離婚したら住宅ローン控除はどうなりますか?【弁護士が解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

離婚して自宅を財産分与した場合、基本的には住宅ローン控除を受けることは難しいと考えます。

住宅ローン控除の条件として、「新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」というものがあります。

これにより、離婚しても引き続き住宅ローン控除を受けるためには、自宅に居住し続けているということが必要です。

離婚後は住んでいないとなると、住宅ローン控除は受けることができません。

ただし例外的に、転勤などで不在にしている場合で、一時的に離婚した妻が居住していても住宅ローン控除を受けることができる可能性もあります。

このページでは、離婚した場合の住宅ローン控除の問題について弁護士か解説いたします。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等を行った場合に、その住宅ローン等を基に計算した一定の金額を、所得税額から控除する制度であり、正式には「住宅借入金等特別控除」のことをいいます。

例えば、新築住宅を購入する場合には、次の条件をすべて満たさなければいけません。

住宅借入金等特別控除の条件
  1. ① 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
  2. ② 特別控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること
  3. ③ 対象となる住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること
  4. ④ 対象となる住宅に対して10年以上にわたるローンがあること
  5. ⑤ 居住用にした年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと

参考:国税庁|No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

 

 

離婚した場合はどうなる?

結婚している間は住宅ローン控除を受けていたのですから、上述した要件はクリアしていたはずです。

離婚すると、上述の要件のうち、
「1.新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。」に該当しないことになる可能性があります。

すなわち、ご自身が居住しているという条件です。

 

単身赴任の場合

この点、単身赴任の場合については、次の例外があります。

単身赴任の場合の例外について

「家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その住宅の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができる。」

引用元:国税庁|No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等

ここでのポイントは、「やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるとき」に該当するか否かです。

単身赴任の場合、それが解消した後は、再びその家屋に戻ってくるのが通常です。

 

自宅を財産分与した場合

離婚し、自宅を相手方配偶者に譲渡した場合、その譲渡人が自宅に戻ることは通常ありません。

したがって、上記例外には該当しないものと思われます。

 

住宅ローン控除を受けることができるケースとは

例えば、離婚はしたものの自宅を財産分与していないケースでは、依然として「家屋の所有者」に該当します。

この場合に、転勤等のために、一定期間に限って配偶者や子供をその自宅に居住させているような場合、住宅ローン控除を受けることができる可能性もあるかと考えられます。

 

 

まとめ

以上、離婚した場合の住宅ローン控除の問題について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

離婚して自宅を財産分与した場合、基本的には住宅ローン控除を受けることは難しいと考えます。

離婚によって、税務上不利益に取り扱われるのはご納得がいかないかもしれません。

立法論としては、検討の余地があるかと思われますが、現在の国税の取り扱いとしては、適用は受けられないのが現状です。

この記事が離婚問題に直面されている方にとって、お役に立てば幸いです。

 

 

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