モラハラ夫の末路はどうなる?弁護士が解説
モラハラ夫は、妻との離婚後、元妻に執着し続けて破滅的な行動をしたり、誰からも見放されて孤独になってしまうといった末路をたどる可能性があります。
モラハラ夫に苦しんでいる方や、苦しめられた方の中には、「(元)夫が離婚後に幸せになるのは許せない」と思っている方もおられると思います。
そこで、ここでは、①モラハラ夫の末路や、モラハラ夫の末路が気になる理由、②モラハラ夫を後悔させる方法、③モラハラ夫との離婚後にやってはいけない行動について、解説していきます。
モラハラ夫の末路が気になる方、モラハラ夫に相応の報いを受けて欲しいと思っている方は、ぜひ参考になさってください。
モラハラ夫の末路とは?
離婚後、どのような人生を送っていくかは、人それぞれです。
モラハラ夫だったからといって、誰もが同じような結末になるとは限りません。
もっとも、モラハラ夫の特徴からすれば、次のような末路をたどるケースが考えられます。
元妻に執着し続ける
モラハラ夫の中には、離婚をしても、離婚をした事実を受け入れられなかったり、「妻は自分のもの」という意識が抜けなかったりする人もいます。
そのような人は、離婚後も、元妻に執着し続けることになります。
そして、次のような行動に出ることがあります。
元妻への接触を図る
離婚後も、従前と同じように元妻にLINEなどで頻繁に連絡を入れたり、面会を求めたりすることがあります。
元妻に無視し続けられて諦める場合もありますが、行動をエスカレートさせ、元妻を待ち伏せしたり、元妻につきまとったりして、ストーカー行為に発展する場合もあります。
ストーカー行為に対しては、法律(ストーカー規制法)で罰則が設けられています。
そのため、状況によっては、警察から警告を与えられたり、逮捕されて刑罰を受けることになる可能性もあります。
元妻に仕返しをする
モラハラ夫は、自分の非を認めることは滅多にありません。
そのため、離婚に至った原因も全て妻側にあると思い込んで、元妻に仕返しをしようとすることもあります。
例えば、元妻に対し、「お前の人生をめちゃくちゃにしてやる」「無事でいられると思うなよ」などと脅したり、身体的な暴力を振るったりする可能性があります。
元妻が他の男性と交際したり、再婚したりした場合は、その男性に対しても危害を及ぼす可能性もあります。
また、子どもを利用して元妻に仕返ししようとする場合もあります。
離婚後、元夫が子どもと面会交流(子どもと離れて暮らす親が子どもと会うなどして交流すること)を実施した際に、子どもに対して母親の悪口を吹き込み、母子関係を悪化させようとすることなどが考えられます。
また、子どもの通学路などで待ち伏せして、子どもを自分の元に連れ去ってしまうといった行為に出る可能性もあります。
しかし、上記のような行為は、いずれも破滅的な行為といえます。
身体的な暴力や脅迫(害悪を加える旨告知すること)、子どもの連れ去り(誘拐など)は、犯罪に当たります。
そのため、状況によっては逮捕され、刑罰を受ける可能性があります。
また、面会交流で子どもを混乱させるようなことをするのは、面会交流を制限するべき事情として考慮されることになります。
そのため、元妻が面会交流の見直しを求めて裁判所の手続き(調停)を申立てた場合などは、元夫は不利な立場に置かれることになるでしょう。
そして最終的には、裁判所の決定によって、面会交流を制限されることになる可能性もあります。
再婚をしてモラハラを繰り返す
離婚後、元妻に執着することなく、再婚をして新しい生活を始める人もいます。
しかし、モラハラ夫の、モラハラをしてしまう性質(モラハラ気質)は、離婚をしても変わらないことがほとんどです。
「元妻が勝手な人だった」などと思い込んで自分なりに離婚の事実を受け入れているか、新たな攻撃対象としての再婚相手を見つけたので元妻にこだわらずに済むようになったというケースが多いです。
そのため、モラハラ夫は、再婚相手に対してもモラハラをしてしまう可能性が高いです。
そうすると、モラハラ夫は、再婚相手とも安定した夫婦関係を築くことができず、場合によっては再び離婚に至る可能性もあるでしょう。
それでも、モラハラ夫が自分の問題を自覚する可能性は低いです。
そのため、再婚してはモラハラをして家庭を壊すということを繰り返してしまうかもしれません。
最終的には孤独になる
モラハラ夫は、上記のとおり、安定した夫婦関係を築くことが難しい場合が多いので、老後に配偶者と助け合って生活するということが望めない可能性があります。
また、妻にモラハラをする人は、子どもに対しても同じようなことをしていることも多く、子どもとの関係も悪いことも多いです。
仮に、モラハラ夫が子どもに対しては普通に接していたとしても、父親が母親にモラハラをしている家庭環境で育った子どもは、父親に対して良い感情を抱いていないこともあります。
そのため、モラハラ夫は、子どもからも見放され、老後に子どもからのサポートを受けられない状態になってしまうかもしれません。
さらに、モラハラ夫は、家庭外の人に対しても、利用価値で判断したり、見下して優位に立とうとする傾向にあるため、もともと親しい友人などがいない場合も多いです。
そうすると、定年退職などで仕事の人間関係がなくなると、途端に人との関わりが無くなってしまい、孤独な晩年を過ごすことになる可能性があります。
モラハラ夫の末路が気になるのはなぜ?
相応の報いを受けて欲しいという思いから
モラハラをしてきた夫に対し、「自分(元妻)と同じだけ苦しんで欲しい」「自分がやったことの重大さを思い知って欲しい」などといった感情を抱くことは当然のことです。
ご自身はモラハラに苦しめられ、離婚せざるを得ない状況にまでなったのに、元凶である元夫が離婚後に何のダメージも受けずに幸せに暮らしているとすれば、それは許しがたいことなのではないでしょうか。
このような心境から、モラハラ夫がきちんと相応の報いを受けているかどうかを確認したいと思い、モラハラ夫の末路が気になるものと考えられます。
特別な存在だったから気になる
モラハラ夫は、マイナスの要素が多いとはいえ、かつては夫婦という特別な関係にあった人です。
そのため、離婚したからといって全く関係のない人と同じように無関心でいることの方が難しいのかもしれません。
子どもがいれば、元夫が子どもの父親であることには変わりはないため、意識せずにはいられない存在でもあるでしょう。
また、離婚が成立してひと安心すると、元夫が優しかった頃のことが思い出されたりして、複雑な思いに駆られることもあります。
このようなことから、モラハラ夫の末路が気になってしまうものと考えられます。
モラハラ夫を後悔させる3つの方法
ここでは、モラハラ夫を後悔させる方法について解説していきます。
もっとも、モラハラ夫は、自分の非を認めることは滅多にないため、離婚後に後悔するとしても、「離婚に応じて妻を支配下から解放してしまったこと」などを悔やんでいるケースがほとんどです。
「自分がモラハラをして夫婦関係を破綻させてしまったこと」や、「妻に悪いことをしてしまったこと」を後悔する可能性は低いといえます。
そのため、モラハラ夫に、「自分のしたことの重大さを思い知る」という意味で後悔をさせることは、基本的には難しいと考えられます。
とはいえ、モラハラ夫の思い通りにさせることなく、相応の報いを受けてもらうために妻ができることはあります。
ここでは、そのような観点から、3つのポイントをご紹介していきます。
①弁護士に主張してもらう
モラハラ夫と離婚に向けて進めていく場合は、これまでの経緯や、離婚条件(親権、養育費、財産分与、面会交流など)等について、弁護士に代理人として主張してもらうとよいでしょう。
モラハラ夫は、離婚の協議の場でも、上から目線で高圧的に接してきたり、妻をコントロールしようとしてきたりすることが多いです。
また、モラハラ夫は、責任転嫁をしたり、事実をねじ曲げたりして自分を正当化することにも長けています。
そのため、モラハラの事実を認めないばかりか、むしろ妻の方が夫を攻撃していたかのように話をすり替えられてしまうことなどもあります。
さらに、離婚条件に関しては、とにかく妻に「勝つ」こと(譲歩させる、自分の出した条件をのませるなど)にこだわり、適切な解決のために譲り合うという姿勢がないことが多いです。
妻に負けたくないという理由だけで親権を取得することにこだわったり、妻に財産を渡したくないという理由で自分名義の財産の開示を頑なに拒否したりするケースもあります。
このようなモラハラ夫に振り回されてしまうと、離婚に至るまでの過程で憔悴し、ご自身に不当に不利な条件を受け入れてしまったりするなど、夫の思惑どおりになってしまう可能性もあります。
このような事態にならないために、モラハラの問題に精通した弁護士のサポートを受けることを強くおすすめいたします。
弁護士のサポートを受け、夫の好き勝手にさせずに適切な条件で離婚をすることができれば、「妻は自分の言いなりになる」と思っていたモラハラ夫は相応のダメージを受けることにもなるでしょう。
②元夫に振り回されないようにする
離婚後は、元夫にとらわれない状態になることを目指し、元夫に振り回されないようにするとよいでしょう。
先にも述べたように、モラハラ夫は、離婚後も元妻に執着していることが多いです。
そのような中で、元妻がモラハラ夫からの連絡に逐一反応していたりすると、モラハラ夫は「元妻はまだ自分の支配下にある」などと思い込んで満足し、こちらの生活に干渉してきたりする可能性があります。
このような事態を避けるためには、離婚後、仮に元夫が接触してきても、相手にしないことが大切です。
執拗な場合や、身の危険を感じた場合は、迷うことなく警察などに相談・通報するようにしましょう。
子どもがいれば、面会交流のために元夫と会ったり、連絡を取り合う必要が出てくるケースもありますが、その場合は、あらかじめ連絡等に関するルールを明確に定めておくとよいでしょう。
モラハラ夫の場合は、子どもに関する話を口実に、こちらの生活に干渉してくる可能性もありますが、ルールを無視した元夫の言動には取り合う必要はありません。
元夫とのやり取りが苦痛な場合は、専門の弁護士に間に入ってもらうなど、サポートを受けることもおすすめいたします。
③これからの生活を楽しむ
モラハラ夫は、元妻と一緒に暮らしていた頃は、元妻が自分を恐れて萎縮し、自分の思い通りに動くことに快感を覚えていたはずです。
そのような元妻が離婚後、伸び伸びと楽しそうに生活をしていたら、モラハラ夫は、元妻が自分の思い通りにならなかったことについて、悔しさを感じるでしょう。
そのため、離婚後は、ご自身のこれからの生活を楽しむことを一番に考えることをおすすめします。
「楽しまなければいけない」と頑張る必要はなく、「モラハラ夫と一緒に生活した頃はできなかったこと」などをやってみるとよいと思います。
例えば、モラハラ夫から説教されることなどを恐れ、おしゃれな洋服を買うことや、友人と旅行に出かけることを控えていたような場合は、それらをやってみるのです。
このように、モラハラ夫から解放されたからこそできることをして、楽しんでいるうちに、元夫に対する気持ちの整理もついて、元夫の末路が気にならなくなることもあるでしょう。
モラハラ夫にとっては、元妻に意識されなくなるということもダメージが大きいものといえますので、この点でもご自身の生活を楽しむことはプラスに働くことになります。
離婚後にやってはいけない3つの行動
①安易に復縁に応じる
モラハラ夫は、離婚後、元妻に復縁(再婚)を求めることがあります。
もっとも、元妻にモラハラをしたことを反省した結果というわけではなく、「自分の思い通りになる妻を解放してしまったこと」などを後悔した結果、復縁を求めているようなケースが多いと考えられます。
すなわち、元妻を再び自分の支配下に置きたいがために、復縁を求めてくるということです。
そのため、元夫の求めに応じて復縁すると、再びモラハラの被害に遭う可能性は非常に高いので、気を付けなければなりません。
「お前一人ではやっていけないだろう」「子どもがかわいそうだと思わないのか」など、相変わらずの上から目線で復縁を迫る場合もありますが、「俺が悪かった。本気で反省したから、やり直させて欲しい。」など、謝罪や反省の意を示すとともに復縁を申し入れてくる場合もあります。
後者のような場合、「さすがに改心したのでは?」と揺れ動くこともあるかもしれませんが、元妻を取り戻すために反省しているフリをしているに過ぎないことがほとんどです。
モラハラ気質は、離婚に直面したからといって、簡単に治るものではありません。
モラハラ気質を治すには、「妻は夫に従うべき」「自分は妻をコントロールする権利がある」などといった、モラハラを引き起こす価値観を変えなければなりません。
しかし、自分の価値観の問題点を自覚し、変えていく努力をするというのは、非常に困難なことです。
また、仮に、このような努力をすることができる人であれば、遅くとも、別居や離婚を切り出したタイミングで改善する姿勢を見せたはずです。
離婚前にそのような姿勢が見られなかったのであれば、離婚したからといって変わっている可能性は低いといえるでしょう。
②元夫の不幸を願う
あなたを苦しめた元凶である元夫に不幸になって欲しいと思うのは、自然なことだと思います。
さんざん人を苦しめてきたのだから、その代償を払ってもらわなければ納得できないと思うのも当然です。
しかし、元夫の不幸を願っても、あなたの幸せにつながるわけではありません。
元夫の不幸を願ってばかりいると、離婚後も、元夫がどうしているのか、どんな気持ちでいるのか、ということばかりが気になってしまいます。
また、離婚後、元夫に会う機会がある場合(子どもの面会交流のときなど)は、その際に元夫が幸せそうにしているのを見たりすると、「どうして不幸になっていないの?」などと思って動揺してしまうかもしれません。
このように、元夫のことを気にしていては、いつまでもモラハラ夫にとらわれたままの状態でいることになってしまいます。
モラハラ夫から本当に解放されるためには、元夫の不幸を願うのではなく、元夫への気持ちに区切りを付けて、ご自身の新しい生活に集中することが大切といえるでしょう。
③元夫に仕返しする
モラハラをしてきた元夫に、仕返しをしたいという感情を抱くことは、自然なことです。
しかし、具体的に仕返しを行動に移すことはやめましょう。
行き過ぎた行為をしてしまうと、犯罪行為に該当して刑罰を受けることになってしまったり、相手から損害賠償を求められる事態になってしまったりする恐れもあります。
また、相手はモラハラ夫ですから、こちらが仕返しをしたことに対して逆上し、報復してくる可能性も高いです。
したがって、離婚後は、モラハラ夫と必要以上に関わらないに越したことはありません。
モラハラ夫が再婚した場合に、その再婚相手に接触することなども避けるべきです。
仮に、仕返しの意図はなく、その再婚相手もモラハラの被害を受けてしまうことを心配して忠告しようとしたような場合であっても、トラブルの原因となる可能性があるので注意しましょう。
まとめ
以上、モラハラ夫の末路や、モラハラ夫の末路が気になる理由、モラハラ夫を後悔させる方法、モラハラ夫との離婚後にやってはいけない行動について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
モラハラ夫は、元妻に執着し続けて破滅的になったり、孤独な晩年を過ごすといった末路をたどる可能性があります。
しかし、重要なのは、モラハラ夫の末路がどうなるかということよりも、ご自身がモラハラから抜け出して自分の人生を取り戻すことです。
モラハラ夫の思い通りにはさせずに、きちんとした条件で離婚したり、離婚後に元夫にとらわれないようにすることで、モラハラ夫に相応の報いを与えることもできるでしょう。
もっとも、モラハラ夫を相手に適切に対処していくことは簡単ではありませんので、お困りの場合は、モラハラ問題に詳しい弁護士に相談されることをおすすめいたします。
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この記事が、モラハラにお悩みの方にとってお役に立てれば幸いです。
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