面会交流の頻度とは?例外が認められる場合とは?
面会交流の頻度は、月1回となるケースが多いです。
もっとも、適切な頻度は子どもの年齢や生活状況などを考慮した上で決めることになります。
そのため、ケース・バイ・ケースあり、月2回以上が子どもにとって一番良いというケースもありますし、反対に月1回では子どもの負担が大きくなり現実的ではないというケースもあります。
また、面会交流の時間や場所、方法などによっても適切な頻度は異なってきます。
ここでは、面会交流の頻度について、相場や例外などについて解説していきます。
ぜひ参考になさってください。
面会交流とは?
面会交流とは、子どもと離れて暮らす親(以下「非監護親」といいます。)が子どもと会うなどして交流することをいいます。
直接会う方法(直接交流といいます。)のみならず、電話やメール・LINEのやり取り、Zoom等によるオンラインでのコミュニケーションなどの間接的な方法による交流(間接交流といいます。)も面会交流に含まれます(※)。
面会交流は、父母の一方のみが子どもの監護(一緒に暮らして世話をすること)をしている場合に行われます。
そのため、父母が離婚した場合のみならず、父母が離婚前に別居をしている場合にも問題となります。
(※)この記事において「面会交流の頻度」という場合は、主に直接交流の頻度を指すこととします。
面会交流についての詳しい解説は、こちらのページをご覧ください。
面会交流の頻度は月1回が平均?
面会交流の頻度に関する統計データ
最高裁の統計データによれば、月1回のケースが全体(※)の40.3%と最も多くなっていることがわかります。
(※)離婚調停等で面会交流を取り決めた事案
面会交流の頻度は、子どもの年齢や生活環境等を考慮して決めることになるため、事案により異なります。
また、面会交流の内容(時間、場所、方法等)によっても、適切な頻度は異なってきます。
もっとも、上記の統計が示すとおり、実務では月1回程度が相当とされるケースが多いです。
監護親や子どもの負担を考慮すると、月1回程度とするのが最も現実的で、継続しやすい頻度といえるケースが多いためです。
子どもの年齢が低い場合(未就学児の場合)は、多くのケースで面会交流の実施に監護親の協力(付き添いなど)が必要となります。
そこで、監護親の負担も考慮する必要がありますが、監護親は仕事と育児で忙しいことが多いため、負担がかかり過ぎず、継続しやすい頻度を考えると、月1回程度に落ち着くケースが多いです。
子どもが小学生になれば、監護親の付き添いなしでも実施できるようにもなりますが、今度は子ども自身が勉強や部活動、友達との遊び、習い事などで忙しくなります。
子どもの生活ペースを尊重しつつ、無理のない、継続しやすい頻度を考えると、やはり月1回程度の実施が妥当という結論に至るケースが多いです。
面会交流の頻度に関する例外的なケース
以上のように、面会交流の頻度は月1回程度とされることが多いです。
しかし、次のようなケースでは、月1回よりも増える又は減る傾向にあります。
父親が遠方で生活している場合
父親(非監護親)が遠方で生活している場合は、回数が減る傾向にあります。
非監護親が遠方にいる場合は、非監護親が子どもの居住場所の近くに来て面会交流を実施するパターンもあれば、子どもが非監護親の居住場所の近くに行くパターンもありますが、いずれにしても移動に時間がかかります。
子どもが非監護親の居住場所に行くパターンであれば、子どもの移動の負担にも十分に配慮しなければなりません。
監護親の付き添いが必要になるケースも多いため、監護親の仕事や旅費の都合も考慮する必要があります。
非監護親が子どもの居住場所の近くに来るパターンの場合は、子どもや監護親の負担は軽減できますが、非監護親の仕事や旅費等の都合もあり、頻繁に実施することは難しいでしょう。
そのため、2、3か月に1回とか、子どもの夏休みなど長期休暇ごとに1回実施するというのが妥当であるケースが多いです。
このように回数を減らす代わりに、宿泊を伴う面会交流が実施されることも多いです。
子どもが面会交流を強く希望している場合
子どもが面会交流を強く希望している場合は、回数が増える傾向にあります。
子どもの意向は回数を決める際にも重要な考慮要素となります。
ただし、子どもの希望通りの回数にしなくてはならないというわけではなく、あくまでも子どもの年齢や生活状況に応じて無理のない範囲、かつ、監護親にとって過剰な負担とならない範囲で適切な頻度を検討する必要があります。
子どもの生活のペースや監護親の仕事の都合などを考慮すると、日中にある程度の時間をとって実施する場合は、月2回程度(日曜日に隔週で実施するなど)が妥当であり、毎週のように実施することは困難なケースが多いです。
子どもが面会交流に消極的な場合
上記の場合とは反対に、子どもが面会交流に消極的な場合は、一般的には面会交流の回数は減る傾向にあります。
例えば、受験を控えているため、これまで面会交流に充てていた時間を勉強に充てたいと子ども自身が思っている場合は、回数を減らすべきと考えられます。
一方、非監護親が面会交流の際に信頼関係を失わせるような言動(監護親の悪口を言う、生活状況を詳しく聞き出すなど)をしていることが原因で子どもが面会交流を嫌がるようになった場合は、回数を減らせば解決できるというものでもありません。
まずは非監護親に態度を改めてもらうことが必要であり、改められないようであれば、面会交流の実施の可否自体が問題となることもあるでしょう。
また、非監護親との交流が長い間途絶えていたため、気まずいので会いたくないというケースもあります。
このようなケースでは、回数を減らすとむしろ親子の親愛関係の再構築が難しくなることもあります。
そのため、子どもの利益の観点からは、月1回程度は実施することにして、時間を調節(始めは短時間として徐々に伸ばしていくなど)する方向で調整した方がよい場合もあります。
子どもが習い事などで忙しい場合
子どもが習い事などで忙しい場合も、回数は減る傾向にあります。
子どもが小学生になると、ある程度まとまった時間(半日〜1日)をとって直接交流を実施するのであれば、通常は学校が休みの土曜日か日曜日に実施することになるでしょう。
しかし、土曜日も日曜日も習い事があったり、部活動や塾通いで忙しいとなると、月1回でも面会交流の時間をとることは難しくなります。
子どもの生活のペースは尊重する必要があり、面会交流のために習い事などを休ませることは基本的にはできません。
そのため、ある程度まとまった時間をとって直接交流を実施する場合は、祝日や長期休暇などを利用して、2、3か月に1回程度の頻度での実施にならざるを得ないことがあります。
もっとも、時間や方法にこだわらないのであれば、非監護親が習い事の送迎を担当するなどの方法をとることで、短時間でも月1回以上の面会交流が実現する場合もあります。
子どもが中高生の場合は、送迎を担当するという方法はとりにくくなりますが、代わりに、例えば塾の帰りに待ち合わせをして一緒に夕食を食べる(外食する)などの方法で、月1回程度の面会交流を実施できる場合もあります。
共同親権の場合
離婚後も共同親権を選択するケースでは、非監護親も積極的に子育てに関わるようになることが期待されており、面会交流の実施も促進されると考えられています。
そのため、共同親権の場合は、単独親権となるケースに比べ、面会交流の回数も多くなる可能性があると考えられます。
(※)親権に関する規定については、離婚後も共同親権を選択できるとの内容の改正法が成立しており、改正後の法律は2026年5月までに施行されます。
面会交流の頻度を変更したい場合はどうすればいい?
現状の問題点を相手に知らせる
面会交流の頻度が実情に合っていない場合は、まずは相手にそのことを知らせ、頻度を見直すための話し合いをするとよいでしょう。
例えば、月2回という取り決めで、何回か面会交流を実施したものの、子どもにとって負担が大きい様子である場合は、子どもの月間のスケジュールを共有するなどして、頻度の見直しの必要性を示すようにするとよいでしょう。
また、これまでは順調に実施できていたものの、事情の変更が生じて実情に合わなくなったというケースもあります。
例えば、子どもが中学校に入って部活動が忙しくなった、土曜・日曜も塾通いをするようになった、監護親の転勤で遠方に引っ越すことになったなど、子どもの生活状況は時間の経過とともに変わっていくものです。
そのような変化に合わせて面会交流の頻度も見直す必要が生じます。
しかし、非監護親は子どもと離れて暮らしているため、このような状況の変化を認識しづらいことも多いです。
そのため、監護親から子どもの生活状況の変化を説明し、非監護親に実情と合わなくなったことを理解してもらうようにすることがポイントとなるでしょう。
一方、生活状況等に変更がなくとも、子どもが面会交流を嫌がるようになったために頻度を減らしたいというケースもあります。
このような場合も、まずは監護親が子どもの意向を非監護親に伝えたうえで、子どものことを第一に考えて話し合いをすることが望ましいでしょう。
一定期間の頻度の変更を打診してみる
非監護親が面会交流の頻度を増やすことを希望しても、監護親が不安や負担を感じて応じてくれないケースは多いです。
このような場合は、期間を区切った上で、その期間中だけ試しに頻度を増やしてみることを提案するとよいでしょう。
例えば、これまで毎月第2土曜日(月1回)に実施していたのを、来月と再来月に限っては第2土曜日に加えて第4土曜日(月2回)に実施することを提案してみるといった具合です。
一時的なテストという趣旨であれば、監護親も応じやすくなります。
また、一時的に頻度を増やしてみて、問題なく実施することができた場合は、今後もその増やした頻度での継続を提案するとよいでしょう。
問題なく実施できたという実績ができれば、監護親も安心し、今後も頻度を増やすことに応じやすくなるでしょう。
面会交流にくわしい弁護士に間に入ってもらう
相手と直接話し合いをすることが難しい場合は、面会交流にくわしい弁護士に間に入ってもらうようにするとよいでしょう。
弁護士に間に入ってもらうことで、現状の問題点等を整理して相手に伝えることができ、子どもの利益を第一に冷静に話し合いができるようになる場合も多いです。
また、面会交流の頻度は、個別具体的な事情に基づき、何が子どもにとって一番良いかという視点から検討する必要があります。
面会交流の時間・場所・方法等によっても適切な頻度は異なってくるため、専門家にアドバイスをもらいながら進めることをおすすめします。
面会交流の調停を申し立てる
面会交流の頻度について、当事者同士の話し合いで折り合いがつかない場合は、面会交流の調停を申し立てることになります。
調停とは、家庭裁判所において、調停委員会を仲介に話し合いを行い、合意による解決を目指す手続きのことです。
調停では、裁判所が必要と判断する場合は、子どもの生活状況や意向について、調査官による調査が実施されることがあります。
調査が実施されると、調査結果やそれを踏まえた調査官の意見が記載された「調査報告書」が作成されます。
そして、調査報告書の内容を踏まえて、引き続き調停で話し合いが行われることになります。
当事者同士の話し合いでは折り合いがつかなかった場合でも、調査によって子どもの生活状況や意向を把握することで、子どもにとって何が一番良いかを冷静に考えることができるようになり、合意に至るというケースは多いです。
また、調停で合意ができない場合は、「審判」という手続に移行し、裁判官が一切の事情を踏まえて一定の判断を下すことになります。
その際には、調停段階で作成された調査報告書の内容が重視されるのが通常であり、審判で調査報告書の内容と大きく異なる結論になることはほとんどありません。
そのため、調査報告書を読んで自分に不利だと思った側が譲歩し、調停で合意をするというケースも少なくありません。
面会交流調停についての詳しい解説は、こちらのページをご覧ください。
近年では、ADR(裁判外紛争解決手続)を利用されるケースも増えてきています。
ADRとは、裁判所の手続きによらず、公正な第三者(各分野の専門家)を間に入れて話し合いを行う手続きです。
Zoom等を利用したオンラインでの話し合いや、土日・夜間利用も可能であるため、日中は仕事や育児で忙しいという方も利用しやすくなっています。
面会交流の実施自体はスムーズにできており、頻度についてだけ、柔軟に、穏便に話し合いをしたいというようなケースでは、調停よりもADRの方が適する場合もあります。
詳しくは、面会交流に詳しい弁護士にご相談ください。
面会交流についてのQ&A
面会交流の時間は平均してどれくらいですか?
面会交流の時間は、面会交流の内容等によって大きく異なります。
合意時点(面会交流の取り決め時)では時間まで決めずに、その後の協議で決めることが多いです。
はじめのうちは短時間から始め、子どもの様子を見ながら徐々に時間を増やしていくケースもあります。
面会交流調停は何回くらいありますか?
なお、期日とは別に調査官調査や試行的面会交流が実施されることも多いため、終了までの期間は長くなる傾向にあり、1年以上かかるケースも少なくありません。
面会交流の同伴は、いつまでできますか?
子どもが小学生になれば同伴は必要なくなるケースがほとんどです。
面会交流で何を話す?
監護親の悪口や、「あんまり会えなくて寂しいんだ」など子どもを困惑させるようなこと、子どもの生活状況や監護親の様子を探るようなことを言うのは控えるべきです。
まとめ
以上、面会交流の頻度について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
面会交流の頻度は、月1回とされるケースが多いです。
もっとも、面会交流の頻度は、子どもの年齢や生活状況を考慮して取り決めるものであるため、事案によって異なります。
また、適切な面会交流の頻度は、面会交流の時間・場所・方法等によっても異なってきます。
そのため、具体的にどのように頻度を定めたらよいか、頻度を変更するにはどうすればよいかについては、面会交流に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
当事務所には、離婚問題を専門的に扱う弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、面会交流の問題にお困りの方を強力にサポートしています。
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