事情があるからです。

例えば、事業に失敗したという場合、基本的にはマイナスに判断される要素はないと考えられます。

しかし、ご相談の事例では、「浪費」や「金銭管理が苦手」という事情が存在します。

このような事情については、子育てを行う親権者として、マイナス要因と考えられます。

したがって、母親が親権を取得できない可能性もあるでしょう。

しかし、自己破産の当時と異なり、現在はそのようなマイナス要素がなく、家計の管理をきちんと行っているのであれば、裁判所は重要視しないと思われます。

 

 

父親は親権者になれない?

上記の相談事例では、父親の親権取得は、決して簡単とはいえないでしょう。

しかし、父親であることから、必ずしも親権を取得できないわけではありません。

実際に、父親でも親権を取得できた事例はたくさんあります。

親権を取得できるか否かは、難しい判断となります。

そのため、離婚専門の弁護士にもっと詳しい状況をお伝えになれることをお勧めします。

経験豊富な弁護士であれば、具体的な状況をもとに、親権取得の可能性を判断し、仮に厳しい場合でも、親権取得の可能性を高める方法を助言してもらえるでしょう。

 

 

まとめ

以上、自己破産の場合の親権への影響について、事例をもとに解説しましたがいかがだったでしょうか。

自己破産にいたった状況次第では、親権者として不適格と判断される可能性があります。

また、父親であっても、親権を取得できる場合もあります。

もっとも、親権者の判断は個別具体的な状況をもとに判断する必要があります。

そのため、親権の取得については、離婚問題の専門家に相談されることをお勧めします。

この記事が親権の問題でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。

 

 

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