不倫・浮気の慰謝料の相場とは?弁護士が解説

  
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  

不倫の慰謝料の相場は、50万円〜300万円程度です。

もっとも、不倫や浮気の慰謝料には明確な算定基準などは無く、被害の大きさなど様々な事情が考慮された上で金額が決められます。

ここでは、不倫の慰謝料に関して、相場や注意点などについて解説していきます。

不倫の慰謝料の相場

不倫とは

不倫とは、道徳的に許されない男女の関係を指す言葉であり、一般的には既婚者が妻又は夫以外の人と交際関係にあることをいいます。

「浮気」も同様の状況で使われる言葉ですが、「浮気」は一般的には既婚・未婚にかかわらずパートナー以外の人と交際関係にあることを指すと思われます。

「不倫」や「浮気」は法律用語ではなく、法律では「不貞」という言葉が使われています。

「不貞行為」は、基本的には「既婚者が妻又は夫以外の異性と自由な意思のもとに性的関係を結ぶこと」と狭義に解釈されています。

性的関係とは、肉体関係(性交渉及び性交類似行為)のことをいいます。

不倫も肉体関係のあるものに限定するという考え方もありますが、ここでは、肉体関係を伴わない関係も不倫に含まれるという考え方を前提とすることにします。

不貞行為・不倫・浮気の相違点
不貞行為 不倫 浮気
当事者 一方又は双方が既婚者(※) 既婚者・独身者問わない
肉体関係 あるものに限る あるもの、ないもの両方含む

(※)「既婚者」には、内縁関係にある者も含むものとします。

慰謝料とは

慰謝料とは、精神的な苦痛を被った場合に加害者に対して請求する金銭をいいます。

加害者の行為によって精神的苦痛を受けた場合に、受けた苦痛(被害)をお金に換算し、それを加害者に支払わせることによって、その被害の回復をすることを目的としたものです。

自分の夫や妻に不倫をされた場合、通常は精神的苦痛を受けることになります。

そのため、一定の条件を満たす場合、不倫の被害者は、不倫の加害者に対し、受けた精神的苦痛を償うための慰謝料を請求することができます。

 

不倫の慰謝料に相場はある?

不倫の慰謝料の金額については、明確な算定基準などはありません。

最終的には裁判官が被害の大きさなど様々な事情を考慮した上で金額を決めることになります。

もっとも、裁判例の傾向から大体の相場は把握することができ、慰謝料を請求する際はこの相場を目安にすることになります。

そこで、ここでは裁判で決める場合の相場について解説していきます。

離婚する場合の慰謝料の相場

不倫が原因で離婚するに至った場合の慰謝料の相場は、100万円〜300万円程度です。

離婚に至った場合は、被害が重大で精神的苦痛が大きいと考えられているため、離婚に至らなかった場合よりも慰謝料の金額が高くなります。

離婚まで至らなくとも、不倫が原因で別居に至った場合など、夫婦関係が修復不可能な状態になった(破綻した)といえるときも精神的苦痛が大きいといえるため、離婚する場合と同程度になる傾向にあります。

離婚せず夫婦関係を続ける場合の慰謝料の相場

不倫があったものの離婚に至らず、夫婦関係の修復が可能な場合の慰謝料の相場は、100万円〜200万円程度となることが多いかと思われます。

不倫が原因で離婚に至った場合と比べれば、精神的苦痛が大きくはないとされる傾向にあります。

浮気相手にだけ慰謝料を請求する場合の相場

浮気相手にだけ全額請求することは可能

浮気相手(不倫相手)にだけ慰謝料を請求する場合の相場も、理屈上は上記と同様、離婚する場合は100万円〜300万円程度、離婚せず夫婦関係を続ける場合は100万円〜200万円程度となります。

不倫の慰謝料は、不倫の加害者2人(不倫をした夫又は妻及び浮気相手(不倫相手))が共同で慰謝料の全額について支払義務を負うと考えられています。

そのため、被害者との関係では、加害者2人がいくらずつ支払わなければいけないという分担割合はなく、被害者は加害者それぞれに対して全額を請求することができます。

具体例 妻がAと不倫し、慰謝料の全額が200万円という場合

この場合、夫は、妻に対しても、Aに対しても200万円全額を請求することができます。

慰謝料の全額が200万円の場合

もっとも、妻から200万円、Aから200万円を支払ってもらえるというわけではなく、妻とA合わせて200万円の支払いを受ければ慰謝料は全額支払済みとなります(二重取りはできない)。

例えば、夫が妻から200万円の支払いを受けた場合、慰謝料は全額支払済みとなるため、夫がさらにAに支払いを請求することはできなくなります。

実務上は相場の2分の1程度を請求する場合が多い

不倫の慰謝料は、被害者との関係では加害者2人の分担割合はありませんが、加害者2人の間では、不倫についての責任度合い(どちらが主導したかなど)に応じて分担されることになります。

そのため、加害者の一方が自分の分担額以上を支払った場合、他方の分担額を立替えている形になるため、他方に対し分担額の清算を求めることができます(これを「求償」(きゅうしょう)といいます。)。

したがって、不倫相手にだけ慰謝料の全部を請求し、支払ってもらった場合、後で不倫相手が加害配偶者へ求償する可能性があります。

そうすると、結局、加害配偶者もお金を支払うことになり、場合によっては夫婦の家計(財布)からお金が出ていく結果になることもあります。

このような事態を見越して、実務上は、当初から不倫相手への請求額を相場の2分の1程度(不倫相手の分担額相当)にする場合が多いです。

具体例 妻がAと不倫した場合

・妻がAと不倫し、慰謝料の全額は200万円である
・妻とAの責任度合いは5:5 → 妻とAの間では、慰謝料は100万円ずつ分担される


この場合、夫がAに対して200万円全部を請求し、Aが200万円を支払った場合、Aは、妻に対して100万円を求償することができます。

そのため、仮に夫が妻と夫婦関係を続けるために敢えてAにだけ慰謝料を請求していた場合でも、Aから求償されれば妻はAに100万円を支払うことになります。

また、夫が妻と離婚せず、夫婦の財布を1つにしている場合は、妻が夫婦の財布からAに対する100万円を支払うことになる場合もあります。

そうすると、結局、Aの手元から出たお金はAの分担額である100万円ということになりますし、夫の元に200万円全部が入ってくるということもありません。

そのため、この具体例のような事案では、最終的にはAからAの分担額である100万円を受領することがあります。

【ワンポイント】
上のような求償が問題となるケースでは、示談書の記載内容がとても重要となります。
つまり、夫としては、慰謝料の適正額(仮に200万円)よりも少ない金額(100万円など)しか受け取らない場合、後々不倫相手(A)から妻に求償されないように示談書の条項を工夫すべきです。
くわしくは離婚問題に詳しい弁護士に相談してください。 
慰謝料を増額・減額する事情

慰謝料の金額の算定においては、離婚した・しないという事情以外にも様々な事情が考慮されることになります。

増額する方向に働く事情(増額事由)と、減額する方向に働く事情(減額事由)としては、主に次のようなものがあります。

増額事由 減額事由
被害の大きさに関する事情 ・加害配偶者と不倫相手の間に子ができた
・不倫が原因で被害者の心身に変調を来した
・結婚期間が長い
・夫婦の間に未成年の子どもがいる
・結婚期間が短い(概ね3年以下)
・夫婦の間に未成年の子どもがいない
・不倫以外のことが原因で夫婦関係がもともと悪かった
・不倫発覚後も夫婦は同居を続けている
不倫の内容等に関する事情 ・不倫の期間が長い
・不倫の頻度が多い
・不倫が発覚した後も不倫を継続している
・加害配偶者が独身者とウソをついていた(不倫相手に対する慰謝料の減額事由)
当事者の言動等に関する事情 ・加害配偶者が一方的に自宅を出て不倫相手との同棲を始めた
・不倫相手が加害配偶者に対し、被害者と離婚するようにけしかけた
・不倫が発覚した後、責任逃れのために不倫を認めず、不合理な言い訳をしたり、ウソをついたりした
・加害者が被害者に対して謝罪している
・不倫発覚後、被害者の加害者に対する不当な言動(侮辱、脅迫、嫌がらせなど)があった
その他 ・加害者の年収や資産が高額 ・加害者の年収や資産が少ない

具体的な事案においては、あくまでも個別的な判断がされ、単純に増額事由や減額事由の数によって金額が上下するというわけではないので注意が必要です。

実際の事案ではどのように考慮されているか、参考までに裁判例をご紹介いたします。

判例① 東京地裁平成28年2月21日判決

妻が夫と不倫相手に対し慰謝料1000万円を請求した事案です。

増額事由として着目される事情が比較的多く、結論としては慰謝料300万円が認められました。

不倫の経緯としては次のようなものであったと認定されています。

  • 夫婦は平成16年に結婚し、2人の子どもをもうけた。
  • 夫は、遅くとも平成20年頃に不倫相手と肉体関係を伴う交際を開始した。
  • 平成23年、夫が妻に執拗に離婚を求めるも、妻は離婚を拒否していた。
  • 平成24年、不倫相手が妊娠したことをきっかけに夫は妻と別居し、不倫相手と同居を開始し、以降は不倫相手と夫婦同様の生活をしている。その後、不倫相手は出産し、夫はその子を認知した。
  • 平成28年、夫婦は離婚した。夫と不倫相手は交際・同居を継続している。

この事案では、不倫が長期間継続されたことや、離婚に至ったことに加え、婚姻関係破綻について妻には何らの責任もない一方で、夫と不倫相手の上記のような妻の心情を考慮しない行動に照らせば「不貞行為の態様は非常に悪質であったといわざるを得ない」として、妻が不倫により被った精神的苦痛を慰謝するのに相当な慰謝料額は300万円と認めるのが相当と判断されました。

判例② 東京地裁平成30年1月29日判決

妻が不倫相手に対し慰謝料400万円を請求した事案です。

減額事由として着目される事情が比較的多く、結論としては慰謝料90万円が認められました。

不倫の経緯としては次のようなものであったと認定されています。

  • 夫婦は平成18年に結婚し、2人の子どもをもうけた。
  • 夫は、遅くとも平成27年9月頃に不倫相手と肉体関係を有していた(期間、頻度、回数その他の詳細は明らかではない。不倫相手には夫がおり、いわゆるダブル不倫だった。)
  • 平成27年10月頃までは、夫婦関係は破綻してはいなかったが、円満でもなかった。
  • 妻は、不倫相手に対し長時間の面談に及んだほか、不倫相手の夫にも複数回の接触を図るなどして強硬な態度で交渉等に臨んだ。
  • 不倫相手とその夫は離婚した。
  • 夫婦は離婚協議中である。

この事案では、次のような事情が考慮され、妻が不倫により被った精神的苦痛を慰謝するのに相当な慰謝料額は90万円と認めるのが相当と判断されました。

  • 不倫の期間、頻度、回数その他の詳細は明らかといえないから、その態様が悪質であったとまでは直ちに評価することはできないこと
  • 夫婦関係が全く問題のない円満な状態であったとも言い難いことは否定できないこと
  • 妻の行動について、悪感情から一定の行動はやむを得ないとはいえ、これらの状況は許容範囲を逸脱するものといわざるを得ず、慰謝料算定において一定程度考慮すべき事情と認めるのが相当であること
  • 不倫相手はその夫と離婚しており、これにより不倫相手も相応の社会的制裁を受けたものと認められること

 

慰謝料が高額になる場合

先に説明したとおり、不倫の慰謝料は事案にもよりますが50万円〜300万円程度となります。

増額事由が多く減額事由が少ない事案であっても、裁判では300万円以上の慰謝料が認められるケースは多くはありません。

他方、次のようなケースでは、状況にもよりますが、慰謝料が高額になる場合もあります。

(1)話し合い(示談交渉)で解決する場合

話し合い(示談交渉)による解決の場合、当事者双方が納得するのであれば、裁判所の考え方とは異なる解決をすることも可能です。

加害者が不倫を認めており、慰謝料を支払えるだけの収入や資産もある場合は、裁判で解決する場合の相場よりも慰謝料が高額になることがあります。

裁判での解決となると、時間や費用がかかる上、公開の法廷で審理される(誰でも裁判を傍聴することができる)ため、不倫が周囲(職場の人など)にバレるリスクもゼロではありません。

そのため、加害者が相場よりも高額の慰謝料を支払ってでも、裁判になる前に話し合いで解決することにメリットを見いだすケースもあります。

(2)加害配偶者に離婚自体慰謝料を請求する場合

不倫の慰謝料は、不倫によって被った精神的苦痛を償うためのものです。

不倫によって被る精神的苦痛には2種類あると考えられているため、不倫の慰謝料にも次の2種類があるとされています。

償いの対象 いつ発生するか
①不貞慰謝料
(離婚原因慰謝料)
不倫そのものによって生じる精神的苦痛 不倫(不貞行為)があった時
②離婚自体慰謝料 不倫が原因で離婚せざるを得なくなったことによって生じる精神的苦痛 離婚が成立した時

不倫が原因で加害配偶者と離婚することになった場合は、①と②いずれも請求することができますが、実務上は①を②に含めて請求することが多いです。

離婚自体慰謝料を請求する場合は、個々の不倫行為のみならず、離婚に至る一連の経緯も考慮されることになります。

例えば、離婚の決定的な原因となった不倫の他にも、加害配偶者が長年に渡り複数人と不倫を繰り返していた場合や、被害者に暴力を振るったり、モラハラをしていたような場合は、それらの事情も合わせて考慮されることになります。

その結果、精神的苦痛がより大きいとして、慰謝料の金額が高額になる場合もあります。

なお、不倫相手に対する離婚自体慰謝料の請求は原則認められないとされています。

参考判例:最高裁判決平成31年2月19日

 

 

慰謝料を請求できる条件

不倫で慰謝料を請求するためには、次の条件を満たす必要があります。

  1. ① 不倫が「不法行為」に当たること
  2. ② 不倫の慰謝料を請求できる期限(原則3年)を過ぎていないこと

「不法行為」とは、故意(こい)又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為のことをいいます。

「故意又は過失」とは、ざっくりとしたイメージとしては、故意は「わざと」、過失は「ついうっかりして」というものです。

例えば、「他人を傷つけると分かっていながら他人を殴る行為」は故意による侵害行為、「運転中に前方注意義務を欠いて歩行者を轢いてしまう行為」は過失による侵害行為として、不法行為に当たります。

 

不倫が不法行為に当たる場合

不倫が不法行為に当たるのは、典型的には不貞行為(肉体関係)がある場合です。

不貞行為は、円満な夫婦生活を送るという権利又は法律上保護される利益を侵害するものとされています。

肉体関係はない接触行為(抱き合う、キスをするなど)についても、状況等によっては上記の権利・利益を侵害するものとして、不法行為に当たる可能性があると考えられています。

ただし、不貞行為等があった場合でも、不倫相手に故意又は過失がなかった場合(=相手が既婚者であることを知らず、注意しても知ることができなかった場合)、不倫相手の行為は不法行為には当たりません。

不貞行為等があった時点で、既に夫婦関係が破綻していた場合も、不貞行為等によって権利・利益が侵害されたわけではないといえるため、不法行為には当たりません。

なお、当事者の双方が独身者の場合の「浮気」も、上記のような権利・利益の侵害はないため、基本的に不法行為には当たりません。

 

 

不倫慰謝料の注意すべきポイント

被害者側が知っておきたい4つのポイント

被害者側が知っておきたい4つのポイント

POINT① 不倫の証拠を押さえる

不倫で慰謝料を請求する際には、不倫の証拠を押さえることが非常に重要です。

不倫の事実があったとしても、それを裏付ける十分な証拠がなく、相手も不倫の事実を否定している場合は、裁判で慰謝料を認めてもらうことが非常に困難になります。

反対に、十分な証拠が揃っていれば、加害者も言い逃れができないため、裁判になる前に慰謝料の支払いに応じて早期に解決できる可能性が高くなります。

また、不倫の期間、頻度、態様なども慰謝料の金額の算定の際に考慮されるため、不倫それ自体を証明する証拠のみならず、これらの事情を証明する証拠を押さえることも必要になります。

収集するべき証拠や、収集方法などは、具体的なケースによって異なります。

また、証拠を収集する際には違法な行為をしないように注意する必要もあります。

そのため、具体的には不倫問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

 

POINT② 不貞相手への請求を忘れない

不倫の慰謝料は、加害配偶者と不倫相手の双方に請求することができます。

双方に請求をすることにより、一方に慰謝料を支払えるだけの収入や資産がない場合でも、慰謝料全額を回収できる可能性が高くなります。

そのため、加害配偶者のみでなく、不貞相手に対しても請求をすることがポイントとなります。

もっとも、加害配偶者と夫婦関係を続けるなどの理由から、敢えて不倫相手だけに慰謝料を請求する場合もあります。

その場合は、先に解説したように、後で加害配偶者が不倫相手から求償される可能性があることには注意が必要です。

上で解説したとおり、交渉により求償をしない約束をさせておくケースなどもありますが、専門技術が必要になるので詳しくは専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

 

POINT③ 加害者への言動に注意する

不倫が発覚した場合、加害者を懲らしめたいと思うのは当然のことですが、行き過ぎた言動はご自身の不利益にもつながりますので気を付ける必要があります。

加害者に対し、侮辱したり、危害を加えたり、不倫をばらすなどと脅したり、不倫を第三者(加害者の職場の人など)に言いふらしたりする行為は、犯罪に当たり、刑罰を科される可能性もあります。

また、加害者から、これらの行為によって精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求される場合もあります。

面会を拒否しているのに押しかけたり、過剰な金額の支払いを強要したり、短期間に大量の留守電を残したり、大量のメールを送りつけたりする行為についても同様です。

犯罪や不法行為に当たらない場合でも、裁判で「許容範囲を超えている」と判断された場合は慰謝料の減額事由として考慮される可能性があります。

ご自身ではどの範囲まで許容されるかの見極めが難しいことも多いです。

そのため、専門の弁護士に相談してアドバイスをもらったり、弁護士に依頼して代理人として対応してもらったりすることをおすすめします。

 

POINT④ 離婚問題に詳しい弁護士へ相談する

慰謝料の請求は難しい

不倫・浮気の慰謝料の相場について解説しましたが、実際の事案では様々な個別事情が絡み合っているため、裁判での見通しを立てたり、妥当な請求額を検討したりすることは、専門家でなければ困難です。

また、不倫の慰謝料に関しては、金額以外にも、請求できる条件や、誰にどのような請求をするべきかを判断するのが難しい場合が多いです。

加害配偶者との関係では、不倫が原因で離婚するに至った場合は、不倫の慰謝料のみでなく、離婚問題として全体的な解決をする必要もあります。

そのため、離婚問題に詳しい弁護士へ相談されることをおすすめします。

代理交渉サポート

先に説明したように、示談交渉で解決する場合は、慰謝料が相場よりも高額になることもあります。

また、一定程度の譲歩(慰謝料の減額)は必要になりますが、求償しない約束や、不倫関係を断ち切る誓約をさせることなどもできるため、裁判で決める場合よりも柔軟な解決ができる可能性もあります。

交渉を適切に進めるためには専門知識や技術が不可欠ですので、専門の弁護士に代理人として交渉してもらうことをおすすめします。

なお、示談はあくまでも双方が納得しないと成立しないため、決裂した場合は最終的には裁判で決着をつけることになりますが、交渉段階で弁護士に依頼している場合は、裁判への移行もスムーズです。

 

加害者側が知っておきたい3つのポイント

加害者側が知っておきたい3つのポイント

POINT① 法外な請求や脅迫をされたら弁護士へ相談する

被害者から相場を大きく上回る金額を請求されたり、今すぐに慰謝料を支払わなければ不倫を家族や職場の人にばらすなどと脅されたりした場合は、専門の弁護士に相談するようにしましょう。

不倫の慰謝料の支払義務を負う場合であっても、被害者からの過大・不当な要求に応じる義務まではありません。

また、反論がある場合は、状況を法律的に整理した上できちんと主張する必要があります。

ご自身で慌てて対応すると、事態を悪化させてしまったり、不当に不利な状況に置かれてしまう場合もあるので、十分注意するようにしましょう。

POINT② 不倫の相手と揉める可能性があることに注意する

不倫の慰謝料は、加害者2人の間では責任度合いに応じて分担されるものとされています。

そのため、ご自身が慰謝料を分担割合を超えて支払った場合は不倫の相手に求償することができますし、反対に不倫の相手から求償されることもあり得ます。

その際、分担割合などについて折り合いがつかず、争いになることも少なくありません。

そうすると、せっかく被害者との紛争が解決しても、新たに不倫の相手との間で紛争が始まってしまうことになります。

このようなトラブルを防止するため、被害者・加害配偶者・不倫相手の三者で示談をし、加害者間の分担割合を定めておいたり、求償しない約束をしておいたりする場合もあります。

もっとも、高度な専門知識・技術が必要になりますので、詳しくは専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

 

POINT③ 合意が成立したら示談書を作成する

被害者との合意により解決することができた場合は、必ず合意内容を書面にしておくようにしましょう。

口約束や不適切な書面での合意は、後で合意の存否について争いになる恐れがあるので避けましょう。

例えば、慰謝料の全部として100万円を支払うという合意が成立した場合、きちんとした書面を作っていないと、後で被害者から慰謝料は200万円という約束だったと言われても、100万円で決着がついたということを証明することができません。

そのため、納得できる条件で示談が成立していたとしても、もう一度最初から交渉をやり直さなくてはならなくなってしまいます。

示談書の原案は被害者が作成することも多いですが、適切な内容になっているかどうか、ご自身の認識と合致しているかどうかは、慎重に確認する必要があります。

一度有効な示談書を作成すると、後から覆すことは基本的にはできません。

そのため、専門の弁護士に相談し、示談書の内容を確認してもらうことをおすすめします。

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まとめ

以上、不倫・浮気の慰謝料の相場について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

裁判で決める場合は、50万円〜300万円が相場となっています。

もっとも、具体的な事案において見通しを立てるのは難しいため、ご自身の場合どの程度になるかについては、専門の弁護士に相談されることをおすすめいたします。

当事務所では、離婚問題を専門に扱うチームがあり、不倫問題について強力にサポートしています。

LINE、Zoomなどを活用したオンライン相談も行っており全国対応が可能です。

不倫問題については、当事務所の離婚事件チームまで、お気軽にご相談ください。

この記事が、不倫問題にお悩みの方にとってお役に立てれば幸いです。

 

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