熟年離婚の原因ランキングを弁護士が解説【2024年最新版】
熟年離婚は今後の生活に与える影響がとても大きいです。
そのため、離婚すべきかどうか迷っている方が多いと思われます。
ここでは、他の方々がどのような理由で離婚を決断したのか、ランキング形式でご紹介します。
裁判所の資料だけでなく、日本最大級の離婚相談実績を誇る、当事務所の調査結果もご紹介しています。
離婚すべきか迷われている方は、ぜひ参考になさってください。
目次
熟年離婚とは
熟年離婚とは、結婚してから長年月が経過した夫婦が離婚することを指します。
熟年離婚の場合、ご年配の夫婦が当事者となるため、若年離婚とは明らかに状況が異なってきます。
すなわち、熟年離婚にあたっては、「離婚後の生活を安心して暮らせるかどうか」が最大のポイントになります。
ここでは熟年離婚の原因と準備すべきことなどについて、解説いたします。
熟年離婚の原因とは
熟年離婚は妻から切り出される?
最高裁が公表している資料によれば、2022年の離婚調停の申立て件数(3万5013件)のうち、男女の割合は次のようになっています。
(2022年司法統計:婚姻関係事件数-終局区分別申立人及び申立ての趣旨別)
このことから、男女別で言うと、離婚調停に関しては女性からの申立てが多いということがわかります。
ただ、最高裁の資料では、申立人の年齢が不明なため、熟年離婚かどうかの判断がつきません。
当事務所の離婚問い合わせ件数は累計1万件を超えております。
過去1年間の50歳以上の離婚相談者の性別を調査したところ、男女の割合は次のようになっていました。
したがって、当事務所の50歳以上の離婚相談者の割合については、女性の方が多いという結果でした。
離婚の理由ランキング
当事務所の過去1年間の熟年離婚(50代以上)のご相談では、以下の理由で離婚を決意されたという方が多い印象です。
女性の離婚したい理由トップ5
1位 | 精神的虐待 | 31.5% |
2位 | 性格の不一致 | 25.8% |
3位 | 相手の不倫 | 18.6% |
4位 | その他 | 17.7% |
5位 | 暴力 | 12.1% |
(デイライト法律事務所2023年1月から2023年12月の50代以上の女性相談者)
男性の離婚したい理由トップ5
1位 | 性格の不一致 | 38.9% |
2位 | その他 | 17.7% |
2位 | 精神的虐待 | 11.5% |
4位 | 浪費 | 10.6% |
5位 | 借金 | 9.7% |
5位 | 静的不調和 | 9.7% |
(デイライト法律事務所2023年1月から2023年12月の50代以上の男性相談者)
なお、熟年離婚に限らない場合の離婚の理由ランキングはこちらを御覧ください。
熟年離婚の実態
熟年離婚を考えた場合、その実態がどうなのか検討しておく必要があります。
離婚後の生活はどうなる?
まず、次のチェック項目を見て、離婚した場合の具体的な生活をイメージされてみてください。
その場合、どこで生活するのかを検討することとなります。
自宅に住み続ける場合は、後述する財産分与が問題となります。
熟年離婚の場合は、就職先の選択肢が広くないことが想定されるため希望される職種の求人の有無などを見ておかれた方が良いでしょう。
収支の内訳を具体的に考え、予測家計表を作って見られると良いでしょう。
熟年離婚と子どもへの影響
熟年離婚の場合、若年離婚と比べて子供が自立しているケースが多いのが特徴です。
また、学生であっても、高校生や大学生の場合が多いため、両親の離婚が与える精神面への影響は比較的少ないでしょう。
ただ、子供が大学生などの場合は学費の支払いが懸念点となります。
このような場合は、養育費として検討しなければなりません。
熟年離婚のメリットとデメリット
熟年離婚と一口に言っても状況は様々です。
大まかな傾向をまとめると、次のメリットとデメリットが想定されます。
メリット |
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夫が原因となっている悩みから開放される
新しい生活を始められる
姓を変更することができる
|
デメリット |
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世間体が悪くなる
経済的な安定を得づらくなる
働く必要性が高くなる
衣食住の質が下がる
老後の生活が保証されない
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熟年離婚のために準備すべき3つのこと
熟年離婚で後悔しないためにも、特に大切な3つのことをご紹介します。
熟年離婚をしたときの年金を調べる
離婚する際は、年金分割が問題となります。
年金分割とは、離婚する際、夫婦が加入していた厚生年金の保険料給付実績のうち、報酬比例部分(基礎年金部分は対象外とされています)について、多い方(多くは夫)から少ない方(多くは妻)へ分割する制度です。
前述の通り、熟年離婚の後、年齢のために再就職が困難となるケースは多く、安定的な収入として年金が確保できるかどうかはとても大きな問題となります。
年金分割のポイント
年金分割にあたっては、
- 結婚してからの年金受給期間がどれだけあるか
- 2008年4月以降の結婚期間がどれだけあるか
という2点がポイントとなります。
また、この分配の割合の決定にはお互いの合意が必要となります。
離婚後の生活プランを立てる上では、以上のような年金分割制度をしっかり理解する必要があります。
熟年離婚の財産分与を確保する
前述の熟年離婚のデメリットの中で、金銭に関するデメリットは深刻なものであるといえます。
金銭に関するデメリットを回避する上で一番現実的な方法は、離婚に際してより多くの離婚給付を受けることです。
離婚給付には、財産分与や慰謝料がありますが、相手の不貞行為などがない場合、基本的には財産分与のみが問題となります。
特に、熟年離婚の財産分与においては、夫の退職金が対象となるかが問題となりやすい傾向です。
適正な金額の財産分与を得るためには、離婚を切り出すまでの周到な準備が必要です。
離婚したら生活保護を受けることができるか
前述した財産分与や年金分割などを考慮しても、生活が成り立たないような場合、公的扶助を検討する必要があります。
生活保護は、経済的に苦しい人に対して生活費を支給する国の扶助制度です。
生活保護を受けることができる要件は次のとおりです。
引用元:生活保護法|電子政府の窓口
家計の収支だけでなく、財産分与で得る資産などを考慮しても生活できない場合は、生活保護を受けることができる可能性があるので、専門家に相談される良いでしょう。
熟年離婚の流れと手続きについて
どちらか一方が離婚を申し出たあとにたどる道筋はいくつか考えられます。
一般的には、まずは夫婦の間で離婚についての話し合いをして、協議離婚を目指します。
そして、当事者間での話し合いによる合意が無理であれば、次に家庭裁判所に調停を申し立てて「調停離婚」を目指します。
調停が不成立となった場合には、さらに訴訟提起をして「裁判離婚(和解離婚を含む)」を目指すという順になります。
これらの簡単な特長とメリットやデメリットをまとめると下表のとおりとなります。
協議離婚(当事者同士の話し合い)
メリット | デメリット |
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調停離婚(裁判所での話し合い)
メリット | デメリット |
---|---|
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裁判離婚(裁判所による命令)
メリット | デメリット |
---|---|
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裁判基準に納得できない場合、裁判離婚は避けた方がよいということになります。
弁護士による交渉
離婚問題では、弁護士に交渉してもらう方法をお勧めいたします。
裁判所を利用しないため、柔軟な解決の可能性やスピード解決の可能性を確保できます。
また、弁護士が相手と交渉するので、依頼者の精神的・肉体的な負担を軽減できます。
まずは弁護士が相手と直接交渉し、納得がいく解決が得られない場合に、次善の策として、調停手続の利用を検討するとよいでしょう。
まとめ
熟年離婚においては、なるべく多くの離婚給付を受けられるかどうかが離婚後の生活を左右しますので、一般的な道筋をたどる前に、まず、周到な準備が必要となります。
前述の年金分割についてしっかり把握しておくことや、財産分与を間違いなく受けるための財産保全をしておくことなど、やらなければならないことがいくつもあります。
離婚の手続き、財産の保全に関する申し立て等について、一度法律家に相談することをお勧めします。
この記事が熟年離婚の問題でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。
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