面会交流調停を申し立てられたらどうすればいい?対処法を解説

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

面会交流調停とは、面会交流について裁判所に仲介をしてもらいながら父母で話し合いをし、合意による解決を目指していく手続きです。

面会交流がうまくいっていない場合は、面会交流の実施を求める非監護親(子どもと離れて暮らしている親)から面会交流調停を申し立てられる可能性があります

面会交流調停を申し立てられた場合は、調停に出席し、面会交流の実施の可否や具体的な内容等について話し合いを行わなければなりません。

調停に出席しないと不利益な結果につながるリスクもあるので、面会交流に応じたくない場合でも欠席は避けるべきです。

また、調停を有利に進めていくためには、面会交流調停の流れや特徴を押さえつつ、具体的な状況に即して必要な対処をしていくことがポイントとなります。

そこで、ここでは面会交流調停を申し立てられた場合のリスクや対処法について解説していきます。

なお、非監護親が面会交流調停を申し立てられるケース(監護親が申立人・非監護親が相手方となるケース)もありますが、この記事では監護親が面会交流を申し立てられるケース(非監護親が申立人・監護親が相手方となるケース)を前提に解説していくこととします。

面会交流調停とは?

面会交流調停とは、面会交流について裁判所に仲介をしてもらいながら父母で話し合いをし、合意による解決を目指していく手続きです

面会交流とは、子どもと離れて暮らしている親が子どもと会うなどして交流をすることをいいます。

面会交流をどのように行うかについては、まずは父母の間で話し合って決めるものとされています。

しかし、話し合いができない場合や、話し合っても合意がまとまらない場合は、裁判所に面会交流調停を申立て、裁判所で話し合いを行うことになります。

面会交流調停についての詳しい解説は、こちらのページをご覧ください

 

ワンポイント:面会交流調停と離婚調停の違い

面会交流を求める方法には、面会交流調停と離婚調停の2つがあります。

面会交流調停は、面会交流のみの調停を求める手続きです。

これに対し、離婚調停は離婚をメインとして求める調停です

離婚調停では、離婚の他に、親権、養育費、面会交流なども話し合うこともできます。

例えば、妻から夫に対して離婚調停を申し立て、これに対して夫から妻に面会交流調停を申し立てることも可能です。

このページでは、基本的に面会交流調停について解説しています。

 

 

面会交流調停に出廷しなかったらどうなる?

不利な結果となる可能性がある

面会交流調停は話し合いの手続きであるため、当事者の一方が出席しない場合は話し合いを進めることができず、調停は不成立となり終了するのが通常です。

調停が不成立となると、その後は「審判」という手続きに移行することになります。

審判とは、裁判所が一切の事情を考慮して一定の判断を下す手続きです。

当事者の一方が審判の手続きにも出席せず何らの対応もしない場合、裁判所は、他方の当事者の言い分や提出資料のみをもとに判断を下すことになります

そうすると、出席しなかった当事者にとって、不利な内容の判断が下される可能性があります。

例えば、面会交流に応じたくないと思っていても、相手が面会交流の実施を求めて申し立てた面会交流調停に出席せず、何らの対応もしなければ、最終的には審判で面会交流を実施せよとの命令が出されてしまうリスクがあります。

 

審判に従わないとどうなる?

審判で面会交流を実施せよとの命令が出された場合、それに従わないと、強制執行を申し立てられ、間接強制金を課されるリスクがあります。

強制執行とは、命令の内容を強制的に実現させるための手続きです。

面会交流の場合は、監護親(債務者)に対して「不履行1回につき〇万円を支払え」という形で心理的圧力を加えて履行を促す方法(間接強制といいます。)によって行われます。

 

過料に処される可能性がある

調停には出頭する義務があり、正当な理由なく調停に出席しない場合は5万円以下の過料に処すると法律で定められています(家事事件手続法258条1項、51条2項・3項)。

参考:家事事件手続法|e-Gov法令検索

【ワンポイント:やむを得ず欠席する場合】

体調不良や仕事の都合など、やむを得ない事情で1、2回程度欠席するぶんには、欠席が不利に働くということは通常ありません。

ただし、無断欠席は避け、必ず事前に裁判所に連絡を入れて事情を説明するようにしましょう。

 

 

面会交流調停の流れ

面会交流調停の流れは以下のとおりです。

面会交流調停の流れ

申立て~初回期日

面会交流調停が申し立てられると、それから約1か月後に初回の期日(調停を実施する日)が指定されます。

相手方(申し立てられた側)には、裁判所から期日のお知らせ(呼出状)が送付されます。

指定された初回期日に申立人・相手方の双方が裁判所に出向き、別々の待合室で待機します。

そして、交互に調停室に入り、30分ずつくらい調停委員に話をするというスタイルで話し合いが進められていきます。

相手と顔を合わせて話をすることは基本的にはありません

調停室は法廷ではなく会議室のような部屋であり、調停委員2名(男性・女性1人ずつ)とテーブルを囲んで話す形となります。

調停委員会は、調停委員2人と裁判官1人によって構成されますが、話し合いに立ち会うのは調停委員のみで、裁判官は調停成立の際など重要な場面にしか現れないのが通常です。

なお、近年では、裁判所に直接出向かず、電話やウェブ会議システムによって調停期日を実施するケースも増えています。

期日の所要時間は1回あたり2時間程度です。

時間内に話し合いがまとまらない場合(通常初回期日ではまとまりません)、約1か月後くらいの日程で次回期日が決められ、2回目、3回目と期日が重ねられていくことになります。

 

【ワンポイント:電話やウェブ会議システムの活用について】

新型コロナウィルスのパンデミック以降、電話又はウェブ会議システムが積極的に活用されるようになりました。

そのため、現在多くの法律事務所は電話又はウェブ会議システムを利用しています。

したがって、弁護士に調停を依頼される場合、調停期日には家庭裁判所に行かずに法律事務所の会議室から調停に参加することができます。

なお、電話会議の場合は音声のみのやり取りとなります

ウェブ会議の場合は、映像の送受信も加わるため、調停委員の顔を見ながらのやり取りとなります。

離婚問題に強い弁護士は、具体的な状況を考慮して、いずれの手続きを利用すべきかを判断してくれるでしょう。

 

調査官調査・試行的面会交流、数回の調停期日

面会交流調停の場合は、期日が重ねられていくのと並行して、期日とは別の日に家庭裁判所調査官による調査が行われたり、試行的面会交流が行われたりすることがあります。

期日と期日の間に、合意の上、裁判所外でリハーサル的に面会交流を当事者間で実施してみる場合もあります。

弁護士が就いている場合は、弁護士が間に入って相手との連絡調整、子どもの受け渡し、付き添い等を行うことができます

そのため、裁判所での試行的面会交流を実施した後に、あるいは試行的面会交流をせずに、裁判外でのリハーサル的な面会交流を実施する場合も多いです。

これらの結果を踏まえて、引き続き次の期日で話し合いを行っていきます。

 

調停の終了

合意がまとまった場合

期日での話し合いの結果、合意がまとまった場合は、裁判所によって合意内容を記載した書面である「調停調書」が作成され、調停成立となります。

 

合意の内容

合意内容としては、大きく分けると、次の3つのパターンがあります。

  1. ① 面会交流の不実施
  2. ② 直接交流(直接会って交流すること)の実施
  3. ③ 間接交流(電話や手紙・メール等による間接的な交流)のみの実施

もっとも、具体的な合意内容は事案によって様々であり、調停条項(合意内容を箇条書きにしたもの)の定め方も事案ごとに異なります。

面会交流の具体的な内容(日時、場所、方法等)やルールまで詳しく定める場合もあれば、「月1回程度の実施を認める」というような大枠を定めるにとどめ、具体的な内容は別途協議して決めることにする場合もあります。

 

調停調書の効力

調停調書は、裁判所での話し合いによって合意が正式に成立したことを示す書面として、裁判所の命令(確定判決や確定審判)と同じ効力を持ちます。

すなわち、法的な拘束力があり、相手が合意を守らない場合は、合意内容を強制的に実現する手段(強制執行)をとることも可能です(※)。

そのため、調停条項の内容や文言は慎重に決める必要があります。

どのような内容・文言にすべきか判断したり、裁判所の提示した条項案をチェックしたりするのは、専門家でないと困難な面がありますので、調停成立前に離婚問題に詳しい弁護士に相談されることをおすすめいたします。

(※)強制執行をするためには、調停条項で面会交流の内容(日時、頻度、場所、方法など)が特定されていること、面会交流を認めるとの意思が表示されていることが条件となります。

 

合意ができなかった場合

調停で話し合いを続けても合意に至る見込みがない場合は、調停は「不成立」として終了します。

その後は自動的に審判に移行し、裁判官が一切の事情を考慮して一定の判断を下すことになります

なお、出された審判に不服がある場合は、不服申し立て(即時抗告)をすることができます。

 

 

面会交流調停の特色

調査官調査の実施

面会交流調停では、ほとんどのケースで家庭裁判所調査官(以下「調査官」といいます。)による調査が実施されます。

調査官は、家庭や子どもの問題に関する専門家であり、専門知識を活かして問題解決のために調査や調整を行う役割を果たしている裁判所の職員です。

面会交流調停では、必要に応じて初回期日から調査官が立会い、当事者から事情を聴いたり、心理的調整をすることもあります。

また、裁判所が必要と判断した場合は、調査官によって、当事者(監護親と非監護親)の意向調査や、子どもの生活状況や心身の状況、意向などの調査が実施されます

調査は、調停の期日とは別に、裁判所で調査官と個別に面談をしたり、調査官が家庭訪問をしたりする方法によって実施されます。

調査が実施されると、その結果や結果を踏まえての調査官の意見をまとめた「調査報告書」という書面が作成されます。

この調査報告書の内容を踏まえて、引き続き、調停期日で面会交流の実施・不実施や具体的な内容等について、話し合いが行われていきます。

 

【ワンポイント:調査報告書の重要性】

調停はあくまでも話し合いの手続きであるため、調査報告書の内容に従った解決を強制されることはありません。

しかし、調停での話し合いで解決できない場合は、調停不成立となり、その後は審判に移行して裁判所が判断を下すことになります。

その際、裁判所は、通常、調停段階で作成された調査報告書の内容を重視して判断を下すことになります

そのため、審判で調査報告書の内容と大きく異なる結論となる可能性は高くはありません。

したがって、調停においても、調査報告書は面会交流の在り方を話し合う上で重要視されることになります。

 

試行的面会交流の実施

面会交流調停では、期日とは別に試行的面会交流を実施する場合もあります。

試行的面会交流とは、調査官立会いのもと、家庭裁判所の児童室などで面会交流を実施してみて、交流の様子を観察するものです

今後の継続的な面会交流のための導入・調整や、面会交流が可能かどうか査定する目的で、調査官調査として行われます。

 

長期化する傾向

上記のように、面会交流調停では、期日とは別に、調査官調査や試行的面会交流が実施されることが多いです。

また、当事者間の対立が激しく、合意に至るまで何回も期日を重ねて話し合いをしなければならないケースも多いです。

このようなことから、面会交流調停は、申立てから事件終了までに半年〜1年程度の長期間を要するケースも多い傾向にあります

また、特に面会交流を実施するか・しないかで争いになっているケースでは、話し合いによっては折り合いをつけることができず、審判に移行する場合も珍しくはありません。

審判まで争う場合は、さらに解決までに時間を要することになります。

 

 

面会交流調停への対処法

面会交流拒否(制限)に正当な理由があることを主張する

現在の家庭裁判所の実務では、基本的には面会交流を実施する方向で話し合いが進められることが多いです。

面会交流は、一般的には子どもの健全な成長にとって有益なものと考えられているためです。

もっとも、面会交流を実施することでかえって子どもの利益を害する事情がある場合は、面会交流は禁止・制限されます。

そこで、上記のような事情(面会交流を拒否(制限)する正当な理由)がある場合は、その事情について具体的に主張するようにしましょう。

正当な理由に該当し得るのは、例えば、非監護親が子どもに暴力を振るう恐れや、子どもを連れ去る恐れがあるといった事情です

そのため、例えば、子どもが非監護親から虐待を受けており、面会交流を実施すると子どもの心身に危害が及ぶ恐れがある場合は、虐待の実態、被害の状況、子どもの心情等ついて具体的に説明するようにしましょう。

 

主張の裏付けとなる証拠資料を準備する

面会交流拒否(制限)の正当な理由を主張するときは、その事情を裏付ける証拠資料も準備するようにしましょう。

例えば、非監護親が子どもを虐待しており、子どもの心身に影響が及んでいるという場合には、虐待の現場の録音・録画、ケガの写真、子どもの診断書や児童相談所への相談記録などの客観的な証拠を準備しましょう

面会交流を禁止・制限する事情を裏付ける客観的な証拠があると、調停委員会に具体的な事情が伝わり、面会交流の不実施を視野に入れた話し合いをすることができるようになっていきます。

どのような資料を準備すればよいかは、状況により異なりますので、専門の弁護士に相談されることをおすすめいたします。

 

調査官調査を上申する

上記に述べたとおり、面会交流拒否(制限)の理由について、調停期日に調停委員に主張することは重要ですが、それだけでは十分な情報を伝えられない場合もあります。

特に子どもの意思、生活状況、心身の状態などに関しては、監護親から伝えるだけでは非監護親が納得せず、話が進まなくなるというケースもあります。

そこで、調査官調査を活用することが考えられます。

調査官調査は、当事者が希望すれば必ず実施されるというものではなく、裁判官が必要と判断して調査官に調査命令を出すことによって実施されるものです。

そのため、裁判官に調査の必要性を説明し、調査命令を出してもらえるようにお願いする(上申する)ようにしましょう。

面会交流を拒否したい場合のみならず、面会交流に応じるべきかどうか迷っている場合や、応じるのは構わないものの子どもの負担にならない方法を慎重に検討したい場合なども調査官調査を活用するとよいでしょう。

調査官と個別に面談することで、気持ちが整理できたり、子どもの視点に立つことができ、面会交流の在り方についてより具体的に考えられるようになることもあります。

なお、弁護士が代理人となっている場合、面会交流調停に精通しているので、必要に応じて初回期日から調査官調査を上申するなどして問題の早期解決を図ってくれるかと思います。

 

調停条項に注意する

調停で合意がまとまった場合は、調停条項が作成されます。

先に述べたとおり、調停条項は法律効果を生じさせるものです。

そのため、調停条項は慎重に定め、成立前にきちんと確認をすることが重要になります。

どのような内容・文言にするべきかはケース・バイ・ケースですが、一般的には、次の例のように大枠を定めるにとどめ、具体的な内容は協議にゆだねるとするケースが多いです。

条項例
1 乙は、甲が未成年者らと月1回程度、面会交流することを認める。
2 面会交流の具体的な日時、場所及び方法については、未成年者らの福祉に配慮して、甲及び乙が協議して定める。
※乙は監護親、甲は非監護親です。

もっとも、その都度相手と面会交流の内容について協議をしなければならないことに負担を感じる場合は、日時、場所、方法等についても具体的に定めておいた方がよいでしょう。

ただし、内容が具体的に特定されている場合は、間接強制が可能となりますので注意が必要です。

いずれの場合も、調停条項は今後の面会交流に重要な意味を持ちますので、できる限り弁護士に相談するなどして慎重に定めるのがよいでしょう。

 

面会交流に強い弁護士に相談する

面会交流調停を申し立てられた場合は、面会交流に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

調停が始まってからであっても、いつでも相談・依頼することは可能です。

もっとも、初回期日から弁護士が入って対応することで、早期解決にもつながりますので、なるべく早いタイミング(期日の呼出状が届いた段階や、相手から調停を申し立てると言われた段階)で相談されるとよいでしょう。

弁護士に相談・依頼する主なメリットとしては、次のようなものがあります。

 

安心して調停に出席することができる

相手と接触したくないがために、調停に出席したくないという方もいらっしゃると思います。

調停期日では、別々の待合室で待機し、別々に調停室に入るため、基本的には相手と顔を合わせることはありません。

待合室を別の階にしてもらう、集合時間をずらすなど、裁判所に配慮を求めることも可能です。

それでも、裁判所内で相手と鉢合わせたり、相手に待ち伏せされたりする心配は残るかもしれません。

弁護士に依頼した場合は、調停期日に弁護士が付き添ってくれます。

調査官調査や試行的面会交流の際にも、弁護士に付き添ってもらうことができます。

そのため、少なくとも裁判所内で相手と二人きりになってしまう心配はなくなります。

また、先ほども述べたように、近年では、電話やウェブ会議システムによって調停期日を実施するケースも増えています。

弁護士に依頼される場合は、裁判所に出向くことなく、弁護士と一緒に法律事務所の会議室から調停に参加することもできます

 

拒否理由や不安要素などを明確に伝えることができる

面会交流は、一般的には子どもの健やかな成長のために有益であり、基本的には実施すべきものと考えられています。

そのため、面会交流を禁止・制限する事情があることや、面会交流に対する不安や心配事が調停委員にうまく伝えることができないと、面会交流を実施する前提で、どんどん話が進められてしまう可能性もあります。

弁護士に依頼した場合は、調停委員や調査官を前に話をする際、弁護士が適宜フォローし、法律的な視点からの補足もしてくれます

また、必要に応じて、弁護士が陳述書(言い分を述べた書面)や主張書面を作成して裁判所に提出することもできます。

そのため、拒否理由や不安要素などを裁判所に明確に伝えることができ、相手のペースで進められてしまうという事態も防ぐことができます。

 

状況に応じた対処をしてくれる

面会交流調停を申し立てられた場合にどのように対処するべきかは、子どもの年齢・発達状況、監護親や子どもの生活状況、意向、非監護親との関係性、これまでの面会交流の実施状況などによって大きく異なります。

子どもの安全のために面会交流の実施自体を阻止しなければならない場合もあれば、面会交流をスムーズに行えるように条件やルールを取り決めることがテーマとなる場合もあります。

面会交流の問題に精通している弁護士であれば、具体的な状況を踏まえ、適切に方針立てて進めてくれるでしょう。

状況に合わせて適切な方針を立てて進めることは、子どもの利益の点からも、早期解決の点からも非常に重要なポイントとなります。

 

離婚や養育費の問題についてもサポートしてくれる

面会交流の他にも、離婚や養育費の問題をめぐる争いが生じているケースもあります。

このような場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談し、全般的なサポートを受けることをおすすめします

親子の問題と父母の問題は別ものであるため、離婚について争いがあることや、相手が養育費を支払わないことなどを理由に、面会交流を拒否することは基本的にはできません。

しかし、離婚について紛争状態にある中で子どもを会わせることに不安があったり、養育費を支払わない相手に子どもを会わせることに納得できなかったりする場合は多いでしょう。

また、面会交流の実施と離婚の同意や養育費の支払いを交換条件とすることは、認められることではありません。

しかし、非監護親が「面会交流ができるならば、親権を譲って離婚してもよい」「面会交流ができるならば、養育費を支払う」というような提示をしてくるケースは、実際上は少なくはありません。

このような場合、早期の離婚成立などを望むあまり、安易に面会交流の実施に応じてしまうと、子どもにしわ寄せが行ってしまうこともあるため、注意が必要です。

このように、離婚や養育費の問題は面会交流と別問題とされつつも、当事者の心情としては、複雑に絡み合った問題となっている場合も多いです。

離婚問題に詳しい弁護士であれば、面会交流のみならず離婚問題や養育費の問題についても、それぞれ解決に向けて適切に対処していくことができます。

父母間の問題も解決していくことによって、面会交流に対する負担感も軽減することができるでしょう。

 

 

面会交流調停を申し立てられたときの弁護士費用

弁護士費用は依頼者が負担する

弁護士費用は、依頼者自身が負担することになります。

面会交流調停を申し立てたのが相手であっても、ご自身が弁護士に依頼する場合はご自身で弁護士費用を負担するのが原則です。

 

弁護士費用の相場

面会交流調停の弁護士費用は、依頼する弁護士(法律事務所)により異なりますが、少なくともトータルで50万円くらいはかかると考えられます。

以前は、弁護士の報酬に関して、弁護士会としての基準がありました(旧報酬規程)。

現在は弁護士報酬は自由化されており、各法律事務所が独自に定めていますが、旧報酬規程を踏襲している事務所も多いかと思いますので、相場としてはこの旧報酬規程が参考となります。

旧報酬規程(調停事件)の弁護士費用の内訳は以下のとおりです。

項目 内容 支払時期 備考
法律相談料 法律相談の費用 相談時:正式な依頼前 30分5000円〜1万円
着手金 弁護士に依頼するとき最初に支払う費用 依頼時 20万円〜50万円程度
報酬金 結果に応じて支払われる費用 終了時 20万円〜50万円程度
日当 弁護士が事務所を離れたときの費用 終了時またはその都度 半日3万円・1日5万円程度
実費 弁護士が事件処理をするうえで必要になった費用 終了時またはその都度 数千円程度(交通費などで高額になる場合もある)

参考:(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準

日本弁護士連合会旧報酬規程につきましては、離婚事件の費用のみ抜粋したものを以下に掲載しております。

なお、以上に示した費用の相場は、面会交流調停のみを弁護士に依頼する場合のものです。

離婚や養育費などの交渉・調停・裁判等の対応も一緒に弁護士に依頼する場合は、その分の費用も加算されます。

特に報酬金は、離婚達成や獲得金額に応じて算定された金額も加算されるので、上記の相場を大幅に上回ることもあります

具体的な金額については、各法律事務所のホームページや法律相談でご確認ください。

離婚の弁護士費用について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

面会交流調停についてのQ&A

面会交流調停は弁護士なしでもOK?

弁護士に依頼せず、ご自身で対応することは可能です。

もっとも、負担の軽減、早期・適切な解決などの点からは、弁護士に依頼するメリットは大きいです

そのため、面会交流調停を申し立てられた場合は、まずは一度、面会交流に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。

相談は、依頼を前提にしていなくても問題ありません。

費用面についても遠慮なくご相談ください。

 

面会交流調停で聞かれることとは?

これまでの面会交流の実施状況、今後の面会交流についての意向、子どもの生活状況などが聞かれます。

面会交流を拒否する場合は、拒否理由が詳しく聞かれることになります。

面会交流の実施に応じる場合は、面会交流の具体的な内容を考える前提として、子どもの生活状況・意向・心情、監護状況、同居時における子どもと非監護親の関係、父母の関係などが聞かれることになります。

なお、裁判所からは、期日の呼出状と一緒に「事情説明書」という書類の書式が送られてきます。

初回期日では、この事情説明書に沿って事情を聞かれることが多いので、事前に事情説明書を作成しながら考えをまとめておくとよいでしょう。

事情説明書のサンプルはこちらをご覧ください。

 

 

まとめ

以上、面会交流調停を申し立てられた場合のリスクや対処法について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

面会交流調停を申し立てられた場合は、期日に出席し、面会交流を拒否する理由や面会交流に対する不安・心配事などをきちんと説明するようにしましょう。

適切に進めていくには、具体的な事情に即した判断が必要になりますので、お困りの場合は面会交流の問題に詳しい弁護士にご相談ください。

当事務所には、離婚問題を専門的に扱う弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、面会交流の問題にお困りの方を強力にサポートしています。

LINEなどによるオンライン相談にも対応しており、全国対応が可能です。

面会交流の問題にお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

 

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