離婚届の書き方を見本で解説!必要書類・提出方法も【最新版】
離婚届を提出したいと思っても、離婚届の書き方や入手・提出方法について、よくわからないという方もいらっしゃるかと思います。
離婚届は、夫婦が離婚をする際に役場に提出しなければならない書類です。
協議離婚と調停離婚や裁判離婚では離婚届の書き方や、提出の際に必要な書類が異なります。
このページでは、すべてのケースの離婚届の書き方、離婚届を作成する上での注意事項、離婚届の入手・提出方法などを弁護士がわかりやすく解説します。
最後まで読んでいただけますと幸いです。
この記事でわかること
目次
離婚届のもらい方【ダウンロード】
離婚届はどこでもらう?
離婚届は、通常、市役所などの役場で入手することが可能です。
以下、主要都市のサイトを紹介します。
離婚届に関する説明がありますので、該当地域にお住まいの方は参考にされてください。
離婚届のダウンロード
離婚届については、下記からデータをダウンロードすることが可能です。
離婚届をダウンロードし、A3サイズで印刷することで使用することが可能です。
離婚問題を専門に扱う法律事務所の場合、通常、離婚届を事務所に備え付けてあります。
そのため、弁護士に依頼されている方については、弁護士が離婚届を準備して交付してくれると思われます。
離婚届の書き方
離婚届を書く前に準備すること
離婚届を書く前に、まず離婚届の様式が必要となります。
また、その他の書類も必要となりますが、これは離婚の種類(協議離婚・調停離婚・裁判離婚等)によって異なります。
離婚の種類に応じた必要書類については後記リンクをご確認ください。
さらに、協議離婚の場合は証人2名の準備が必要となります。
離婚届を書く前に読んでおくべき注意点
ここでは、離婚届を書く前に、必ずご確認いただきたい注意点についてご紹介させていただきます。
離婚条件を検討する
離婚届にサインをして提出すると、よほどのことがない限り、後から取り消すことはできません。
例えば、親権者については、一度決めると、後々の変更はほぼできないと考えておくべきです。
また、養育費についても、一度取り決めをすると、後から変更するのは難しいケースがほとんどです。
その他の離婚条件(面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割等)についても、トラブルを防止するために、事前に検討しておくことを強くお勧めいたします。
離婚協議書を作成する
離婚条件についての取り決めがあれば、それを書面(離婚協議書)にしておきましょう。
口頭の約束だけでは、後から言った言わないのトラブルに発展するおそれがあるからです。
離婚に強い弁護士に相談する
適切な離婚条件についてはご自身で判断することは難しいです。
また、法的に有効な離婚協議書を作成するためには専門的な知識やノウハウが必要となります。
そのため、離婚届を書く前に、離婚に強い弁護士に事前に相談することを強くお勧めいたします。
離婚届の訂正方法
離婚届を書く際に、書き損じることもあります。
ここでは、このような場合の訂正方法についてご紹介します。
離婚届の記入を間違えた場合、間違えた箇所に二重線を引いてください。
そして、その箇所のそば(横、上、下など)に正しい内容を記入してください。
その際、訂正印は不要です(使用しても構いません。)。
なお、修正テープや修正液は使用しないでください。
「証人」欄で訂正が必要な場合は、証人本人による訂正が必要となります。
訂正するスペースがない場合は「その他」欄に訂正箇所と正しい内容を記入してください。
協議離婚の場合の離婚届の書き方
ここでは、実際の離婚届の見本をもとに、離婚届の書き方を解説します。
まず、離婚届の見本をご紹介します。
離婚届の様式は全国共通であり、下記の画像のものを使用します。
協議離婚のケースの離婚届▼以下解説画像、クリックで拡大します。
まず、協議離婚のケースの離婚届の書き方を解説します。
調停離婚や裁判離婚のケースの離婚届の書き方についてはこちらをご覧ください。
1氏名、住所及び本籍
住民票・戸籍の記載通りに記入します。
2離婚の種別
協議離婚の場合は、「協議離婚」をチェックします。
3婚姻前の氏にもどる者の本籍
旧姓にもどる場合に記入します。
※結婚しているときの氏(名字)を継続して使用する場合は記入不要→この場合は「離婚の際に称していた氏を称する届出」(後記)を提出します。旧姓に戻る場合、「(結婚する前の)もとの戸籍にもどる」か「新しい戸籍をつくる」かを選択します。
例:結婚する前「乙川」の氏だった花子さんが離婚して旧姓にもどり、新戸籍を作る場合、「妻」「新しい戸籍をつくる」にチェックし、変更後の本籍と氏名を記入します。
4未成年の子の氏名
親権を取得する側の欄に、結婚していたときの氏で記入します。
例:妻が未成年の子(一美)の親権を取得する場合、妻側の欄に結婚していたときの子の氏名(甲野一美)を記入
5別居する前の住所
別居がなかった場合は記入不要です。
6届出人署名
協議離婚の場合、夫婦両名の署名が必須です。この場合の氏は、結婚していたときの氏を記載します。印鑑は任意なので押印しなくてもOK。
協議離婚のケースの離婚届・右側▼
7証人
協議離婚の場合は証人2人に記入してもらう必要があります。
8面会交流や養育費の取り決め
養育費や面会交流についての取決めの状況をチェックします。
養育費や面会交流について取り決めていないと後々トラブルになる可能性があります。
離婚協議書などを利用して離婚前に取り決めをしておきましょう。
調停・裁判離婚の場合の離婚届の書き方
ここでは、裁判所を通して離婚(調停や裁判離婚)したケースの離婚届の書き方を解説します。
調停・裁判離婚のケースの離婚届・左側▼以下解説画像、クリックで拡大します。
1氏名、住所及び本籍
住民票・戸籍の記載通りに記入します。
2離婚の種別
下表にしたがって記入します。
離婚の種別 | 書き方・意味 |
---|---|
調停 | 調停離婚の場合にチェックし、調停成立日を記載する |
判決 | 裁判離婚の場合にチェックし、判決が確定した日を記載する |
和解 | 離婚裁判中に和解した場合にチェックし、和解成立日を記載する |
審判 | 審判離婚の場合にチェックし、審判が確定した日を記載する |
請求の認諾 | 離婚裁判中に被告が原告の離婚の請求を認めた場合にチェックし、その認めた日を記載する |
3婚姻前の氏にもどる者の本籍
旧姓にもどる場合に記入します。
※結婚しているときの氏(名字)を継続して使用する場合は記入不要→この場合は「離婚の際に称していた氏を称する届出」(後記)を提出します。旧姓に戻る場合、「(結婚する前の)もとの戸籍にもどる」か「新しい戸籍をつくる」かを選択します。
例:結婚する前「乙川」の氏だった花子さんが離婚して旧姓にもどり、新戸籍を作る場合、「妻」「新しい戸籍をつくる」にチェックし、変更後の本籍と氏名を記入します。
4未成年の子の氏名
親権を取得する側の欄に、結婚していたときの氏で記入します。
例:妻が未成年の子(一美)の親権を取得する場合、妻側の欄に結婚していたときの子の氏名(甲野一美)を記入
5別居する前の住所
別居がなかった場合は記入不要です。
6届出人署名
調停や裁判離婚の場合、夫婦一方のみの署名でOK
印鑑は任意なので押印しなくてもOK
調停・裁判離婚のケースの離婚届・右側▼以下解説画像、クリックで拡大します。
7証人
調停や裁判離婚の場合は記入不要です。
8面会交流や養育費の取り決め
調停や裁判離婚の場合は記入不要です。
離婚届の証人とは
離婚届の証人とは、離婚届の証人欄に署名する人のことをいいます。
裁判や調停離婚の場合は証人は不要ですが、協議離婚の場合、2人以上の証人が必要となります。
なお、18歳以上の人であれば誰でも証人になれます。
離婚届の証人は、離婚手続きを慎重に進めるために必要とされている制度にすぎません。
「保証人」とは異なりますので、法的な意味でのデメリットはありません。
離婚届の証人について、問題点などを調べたい方は下記のページでくわしく解説しています。
ぜひご覧になってください。
新しい戸籍を作る場合の書き方
旧姓に戻る場合で、かつ、「新しい戸籍をつくる」を選択した場合、本籍について、どのように書けばよいのかわからないという方が多いかと思われます。
本籍については、住所ではなく、「戸籍の見出し」です。
したがって、国内に実在する土地の地番や住所であれば、住所や所有地であるかに関係なく、どこでも本籍として設定することができます。
実際に多いケースとしては、次の2パターンのいずれかです。
住所と同じパターン | 住所と同じ本籍だと覚えやすいです。ただし、「号」は使いません。 例えば、住所が「東京都渋谷区渋谷1番1号」の場合、本籍は「東京都渋谷区渋谷1番」とします。 |
親の本籍と同じパターン | 離婚の際に、親の本籍と同じにする方も多くいます。 |
なお、「筆頭者」とは、戸籍の最初に書かれている人であり、本籍とともに見出しの役割を持ちます。
妻が新しい戸籍を作る場合は、妻の氏名を記載すると良いでしょう。
結婚中に使用した名字を使用する場合
例えば、乙川花子さんが甲野さんと結婚して甲野花子になったとします。
その花子さんが離婚すると、基本的には乙川の名字戻ります。
しかし、長年甲野を使用していた場合、甲野をそのまま使いたいという場合があります。
このような場合、「離婚の際に称していた氏を称する届出」の提出を離婚届提出と同時に行います。
※離婚届と同時に提出しなくても、離婚成立日から3ヶ月以内であれば、別途届出を提出可能です。
この届出の書き方については、下記のサンプルをご参考にされてください。
離婚届と同時提出の場合
▼以下解説画像、クリックで拡大します。
-
-
- 離婚前の本籍を記載。
- 現在の本籍地を記載。
-
離婚後提出の場合
▼以下解説画像、クリックで拡大します。
-
-
- 離婚後の本籍を記載。
- 現在の本籍地を記載。
-
この届出の書き方については、下記のサンプルをご参考にされてください。
なお、離婚の際に称していた氏を称する届出の様式については、こちらからダウンロードが可能です。
離婚届の提出方法
離婚届の提出要領は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれかによって異なります。
協議離婚の場合
協議離婚の場合、離婚届を役場へ提出することで離婚が法的に成立します。当然、期限はありません。
夫婦の本籍地・住所地・所在地(居所や一時滞在地)のいずれか。
※以前は、届出先が本籍地以外の場合、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が追加で必要となりましたが、戸籍法改正に伴い、2024年3月1日以降の届け出より、戸籍謄本は不要となりました。
調停離婚、裁判離婚の場合
調停離婚には調停成立時に、裁判離婚の場合には判決言渡時に離婚が成立します。
しかし、戸籍を変更するために、調停調書謄本もしくは判決書謄本を市町村役場に提出する必要があります。
これを報告的届出といいます。
離婚調停成立の日から10日以内に離婚届・離婚調停の謄本を役場に提出します。
法律上は調停成立時に離婚は成立しています。役場には戸籍管理上、報告するために届け出が必要となります。
夫婦の本籍地・住所地・所在地(居所や一時滞在地)のいずれか。
判決確定日から10日以内に離婚届・判決書の謄本と確定証明書(申請すれば裁判所から交付してもらえるもの)を役場に提出します。
法律上は判決改定をもって離婚は成立しています。
役場には戸籍管理上、報告するために届け出が必要となります。
離婚届の書き方については、上記の離婚届の書き方のサンプルをご参考にされてください。
郵送での提出は可能か
離婚届は、郵送で提出することが可能です(戸籍法47条)。
郵送先については、上記の「届出先」と同じです。
離婚届を持参する場合は、不備があればその場で訂正が可能です。
しかし、郵送の場合は訂正ができません。
したがって、できれば事前に届出先予定の役場に電話等で書類の不備や不足がないかなどを確認されておくと良いでしょう。
離婚届の必要書類
【 必要書類のリスト 】
- 離婚届
- 裁判所の書類(協議離婚の場合は不要)
- 届出人身分証明書
離婚届
離婚届については、次のページからダウンロードが可能です。
裁判所の書類(協議離婚の場合は不要)
また手続きの種類によっては確定証明書も必要となります。
以下に表をまとめておりますので、ご確認ください。
手続きの種類 | 必要な添付資料 | 備考 |
---|---|---|
|
調停調書謄本 | いずれも裁判所に交付申請すると取得できます。
当事務所の場合、依頼者の方には当事務所が取得し、お渡ししています。 |
|
和解調書謄本 | |
|
審判書の謄本・確定証明書 | |
|
判決書の謄本・確定証明書 |
戸籍謄本
本籍がある市区町村役場に提出する場合は不要ですが、それ以外の場合は、別途必要となります。
【例】
A市町村の夫婦の戸籍謄本が必要になります。
福岡市の夫婦の戸籍謄本が必要になります。
届出人身分証明書
【例】運転免許証・健康保険の被保険者証・パスポート・写真付住民基本カードなど
離婚届を勝手に出すことは可能?
離婚届は、上記のとおり、夫婦のサインが必要です、
したがって、相手に断りなく、勝手に作成することはできません。
例えば、相手の名前を無断で記載して提出した場合、法的に離婚は無効になると考えられます。
また、以下の犯罪が成立します。
- 作成する行為:有印私文書偽造罪(刑法159条)
- 提出した場合:偽造私文書行使罪(刑法161条)
- 戸籍に不実の記載をさせた場合:公正証書原本不実記載罪(刑法157条)
ただし、万一、離婚届を勝手に出されてしまったような場合、裁判所で離婚が無効であることを確定させる必要が出てきます。
これはとても手間ですし、弁護士に依頼した場合の費用の負担等も懸念されます。
したがって、このような事態が予想される場合、離婚届不受理申出の制度を活用することをお勧めいたします。
離婚届不受理申出とは
「離婚届不受理申出」とは、役所に対して離婚届を受理しないよう申し出る制度であり、自己に無断で離婚届が受理されることを防ぎます。
「離婚届不受理申出」をしておけば、本籍地の市区町村に対し申出人本人が窓口に来て届出をしたことが確認できない限り離婚届は受理されません。
離婚届の作成は慎重に
離婚届を役場に提出すると、法的に離婚が成立します。
後日、離婚を取り消したいと思っても、上記で解説した偽造などの特殊な事情がないと、難しいです。
したがって、以下のいずれかに該当する方は、離婚届を提出しないようにされてください。
- 離婚について、少しでも不安や疑問がある方
- 子供がいる世帯で、親権について、争いがある場合
- 子供がいる世帯で、養育費の取り決めがない場合
- その他、離婚の条件(財産分与、慰謝料、面会交流、年金分割など)についての取り決めがないなど、検討が不十分な場合
上記にいずれかに該当する場合、離婚専門の弁護士への事前のご相談を強くお勧めいたします。
離婚届に関するよくあるQ&A
離婚届の記入は本人がするのですか?
離婚届の署名については本人の自署が必要となります。
その他の記載欄については、本人以外が記載しても大丈夫です。
離婚届を先に書かせると不利になる?
離婚届を夫婦のいずれが先に書いても有利・不利になることはないと考えます。
ただ、親権をいずれが取得するかの欄(「未成年の子の氏名」の欄)については、どちらが親権者と記載れているのか、よく確認すべきです。
離婚届を出すのにいくらかかりますか?
協議離婚の場合で、本籍がある市区町村役場に離婚届を提出する場合、基本的にお金は必要ありません。
郵送で提出する場合は切手代が必要となります。
調停離婚や裁判離婚の場合、上で解説した資料(調停の場合は調停調書謄本、裁判の場合は判決書の謄本・確定証明書)が必要となります。
これらを取得するために若干の印紙代が必要となります。
離婚届はスマホでは作成できる?
離婚届は、記入しなければならないため、現在スマホで作成はできません。
もっとも、スマホで書き方の例を見ることは可能です。
まとめ
以上、離婚届について、書き方、入手・提出方法、注意点等を詳しく解説しましたが、いかがだったでしょうか。
離婚届の入手方法としては、基本的には市役所などでもらうか、ダウンロードする方法が考えられます。
離婚届を提出するときに不備があると受理されません。離婚届の書き方や必要書類について、上記解説を参考にし、不備がないようにされてください。
また、離婚届は一度提出すると、基本的には取り消しはできません。
したがって、離婚届を作成する前に、まずは弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。
なお、当事務所の離婚事件チームは、離婚問題に精通しており、LINEなどを活用し、全国からお問い合わせを受けています。
離婚問題については、当事務所まで、お気軽にご相談ください。
ご相談の流れはこちらをご覧ください。
なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?