あなたの養育費はいくら?年収別に弁護士が解説【計算機付】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  


養育費を決める際、父母の年収は重要な要素となります。

ここでは、養育費を算出する際の考慮要素について解説したうえで、年収別の養育費の相場をご紹介していきます。

 

 

養育費とは

養育費とは、子どもが社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用です。

養育費の内容としては、子どもの衣食住のための費用・健康保持のための医療費・教育費が含まれます。

 

 

養育費を算出する際の考慮要素とは

養育費を算出する際は、父母双方の収入、子どもの人数・年齢、その他の事情が考慮要素となります。

裁判実務で採用されている養育費の算定方式では、「父母双方の収入」と、「子どもの人数・年齢」に応じて養育費の金額を算出する方法がとられています。

この算定方式で算出される養育費については、簡易に素早く確認できるように「養育費算定表」という早見表があります。

この早見表は、子どもの人数・年齢に応じて該当する表を選択し、その表の縦軸に支払い義務者の年収、横軸に権利者(もらう側)の年収をとると養育費の目安が分かるというものです。

家庭裁判所で養育費を決める際は、この算定表で算出した金額が重要視される傾向にあり、父母間の話し合いで養育費を決める際もこれを目安にするのが一般的です。

【 養育費算定表はこちら ⇒ 養育費算定表(PDF) 】

引用元:養育費・婚姻費用算定表 |裁判所

算定表の詳しい見方については、こちらのページをご覧ください。

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養育費算定表について

もっとも、算定表は標準的な生活費のみが考慮されており、特別な出費(私立学校の学費、塾代など)については考慮されていません。

そのため、特別な出費など、「その他の事情」がある場合は別途考慮されることになります。

以下では、それぞれの考慮要素について解説していきます。

 

父母双方の収入

年収とは?手取りとは何が違うの?

養育費算定の際に考慮される父母の収入は、「年収」となります。

サラリーマン等の給与所得者の場合

「年収」とは、税金や年金・保険料等が差し引かれる前の年間の総収入のことをいいます。

他方、「手取り」とは、年収から税金や年金・保険料等が差し引かれた後の、実際に手元に入る金額のことをいいます。

給与所得の場合、会社が給料から税金等を天引きして給与所得者に代わって納めているため(これを「源泉徴収」といいます。)、「年収」と「手取り」の金額が異なることになります。

会社経営者も、役員報酬をもらっている場合は源泉徴収がされるため、養育費算定の際には「手取り」ではなく「年収」が考慮されることになります。

自営業者の場合

自営業者(個人事業主)の場合は源泉徴収はされず、事業によって得たお金(売上)は基本的に全て自分の手元に入ります。

しかし、養育費算定の際に考慮される「年収」は、「売上」ではなく、売上から必要経費を差し引いた「課税される所得金額」が基本となるとされています。

ただし、「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果ですので、その金額をそのまま養育費の算定の基礎と考えることが妥当でない場合があります。

そのため、税法上控除されたもののうち、現実には支出されていない費用等を「課税される所得金額」に加算したものが養育費算定の基礎となる「年収」となります。

なぜ手取りではなく年収なのか?

裁判実務で採用されている養育費の算定方式では、父母の収入からそれぞれの「基礎収入」というものを導き出し、そこから子どもの生活費を割り出して養育費の金額を算出するという方法がとられています。

すなわち、養育費の算定においては、「基礎収入」がいくらなのかが重要なポイントとなります。

基礎収入とは、年収(総収入)から税金や必要経費を差し引いた金額です。

「税金や必要経費」とは、具体的には公租公課(所得税、住民税、社会保険料)、職業費(被服費、交通・通信費、書籍費、諸雑費、交際費等)、特別経費(住居に関する費用、保険医療費等)のことです。

簡単に言うと、税金などの支払わなければならないお金と、収入を得たり、生活の基盤を維持するために必要になるお金のことです。

計算式  基礎収入 = 年収 -(公租公課+職業費+特別経費)

※自営業者の場合に年収と扱う「課税される所得金額」は、既に社会保険料と職業費が控除されたものであるため、「基礎収入 = 年収 -(所得税 + 住民税 + 特別経費)」となります。

この「基礎収入」は、現実の金額ではなく、年収から一定の割合(これを「基礎収入割合」といいます。)を乗じることにより算出された金額となります。

具体例  基礎収入 = 年収 × 基礎収入割合

年収から実際にかかる公租公課などを差し引き、現実の基礎収入の金額を計算するのは非常に煩雑で時間もかかります。

そこで、公租公課などが年収に占める標準的な割合を統計等から導き出し、あらかじめ「基礎収入割合」として設定しておくことで、迅速に基礎収入を算出できるようにしているのです。

したがって、「基礎収入」を導き出すのに必要なのは、「年収」となります。

早見表である算定表も、父母双方の「年収」を当てはめれば養育費の相当額が確認できるように作成されています。

なお、「基礎収入」は「手取り」とは一致しません。

「手取り」は、年収から社会保険料や所得税、住民税が控除されたものですが、「基礎収入」はその他に職業費、特別経費も控除されたものとなります。

基礎収入割合は給与所得者と自営業者で異なる

給与所得者と自営業者では、税金などが年収に占める標準的な割合が異なります。

そのため、基礎収入割合も異なり、給与所得者の場合は38%〜54%(収入が高いほど低い)、自営業者の場合は48%〜61%(収入が高いほど低い)とされています。

同じ年収でも給与所得者と自営業者で養育費の相当額が異なるのは、このように基礎収入割合が異なるためです。

算定表を一見すると、自営業者の方が負担が重いようにも思えますが、実は基礎収入の金額が同じであれば、養育費の金額も同じになるという仕組みになっています。

 

子どもの人数と年齢

子どもの人数が多ければ、それだけ養育費の金額は増えます。

また、子どもの年齢が高くなれば、それだけ子どもの生活にかかるお金も増えるため、養育費の金額も増えます。

算定表においては、子どもの年齢について、0歳〜14歳と、15歳以上で区分されています。

 

その他の事情

特別な出費

私立学校の学費(公立学校の費用との差額)、私立の保育所・幼稚園の費用、塾や習い事の費用、留学費用、通常以上に高額な医療費などは、算定表では考慮されていない特別な出費となります。

これらは、分担の対象とするか、どういう割合で分担するかなど、その費用がかかっている経緯や父母双方の資産なども含めて決められることになります。

家庭裁判所で決める場合も、ケースバイケースで判断されることになります。

 

その他の特殊事情

養育費をもらう側が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合、第一次的には養親(再婚相手)が子どもの扶養義務を負うことになるため、養育費が減免される可能性があります。

また、支払い義務者が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合や、実子が生まれた場合は、その子ども達に対する扶養義務も考慮された上で養育費が算定されることになります。

 

 

年収を調べる方法とは?

サラリーマンの場合

源泉徴収票

サラリーマン等の給与所得者(役員報酬をもらっている会社経営者も含む)の場合、直近の(最新の)源泉徴収票を確認することがもっとも簡易な方法です。

源泉徴収票の「支払金額」の欄に記載してある金額が年収となります。

課税証明書

市区町村が発行する課税証明書の「給与収入」(「給与所得」ではない)の欄で確認することもできます。

給与明細等

給与明細や給与口座の通帳でも大体の年収を把握することはできます。

ただし、これらだけで年収を特定する場合は、慎重な検討が必要になります。

例えば、歩合制の場合などは、月により給料が変動するため、1か月分の給与明細だけでなく少なくとも数か月分の給与明細を集めたうえで、月収の平均値を12倍し、さらに賞与等も加算する必要があります。

給与明細等しか確認できない場合は、なるべく離婚専門の弁護士に見てもらうようにするとよいでしょう。

年度の途中で転職等をした場合

源泉徴収票や課税証明書は、前年の収入を示すものです。

他方、養育費の算定の基礎とする年収は、厳密には現在(養育費の支払義務が生じた時点)の年収とされています。

サラリーマンの場合、前年の年収と現在の年収が大幅に異なることは通常はないため、前年の年収を現在の年収として養育費の算定の基礎とすることに問題はありません。

ただし、転職などにより前年の年収と現在の年収が大きく異なる場合は、現在の年収を給与明細等から調べる必要があります。

先に述べたとおり、給与明細等から調べる場合には慎重に検討する必要があります。

自営業者の場合

自営業者(個人事業主)の場合は、確定申告書の控えを確認します。

サラリーマンの方でも副収入がある場合は、源泉徴収票ではなく確定申告書の控えで年収を確認することになります。

確定申告書の「課税される所得金額」が基本的には養育費の算定の基礎となる年収となります。

ただし、先に説明したように、税法上控除されたもののうち、現実には支出されていない費用等を加算する必要があります。

もっとも、このように加算するべき費用等を検討し、具体的に養育費算定の基礎となる年収を認定するのは、専門家でないと困難といえます。

そのため、確定申告書を離婚専門の弁護士に見てもらうことを強くおすすめします。

 

 

年収別の養育費の相場

ここでは、支払い義務者(父親であることが多い)の年収別に、養育費の相場を紹介していきます。

先に解説したように、養育費は、父母の収入、子どもの人数・年齢、その他の事情が算定要素となります。

そのため、支払い義務者の年収が同じ場合であっても、その他の要素が異なれば、養育費の相当額も異なります。

したがって、全てのケースを網羅することはできませんが、以下では、

  • 養育費をもらう側(母親であることが多い)が専業主婦などで収入がない(0円)
  • その他の事情がない

という場合を前提に、算定表から導かれる養育費の相当額をご紹介いたします。

 

年収200万円の場合

支払い義務者の年収が200万円の場合の養育費の相場は次のようになります。

子どもの人数・年齢 養育費の相場
給与所得者内容 自営業者
1人 0~14歳 2~4万円 2~4万円
15歳以上 2~4万円 4~6万円
2人 いずれも0~14歳 2~4万円 4~6万円
第1子15歳以上、第2子0~14歳 4~6万円 4~6万円
いずれも15歳以上 4~6万円 6~8万円
3人 いずれも0~14歳 4~6万円 6~8万円
第1子15歳以上、第2子・第3子0~14歳 4~6万円 6~8万円
第1子・第2子15歳以上、第3子0~14歳 4~6万円 6~8万円
いずれも15歳以上 4~6万円 6~8万円

養育費をもらう側に収入がある場合や子どもの人数が4名以上の場合については、下記の養育費計算シミュレーターにて算定が可能です。

 

年収300万円の場合

支払い義務者の年収が300万円の場合の養育費の相場は次のようになります。

子どもの人数・年齢 養育費の相場
給与所得者内容 自営業者
1人 0~14歳 4~6万円 4~6万円
15歳以上 4~6万円 6~8万円
2人 いずれも0~14歳 4~6万円 6~8万円
第1子15歳以上、第2子0~14歳 6~8万円 8~10万円
いずれも15歳以上 6~8万円 8~10万円
3人 いずれも0~14歳 6~8万円 8~10万円
第1子15歳以上、第2子・第3子0~14歳 6~8万円 10~12万円
第1子・第2子15歳以上、第3子0~14歳 6~8万円 10~12万円
いずれも15歳以上 6~8万円 10~12万円

養育費をもらう側に収入がある場合や子どもの人数が4名以上の場合については、下記の養育費計算シミュレーターにて算定が可能です。

 

年収400万円の場合

支払い義務者の年収が400万円の場合の養育費の相場は次のようになります。

子どもの人数・年齢 養育費の相場
給与所得者内容 自営業者
1人 0~14歳 4~6万円 6~8万円
15歳以上 6~8万円 8~10万円
2人 いずれも0~14歳 6~8万円 10~12万円
第1子15歳以上、第2子0~14歳 8~10万円 10~12万円
いずれも15歳以上 8~10万円 10~12万円
3人 いずれも0~14歳 8~10万円 10~12万円
第1子15歳以上、第2子・第3子0~14歳 8~10万円 12~14万円
第1子・第2子15歳以上、第3子0~14歳 8~10万円 12~14万円
いずれも15歳以上 10~12万円 12~14万円

養育費をもらう側に収入がある場合や、年収400万円の場合の養育費の相場についての詳しい解説は、下記のページをご覧ください。

 

年収500万円の場合

支払い義務者の年収が500万円の場合の養育費の相場は次のようになります。

子どもの人数・年齢 養育費の相場
給与所得者内容 自営業者
1人 0~14歳 6~8万円 8~10万円
15歳以上 8~10万円 10~12万円
2人 いずれも0~14歳 8~10万円 12~14万円
第1子15歳以上、第2子0~14歳 10~12万円 12~14万円
いずれも15歳以上 10~12万円 14~16万円
3人 いずれも0~14歳 10~12万円 14~16万円
第1子15歳以上、第2子・第3子0~14歳 10~12万円 14~16万円
第1子・第2子15歳以上、第3子0~14歳 12~14万円 16~18万円
いずれも15歳以上 12~14万円 16~18万円

養育費をもらう側に収入がある場合や子どもの人数が4名以上の場合については、下記の養育費計算シミュレーターにて算定が可能です。

 

年収600万円の場合

支払い義務者の年収が600万円の場合の養育費の相場は次のようになります。

子どもの人数・年齢 養育費の相場
給与所得者内容 自営業者
1人 0~14歳 6~8万円 10~12万円
15歳以上 8~10万円 12~14万円
2人 いずれも0~14歳 10~12万円 14~16万円
第1子15歳以上、第2子0~14歳 12~14万円 14~16万円
いずれも15歳以上 12~14万円 16~18万円
3人 いずれも0~14歳 12~14万円 16~18万円
第1子15歳以上、第2子・第3子0~14歳 14~16万円 18~20万円
第1子・第2子15歳以上、第3子0~14歳 14~16万円 18~20万円
いずれも15歳以上 14~16万円 18~20万円

養育費をもらう側に収入がある場合や、年収600万円の場合の養育費の相場についての詳しい解説は、下記のページをご覧ください。

 

年収1000万円の場合

支払い義務者の年収が1000万円の場合の養育費の相場は次のようになります。

子どもの人数・年齢 養育費の相場
給与所得者内容 自営業者
1人 0~14歳 12~14万円 16~18万円
15歳以上 14~16万円 18~20万円
2人 いずれも0~14歳 18~20万円 22~24万円
第1子15歳以上、第2子0~14歳 18~20万円 24~26万円
いずれも15歳以上 20~22万円 26~28万円
3人 いずれも0~14歳 20~22万円 26~28万円
第1子15歳以上、第2子・第3子0~14歳 22~24万円 28~30万円
第1子・第2子15歳以上、第3子0~14歳 22~24万円 28~30万円
いずれも15歳以上 24~26万円 30~32万円

養育費をもらう側に収入がある場合や、年収1000万円の場合の養育費の相場についての詳しい解説は、下記のページをご覧ください。

 

高所得者の場合

算定表では、年収について、給与所得者については2000万円、自営業者については1567万円が上限となっています。

そのため、支払い義務者がこの上限を超える年収を得ている場合(高所得者の場合)、養育費の額をどのようにすべきかが問題となります。

考え方はいくつかありますが、大きく分けて、算定表の上限額をもって頭打ちとする考え方と、頭打ちとはせずに算定表のもとになっている算定方式をベースに計算するという考え方があります。

仮に、算定表の上限額をもって頭打ちとする考え方を前提とすると、給与所得者については年収2000万円、自営業者については年収1567万円とみなして養育費を算定することとなります。

そうすると、算定表の上限を超える年収を得ている場合の養育費の相場は次のようになります。

子どもの人数・年齢 養育費の相場
給与所得者内容 自営業者
1人 0~14歳 22~24万円 22~24万円
15歳以上 28~30万円 28~30万円
2人 いずれも0~14歳 34~36万円 34~36万円
第1子15歳以上、第2子0~14歳 36~38万円 36~38万円
いずれも15歳以上 38~40万円 38~40万円
3人 いずれも0~14歳 40~42万円 40~42万円
第1子15歳以上、第2子・第3子0~14歳 42~44万円 42~44万円
第1子・第2子15歳以上、第3子0~14歳 42~46万円 42~46万円
いずれも15歳以上 44~46万円 44~46万円

なお、算定表の上限額をもって頭打ちとしない考え方に立てば、上記の金額よりも高額になります。

 

 

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当事務所では養育費を自動で簡単に計算いただけるツールを作成しております。

ぜひご自身の養育費の計算にお役立てください。

養育費計算シュミレーター

 

 

まとめ

以上、年収別に養育費の相場について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

養育費の相場は、算定表から導き出すことができます。

もっとも、父母の年収を正確に把握するのが困難なケースや、その他の事情が複雑で算定が困難なケースも少なくありません。

状況に即した適切な金額を把握するためには、離婚問題を専門に扱う弁護士に相談されることをおすすめいたします。

当事務所では、離婚問題を専門に扱うチームがあり、養育費の問題について強力にサポートしています。

LINE、Zoomなどを活用したオンライン相談も行っており全国対応が可能です。

養育費の問題については、当事務所の離婚事件チームまで、お気軽にご相談ください。

この記事が、養育費の問題にお悩みの方にとってお役に立てれば幸いです。

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