医療法人の理事の妻の離婚時の注意点とは?

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

離婚と解雇問題

離婚届と印鑑離婚と解雇は一見すると関係がないように見えます。

離婚は、家族の問題であるのに対し、解雇は使用者と従業員等との問題だからです。

しかし、一方配偶者が医師で病院等を経営している場合、妻にその事業を手伝ってもらっている場合があります。

また、実質的には何も手伝ってもらっていなくても、形上、役員に登記していたり、雇用契約を締結している場合もあります。

このような場合、離婚の際に、その妻の地位をどうするかが問題となります。

契約形態としては、雇用契約(妻が労働者の場合)、委任契約(妻が医療法人の役員の場合)があるので、以下、場合を分けて解説します。

 

 

妻を雇用している場合

db4d7fa8dba10034f90566a3dba6e584_s医者が、配偶者を従業員として雇用している形態は多く見られます。

では、離婚する場合に相手を解雇できるでしょうか。

解雇は使用者が雇用関係にある労働者に対して行うものであり、夫婦間の問題とはまったく別個です。

したがって、例えば、相手が不貞行為を行っていたとしても、そのことのみを理由に解雇することはできません。

また、勤務成績が悪いなどの理由により、解雇する場合についても慎重な判断が必要です。

弁護士解雇については、労働契約法第16条によって、客観的・合理的な解雇事由があり、かつ、社会通念上相当と認められないかぎりは、解雇したとしても無効と判断されるからです。

ただ、相手の不倫相手が同じ病院の従業員であったような場合には、職場内の不倫関係を理由とする解雇を有効として裁判例もあるので、判断が分かれるところでしょう。

いずれにせよ、従業員として雇用している相手と離婚の話し合いをする際は、従業員としての地位の問題も一緒に解決する必要があることを念頭に置かないと、離婚の際に大きな障害になります。

 

 

妻を理事等の役員にしている場合

医療法人の理事長が、他方配偶者を理事や監事にしているケースも多く見られます。

例えば、夫が理事長、妻が理事などの例です。

この場合、理事長である夫が、離婚を理由に妻の意に反して理事を解任することができるでしょうか?

394901e1acdfe7a00a97a420031a6342_s終身雇用を前提とした雇用契約の場合と大きく異なり、理事と医療法人の関係は、委任契約であり、任期があります。

したがって、任期が経過し、再任されなければ、理事としての地位は失われます。

任期は、医療法人の場合、2年以内です(医療法46条の2の3項)。

なお、平成19年4月1日施行の改正医療法施行前は、理事の任期について、法定されていませんでした。

そのため、定款又は寄附行為によって、任意に任期の定めを設けていましたが、法改正により2年が最長となっています。

解任については、臨時社員総会を開催し、決議が得られれば、任期の途中でも理事を解任することは可能です。

決議は、総社員の過半数の出席し、出席社員の過半数の賛同が必要です。

しかし、正当な理由もなく解任した場合、解任から任期満了までの期間(最高で2年近く)の役員報酬を損害賠償として請求される可能性があります。

 

 

 

まとめ

弁護士以上、離婚する際の解雇や契約解除について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

離婚する場合、財産分与等の問題だけでなく、配偶者との契約関係も合わせて解決すべきです。

しかし、雇用契約の場合、労働契約法上、解雇するには厳格な要件が必要となります。

また、理事等の場合、契約解除はできたとしても、相手から損害賠償請求をされるリスクがあります。

リスクを回避するために、医師の離婚問題に詳しい弁護士にアドバイスをもらいつつ、慎重に進めていかれることをお勧めいたします。

当事務所の離婚事件チームは、医師の離婚問題について、専門知識とノウハウを共有しております。

近くに専門家がいない遠方の方については、当事務所ではLINEなどを利用したオンライン相談が可能です。

離婚問題でお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

ご相談の流れはこちらをご覧ください。

あわせて読みたい
ご相談の流れ

 

 

関連動画

 

 



医師・医者に特有の離婚問題についてさらに詳しく!

なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?   

続きを読む