家庭内別居で離婚できる?【弁護士が事例で徹底解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Bさん
職業:公務員
世帯年収:1500万円
婚姻期間:約25年
解決方法:協議
子どもあり (長男、長女(学生))
離婚を切り出した

相手:公務員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 利益
離婚 ×不成立 ○成立
財産分与 相当額 不動産、自動車 約1100万円
学資援助金 ×
年金分割 × 50% 50%

 

状況

Bさんは、約25年前に夫と結婚しました。

Bさんと夫との間の子ども達(長男、長女)は共に成人していましたが、2人とも学生でした。

Bさんと夫は、夫の趣味や飲酒に長年悩まされていました。

また、夫婦間のコミュニケーションもうまくいっていませんでした。

そのため、Bさんと夫は長年家庭内別居状態でした。

Bさんはこうした形だけの婚姻関係が続くことは望ましくないと思っていたため、4~5年前に一度自分から離婚を切り出したものの、夫から拒否されました。

それ以降、Bさんは夫と離婚の話し合いをすることができずに、日々を過ごしていました。

とはいえ、こうした状況を何とかしたいと考えたBさんは、弊所にご来所、ご相談されました。

財産の状況

< 共有 >

  • 不動産(査定価格 約1000万円)

< Bさん名義 >

  • 預貯金等 約2500万円
  • 保険   約  350万円
  • 負債なし

< 夫名義 >

  • 預貯金等 約2200万円
  • 保険   約  600万円
  • 自動車(査定価格 約100万円)
  • 負債なし

 

弁護士の関わり

Bさんは、何よりも夫との離婚を強く望んでいました。

弁護士は、夫に協議離婚の申入れを書面で行いました。

夫は比較的素直に離婚に応じましたが、場合によっては調停に移行するなど、長期化する可能性もあり得ました。

また、夫は以前にも離婚を拒絶したことがあったため、いつ離婚を翻意するか分からない状況でした。

そこで、弁護士は戦略上、離婚を先行させることにしました。

そのため、弁護士が受任通知を送ってから、2週間ほどで離婚が成立しました。

離婚後、夫は夫婦共有不動産から退去しました。

 

家庭内別居の離婚の問題点

当事務所は家庭内別居の場合の離婚について、数多くの相談を受けております。

家庭内別居のケースでは、共通した問題点が見られる傾向にあります。

最前線で活動する離婚弁護士だからこそ実感している、家庭内別居の問題点について、解説するのでご参考にされてください。

別居と認められない可能性が高い

この事例のように、「家庭内別居だった」という事案は多くあります。

しかし、相手が争ってきた場合、裁判では、別居の事実を認めてもらえない可能性が高いと思われます。

例えば、夫婦が1階と2階で完全に別れて生活しており、光熱費や食費を別々に支払い、まったく会話をしないような状況であれば、別居と同視できるでしょう。

このような場合は、別居状態になってから数年間が経過すれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚原因が認められる可能性があります。

しかし、実際に多いのは、会話が少ない、性交渉がない、喧嘩が多い、などのパターンです。

確かに、夫婦関係は破綻の危機にありますが、「別居」と同視できるほどの状況とはいえないでしょう。

そのため、裁判で離婚が争点となった場合は、家庭内別居の主張では離婚が認められない可能性が高いのが一般的です。

 

家庭内別居のケースのポイント

上記の問題点を踏まえて、家庭内別居の場合は次の方法が効果的です。

弁護士名で離婚意思を明確にする

弁護士に依頼して、離婚意思を明確にする書面を内容証明郵便(配達証明書付き)で送付することを検討しましょう。

内容証明郵便は、その文書を送付したことを証明する効果を持ちます。

弁護士に離婚意思を明確にする書面を作成してもらい、内容証明郵便として送付すると、少なくとも、文書を送付した時点において作成者に離婚意思があったことは明らかにできます。

そのため、相手が離婚に応じてくれずに家庭内別居を継続した場合、婚姻関係の破綻を立証しやすくなります。

この事例は、Bさんは4〜5年前に、一度離婚を切り出したものの、夫から拒否されたという状況でした。

当事務所の離婚弁護士の交渉によって、短期間で解決できましたが、いつもこのようにうまくいくわけではありません。

相手が離婚に応じない場合、最終的には裁判で争うこととなりますし、相手が4〜5年前の離婚の件を否認した場合、破綻の事実を証明できない可能性が高くなります。

この事案でも、Bさんが離婚を切り出したとき、内容証明郵便で離婚意思を明確にしておけば、仮に裁判になっていたとしても、Bさんの離婚請求は認められたといえるでしょう。

なお、相手方に差し出す離婚を求める文書(協議離婚申入書)について、当事務所はホームページにサンプルを掲載しております。

年金分割

弁護士は交渉の結果、合意書を交わすとともに、年金分割については私文書の認証手続きをしました。

養育費

また、Bさんは夫と同居していたものの、学費・生活費のほとんどを出すなど経済的負担が大きい暮らしをしていました。

そのため、学生だった2人の子ども達の学費についても悩んでいました。

そこで弁護士は、Bさんに対して、離婚の見込みが十分あること、子ども達の学資援助金を得られるよう尽力すること等を説明し、夫が子ども達の学費についても可能な限り援助するとの合意も成立しました。

財産分与

夫は比較的素直に離婚に応じましたが、財産分与等の話し合いが場合によっては調停に移行するなど、長期化する可能性もあり得ました。

そこで、弁護士は戦略上、離婚を先行させることにし、離婚後に財産分与等について話し合うこととしました。

離婚が成立後、弁護士は夫と、財産分与等についての話し合いを開始しました。

婚姻生活が長かったこともあり、様々な形での財産形成がなされていたことから、まずは双方の財産の洗い出し、評価額の算定等を行いました。

その上で、具体的な交渉に入っていきました。

Bさんは、不動産、自動車を取得することを切望していたことから、Bさんが夫に対して代償金を支払うことも予想される状況でした。

そのため弁護士は、財産分与についてBさんにとって最も有利となり得る主張を重ねていきました。

その結果、Bさんは、不動産、自動車を取得しつつ、その他の財産(預貯金、保険等)は双方が有しているものを持ち合う形での合意が無事成立しました。

 

 

補足

離婚について、一度配偶者に切り出してみたものの拒絶されたため、その後離婚の話をできなくなった(あるいは、しづらくなった)方はたくさんいらっしゃると思います。

Bさんもその1人でした。

当事務所にはこのように、自分では離婚の話し合いが不可能(あるいは、極めて困難)な方々が多数ご来所・ご相談されています。

本件のように、弁護士に依頼することで事態が大きく好転するケースは多々あります。

是非ご相談下さい。


年金分割

婚姻期間が長かった夫婦が離婚する場合において、年金分割は重要です。

分割後の妻の受給できる年金が大幅に増えるため、今後の生活の安定を考えると、年金分割は必ず行うべきです。

本件でも年金分割を確実に行いました。

年金分割でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

養育費【学資援助金】

離婚に伴い、子ども達の養育費(あるいは、学資援助金)をできる限り多くもらいたいと考える方がほとんどだと思います。

しかし、未成年者ではないとの理由などから多くを望まずに諦めてしまう方も多数いらっしゃいます。

子ども達のためのお金は、今後の十分な教育や環境整備のためにとても大切なものですので、諦めずに粘り強く話し合いを続けていくことが必要です。

そして、弁護士に代理交渉を依頼することで、有利に解決できる可能性が高まります。

財産分与

離婚に伴う財産分与では取得できるものは取得するなど、できる限り有利に解決したいと考える方が多いです。

とはいえ、財産関係を整理した上で交渉していくなど、自分ではなかなかできないことも少なくありません。

本件では、Bさんは今後の生活のために、不動産・自動車の取得を希望していました。

他方で、そうなった場合に多額の代償金を支払わなければならないのではないかというジレンマも抱えていましたが、無事解決することができました。

このように弁護士が代理人となって交渉することで、有利に進められる可能性が高くなります。

 

 





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