面会交流がストレスに感じる方へ|原因別の対処法
面会交流がストレスに感じる監護者(多くの場合は母親)の方は少なくありません。
面会交流を通じて別れた相手と関わりを持ち続けなければならないことなどは、大きなストレスとなります。
面会交流を実施する以上は仕方ないと我慢しがちかもしれませんが、ルールを決めたり、方法を工夫したりすることで、ストレスを軽減できる場合もあります。
ここでは、面会交流のストレスの原因別に対処法などについて解説していきます。
面会交流がストレスに感じる方は、ぜひ参考になさってください。
面会交流とは?
面会交流とは、子供と離れて暮らす親が子供と会うなどして交流をすることをいいます。
父母の一方のみが子供の監護(一緒に暮らして世話をすること)をしているときに行われるものであり、父母が離婚した場合のみならず、離婚前に父母が別居をしている場合にも問題になります。
面会交流は、一般的には子供の健全な成長にとって重要なものとされています。
そのため、子供の利益を害する事情があるような場合を除き、基本的には実施すべきものと考えられています。
面会交流について詳しくは以下のページをご覧ください。
なぜ面会交流がストレスと感じるのか?
ストレスの原因としては様々なものが考えられますが、例えば、次のようなものがあります。
相手が無茶な要求をする
相手が「毎日会わせろ」「習い事をやめさせてでも面会交流をさせろ」などと、無茶な要求をしてくるケースがあります。
このような現実的でない要求をされること自体がストレスですし、要求に応じないことで相手に逆上されたり、「会わせないようにさせている」などと非難されたりするのも大きなストレスとなります。
相手がルール違反をする
相手がルールを守らない場合、監護親は非常に大きなストレスを感じることになります。
例えば、相手が次のようなことをする場合です。
- 約束の日以外に勝手に子供に会いに来る
- 受け渡し時間を守らない
- 勝手に子供に高価なプレゼントを買い与える
- こちらの生活の状況を子供から聞き出そうとする
- 監護親の悪口を子供の前で言う
- こちらの監護方針にダメ出しをするなどして干渉してくる
- 子供の写真や動画を勝手にSNSにあげる
このようなことをされると、面会交流のたびにイライラするばかりでなく、安心して子供を面会交流に送り出すこともできなくなり、心労が絶えないことになるでしょう。
DV被害を受けていた
相手からDV被害を受けていた場合、相手と一切関わりたくないと思うのは当然のことです。
しかし、面会交流の実施においては、日程等の調整のために相手と連絡を取り合ったり、子どもの受け渡しのために相手と顔を合わせたり、場合によっては交流時に子供に付き添ったりしなければなりません。
このように、面会交流を通じて相手との関わりを持ち続けなくてはならないことは、非常に強いストレスとなります。
DVの程度によっては、面会交流の際に相手と接触することで、過去のDVの記憶が思い起こされ、被害の回復が遅れたり、更なる被害が生じたりする場合もあるでしょう。
相手と会いたくない
DV被害がない場合であっても、離婚又は離婚を前提に別居した相手と会いたくないと思うのは当然のことです。
そのため、面会交流のたびに相手に会わなければならないとなると、非常に大きなストレスを感じることになるでしょう。
また、相手の不倫や浪費、相手方の親族との不和など、離婚や別居の原因によっては、離婚の原因を作った相手に子どもを会わせるということが精神的な負担となり、ストレスが増大することもあります。
仕事や家事が忙しい
面会交流を実施するためには、子供の年齢が低い場合は特に、監護親による子供の送迎や付き添いなどが必要になります。
また、非監護親と面会交流の日時、場所、方法などについて話し合ったり、電話やメール等でやり取りをしたりする時間も必要になります。
そのため、頻繁又は長時間の面会交流を実施するとなると、監護親に大きな肉体的・精神的な負担がかかります。
監護親は、生活費を稼ぐために仕事をしながら育児をしているという場合も多いです。
このように忙しい中で面会交流のための時間を割かなければならないことは、大きなストレスとなります。
子供が面会交流を嫌がっている
子供が面会交流を嫌がっている場合も、監護者は面会交流にストレスを感じやすいです。
子供が非監護親に会いたがっているのであれば、監護親も快く送り出してあげやすいでしょう。
一方で、子供が面会交流を嫌がっている場合は、相手との面会交流の約束を守らなければならないという気持ちと、子供に無理をさせたくないという気持ちがあり、監護親としてはとてもつらい状況に置かれます。
嫌がる子供をなだめたり、説得したりして面会交流に連れていかなければならないこともストレスです。
子供が面会交流を嫌がっている場合は、面会交流の実施後、子供が体調不良になったり、精神的に不安定になったりすることもあります。
そのような場合に子どものケアをしなければならないということも、監護親にとっては大きな負担となっていることがあるでしょう。
日時や場所の調整が面倒に感じる
面会交流のたびに日時や場所について相手と話し合ったり、電話やメール等でやり取りをして調整することが面倒という場合もあるでしょう。
面会交流の頻度が多ければ多いほど、連絡調整も頻繁に行わなければならず、面倒さは増します。
毎回スムーズに連絡調整ができるとも限りませんので、ストレスに感じる方も多いと思われます。
面会交流をさせないとどうなる?
面会交流は基本的には実施すべきものとされているため、ストレスを感じるからといって、面会交流を一方的にやめてしまうことは基本的にはできません。
面会交流をさせないと、次のようなリスクが生じる場合もあります。
養育費が支払われなくなるリスク
面会交流をさせないと、養育費が支払われなくなるリスクがあります。
養育費は、子供の生活のために必要なお金であり、面会交流の実施・不実施にかかわらず基本的には支払わなければならないものです。
しかし、実際には、面会交流ができないことへの不満や、モチベーションの低下などから、養育費を支払わなくなる方もいます。
面会交流とは別問題として、養育費を法的に請求することは可能ですが、時間や費用も必要になるため、監護親にかかる負担は軽くはありません。
間接強制金を課されるリスク
調停や審判で面会交流の取り決めがされている場合は、取り決めに反して面会交流をさせないと、相手方に強制執行を申し立てられるリスクもあります。
強制執行とは、取り決め内容を強制的に実現させる手続きです。
面会交流の場合は、「不履行1回につき〇万円を支払え」という形で強制金を課し、心理的に圧力をかけて履行を促すという間接的な方法(「間接強制」といいます。)で行われます。
したがって、強制執行が認められる場合は、間接強制金を課されることになります。
親権者等の変更のリスク
面会交流は、一般的には子どもの健全な成長にとって重要なものと考えられています。
面会交流を禁止・制限するべき事情がないにもかかわらず、面会交流をさせないようにしていると、子供の利益を害しており、親権者としてふさわしくないとして、親権者の変更を申し立てられる可能性があります。
また、離婚前の場合や、共同親権の場合は、監護者としてふさわしくないとして、監護者の変更を申し立てられる可能性もあります。
もっとも、親権者等の変更においては、監護状況や事情の変更など他の事情も考慮されるため、面会交流をさせないことで直ちに変更が認められるわけではありません。
ただし、リスクとしては注意しておく必要があるでしょう。
面会交流のストレスへの原因別対処法
相手が無茶な要求をする
無茶な要求に応じる義務はありませんから、まずは落ち着いて、相手に無茶な要求をやめてもらうように対処していくようにしましょう。
具体的には、面会交流の条件についてきちんと話し合い、取り決めをすることが必要になるでしょう。
しかし、「毎日会わせろ」などと無茶な要求をする相手と冷静に話し合うことは難しいことが多いです。
そのため、弁護士に間に入ってもらい、子供の生活状況や監護状況をきちんと伝えたうえで、子供の利益を第一に、適切な面会交流の方法について協議してもらうとよいでしょう。
それでも相手が無茶な要求をやめない場合は、家庭裁判所に面会交流調停を申し立て、裁判所で面会交流の条件について話し合いをすることになります。
相手がルール違反をする
基本的な事項も含めてルールを明確に取り決め、相手に遵守を約束させるようにすることが必要です。
ルール違反は程度によっては面会交流を禁止・制限する理由にもなりますから、相手にそのことを理解して態度を改めてもらうこともポイントとなります。
ルールの取り決めがスムーズにできない場合や、相手がルールを軽視する態度を変えないようであれば、弁護士に間に入ってもらうことをおすすめします。
DV被害を受けていた
DV被害を受けており、面会交流を通じて相手と接触することがストレスになっている場合は、相手と接触せずに面会交流を実施できる方法を検討します。
子供の受け渡しや面会交流への立会いをご自身で直接行わず、親族等の第三者や、面会交流の仲介をしてくれる第三者機関(面会交流の支援団体)にお願いする方法などが考えられます。
直接会うことだけでなく、相手とLINE等でやり取りをするのも難しいような場合は、第三者や第三者機関に連絡調整の仲介をお願いするのもよいでしょう。
もっとも、適切な第三者が見つからないケースや、第三者機関の利用や費用の分担等を巡って相手ともめてしまうケースもあります。
そのため、まずは面会交流に詳しい弁護士に相談し、具体的な事情に即したアドバイスやサポートを受けることをおすすめします。
相手と会いたくない
DV等の事情がなくても、面会交流の際に相手と会うことがストレスとなっているのであれば、相手と接触せずに面会交流を実施できる方法を検討する必要があるでしょう。
具体的には、先に述べたのと同様に、第三者等に子供の受け渡しや立ち合いを依頼することを検討しますが、まずは専門の弁護士に相談されることをおすすめします。
仕事や家事が忙しい
仕事や家事で忙しい場合は、第一には面会交流の回数を減らす方向で話し合いを行うのがよいでしょう。
事案にもよりますが、監護親の負担を考えると、日中にある程度の時間をとって実施する場合、月1回程度が妥当な回数といえるケースが多いです。
現在月2回以上の頻度で実施しているのであれば、まずは月1回程度に減らすことを提案することが考えられます。
一方、月1回でもストレスが大きい場合は、面会交流の時間、場所、方法等の見直しも必要になるケースがほとんどと思われます。
相手との話し合いが難しい場合や、負担感の少ない内容に見直したいという場合は、面会交流に詳しい弁護士にご相談されるとよいでしょう。
子供が面会交流を嫌がっている
子供が嫌がっている場合は、嫌がっている原因によっては面会交流の中断も含め、面会交流の在り方について再検討する必要があるでしょう。
例えば、同居時や面会交流の際に暴力を振るわれたことなどが原因で、子供が非監護親に対して恐怖を抱き、面会交流を嫌がっている場合は、面会交流の中断を検討するべきです。
相手が中断を受け入れない場合は、弁護士を間に入れた交渉や調停での話し合いが必要になるでしょう。
恐怖心などが原因でない場合でも、子供がある程度の年齢(10歳くらい)に達している場合は、子供の意思を尊重する必要があります。
そのため、子供が明確に拒否している場合は、基本的には面会交流を中断する方向で調整することになるでしょう。
もっとも、子供が拒否する原因が親の言動にある場合は、まずは原因の除去が望まれます。
例えば、非監護親が面会交流の際に監護親の悪口を言うなどして子供を傷つけているというのであれば、非監護親に対してそのような言動をやめるように申し入れるべきです。
その他、頻度が多くて子供の負担になっているという場合であれば、回数を減らす方向で調整する必要があります。
このように、子供の視点に立って調整し、子供が安心して過ごせるようになれば、監護親のストレスも軽減されていくでしょう。
日時や場所の調整が面倒に感じる
面会交流のたびに日時や場所を調整しなくてもよいように、あらかじめ具体的に日時や場所を決めておくようにするとよいでしょう。
例えば、次のような取り決めをしておけば、少なくとも毎回は調整をする必要はなくなります。
- 月1回、毎月第2土曜日の午前10時から午後4時まで実施する。
- 子供の受渡場所は○○駅改札付近とし、午前10時に同所で監護親が非監護親に子どもを受け渡し、午後4時に同所で非監護親が監護親に子供を引き渡す。
- 面会交流の場所は、子供の利益を考慮して非監護親が定めた場所とする。
- 面会交流の最中に不測の事態が生じた場合は、非監護親が速やかに監護親に電話で連絡を入れる。
- 子供の体調不良などで中止する必要がある場合は、当日午前8時までに監護親が非監護親にメールで連絡を入れる。
- 第2土曜日の実施が中止になった場合は、代わりに同月の第4土曜日に実施する。
どの程度詳細に定めておくのがよいかは、これまでの面会交流の実施状況や父母の信頼関係の程度などによって異なります。
具体的にどのような取り決めをするべきかについては、面会交流に詳しい弁護士にご相談ください。
面会交流とストレスについてのQ&A
面会交流で相手と話さないことはできますか?
あらかじめ実施条件やルールをきちんと取り決めておけば、相手と話さずに面会交流を実施することは不可能ではないでしょう。
しかし、受け渡しや立ち合いの際に相手と直接顔を合わせるにもかかわらず、最低限の挨拶もせず、お互いに無視しているような状況は、子供にとって良い状況とはいえません。
子どもが両親の不和を感じ取って面会交流を楽しむことができなくなったり、監護親に気を遣って面会交流を拒否するようになったりする可能性もあります。
相手と一切話したくないのであれば、相手と顔を合わせなくてもよいように、受け渡しや立ち合いを信頼できる第三者(親族など)や弁護士、第三者機関にお願いすることを検討した方がよいでしょう。
面会交流で子供がストレスを感じていたら?
まずは子供の話をよく聞き、それを踏まえて相手と面会交流の在り方を話し合うようにしましょう。
相手との話し合いが難しい場合は、面会交流に詳しい弁護士にご相談ください。
まとめ
以上、面会交流がストレスに感じる原因や対処法について解説しました。
面会交流を実施する以上、監護親にある程度の負担がかかるのはやむを得ない面もありますが、ストレスを一人で抱え込む必要はありません。
面会交流の方法を工夫したり、ルールをきちんと取り決めたりすることによってストレスを軽減できる場合もあります。
面会交流がストレスに感じる場合は、まずは面会交流に詳しい弁護士にご相談なさってはいかがでしょうか。
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