離婚の相手が弁護士を立てた場合の対応【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

離婚の場面において、相手が弁護士を立ててきた場合、できるだけ早く、離婚に強い弁護士に相談なさることを強くお勧めいたします。

相手の弁護士は、相手本人の利益を追求するのが仕事です。すなわち、相手の弁護士はあなたにとっては敵であり、かつ法律のプロですので手強いと思ったほうが良いでしょう。

この記事では、相手が弁護士を立てた場合にどのように対応すべきか、離婚問題に注力する弁護士がわかりやすく解説していきます。

相手に弁護士がついていて、どのように対応すべきか不安な方はぜひ参考になさってください。

相手が弁護士を立てる理由とは?

この記事を読まれている方は、相手が弁護士を立てたことについて、戸惑っていらっしゃるかと思います。

まず、相手がどうして弁護士を立てたのか分析して考えみましょう。

相手が弁護士を立てる理由としては、大きく分けて、①有利に解決したいと考えている②相手と直接接触したくない、のいずれかに該当することが多いです。

以下、詳しく解説します。

①有利に解決したいと考えている

専門的知識やノウハウに期待している

離婚問題は、ご本人やその関係者の一生を左右しかねないほどの大きな影響を及ぼします。

相手としては、当然、少しでも有利に解決したいと考えるでしょう。

有利に解決するためには、より多くの情報が必要です。

例えば、養育費の適正額について、法律上、月額10万円が適正額だったとします。

相手(養育費の支払い義務者)から、月額8万円を支払うと提案されたとき、「月額10万円が適正額であること」を知らずに相手の提案を承諾すると、損をしてしまことになります。

このように、情報(=専門知識)は有利に解決するために(損をしないために)、とても重要です。

また、離婚に強い弁護士は、専門知識だけでなく、離婚問題に関する様々なノウハウを持っています。

例えば、証拠の集め方、法律文書の作成などです。

このようなノウハウは、離婚問題有利に解決するために、とても重要となります。

相手を説得できる可能性に期待している

離婚問題では、相手が離婚に応じない、相手が離婚の諸条件(親権、養育費の額、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など)に納得しない、などの状況が多くあります。

このような状況を打開するために、離婚問題を弁護士に依頼されることも多くあります。

離婚に強い弁護士は、相手との交渉のスキルを持っているからです。

②相手と直接接触したくない

離婚事案では、相手と直接の接触に抵抗を感じる方が少なくありません。

例えば、相手(加害者)からDV・モラハラを受けていたというケースでは、加害者との接触を避けたいと感じている方が多くいらっしゃいます。

DV・モラハラの被害者は、相手(加害者)に対して恐怖心を抱いていることが多く、協議離婚の場合、間に立ってくれる人が必要となります。

弁護士は、代理権を持っているので、協議離婚の交渉を依頼された場合、その弁護士が代理人として、依頼者に代わって相手と交渉できます。

そのため、加害者と直接関わりたくない相手は、交渉初期の段階から弁護士に依頼することが多くあります。

また、DV・モラハラ事案以外でも、様々な事情から、相手とは直接話したくない、関わりたくない、渡韓げている方は多く、このような場合でも、いきなり弁護士に依頼されることがあります。

 

 

相手に弁護士がつくと不利になる?

頭を抱える人

状況にもよりますが、相手に弁護士がつくと、基本的には相手が有利になると考えられます。

もし、相手が依頼している弁護士が離婚問題に精通している場合、上述のとおり、相手は離婚に関する専門知識やノウハウを手に入れることができるからです。

また、離婚専門の弁護士ではなくても、相手弁護士は交渉のプロです。

さらに、弁護士は交渉する際、相手の発言内容を注意深くヒアリングしています。そのため弁護士に対するふとした発言が今後自分に不利になる可能性もあります。

したがって、相手に弁護士がついている場合、発言内容には注意する必要があります。

 

 

離婚事案でいきなり弁護士から書面が届いたら

相手に弁護士がつくと、通常、その弁護士から書面が届きます。

稀に、文書の前に電話がかかってくるケースもありますが、基本は文書で、タイトルには「協議離婚申入書」、「受任通知」、又は「ご連絡」などと書かれていることが多いです。

その書面は、内容証明郵便で届くこともあれば、普通郵便で届くこともあります(いずれの方式を利用するかは具体的な状況と弁護士の好みに影響を受けます。)。

このような弁護士からの書面が届くと、素人の方はとても驚かれるでしょう。

相手弁護士からの書面に対し、ご自身だけで対応すると今後、不利になってしまう可能性もあります。

したがって、弁護士に連絡する前に、以下にご紹介するような対応を取られることをお勧めいたします。

まずは弁護士に相談しましょう

イラスト男性

相手の弁護士の書面には、通常、相手方本人(その弁護士の依頼者)への直接の接触を禁止する旨の文言が記載されていると思います。

そして、一定期間以内に弁護士に連絡するように求める文言も記載されているかと思います。

この一定期間は、1週間から10日程度が典型です。

このような書面が届くと、焦って相手弁護士に電話をかける方がいらっしゃいます。

しかし、相手弁護士はプロであり、依頼者(相手方)の利益のために行動します。

上述のとおり、注意深くヒアリングし、発言した内容にしだいでは、今後、不利になってしまう可能性もあります。

そのため、ご自身だけで対応するのではなく、できるだけ早く離婚専門の弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

離婚問題に強い弁護士であれば、具体的な状況を踏まえて、今後の対応方法について助言してくれると思われます。

したがって、まずは弁護士に相談し、その助言を踏まえて、相手弁護士に連絡するとよいでしょう。

なお、弁護士に相談したからと言って、依頼しなければならないというわけではありません。

まずは相談し、依頼するメリットが十分あると感じた場合に依頼を検討されるようにしましょう。

弁護士への依頼を検討すべき?

離婚に強い弁護士に相談すると、その弁護士から今後の進め方や見通しの他に、仮に弁護士に依頼した場合の費用などについて、説明してもらえるでしょう。

弁護士に依頼すべきか否かは具体的な状況にもよりますが、相手に弁護士がついている以上、対等な立場で交渉していくために、弁護士への依頼の是非について、積極的に検討されるとよいでしょう。

負ける案件でも弁護士に依頼すべき?

相談者の中には、負ける可能性が濃厚な事案の場合、弁護士に依頼することに消極的な方もいらっしゃいます。

このようなケースでは、弁護士に依頼するメリットがあまりないと感じていらっしゃるのかと思います。

しかし、負ける可能性が濃厚な事案でも、弁護士へ依頼することで、負担の程度を減らすことができる可能性もあります。

また、経済的にはメリットがない場合(負担が減らない場合)でも、メンタル面で有益に感じることがあります。

すなわち、ご自身だけで交渉のプロである弁護士を相手にするのはとても大変だと思います。

弁護士に依頼すれば、その弁護士があなたに代わって相手弁護士と交渉してくれますので、気持ちの面で楽になるのではないでしょうか。

弁護士を立てるメリットとデメリット

弁護士を立てるメリットとデメリットは、具体的な状況によって異なりますが、一般論としては、下表のような傾向があると考えられます。

なお、下表は相手に弁護士がついているケースを想定しています。

メリット デメリット
弁護士を立てる場合
  • 対等の立場で交渉できる
  • 精神的な負担が減る
  • 裁判などの複雑な手続きをプロに任せることができる
弁護士の費用が必要となる
弁護士を立てない場合 弁護士の費用がかからない
  • 専門知識、ノウハウなどの面で不利になる可能性がある
  • 相手弁護士と直接交渉しなければならない
  • 裁判などの複雑な手続きを自分だけで対応しなければならない

 

 

離婚で弁護士を立てるタイミング

弁護士

協議離婚の段階

協議離婚の段階では、手続き上、弁護士が必ず必要というわけではありません。

しかし、相手に弁護士がついているケースでは、上述した理由から、協議段階でも弁護士をつけた方が安心できるでしょう。

また、協議段階の場合、調停や裁判と比べて弁護士の労力が減る傾向にあります。

そのため、弁護士費用も比較的低額になる傾向です。

まずは自分で相手弁護士と交渉してから依頼すべきか?

まずはご自身で相手弁護士と交渉してみて、納得できる解決に至らない場合に弁護士に依頼したいと考える方もいらっしゃるかと思います。

この方法は、仮に「納得できる解決」に至った場合、弁護士費用の支払いという負担が生じないため、経済的な合理性があるかと思います。

しかし、問題は「納得できる解決」が何か、素人の方が判断するのが難しいという点です。

例えば、上述のとおり、養育費の金額としては月額10万円が適正なのに、月額8万円を適正だと勘違いしていることがあります。

また、相手弁護士は相手の利益を最大化するために法律を駆使します。

例えば、協議離婚がまとまったら、合意書(公正証書など)を作成しますが、その文言一つにしても、相手の利益を考えて作成します。

要するに、ご自身が適正とだと思って「納得」していても、実は「損」をしている可能性が懸念されます。

このような事態を避けるために、可能であれば、弁護士に相談だけでも行うようにされることをお勧めいたします。

離婚に強い弁護士であれば、具体的な状況を踏まえて、適正な条件などを助言してくれると考えられるからです。

離婚調停の段階

離婚調停の場合も、手続き上、弁護士が必ず必要というわけではありません。

また、協議とは異なり、調停では調停委員が間に入るため、相手弁護士と直接交渉する可能性は低くなります。

しかし、調停手続きでは、様々な書面(主張書面や証拠資料)を裁判所に提出することになります。

離婚問題に強い弁護士に依頼されていると、その弁護士がこれらの書面を作成し、調停の席上で主張してくれます。

そのため、調停段階でも弁護士をつけるメリットは大きいと考えられます。

離婚裁判の段階

裁判の段階では、弁護士を立てるのが一般的です。

稀に、本人訴訟(弁護士を立てずに本人だけで裁判手続きを進めていく)もありますが、裁判は調停以上に手続きが複雑で、法廷の要件を満たした主張立証が求められます。

そのため、離婚問題に強い弁護士を代理人につけることをお勧めいたします。

 

まとめ

以上、相手が弁護士を立てた場合の対応法等について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。

相手が弁護士を立てているケースでは、プロを相手にしなければならなくなるため、交渉などにおいて不利になる可能性があります。

また、弁護士に依頼すると代理人として相手弁護士と交渉してくれるため、精神的な負担も減少すると考えられます。

弁護士に依頼すべきか否かは具体的な状況にもよりますが、まずは離婚問題に強い弁護士へのご相談をお勧めいたします。

離婚問題に精通した弁護士であれば、今後の見通し、進め方の他に、弁護士に依頼すべきか否か等についても助言してくれると考えられます。

この記事が離婚問題でお困りの方にとってお役に立てば幸いです。

なお、デイライト法律事務所は離婚分野に圧倒的な実績をもっています。

お近くに離婚に強い弁護士がいない方は、当事務所のオンライン相談をお試しください。

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